SharePointで備品予約システムを構築する方法
「会議室のプロジェクター、誰が予約しているのか一目で確認できないかな…?」「社用車を使いたいのに、空き状況をいちいち担当部署に電話やメールで問い合わせるのが手間だと感じる」「会社の高価な測定機器や特定のソフトウェアライセンスなど、共有資産の貸し借りをもっとスムーズに、分かりやすく管理する仕組みはないだろうか?」
こんな風に感じたことはありませんか? 会社でみんなで使う備品や共有資産は非常に多岐にわたり、その予約管理がうまくいっていないと、必要な時に使えなかったり、誰が使っているか分からなくなったりして、結果的に業務の停滞や非効率を生み出すことがあります。管理担当者の負担も大きく、手動での台帳管理やメールでのやり取りは、ミスも発生しやすく、時間もかかりますよね。
Microsoft SharePoint(シェアポイント)を活用すれば、複雑なプログラミングの知識がなくても、簡単に「備品予約システム」を構築できます。このシステムにより、備品の空き状況を誰でもウェブ上で即座に確認でき、予約の申し込みから管理者による承認、そして利用履歴の記録までを一貫してスムーズに行えるようになります。
SharePointで備品予約システムを作る「意味」:なぜ今、デジタル化が必要なのか?
SharePointで備品予約システムを作成するということは、これまで手動で行っていた備品の予約・管理プロセスを、Web上で一元的に行える「デジタルな仕組み」へと移行させることです。これは単に手間を減らすだけでなく、会社の資産をより有効活用するための重要な一歩となります。
備品の「見える化」で利用効率を最大化する
最も大きなメリットの一つは、備品の空き状況が「見える化」されることです。誰が、いつ、どの備品を予約しているか、カレンダー形式や一覧表でウェブ上から一目で確認できるようになります。これにより、利用者は電話やメールで個別に担当者に問い合わせる手間がなくなり、備品管理者は空き状況の説明に費やす時間を削減できます。結果として、備品の利用計画が立てやすくなり、共有備品の稼働率を向上させることができます。
予約申し込みと承認のプロセスを簡素化する
利用者はWeb上の分かりやすいフォームから必要事項を入力するだけで、備品の予約を申し込むことができるようになります。この申し込み情報は自動的にSharePointに記録され、備品管理者はその情報を一元的に確認し、ウェブ上で承認・却下といった対応を行えます。これにより、紙での申請書や複雑なメールのやり取りが不要となり、予約プロセス全体が簡素化され、スピードアップします。
利用履歴を自動で蓄積し、資産管理を強化する
予約された情報(誰が、いつ、どの備品を、どんな目的で使ったかなど)は、自動的にSharePointに整理されて蓄積されていきます。この履歴は、後から特定の備品の利用頻度を検索したり、利用状況を集計してレポートを作成したりする際に非常に役立ちます。これにより、備品の購入計画、メンテナンス時期の検討、利用規約の見直しなど、より戦略的な資産管理に繋がるデータを得ることができます。
場所やデバイスを選ばずにアクセスできる柔軟性
SharePointはWebブラウザを通じて利用できるクラウドサービスです。そのため、会社のパソコンだけでなく、自宅のパソコン、スマートフォン、タブレットなど、インターネットにつながっていれば、場所やデバイスを選ばずに備品の空き状況を確認したり、予約を申し込んだり、承認したりできます。これは、リモートワークや出張が多い現代の働き方に柔軟に対応し、業務の中断を防ぎます。
他のMicrosoft 365サービスとの連携による拡張性
SharePointで構築された予約システムは、他のMicrosoft 365サービスとシームレスに連携できます。例えば、Power Automate(パワー・オートメイト)という自動化ツールと連携して予約の通知を自動化したり、Power Apps(パワー・アップス)というアプリ作成ツールで予約フォームをより使いやすくカスタマイズしたりすることも可能です。これにより、シンプルな予約システムから、会社のニーズに合わせた高度なシステムへと発展させることができます。
