「あり」とは?意味は?使い方は?大河ドラマや古語・古典を詳しく現代風に解説

「あり」とは?意味は?使い方は?大河ドラマや古語・古典を詳しく現代風に解説

「あり」という言葉は、古典においては主に存在や状態の継続を表す動詞として用いられていました。「ある」の連体形や終止形として機能し、人や物がこの世に存在している状態や、そのままの形でとどまっている様子を示していました。語源的には、上代から「アリ」として成立しており、存在や生存、時間の経過に伴う変化の中で「そこにとどまっていること」を含意していました。一方、近世以降の口語では、単に「存在している」という意味にとどまらず、事象や感情の有無を含めて広く用いられ、時代劇や大河ドラマなどでは「さようなこともあり申す」など、丁寧語や謙譲語と結びつけて使われる場面が多くなります。現代ではこの「あり」が「あります」のくだけた形と誤解されることが多く、ビジネス場面で不用意に使うと、稚拙な印象を与えかねません。また、古典的な文脈での「あり」は「生きている」「存在している」など命の有無に関わる用法もあり、単なる現在形の動詞とは明確に異なります。このように「あり」は、時代や文脈によって使い方や含意が異なるため、場面に応じた適切な使い分けが必要です。特に時代劇では、「ありなん」「候」などの語と連動し、格式や時代背景を表す語として重宝されます。誤って現代口語と混同すると、伝わり方に大きな差が生じるため注意が必要です。

一言で言うと?

  • 存在することを意味する(To exist)
  • 状態や事象が起きていることを示す(To occur)
  • 生存や継続的な在り方を含意する(To be alive or remain)

「あり」の一般的な使い方と英語で言うと

  • 本日予定されていた社内会議は急遽キャンセルとなり、次回の日程調整が必要となっております。
    (Our internal meeting scheduled for today has been canceled, and a rescheduling is now required.)
  • 現在のシステムには一部不具合があり、関係部署で対応を進めております。
    (There are some issues with the current system, and the relevant departments are working on them.)
  • 先週末に発生したトラブルについては、既に原因が判明しており対策も講じております。
    (The trouble that occurred last weekend has already been identified and countermeasures have been implemented.)
  • 先方との契約内容に不明点がありましたので、再確認の上ご連絡差し上げております。
    (There were unclear points in the contract with the other party, so we are confirming and will get back to you.)
  • 本件に関しては既に多くの質問があり、回答内容を文書でまとめております。
    (There have already been many questions regarding this matter, and we are compiling the answers in writing.)

似ている表現と失礼がない言い回し

  • 存在する → ご用意がございます
  • ある → 保有しております
  • おります → ございます
  • 見受けられる → 確認されております
  • 見られる → 判明しております

性格や人格として言われた場合は?

性格や人柄について「あり」と使われた場合、主に「存在感がある」「芯がある」「しっかりしている」などの意味で使われることが多くなります。また「独自性がある」や「人として成立している」といった評価も含まれる場合があります。反対に、「中身がない」や「形だけ」といった否定的な意味で「ありきたり」や「ありえない」と形を変えて使われることもあり、使い方によっては相手に誤解を与える恐れもあります。文脈や語調に注意が必要です。

「あり」のビジネスで使用する場面の例文と英語

  • 本契約には特別条項があり、確認をいただいた上で進める必要がございます。
    (This contract contains special clauses, which require your confirmation before proceeding.)
  • 今後の展開については複数の選択肢があり、慎重な判断が求められております。
    (There are several options for future development, requiring careful consideration.)
  • 今回の案件には例外的な取り扱いがあり、関係各所と調整を図っております。
    (This case involves exceptional handling, and coordination is underway with the relevant departments.)
  • お申し出内容に誤解がありましたので、再度内容を整理させていただきました。
    (There was a misunderstanding in your request, so we have reorganized the content accordingly.)
  • この件には既存の規定にない取り決めがあり、特別に対応しております。
    (This matter includes arrangements not found in the existing rules, and we are handling it specially.)

「あり」は目上の方にそのまま使ってよい?

