家族葬で葬儀を行う事を知らせる・伝えるタイミング・手段とメール例文や電話での伝え方

家族葬で葬儀を行う事を知らせる・伝えるタイミング・手段とメール例文や電話での伝え方

最近では「家族葬」を選ばれる方が増えてきました。家族葬とは、ご家族やごく親しい方のみで執り行う小規模な葬儀のことで、一般葬とは異なり参列者を大幅に限定する点が特徴です。正しく訃報連絡を行うことは、故人と関係のあった皆様への最後の礼儀でもあります。いざという時に備えて、ぜひ最後までお読みいただき参考にしてください。そのため訃報(ふほう:悲しい知らせ)を誰にどのようなタイミングで伝えるかは、家族葬を執り行う上でとても重要なポイントになります。とはいえ、「家族葬の場合、誰にどこまで知らせればいいんだろう?」と戸惑う方も多いのではないでしょうか

訃報の伝え方を誤ってしまうと「どうして知らせてくれなかったの?」と相手に思わせてしまったり、参列の有無を巡ってトラブルになったりする可能性もあります。そこで本記事では、家族葬を行う際の訃報の伝え方について、親しみやすい口調でわかりやすく解説します。幅広い方に役立つよう、基本マナーから具体的な伝え方の例文まで、順を追ってご紹介します。正しくお知らせすることは、残されたご家族と周囲の円満な関係を保つためにも大切です。訃報連絡のポイントを押さえて、いざという時に慌てないようにしましょう。

家族葬で「葬儀前に」訃報を伝えるべき人

家族葬の場合、訃報連絡は「葬儀前に知らせる相手」と「葬儀後に知らせる相手」に分けて考えることが多いです。では、まず葬儀の前に訃報を伝えておくべき人とはどのような人たちでしょうか。優先順位と考え方を押さえておきましょう。

  • ご家族(最優先): 最初に知らせるべきなのは、故人のご家族です。これは言うまでもありませんね。例えば遠方に住んでいるご親族など、すぐに駆け付けてもらいたい近親者には真っ先に連絡します。日程調整も必要になるため、できるだけ早急に電話などで連絡を入れましょう。遠方に住んでいる場合は移動や宿泊の手配もあるでしょうから、可能な限り早く伝えてあげることが大切です。
  • 親族(ご親戚): 親族への訃報連絡も早めに行います。特に3親等以内のご親戚(※3親等とは、故人から見て両親・子(1親等)、兄弟姉妹・祖父母・孫(2親等)、おじ・おば・甥・姪(3親等)までを指します)には、家族葬であっても葬儀前にお知らせするのが一般的です。家族葬は10名以下の小規模で行うケースもありますが、参列をご遠慮いただくご親戚であっても、亡くなった事実は事前に伝えておくとよいでしょう。なお、いとこ等の故人から見て四親等以上のご親戚については、無理に急いで連絡しなくても差し支えありません。落ち着いた段階で事後報告とするか、必要に応じて改めてお知らせしましょう。参列をお願いする親族には日程の都合を確認する必要があるため、やはり早めに連絡します。
  • 故人の親しい友人: 故人と特に親しかったご友人がいる場合は、家族の次に訃報を知らせます。家族葬でも、ごく親しい友人であれば参列していただくケースがありますので、参列をお願いしたい友人には日程と合わせて事前に訃報連絡をします。一方で、それ以外の友人・知人については、葬儀後の事後報告とするのが無難です。葬儀前に広く知らせてしまうと、「参列すべきかどうか」相手を悩ませてしまったり、「家族葬と聞いたけれどお別れだけでも…」と当日に弔問に訪れる方が出てきてしまう恐れがあるためです。(趣味のグループや町内会の知人なども、この「参列いただかない方」に含まれます。そうした関係者へは式後に改めてハガキ等でお知らせする形で問題ありません。)
  • 勤務先関係: 故人がお勤めだった場合は、故人の勤務先へも早めに連絡します。会社には公的手続きなどでお世話になることもありますし、同僚や上司にもきちんとお別れの機会を設けたいと考えるかもしれません。ただし家族葬で執り行う旨を伝え、会社関係者の弔問は遠慮していただきたい場合はその意向もしっかり伝えます。また、故人の家族(あなた)が会社勤めをしている場合は、あなた自身の勤務先にも早めに報告が必要です。いわゆる忌引き休暇の取得や業務引き継ぎの都合があるため、直属の上司には迅速に連絡しましょう。場合によっては、親族間で手分けして連絡することもあります。「◯◯さんには私から伝えておくね」といったように、誰がどの親戚に連絡するかを決めておけば、二重連絡を防ぐことができます。