備品予約システムを構築するための入念な準備
本格的な備品予約システムをSharePointで構築する前に、システムで管理したい「備品」と「予約情報」について、少し時間を取って準備をしておくことで、後々のシステム構築と運用が格段にスムーズになります。この「段取り」が成功の鍵を握ります。
どんな備品を管理したいか、詳細に洗い出す
まずは、システムで予約管理したい備品を具体的に、そして詳細に洗い出してみましょう。これは、プロジェクターや会議室、社用車といった物理的なものだけでなく、特定の高額なソフトウェアのライセンス、測定機器、試作機、あるいは特定の専門書や貸与PCなど、予約が必要となる会社の共有資産すべてが対象となり得ます。それぞれの備品について、どんな情報(例えば、備品名、メーカー、型番、管理番号、現在の場所、購入日、購入金額、管理者、修理履歴、備考、写真など)を管理したいか、あらかじめ考えておくと、後でSharePointの「列(カラム)」を設定する際に役立ちます。
予約情報の項目を綿密に計画する
予約が行われた際に、システムにどんな情報を記録したいでしょうか。これは、予約システムを作る上で最も大切な要素であり、システムの使いやすさや管理のしやすさに直結します。利用者の視点と管理者の視点、両方から考えてみましょう。
必ず含めるべき必須項目
- 予約したい備品の名前: どの備品を予約するのかを明確にします(例:プロジェクターA、会議室301、社用車1号)。
- 予約者名: 誰が予約するのかを特定します。これは、SharePointのユーザー情報を利用すると便利です。
- 利用開始日時: 備品をいつから使い始めるのかを正確に記録します。
- 利用終了日時: 備品をいつまで使うのかを正確に記録します。
- 予約状況: 予約の現在の状態を示します(例:申請中、承認済み、却下、利用中、返却済み、キャンセルなど)。これは、管理者が予約を承認するプロセスを導入する際に特に重要です。
あるとシステムがもっと便利になる項目
- 利用目的: 何のために備品を使うのか(例:顧客訪問、社内会議、開発テストなど)。後から利用状況を分析する際に役立ちます。
- 利用場所: どこで備品を使うのか(例:顧客オフィス、会議室、特定の作業スペースなど)。
- 連絡先: 予約者の連絡先(電話番号や内線番号、メールアドレスなど)。緊急時に備品管理者から連絡を取る必要がある場合に便利です。
- 備品管理者による承認コメント: 備品管理者が予約を承認または却下する際に、その理由や特記事項を記録する欄。
- 返却予定日: 利用終了日時とは別に、返却日を記録する項目。
これらの項目が、後でSharePointの「リスト」を構築する際の「列(カラム)」として、一つ一つ丁寧に定義されることになります。
備品予約システムをSharePointで構築する具体的な方法
SharePointで備品予約システムを構築する方法には、主に「カレンダーアプリを使う方法」と「イベント表示機能を持つリストを使う方法」の2つのアプローチがあります。どちらも基本的な使い方は似ていますが、より柔軟で、かつ他のMicrosoft 365サービスとの連携を深めたい場合は、後者の「イベント表示機能を持つリスト」を使う方法がおすすめです。
方法1:SharePointの「カレンダー」アプリを使う(シンプルに予定管理)
これは、昔からSharePointに存在する「カレンダー」機能を使う方法です。シンプルに予定をカレンダー形式で管理し、特別なカスタマイズを必要としない場合に便利です。
- カレンダーを作成したいSharePointサイトにアクセスします。ウェブブラウザでSharePointサイトを開き、備品予約システムを作りたい場所へ移動してください。例えば、総務部のサイトや、共有備品管理専用のサイトなどです。
- 新しいアイテムを作成する入り口から「アプリ」を選びます。サイトの画面で、「+新規」というボタンを探します。そこから「アプリ」を選び、利用できるアプリの中から「カレンダー」という名前のアプリを見つけてクリックしてください。
