「行き掛けの駄賃」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「行き掛けの駄賃」とは、もともとは旅の途中でついでに他の仕事をして、その報酬も得るという意味から来ています。「行き掛け」とは「行く途中」、「駄賃」とは荷物を運ぶ際の報酬を指す言葉です。つまり、「目的地に向かう途中で、ついでに何かを行い、その対価を得ること」を表します。現代では「ついでに何かをする」「元々の目的に加えて、さらに何かを達成する」というような場面で広く使われています。
たとえば、ある場所に出かけるついでに用事を済ませたり、ある行動の延長で別の成果を得たりする時に用いられます。この表現には、計画性よりも「どうせそこへ行くならこれもやっておこう」といった軽い判断が含まれています。
英語で直訳に近い表現は難しいですが、「While I’m at it」や「As a side benefit」などが状況によっては適していることもあります。また、「Kill two birds with one stone(1つの行動で2つの目的を果たす)」とも意味が重なる部分がありますが、微妙にニュアンスが異なります。「行き掛けの駄賃」は、目的外のことをついでに行うという自然な流れを表しており、「効率よく何かを片づける」という意図が必ずしも強くないのが特徴です。
「行き掛けの駄賃」の一般的な例文と英語で言うと
- 近所のスーパーに行くついでに、郵便局で荷物も出しておいた。
(While I was heading to the supermarket, I dropped off a package at the post office as well.) - 東京出張のついでに、昔の友人にも会ってきた。
(During my business trip to Tokyo, I also visited an old friend.) - 散歩のついでに近くの公園の清掃も手伝った。
(While going for a walk, I helped clean up the nearby park.) - 会議に向かう途中で、取引先に書類を届けた。
(On my way to the meeting, I dropped off documents at a client’s office.) - 本屋に行ったついでに、駅の構内でパンも買って帰った。
(When I went to the bookstore, I also bought some bread at the station.)
似ている言い回し
- ついでに
- 一石二鳥
- 折を見て
- 片手間に
- 思い立ったが吉日
「行き掛けの駄賃」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスの場面では、特に移動や訪問が多い職種において、「本来の目的の他に、ついでに別の業務も済ませる」という形で用いられます。時間の有効活用、効率的な業務進行をさりげなく示すことができる便利な表現です。
- 本社訪問の際、行き掛けの駄賃で支店にも顔を出しておきました。
(While visiting the head office, I also dropped by the branch office.) - クライアント先に伺う途中で、関連会社にも書類を届けました。
(On my way to the client’s office, I delivered documents to the affiliate company.) - 展示会の帰りに、別件の商談もこなしてきました。
(On the way back from the trade show, I also managed another business negotiation.) - 大阪出張のついでに、関西の営業所にも立ち寄りました。
(While on a business trip to Osaka, I stopped by our Kansai office.) - 会議の合間に、営業部にも現状報告を行いました。
(Between meetings, I also provided the sales department with a status update.)
「行き掛けの駄賃」は目上の方にそのまま使ってよい?
「行き掛けの駄賃」は日常的でややカジュアルな印象を持つ言葉です。そのため、目上の方や取引先とのやりとりでは注意が必要です。この表現には「ついでにやっておいた」という軽いニュアンスが含まれるため、敬意や丁寧さを重視すべき相手にはふさわしくありません。特にビジネス文書や改まった口頭の場面では、別の丁寧な言い方に言い換えるのが無難です。
また、「駄賃」という言葉に多少古風で雑な響きがあるため、相手によっては不快に感じられる可能性もあります。真摯さを求められるやりとりにおいては、目的を明確に伝え、丁寧な文にまとめることが大切です。
- 軽んじた印象を与える可能性がある
- 丁寧さを求めるやり取りには不向き
- 文書での使用は避けるのが無難
- 相手に配慮した言葉選びが必要
- 古い言い回しとして伝わりづらい可能性がある
目上や取引先に適した言い換え
- 取引先への訪問の折、併せてこちらの件も確認いたしましたので、ご報告いたします。
- 出張の機会を利用し、合わせて〇〇部にもお立ち寄りさせていただきました。
- 本日伺った際に、併せてこちらの資料も提出させていただきましたことをご報告申し上げます。
- お打ち合わせの前後で、別の案件についても進捗を確認してまいりました。
- ご依頼いただいた内容と併せて、他の案件も整理いたしましたので、添付資料にてご確認いただければ幸いです。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
目上の方や取引先へのメールで「行き掛けの駄賃」のような内容を含む場合は、書き出しと締めの挨拶も丁寧で誠意を感じさせる内容にすることが重要です。相手への敬意と感謝を伝える文面が、内容全体の印象を和らげてくれます。
書き出しをそのまま使用
- いつも格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。
- 平素より大変お世話になっております。改めて感謝申し上げます。
- 先日はお忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。
- 日頃よりご厚意を賜りまして、深く感謝申し上げます。
- いつも弊社業務にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
締めの挨拶をそのまま使用
- 今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
- ご不明な点などございましたら、何なりとお申し付けくださいませ。
- 引き続き、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 季節の変わり目ですので、どうぞご自愛くださいませ。
- 今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「行き掛けの駄賃」という表現は、便利な一方で、使う相手や場面を間違えると、思わぬ誤解を招く可能性があります。特に業務連絡や文書においては、軽々しさを感じさせる場合があります。取引先や上司などに対して使うと、誠意が伝わらない、あるいは「ついでに済ませた」=重要性が低いと受け取られることがあります。
以下のような場面では特に注意が必要です。
- 正式な報告書や提案書など文書での使用
- 初対面やあまり親しくない目上の方への報告
- 丁寧な言い回しが求められるメール文
- 感謝や謝罪を含む重要な連絡事項内での使用
- 業務の優先順位を明確に伝える必要がある状況
細心の注意払った言い方
- ご依頼いただいた業務に加え、関連する内容につきましても確認いたしましたので、併せてご報告申し上げます。
- 本日訪問させていただいた際に、追加で必要とされていた資料もお持ちいたしました。
- ご挨拶の機会をいただきましたので、その折に別件の進捗も確認させていただきました。
- 今回の業務に関しましては、ご指示内容のほかに関連事項についても整理を進めております。
- ご訪問の際に、併せて別件の資料も提出させていただきましたので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
「行き掛けの駄賃」のまとめ・注意点
「行き掛けの駄賃」という言い回しは、日本語独特の風情を感じさせる便利な言葉です。何かの目的のついでに別のこともしてしまうという、日常的な行動の一部を表すこの慣用句は、使いどころを間違えなければ非常に自然で便利な言葉です。
しかしながら、ビジネスの現場や丁寧なやりとりを要する相手には、そのままの使用は適していない場合があります。「ついでにやった」という印象を与えることによって、相手に誠実さや真剣さが伝わりにくくなってしまうからです。また、「駄賃」という言葉自体がやや古く、場合によっては意味が伝わりにくいこともあります。
ビジネスメールなどでは、言い換えや丁寧な表現を活用しながら、内容が「ついで」であることよりも「計画的に進めている」ように伝える工夫が大切です。丁寧さを保ちつつも、効率よく行動しているという印象を持ってもらえるような言い回しを心がけましょう。相手との信頼関係を築く上でも、言葉選びには細心の注意が必要です。