上記のような「葬儀前に伝えるべき相手」以外の方々、たとえば遠縁の親戚やご近所の知人、仕事関係の取引先、趣味の仲間などへは、葬儀後に訃報を報告する形をとることが多いです。家族葬では参列者を限定する分、関係者全員に前もって知らせてしまうと混乱のもとになります。「声をかけてもらっていないけれど参列した方がいいのかな?」と相手を戸惑わせてしまう可能性もありますので、家族葬においては葬儀にお呼びする方以外への訃報連絡は原則として葬儀後に行うと覚えておきましょう。

家族葬の訃報で伝えるポイント

では、訃報を伝える際には具体的にどのような内容を伝えれば良いのでしょうか。家族葬の訃報連絡では、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

  • 亡くなった日時・故人の情報: 「いつ、誰が亡くなったのか」という基本情報です。故人の氏名や亡くなった日時(○月○日、△△時など)を伝えます。口頭で伝える場合は「昨日○○が亡くなりました」のように簡潔に、書面で伝える場合は「去る○月○日、○○(故人の名前)儀、永眠いたしました」などといった表現が用いられます。
  • 自分と故人との関係: 「誰からの連絡か」をはっきりと伝えます。電話であれば、まず自分の名前と故人との関係(例:「○○の長男の◇◇です」のように)を名乗ります。書面でも、差出人欄や本文で故人との続柄(長男・長女・妻・弟など)を明記すると親切です。
  • 家族葬で執り行う旨: 葬儀は**家族葬(近親者のみで執り行う)**であることを必ず伝えましょう。これを伝えておかないと、相手によっては一般的な葬儀だと思い込み「いつお通夜に行けばいいのだろう?」と戸惑ってしまうかもしれません。「故人の遺志により葬儀は家族のみで執り行います」「誠に勝手ながら葬儀は家族葬にて執り行わせていただきます」といった一言を添えるだけでも、参列をご遠慮いただく意図が伝わります。
  • 連絡先(問い合わせ先): 訃報を受け取った方が何か問い合わせたいことがあった場合に備えて、連絡先も伝えておくと安心です。電話連絡であれば「何かありましたら私(喪主)の携帯△△までご連絡ください」のように付け加えます。特に書面で通知する場合は、差出人の住所・電話番号を忘れずに書いておきましょう。
  • お世話になったことへの感謝: 生前に故人がお世話になったことへの感謝の言葉も伝えます。直接伝える場合は「生前○○がお世話になり、本当にありがとうございました」のように、書面では「故人生前中のご厚誼(こうぎ)に深謝申し上げます」といった定型表現を用いることが多いです。突然の訃報に対し、丁寧に感謝の気持ちを添えることで、相手に対して礼を尽くすことができます。
  • 葬儀の日時・場所(※参列をお願いする相手の場合): その方に葬儀への参列をお願いする場合は、お通夜・告別式の日時や式場も案内します。併せて喪主(式を執り仕切る者)の氏名と故人との関係も伝えておくと親切です。例:「喪主は長男の○○です」といった形で付記します。
  • 香典・弔問などをご辞退いただきたい場合: 家族葬では、香典や弔電、お花などのお心遣いを辞退するケースも多く見られます。その場合は、訃報連絡の段階でその旨も伝えておきましょう。特に会社関係などこちらからお願いしづらい相手には、「恐れ入りますが、ご厚志(香典・供花・弔電など)は辞退させていただきます」と先に伝えておけば、先方も対応に迷わずにすみます。
  • (事後報告の場合)遅れたことへのお詫び: 葬儀後の事後報告で訃報を知らせる際には、「本来であれば早急にお知らせすべきところ、連絡が遅くなり申し訳ありません」といったお詫びの一言も忘れずに伝えます。突然知らせを受けた相手への心遣いとして、失礼のないようにしましょう。