- カレンダーの名前を入力して作成ボタンを押します。カレンダーの名前を尋ねられますので、例えば「備品予約カレンダー」や「プロジェクター予約状況」など、目的が分かりやすい名前を入力し、作成ボタンを押します。これで、新しいカレンダーの準備が整い、すぐに予定を追加できるようになります。
- カレンダーに予約項目を追加します。作成されたカレンダーの画面を開いてください。そこで、備品を予約したい日付をクリックするか、画面上部にある「+新しいアイテム」ボタンを探してクリックしてください。イベントの入力フォームが表示されますので、そこで備品の予約に必要な情報(備品名、予約者、利用開始日時、利用終了日時、利用目的など)を入力し、保存ボタンをクリックします。これで、カレンダーに備品の予約が入ります。
方法2:イベント表示機能を持つ「SharePointのリスト」を使う(より柔軟でおすすめ)
現在のモダンSharePointでは、専用の「カレンダーアプリ」を使う代わりに、より柔軟な「SharePointのリスト」を活用し、それをカレンダーのように表示させる方法が主流になりつつあります。この方法だと、単にカレンダー形式で表示できるだけでなく、データ管理や他のMicrosoft 365サービスとの連携の面でも非常に多くのメリットが得られるため、より本格的な予約システム構築におすすめです。
- カレンダーの役割を果たすための「SharePointのリスト」を作ります。まず、カレンダーを作りたいSharePointサイトにアクセスし、サイトの「+新規」から「リスト」を選び、「空白のリスト」を作成してください。例えば、「備品予約管理」といった、このシステムを明確に示す名前を付けます。
- 予約に必要な「列(カラム)」を全て追加します。このリストには、備品の予約情報を正確に記録するための項目(列)を追加していきます。これが予約フォームの入力項目になります。
- リストの画面で「+列の追加」ボタンをクリックします。
- 必ず必要なのは、イベントの「タイトル」(カレンダー表示の件名になります)となる「1行テキスト」の列(例えば「予約備品名」または「予約件名」)、予約者名を記録する「ユーザー」の列(例えば「予約者」)、そして予約がいつからいつまでかを正確に設定するための「日付と時刻」の列を二つ(例えば「利用開始日時」と「利用終了日時」)追加してください。
- その他、事前に計画した「利用目的」(複数行テキスト)、「予約状況」(選択肢:申請中、承認済み、却下など)、「連絡先」(1行テキスト)といった列も忘れずに追加しておきましょう。
- 作成したリストをカレンダーのように表示させる設定を行います。リストに予約項目を追加する準備ができたら、次にこのリストに入力される予約情報が、まるでカレンダーのように表示される設定を行います。リストの画面上部にあるビューの切り替え部分(通常は「すべてのアイテム」と表示されているところ)から、「ビューの作成」を選んでください。そこで、ビューの表示形式を「カレンダー」に設定します。カレンダービューの設定画面が表示されますので、イベントの「開始日」と「終了日」に、先ほど作成した「利用開始日時」と「利用終了日時」の列をそれぞれ割り当ててください。これで、リストに入力した予約情報が、自動的にカレンダーのように日付で表示されるようになります。
備品予約システムをもっと便利に、本格的に使う工夫
基本的なシステムができた後、いくつかの工夫を加えることで、備品予約システムはさらに使いやすく、より本格的な業務プロセスに対応できるようになります。
予約フォームをより使いやすくカスタマイズする
利用者が備品の予約を申し込みやすいことは、システムの利用促進に直結します。
- リストの標準フォームを活用:リスト(またはカレンダーアプリ)の「+新しいアイテム」ボタンをクリックすると、自動で生成されるWeb上での入力フォームが表示されます。利用者はここに必要事項を入力するだけで予約を申し込めます。簡単な予約であれば、これで十分です。
- Power Apps(パワー・アップス)でフォームをカスタマイズする(応用):標準の入力フォームでは、デザインや入力のルールに限界があります。より直感的で使いやすい、あるいは特定のロジック(例:備品の種類を選ぶと、その備品に特化した項目だけが表示される)を組み込みたい場合は、Power Appsというツールを使って、カスタム予約フォームを作成できます。例えば、写真を追加したり、入力必須項目を視覚的に分かりやすくしたりするなど、見た目や操作性を向上させることができます。作成したフォームは、SharePointリストに直接紐づけることができます。
