「風上にも置けない」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「風上にも置けない」とは、慣用句の一つで、人の行いや性格があまりにも不道徳、下品、不誠実であって、尊敬するに値しない、そばにいることすら嫌だという強い否定の気持ちを含む表現です。語源としては、風上は風の上流、つまり清潔な空気の流れに当たる場所を意味し、その場に「置けない」とは、そこにいてほしくないほど不潔、あるいは忌み嫌われるという意味に通じます。
つまり、「風上にも置けない」と言われる人物は、信用できず、品性が劣っていると判断された相手であり、その人の近くにいることすら不快に感じるレベルであるという、非常に強い嫌悪や批判を含んだ言い方になります。元々は道徳的・倫理的に許されないような行動を取った人に対して使われてきましたが、現代では裏切り行為、嘘、自己中心的な態度、不潔な振る舞いなど、道徳や常識に反する行いすべてに対して広く使われることがあります。
英語で完全に同じニュアンスの言い方はありませんが、近い意味としては以下のような表現が使われます。
- He’s beneath contempt.(軽蔑にすら値しない)
- He’s not fit to be around.(一緒にいたくもない人間だ)
- He’s morally reprehensible.(道徳的に非難されるべきだ)
- I wouldn’t want to be anywhere near him.(近づきたくもない)
- He’s the kind of person you can’t trust or respect.(信頼も尊敬もできないタイプの人だ)
いずれも「風上にも置けない」の持つ嫌悪感、拒絶感を意識した英語ですが、やや文学的で感情的な響きがあるため、日常会話ではもう少しやわらかい表現に言い換える必要があります。
「風上にも置けない」の一般的な使い方と英語で言うと
- 彼は平気で他人の成果を自分の手柄のように言うような男で、本当に風上にも置けない人間だと思う。
(He shamelessly takes credit for others’ work. Honestly, he’s not fit to be around.) - あの政治家は裏金問題をうやむやにして、まるで自分に非がないように話している。風上にも置けないとはこのことだ。
(That politician is brushing off the bribery scandal as if he did nothing wrong. He’s truly beneath contempt.) - 自分のミスを部下に押し付けて責任逃れをするなんて、風上にも置けない行いだよ。
(Blaming his subordinates for his own mistakes is morally reprehensible and despicable.) - 彼は人の弱みを握ってそれをネタに脅してくるんだ。そんな風上にも置けない人間、もう関わりたくない。
(He threatens people by using their weaknesses against them. I never want to be near someone so contemptible.) - 客に対して暴言を吐いて開き直るなんて、サービス業に就いている者として風上にも置けない態度だ。
(Shouting at a customer and then acting like it’s no big deal – that’s not the kind of behavior anyone in customer service should ever show.)
似ている表現
- 軽蔑に値する
- 人でなし
- 信用ならない
- 非道な
- 倫理観に欠ける
「風上にも置けない」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスの場面では、「風上にも置けない」という言い回しは非常に強い非難を含むため、使用には慎重を要します。ただし、社内での報告書や非公開のミーティングなど、内部での議論において問題人物や不正行為に対する強い批判として使われることがあります。
- あの取引先の担当者は、毎回話をすり替えて契約条件を変えてくる。正直言って、風上にも置けない人物だ。
(The person in charge at that client company keeps twisting the terms of our agreements. Honestly, he’s not someone we can trust.) - 社内の資金を私的に使っていたという噂が事実なら、その社員は風上にも置けない行動をとったと言わざるを得ない。
(If the rumors of misusing company funds for personal reasons are true, we must conclude that the employee acted reprehensibly.) - パワハラで何人も退職に追い込んでおきながら、反省の色もない。風上にも置けない上司だとしか言いようがない。
(He drove multiple employees to quit due to harassment and still shows no remorse. He’s truly a boss unworthy of respect.) - 協力会社に支払いを遅らせている上に、説明すらしないのは風上にも置けない態度だ。
(Delaying payments to our partners without explanation is conduct that is beyond unacceptable.) - 顧客の個人情報を不正に利用していたとすれば、会社としても風上にも置けない管理体制を問われることになる。
(If personal customer data was misused, our company will be criticized for an untrustworthy and irresponsible management system.)
「風上にも置けない」は目上の方にそのまま使ってよい?