なお訃報を伝える際は「重ね重ね」「度重なる」など不幸の繰り返しを連想させる言葉(忌み言葉)や、「死亡」「生きていた頃」など直接的すぎる表現は避けるのがマナーです。代わりに「逝去」「永眠」などの婉曲表現を用いると良いでしょう。

また、訃報を伝えるタイミングにもマナーがあります。深夜や早朝の連絡は避け、親族以外には常識的な時間帯に連絡しましょう。親しい間柄でも電話をかける前に「今お時間よろしいでしょうか?」と一言断り、相手が落ち着いて話せる状況か確認してから本題に入る配慮も大切です。

家族葬の訃報の伝え方(相手別)

ここからは、相手別に家族葬の訃報をどのように伝えればよいかを解説します。親族・会社・ご近所・事後報告と、シーンごとの注意点や例文を見ていきましょう。

親族への訃報の伝え方

ご親族への訃報連絡は、できるだけ早めに行うのが基本です。近くに住む親族であれば直接会って伝えることもありますし、遠方の場合は電話で伝えるのが一般的です。ここでは直接伝える場合電話で伝える場合のそれぞれで注意したいポイントと例文を紹介します。

直接会って伝える場合: 可能であれば、近くに住む親族や特に親しい親族には直接お会いして訃報を伝えると丁寧です。対面で伝える際は、切り出し方に気を配りましょう。いきなり本題に入るのではなく、「お忙しいところ恐れ入ります。実は本日は悲しいお知らせで伺いました…」と前置きをしてから、本題を伝えると衝撃を和らげることができます。また、落ち着いた声のトーンでゆっくりと伝えることも大切です。例文として、以下のような伝え方ができます。

お忙しいところ恐縮ですが、本日は大変残念なお知らせがございます。実は、○○(故人の名前)が本日未明に息を引き取りました…。突然のことで申し訳ありません。

面と向かって訃報を伝える場合、上記のように切り出した後、「葬儀は家族葬で執り行う予定であること」「日程が決まり次第また連絡すること」など、必要な情報を落ち着いて伝えます。直接伝えると相手の表情や反応を見てフォローもしやすい反面、こちらも感情がこみ上げて言葉に詰まってしまうことがあります。事前に伝える内容の要点を整理し、深呼吸してから伝えるようにしましょう。

電話で伝える場合: 遠方の親族やすぐに会えないご親戚には、電話で訃報を伝えます。電話をかける時間帯にも配慮し、深夜・早朝を避けてできるだけ早めに連絡しましょう。電話口では、始めに「突然のお電話で失礼します。」と断りを入れてから名乗ります。その後、「実は○○が◯◯日に亡くなりました」と故人が亡くなった事実を伝えましょう。家族葬で執り行う場合はその旨も伝え、参列をお願いするかどうかによって案内内容を調整します。参列をお願いする親族にはお通夜・葬儀の日程や場所を追って連絡する旨を伝え、参列いただかない親族にも「家族葬で行いますので落ち着いたら改めてご報告します」などと伝えておくと良いでしょう。

例文:「電話で親族に訃報を伝える場合の例」を参考にしてみてください。

突然のお電話で申し訳ありません。私、○○(故人)の長女の△△と申します。実は、父の○○が本日未明に永眠いたしました。葬儀は近親者のみで執り行う予定です。取り急ぎご連絡までと思い、お電話いたしました。

電話では上記のように、誰の何(続柄)であるかを名乗り、亡くなった事実と簡単な状況を伝えます。「取り急ぎご連絡まで」という一言を添えると、詳細はまた追って連絡する意図が伝わります。後日改めて葬儀の日程などを電話する際も、「先日お伝えした○○の葬儀の件ですが…」と切り出して詳細を案内しましょう