予約の承認プロセスを自動化する
予約の申し込みがあった際に、備品管理者がその予約を承認する仕組みを導入することで、管理の厳格さと透明性を高めることができます。
SharePointの基本的な承認機能(応用)
リストの列に「予約状況」(例:申請中、承認済み、却下)を追加し、予約者が「申請中」で予約を申し込むと、備品管理者がその予約をリスト上で直接「承認済み」や「却下」に変更できるようにする基本的な承認プロセスを作れます。
Power Automate(パワー・オートメイト)で承認プロセスを自動化する(さらに応用)
Power Automateを使えば、予約の申請があった際に、自動で備品管理者にTeams(チームズ)やメールで承認依頼を送ることができます。管理者がTeamsやメールで「承認」または「却下」ボタンをワンクリックすると、自動的に予約が確定し、予約者に通知が届く、といった高度な自動化が可能です。これにより、手動での確認や連絡の手間が大幅に減り、承認までの時間を短縮できます。また、承認の履歴も自動で記録できます。
備品ごとの空き状況を分かりやすく見せる工夫
複数の備品がある場合、一つのカレンダーにすべての備品予約を表示すると、情報が多すぎて見にくくなることがあります。
備品ごとに「ビュー」を作る(応用)
「イベント表示機能を持つリスト」を使っている場合、リストの「ビュー」機能を使って、備品ごとに予約状況を確認できるカレンダービューを作成できます。例えば、「プロジェクターAの予約」というビューを作り、備品名の列で「プロジェクターA」とフィルターをかけることで、その備品だけの予約状況をカレンダー形式で表示できます。これにより、利用者は必要な備品の空き状況だけを効率的に確認できます。
Power BI(パワー・ビーアイ)で稼働状況を可視化する(高度な応用)
SharePointの予約データをPower BIと連携させれば、備品ごとの稼働率、利用頻度の高い備品、特定の期間の利用状況などをグラフやダッシュボードで視覚的に表示できます。これは、備品の購入計画や、利用規約の見直しに役立つ、より戦略的な分析を可能にします。
SharePointページに予約システムをまとめて表示する
作成した予約システムを、SharePointサイトのトップページや、特定の部署のページに分かりやすく配置することで、みんながシステムにアクセスしやすくなります。
「イベント」Webパーツや「リスト」Webパーツを使う
SharePointサイトのページを「編集」モードにし、「イベント」Webパーツや「リスト」Webパーツを追加してください。Webパーツの設定で、作成した備品予約用のカレンダーやリストを選び、カレンダー形式で表示するように設定します。必要に応じて、Webパーツに説明文を追加したり、予約システムの簡単な利用案内を併記したりすると、利用者が迷わずにシステムを使えるようになります。
SharePointでスマートな備品予約システムを構築し、社内資産を最大限に活用しよう!
SharePointで備品予約システムを構築することは、プログラミングの知識がなくても十分に可能です。これは単なるツール導入に留まらず、会社の備品管理をデジタル化し、利用効率を高めるための重要なステップとなります。
- まずは、管理したい備品と予約情報の項目を明確に計画しましょう。
- そして、カレンダー表示ができる「イベント表示機能を持つリスト」
- を作成し、予約に必要な「列」を追加していくのが、最も柔軟でおすすめの作り方です。
- さらに、Power Appsで予約フォームを使いやすくしたり、Power Automateで予約の通知や承認を自動化したり、Power BIで利用状況を分析したりすることで、より高度で効率的なシステムへと発展させることができます。
これらの方法を上手に活用して、あなたの会社の備品管理をよりスムーズで分かりやすいものに変え、共有資産の利用を最適化してみてくださいね。