「風上にも置けない」は、非常に強い否定の感情を込めた言葉であり、直球で相手を非難するニュアンスが含まれるため、目上の方や取引先などに対して直接的に使うのは避けるべきです。感情的な表現としても捉えられるため、場合によっては自分自身の品位が問われる可能性もあります。
とくに社外の関係者、または自分より立場が上の方に対してこの言葉を使うと、非常に攻撃的な印象を与えてしまい、信頼関係を損ねることにもつながりかねません。批判の意図があっても、もう少し柔らかく伝える工夫が求められます。
そのため、ビジネスメールや会話では、以下のような代替的な言い回しを使い、相手の行動に対する懸念や不信感を間接的に伝えるのが適切です。
- 不適切な対応が見られました
- 社内でも対応を検討すべき事案です
- 倫理的に問題のある行動と受け取られかねません
- 今後の取引継続に慎重にならざるを得ません
- 残念ながら信頼を損なう結果となりました
「風上にも置けない」の失礼がない言い換え
- ご対応内容につきまして、関係者より一部懸念の声が上がっておりますので、ご再考いただけますと幸いです。
- 行動内容に関しまして、誤解を招く可能性があると社内でも議論されております。
- 今回のご対応につきましては、再確認の上で適切な対処をご検討いただければと存じます。
- 一部行動が社内ガイドラインに沿っていない可能性があるため、今後の対応にご注意をお願いいたします。
- 社外からの信頼保持のためにも、今後はより慎重なご判断を賜れれば幸いです。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
- 先日は貴重なお時間を賜り、誠にありがとうございました。今回ご連絡させていただいた件につきまして、どうしてもお伝えしたいことがございます。
- 平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。大変恐縮ではございますが、今回の件について一言申し上げたく存じます。
- いつも大変お世話になっております。御社のご対応について気になる点がございましたため、ご報告申し上げます。
- 先日のお取引につきまして、関係者の間で話題に上がっております件があり、取り急ぎご連絡させていただきました。
- ご多忙の折に大変恐縮ではございますが、今後の関係性にも関わる可能性があるため、ご一報差し上げる次第です。
締めの挨拶
- 今後も信頼関係を大切にしながら、お互いにとってより良い関係が築けますよう尽力いたしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
- 本件につきましては慎重にご判断いただけますようお願い申し上げますとともに、引き続き誠意あるお付き合いをお願い申し上げます。
- 率直な意見をお伝えさせていただきましたが、今後とも建設的な対話を重ねてまいりたく、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
- 本件を契機に、より強固な関係性を築けますよう願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
- ご多忙の中恐縮ではございますが、何卒ご確認の上、ご対応をお願い申し上げます。今後とも変わらぬご愛顧を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「風上にも置けない」は、非常に強い批判を意味する表現であり、相手に対して侮辱的に聞こえてしまうリスクがあります。そのため、使う場面には最大限の配慮が必要です。軽率に使用すると、自分の印象が悪くなるだけでなく、関係者との信頼関係が一気に崩れることも考えられます。
とくに注意が必要な場面は以下の通りです。
- 目上の方や取引先に対して
- 公の場での発言、SNSでの投稿
- 第三者の前での相手の批判
- 文書・報告書での直接的な否定表現
- 感情的になっている時の発言
相手を傷つける可能性があるため、自分の発言がどのように受け止められるか、冷静に判断した上で言葉を選ぶことが大切です。批判したい場面でも、建設的な方向に導くためには、慎重で丁寧な表現に置き換える工夫が求められます。
細心の注意払った言い方
- 本件については、誤解を招く恐れがあるとの意見が社内でも出ておりますため、慎重なご対応をお願い申し上げます。
- 一部対応につきまして、ご関係各位からの懸念が寄せられておりますので、ご確認のほどお願い申し上げます。
- 行動内容が組織の倫理基準に反すると判断されかねない状況であるため、今後の対応に十分ご注意くださいませ。
- 社内外からの信頼を確保する観点より、行動の透明性と一貫性をより強くご意識いただけますと幸いです。
- 今後の取引に支障が出ることを避けたく、誠に恐縮ではございますが、対応の見直しをご検討いただければと存じます。
「風上にも置けない」のまとめ・注意点
「風上にも置けない」という言葉は、人間としての信頼性、品格、道徳心を根本から否定する非常に強い非難の言葉です。そのため、私たちがこの言葉を口にする際には、それが相手にどう伝わるかを十分に考える必要があります。特に社会人として、あるいはビジネスの現場において、こうした強い言葉を無防備に使うことは、相手との信頼関係を傷つけるだけでなく、自分自身の品位や職業的な信用にも悪影響を及ぼすことがあります。
日常生活においても、「風上にも置けない」とはっきり言わずとも、似たような感情を持つ場面はあるかもしれません。しかし、それをそのまま相手に伝えるよりも、柔らかい言い回しにすることで、相手に伝わる印象を大きく変えることができます。言葉には力があります。強すぎる言葉は、時にその力で自分自身を傷つけてしまうこともあるのです。
したがって、「風上にも置けない」という言葉は、安易に使うべきではない一方で、本当に強い非難が必要な場面では、的確に使うことで自分の意思を明確に伝える力にもなります。そのバランスを理解し、適切な場で、適切な言葉を選ぶことが、大人としての成熟したコミュニケーションと言えるでしょう。