勤務先への訃報の伝え方

故人やご家族の勤務先への連絡も、適切な方法で行う必要があります。会社関係への訃報連絡は、プライベートな内容とはいえビジネスマナーを意識した伝え方を心掛けましょう。また、会社側で社内向けに訃報を回覧・通知することもあります。家族葬である旨や香典辞退の意向などは、可能であれば社内周知の際にも伝えてもらえるよう依頼しておくと安心です。ここでは、故人の勤務先に連絡する場合あなた自身(遺族)の勤務先に報告する場合に分けてポイントを説明します

故人の勤務先へ連絡する場合: 故人が生前お勤めだった会社へは、できるだけ早めに連絡を入れます。まずは故人がお世話になった直属の上司や同僚など、会社の中で信頼できる連絡先に電話しましょう。電話口ではビジネス上の礼儀として「いつもお世話になっております。○○の妻(夫)です。」と名乗り、故人が亡くなったことを伝えます。家族葬で執り行う場合はその旨をはっきり伝え、会社としての弔問や供花などはご遠慮したい意向があれば合わせてお伝えします。具体的には、「恐れ入りますが、故人の遺志により近親者のみで葬儀を行います。なお、ご弔問やご厚志(香典・供花など)も辞退させていただきたく存じます。」といった形で伝えると良いでしょう。最後に、窓口となる喪主(あなた)の氏名と連絡先も伝えておけば、会社からの問い合わせにもスムーズに対応できます。

例文:勤務先(故人の会社)への電話連絡例

(電話口で)いつもお世話になっております。○○の妻の△△でございます。主人の○○が今朝方永眠いたしました。葬儀は故人の遺志により、近親者のみで執り行う予定でございます。誠に勝手ながら、会社の皆様からの弔問や香典・お花等は辞退させていただきたく存じます。後日改めて書面でもご連絡差し上げますが、まずは取り急ぎお電話にてお知らせいたしました。私△△が喪主を務めますので、何かございましたらこちらの番号(090-XXXX-XXXX)までご連絡ください。

上記のように伝えることで会社側も「参列や香典は遠慮したほうが良いのだな」と理解してくれます。故人の勤務先への連絡は、電話で口頭にて伝えた後、必要に応じてメールや書面(社宛の通知状)で改めて詳しい情報を送る場合もあります。

自分の勤務先へ報告する場合: 故人のご家族であるあなた自身が勤め人であれば、ご自身の勤務先にも早急に訃報を報告しましょう。特に両親や配偶者などが亡くなった場合は忌引き休暇を取得することになります。まずは直属の上司に電話やメールで連絡し、休暇取得の了承を得ましょう。連絡の際は、「突然のご連絡で恐縮ですが…」と切り出し、誰が亡くなったかを伝えます。続けて、「申し訳ありませんが○日から○日までお休みをいただけますでしょうか」と、必要な休暇日数を相談します。上司の了承を得たら、最後に「ご迷惑をおかけし申し訳ありません。葬儀は家族のみで執り行います。また、恐縮ですが香典や供花等は辞退させていただきます。」と伝えておくと良いでしょう。社内で香典を集めたり、有志で参列しようとする動きを事前に防ぐことができます。

例えば、朝職場に電話を入れる場合の例文は次の通りです。

(電話にて)おはようございます。○○部の△△です。朝早くに突然の連絡で恐縮ですが、実は昨夜、父が亡くなりまして葬儀を執り行うことになりました。大変勝手ながら、本日から3日間ほど忌引きをいただきたいと思っておりますが、よろしいでしょうか…。
(上司の了承を得た後)ありがとうございます。急なことでご迷惑をおかけし申し訳ありません。また葬儀は近親者のみの家族葬にて執り行います。恐れ入りますが、弔問・香典・供花・供物・弔電に関しましても、故人の遺志により辞退させていただきます。何かございましたら携帯にご連絡いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

上記のように、勤務先への報告では会社への配慮を示しつつ、必要なお願い(休暇取得など)をはっきりと伝えます。メールで連絡する場合も同様の内容を盛り込み、件名に「【訃報】○○の逝去につき休暇のお知らせ」などとつけて送るとよいでしょう。また、同僚などにも休暇取得の理由を共有しておくと、上司から周知してもらえます。「私事で恐縮ですが、この度○○(続柄)が逝去いたしました。○日〜○日まで忌引休暇をいただきます。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いいたします。」といった簡潔なメールを同僚宛に送っておいても良いでしょう。