「あり」という語は非常に基本的な動詞でありながら、文体によって丁寧さや敬意が大きく異なります。目上の方や取引先に対して単独で「ありました」「あり得ます」などと述べると、ややカジュアルに聞こえることがあります。特に口語の「あり」は、敬語において省略されすぎている印象を与えやすいため、丁寧語や謙譲語に置き換えることが望ましいとされます。相手に対する配慮を明確に示すためには、「ございます」「確認されております」「拝見いたしました」など、相応しい言い換えを選ぶことが重要です。

  • 単独で「ありました」は避け、「ございました」に言い換える
  • 「ありますか?」は「おありでしょうか?」に調整する
  • 目上に対しては「ご確認がございます」などの形にする
  • 敬語が不足していると感じたら「存じております」など補完語を加える
  • 「ある」を動詞化せず、名詞化(存在・用意など)して丁寧語に置き換える

「あり」の失礼がない言い換え

  • 本日は誤解が生じていた部分がございましたので、改めて正確な情報をお伝えいたします。
  • 現段階では正式な確認は取れておりませんが、可能性としては十分に考えられます。
  • お申し出の件については既に弊社内で共有が完了しており、担当部門より改めてご連絡いたします。
  • ご提示いただいた内容には特別なご意向が含まれているように感じられましたので、丁寧に対応いたします。
  • 先般の案件につきましては、例外的な事情が判明しておりますので、特別対応を検討中でございます。

「あり」に注意すべき場面や使用を避けるべき状況

「あり」は日常的に広く使われる語ですが、相手との関係性や文脈を誤ると、雑な印象や不敬を与える可能性があります。特に書き言葉での使用において、「あります」「ありました」などの形式を使う際は、尊敬語や謙譲語への置き換えを怠ると、意図に反して相手に不快感を与えることがあります。また、「あり得ない」「ありきたり」など否定や軽視を伴う形でも使われるため、内容によっては強い否定や皮肉として伝わる危険性もあります。業務連絡や報告文などで使用する場合は、文全体の調子に合わせて丁寧語に変換し、誤解のない形で使用する必要があります。

  • 感情表現と結びついた「あり得ない」は否定的に受け取られる
  • 「ありました」だけでは丁寧さが不足する場合がある
  • 取引先には「ございます」「確認されました」などの形が望ましい
  • 書面では平仮名の連続が視認性を下げ、印象が軽くなる
  • 命令形や断定口調での使用は避け、婉曲表現を用いる

「あり」のまとめ・注意点

「あり」という言葉は非常に基本的な語でありながら、使用する時代、文脈、相手の立場によって意味や印象が大きく変化する特徴を持っています。古典では「存在すること」「生きていること」など、人や物の根本的な在り方を示していましたが、近世以降では、事象や状態の有無を表す語へと転じ、さらに現代においては口語的でくだけた語感を持つ表現にもなっています。こうした変遷の中で、正しく丁寧に使うためには、相手に対する敬意や状況の把握が欠かせません。また、「あり得ない」「ありきたり」など、ネガティブな含意を持つ派生語にも注意が必要であり、安易に使うと相手の感情を損ねる恐れがあります。特にビジネスの場では、「ございます」「存じております」などの丁寧語への言い換えが基本であり、「ありました」「あります」の使用は慎重に判断する必要があります。日常的な言葉であるがゆえに、細部にわたる配慮が求められる語です。

古語とは何か

古語とは、昔の時代に使われていた言葉のことで、現代ではほとんど使われなくなった語句を指します。たとえば『いとをかし』『あはれなり』『あいなし』などのように、今の会話では聞かれない表現がそれにあたります。これらは平安時代や鎌倉時代の文章、特に『源氏物語』や『徒然草』といった古典文学の中で使われており、その時代の人々の感情や考え方を知る手がかりとなるものです。現代でも古典の授業や伝統文化を学ぶ際に使われますが、日常生活ではほとんど用いられません。

古語の特徴

古語には、今とはまったく違う語順や助動詞の使い方があることが特徴です。また、一つの言葉に複数の意味があることも多く、文脈によって意味が変わることもあります。たとえば『あはれ』は、感動・悲しみ・愛しさなど、いくつもの感情を含んだ言葉であり、現代語にそのまま訳すことが難しいものです。そのため、古語を学ぶ際には、単に意味を覚えるのではなく、その背景にある文化や当時の生活まで理解することが求められます。

古語の他の言い方

古語にはいくつかの別の言い方があり、場面によって使い分けることができます。たとえば『旧語』という表現は、古語と同じように過去に使われていた言葉を意味しますが、より学術的・記録的な印象を与えます。また『古典語』という言い方もあり、これは特に古典文学の中で使われる言葉に限定して用いられることが多いです。さらに『昔言葉』という呼び方はややくだけた言い回しで、会話の中で親しみをこめて使われることがあります。いずれも内容としては似ていますが、使う相手や文脈によって選び分けることが大切です。

現代での使われ方

古語は学校の授業や古典文学の研究だけでなく、舞台演劇や時代劇の脚本、伝統芸能のせりふ、あるいは文学作品の中でも使われることがあります。特に歌舞伎や能などの世界では、今でも古語がそのまま使われており、当時の雰囲気や世界観を再現するための大切な要素となっています。一般の人にとっては難しく感じるかもしれませんが、意味を知れば知るほど、昔の人の感じ方や考え方に触れることができるため、学ぶ価値の高い分野と言えます。