近所の方々への訃報の伝え方

家族葬とはいえ、身近なご近所の方々にも訃報は伝えておいたほうが良いでしょう。特に自宅でお通夜を行ったり、葬儀の日に喪服を着た人の出入りがある場合、何も知らされていないと近所の方が驚いてしまうかもしれません。突然の訃報に近隣の方が戸惑わないよう、さりげなくでも事前に一報入れておくと安心です。円滑な近所づきあいのためにも、最低限の訃報連絡はしておくことをおすすめします。一方、マンション住まいなど地域のつながりが薄い場合は、管理人さんや両隣の方に簡単に伝えておく程度でも構いません。最低限の連絡があれば、「なにかあったのかな?」とご近所に不安を与えずに済むでしょう。

近隣住民や町内会への伝え方: 近所への訃報連絡は、できれば家族葬の前に直接伝えておくと良いでしょう。方法としては、町内会や自治会がある地域であれば、班長さんや自治会長さんに電話を入れて回覧板で通知してもらう方法がスムーズです。回覧板とは、自治会から各家庭に回してもらう連絡板のことで、そこに訃報を載せてもらえば近隣への周知が一度にできます。回覧板に訃報を載せる場合、自分で町内会に依頼の電話をします。その際の伝え方は、「○○町内会長の△△様でしょうか。○○町××に住む◇◇と申します。実は、私の父○○が◯月◯日に亡くなりまして…」というように切り出します。そして「葬儀は故人の遺志で家族葬にて執り行いますので、ご近所の皆様にはお気持ちだけありがたく頂戴いたしました」などと付け加え、近隣へのお礼と家族葬で行う旨を伝えましょう。最後に「つきましては、町内会の回覧板で一報いただけますと助かります」とお願いすれば、町内会側で文面をまとめてくれることもあります。

また特に親しくしていたご近所さん(隣家など)には個別にお知らせすると丁寧です。直接お宅を訪ね、「突然のご訪問失礼します。お隣の△△です。実は◯月◯日に主人の○○が亡くなりまして…」といった形で訃報を伝えます。この場合も、「葬儀は家族のみで執り行いますので、ご弔問はご遠慮いただいております」と、過度なお心遣いは無用であることをさりげなく伝えておくとよいでしょう。

ご近所への訃報は、あくまで「お知らせ」として簡潔に伝えるのがポイントです。悲しみの気持ちを長々と伝える必要はありませんし、逆にあまりに事務的すぎても冷たい印象になってしまいます。感謝の気持ちを込めつつ、簡単に伝える例文を挙げてみます。

例文:近所の方へ訃報を伝える場合

(町内会長への電話にて)突然のお電話、失礼いたします。○○町◯丁目に住んでおります△△と申します。実は先日、父の○○が亡くなりまして、葬儀は◯月◯日に家族葬という形で執り行う予定です。ご近所の皆様には生前大変お世話になりましたので、一言お知らせとお礼を申し上げたくご連絡いたしました。誠に勝手ながら、家族葬につきご弔問は辞退させていただきますが、よろしくお願いいたします。

上記のように伝えれば、近所の方々にも「家族葬なので参列は遠慮すべきなのだな」と意図が伝わります。特に回覧板で伝えてもらう場合は、町内会長などから簡潔に「◯◯さんが亡くなられました。ご葬儀はご家族のみで執り行われます」といった文言で回覧されるでしょう。事後になって「ご近所なのに何も聞いていなかった」と思われないよう、最低限の共有はしておくことが大切です。

事後報告の場合の伝え方

家族葬では、参列をお願いしなかった方々へは事後報告という形で訃報を伝えることになります。では、葬儀が終わった後に訃報を報告する際、どのような点に気をつければ良いでしょうか。

家族葬後に報告する際のポイント: 葬儀後に訃報を伝える場合は、できるだけ早めに行うことがマナーです。一般的には葬儀後3日〜初七日(七日忌)までの間に、関係者へお知らせします。あまり報告が遅くなると、相手が他の経路で噂を聞いてしまい「知らなかった」と驚かせてしまうかもしれません。事後報告では伝える内容として、「いつ誰が亡くなったか」「家族葬で執り行ったこと」「連絡が遅れたお詫び」「生前のお礼」が基本です。これらを盛り込んだ上で、弔問や香典を辞退したい場合はその旨も書き添えます。なお、故人と特に親しかった方(恩人や親友など)には、ハガキの一斉送付だけでなく、できれば個別に電話や訪問で直接お知らせすると丁寧です。大切な方を亡くしたことをきちんと自分の言葉で伝えることで、相手も故人とのお別れの気持ちを整理しやすくなるでしょう。

事後報告の手段として一般的なのは**書面(手紙やハガキ)**です。特にご年配の方や正式なお付き合いのある方には、ハガキでお知らせするのが丁寧でしょう。文面はやや改まった書式になりますが、以下のような例があります。

例文:事後報告のハガキ文例

去る◯月◯日、○○(故人の名前)儀、天寿を全うし享年◯◯歳にて永眠いたしました。ここに生前中のご厚誼を深謝し謹んでご通知申し上げます。なお、葬儀につきましては故人の遺志により家族葬にて相済ませました。本来であれば早速お知らせ申し上げるべきところでございましたが、ご連絡が遅れましたことをお許しください。誠に勝手ながら、ご弔問・ご香典・ご供花の儀もご辞退申し上げます。まずは書中をもちましてご報告かたがたご挨拶申し上げます。

やや格式ばった表現ですが、一般的に訃報を知らせる手紙やハガキではこのような文例が用いられます。「儀(ぎ)」というのは敬称の一種で、故人の名前に付けて丁寧に表現するものです。また、最後の「書中をもってご挨拶申し上げます」は手紙でお知らせするときの決まり文句です。ポイントは、亡くなった事実と家族葬で執り行った旨、遅れたお詫びをしっかり伝えること。そして、辞退したいこと(弔問等)があれば明記することです。また、郵送するハガキにも、特に親しかった相手には「○○さんには◯◯も大変お世話になりました。心より感謝申し上げます」など、一言でも手書きのメッセージを添えると気持ちが伝わるでしょう。

最近では、親しい友人や仲間に向けてはSNSで訃報を報告するケースも見られます。たとえばFacebookやLINEのグループ投稿などで、「◯月◯日に◯◯が永眠いたしました。生前のご厚情に心より感謝申し上げます。葬儀は故人の希望により家族のみで執り行いましたことをご報告いたします。」といった内容を投稿することがあります。

例えばFacebookでお知らせする場合、以下のような投稿例が考えられます。

先日○○(故人の名前)が永眠いたしました。葬儀は故人の遺志により近親者のみで執り行いましたことをご報告いたします。生前賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます。

このように投稿することで、広く友人知人に訃報を伝えることができます。ただしSNSの場合、受け取る方にコメントの負担をかけないよう「まずはご報告まで」などと結び、静かに見守っていただける雰囲気を作る配慮も大切です。

SNSで伝える場合も、公の場での報告となりますので、できるだけ丁寧な言葉遣いを心がけましょう。絵文字や過度なプライベート感のある表現は避け、読む人への配慮を忘れないことが大切です。また、SNSの場合は一度に多くの人に伝えられる反面、受け手がコメントを書かなければと気を遣うこともあります。「ご連絡まで」などと結び、コメントやリアクションは無理にしなくても良い雰囲気の文面にする配慮もよいでしょう。

いずれの手段にせよ、事後報告では**「知らせなかった相手への心配り」**が重要です。「お呼びできず申し訳ありませんでした」「遅くなってしまい恐縮です」といった一言を添えるだけでも、相手の受ける印象は違います。中には「知らせてほしかった」と残念がる方がいるかもしれません。その場合は丁寧にお詫びし、家族葬であった事情を真摯に説明しましょう。大切な方をお送りした後で忙しい時期かとは思いますが、お世話になった方々へ感謝を込めて丁寧に報告しましょう。

家族葬の訃報を伝える手段と例文(相手別)

最後に、家族葬の訃報を伝える際の具体的な例文集を、相手別にご紹介します。電話で伝える場合、メール(書面)で伝える場合、直接口頭で伝える場合のそれぞれについて、シチュエーション別に例を挙げます。実際に伝えるときの参考にしてください。

親族への訃報を伝える例文

  • 電話で伝える場合:

    「突然のお電話で失礼します。こちら○○(故人名)の長男、△△です。実は父○○が本日未明に永眠いたしました。葬儀は家族葬で執り行う予定です。お通夜・告別式の詳細は追ってご連絡いたしますので、取り急ぎご報告まで失礼いたしました。」

  • メール(手紙)で伝える場合:

    件名:訃報(○○ 逝去のお知らせ)
    差出人:△△(故人○○の長女)
    本文:
    「○○(故人の名前)の長女△△です。突然のご連絡となりましたことをお許しください。実は、父○○が◯月◯日に永眠いたしました。葬儀は近親者のみで執り行い、既に無事に済ませましたことをご報告申し上げます。本来であれば直接お知らせすべきところ、メールでのご連絡となりました非礼をお詫びいたします。○○様(相手のお名前)には生前父がお世話になり心より感謝しております。略儀ながらまずはメールにてご報告申し上げます。」

  • 直接会って伝える場合:

    「お忙しいところ申し訳ありません。実は今日は大事なお知らせがあり伺いました。先日○○(故人)が亡くなりまして、葬儀は家族のみで行いました。急なことでご連絡が後になってしまい申し訳ありません。◯◯さん(相手)には生前◯◯がお世話になりましたので、一言お伝えしたく思いまして…。」

勤務先への訃報を伝える例文

  • 電話で伝える場合(故人の会社宛):

    「いつもお世話になっております。私、○○の次男の△△と申します。実は父○○が昨日逝去いたしました。葬儀は家族葬にて執り行う予定でございます。突然のご連絡で恐縮ですが、まずはお知らせまで失礼いたしました。今後のことにつきましては改めてご相談させてください。よろしくお願いいたします。」

  • メールで伝える場合(自分の職場宛):

    件名:【訃報】忌引休暇取得のお知らせ(△△)
    本文:
    「お疲れ様です。○○部の△△です。私事で大変恐縮ですが、この度母◯◯が逝去いたしました。葬儀は家族葬にて執り行いますため、◯月◯日から◯日間、忌引休暇をいただきたく存じます。急な休暇取得となり申し訳ございませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。復帰は◯月◯日を予定しております。不在中の連絡はメールにてお願いいたします。」

  • 口頭で伝える場合(職場にて上司に報告):

    「部長、少しお時間よろしいでしょうか。実は私の祖母が今朝方亡くなりまして、葬儀に参列するため明日から2日間お休みをいただきたいのですが…(了承を得た後)ありがとうございます。ご迷惑をおかけして申し訳ありません。葬儀は親族のみで行いますので、お気遣いは無用です。何かございましたら携帯にご連絡いただければと思います。」

近所の方への訃報を伝える例文

  • 電話で伝える場合(町内会など):

    「もしもし、◯◯町内会の△△さんでしょうか。突然のお電話失礼いたします。◯◯町×丁目の□□と申します。実は、一昨日に父の○○が他界いたしまして…。葬儀は家族葬で済ませましたので、ご近所の皆様へのお知らせとしてご連絡差し上げました。お忙しいところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。」

  • メールで伝える場合(近隣への簡易連絡):

    「いつもお世話になっております。◯◯です。急なご連絡で恐縮ですが、◯◯さん(故人)が◯月◯日に永眠いたしました。葬儀は親族のみで執り行いましたので、ご報告が遅れましたことお許しください。生前はご近所付き合いで大変お世話になり、心より感謝申し上げます。略儀ながらメールにて失礼いたします。」

  • 口頭で伝える場合(近所の方に直接):

    「◯◯さん(ご近所のお名前)、突然ですが少しよろしいでしょうか…。実は、先週主人の○○が亡くなりまして、葬儀は近親者だけで執り行いました。ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。生前はいろいろと良くしていただき本当にありがとうございました。」

事後報告(葬儀後)の訃報連絡例文

  • 電話で伝える場合:

    「突然のお電話で失礼します。私、○○(故人)の弟の△△と申します。実は兄の○○が◯月◯日に永眠いたしました。お知らせが遅くなり大変申し訳ありません。葬儀は家族のみで◯日に執り行いました。◯◯様には生前兄がお世話になりましたので、ご連絡させていただいた次第です。本当にありがとうございました。」

  • メール(手紙)で伝える場合:

    「◯◯様
    突然のご連絡失礼いたします。◯◯(故人)の友人の△△と申します。先日◯◯が永眠いたしましたことをご報告申し上げます。葬儀は家族葬にて執り行い、既に滞りなく済んでおります。生前のご厚情に心より感謝いたしますとともに、急なご報告となりました非礼をお許しください。まずは書中(メール)にて失礼いたします。」

  • 直接伝える場合(対面で事後報告):

    「ご無沙汰しております。今日はお知らせがあり参りました。実は◯◯が先月亡くなりまして、家族葬で葬儀を執り行いました。ご連絡が遅くなってしまい申し訳ありません。◯◯さん(相手)にはきっと驚かせてしまったことと思います。生前は◯◯も大変お世話になりました。本当にありがとうございました。」

以上、家族葬における訃報の伝え方について、ポイントと具体例をご紹介しました。家族葬では参列者を限定しているため、訃報の連絡にも工夫が必要ですが、基本的なマナーと心遣いを押さえておけば大丈夫です。大切なのは、「正しい情報を丁寧に伝えること」と「感謝と配慮の気持ちを忘れないこと」。訃報連絡は精神的につらい作業でもありますが、誠意をもって対応すれば相手もきっと理解してくれるはずです。故人がお世話になった方々への感謝の気持ちを忘れずに、円滑な連絡を心がけましょう。

まとめ

  • 訃報連絡は葬儀前と葬儀後の2段階で: 家族葬では参列いただかない方への訃報は基本的に葬儀後に事後報告として伝えます。全員に一度に知らせようとせず、時期を分けて連絡しましょう。
  • 参列しない方には日時・会場は知らせない: 家族葬でお呼びしない方に葬儀の日時や場所を伝えてしまうと、先方が混乱したり気を遣って参列を検討してしまう恐れがあります。早めに知らせたい会社関係の方などにも、家族葬で行う旨と弔問辞退の意向のみを伝え、式の詳細は伏せる配慮をしましょう。(香典や供花も辞退する場合はその旨も添えて伝えます。)
  • 感謝とお詫びの気持ちも添える: 訃報連絡では、故人がお世話になったことへの感謝や、家族葬にしたこと・連絡が遅れたことへのお詫びも忘れずに伝えます。書面でも口頭でも「生前賜りましたご厚誼に深くお礼申し上げます」「誠に勝手ながら葬儀は親族のみで執り行いました」など、丁寧なひと言を添えるようにしましょう。(後日「知らなかった」と言われてしまった場合も、丁寧にお詫びして事情をご説明ください。)
  • 必ず家族葬であることを明示する: 「故人の遺志により、葬儀は近親者のみで執り行います」等、家族葬で行う旨をはっきり伝えて誤解を防ぎます。特に直接参列をお願いしない場合は、相手に参列辞退の意図がきちんと伝わるようにしましょう。
  • 連絡漏れ・伝達ミスを防ぐ工夫を: 連絡すべき相手のリストアップ、電話で伝える内容のメモ作成、親族間での連絡役の分担などを行うとスムーズです。また、電話する際は相手の状況に配慮し、落ち着いて話せる状態か確認してから本題に入りましょう。メールやハガキの文面は誤字脱字がないかよく確認し、敬称や名前の間違いにも注意が必要です。また、電話がなかなか繋がらない場合は、無理に何度もかけずメール等で一報入れておくと良いでしょう。