Power AutomateでExcelデータから「自動で一斉メール送信」する方法:顧客連絡や社内通知を効率化!
「Excel(エクセル)の顧客リストに登録されている人たち全員に、パーソナルなメールを自動で送りたいんだけど、手作業でやると時間がかかって大変だし、ミスも怖いな…」「毎月、社内の特定のメンバーに、Excelのデータに基づいて個別の連絡メールを自動で送れないかな?Power Automate(パワー・オートメイト)で実現できないだろうか?」
こんな風に感じたことはありませんか? 新製品の案内、イベントの招待、定期的な報告、社内のお知らせなど、Excelにまとめられた情報に基づいて、多数の相手に個別のメールを一斉に送信する作業は、非常に手間と時間がかかり、宛先の間違いや文面ミスといった人為的なエラーも発生しがちです。
Microsoft Power Automateを使えば、Excelデータに記載された情報を読み込み、それに基づいて自動的に、かつパーソナライズされたメールを一斉に送信する仕組みを簡単に構築できます。これにより、手作業でのメール送信作業から解放され、コミュニケーションの効率と正確性が飛躍的に向上します。
Excelデータから「一斉メール送信」を自動化するってどんなこと?その大きなメリット
Power AutomateでExcelデータから「一斉メール送信」を自動化するとは、SharePoint(シェアポイント)やOneDrive(ワンドライブ)に保存されたExcelファイルから、メールの宛先(メールアドレス)、件名、本文の内容、場合によっては添付ファイルなど、メール送信に必要な情報を自動的に読み取り、その情報に基づいて、複数の相手に対してそれぞれカスタマイズされたメールを自動的に送信する仕組みを構築することです。
なぜ「Excelデータからの一斉メール送信」を自動化したいのか?その主なメリット
このフローを自動化することには、たくさんの良い点があります。
- 劇的な時間短縮と労力削減:手作業で一人ひとりにメールを作成したり、宛先をコピー&ペーストしたりする手間が一切なくなります。これにより、メール送信にかかる時間が大幅に削減され、担当者はより戦略的で価値の高い業務に集中できるようになります。例えば、数百人、数千人へのメール送信も、数分で完了できるようになります。
- パーソナライズされたメールの自動送信:Excelファイルの各行にある情報(氏名、顧客名、契約番号など)をメールの件名や本文に自動的に挿入することで、受け取った相手にとって「自分宛」の特別なメールだと感じられる、パーソナライズされたメールを大量に送信できます。これにより、メールの開封率や返信率の向上に繋がる可能性があります。
- 入力ミス・送信ミスの根本的削減:手動でのメールアドレス入力ミスや、文面のコピーミス、宛先の間違いといった人為的なエラーがゼロになります。フローが自動で情報を読み取り、正確にメールを送信するため、コミュニケーションの正確性が飛躍的に向上します。
- 情報の一貫性確保:常に同じExcelファイルから情報を読み込み、同じテンプレートのメールを送信するため、送信されるメールの品質と内容の一貫性が保たれます。
- 業務プロセスの効率化:メール送信を自動化することで、その前後の業務プロセス(例: データ集計→メール送信→完了通知)も効率的につなげることができます。
- 状況に応じて柔軟に送信:手動でボタンを押して送信を開始するだけでなく、「毎週月曜日の朝に」「特定のExcelファイルが更新されたら」といった様々なタイミングで自動送信を起動できます。
Excelデータから「一斉メール送信」するための主要なアクションと準備
Power AutomateでExcelデータから一斉メール送信を行うには、主に以下のステップを組み合わせます。
1. メール送信元となるExcelファイルの準備(最も重要)
Excelファイルは、Power Automateがデータを正確に読み取れるように、以下の点に注意して準備する必要があります。
- Excelファイルを「テーブル(表)」として設定する:メール送信に必要な情報(メールアドレス、氏名、件名に含めたい情報、本文に含めたい情報など)が入力されているExcelシートの範囲をすべて選択し、「挿入」タブから「テーブル」(または「表」)として設定してください。Power Automateは、この「テーブル」の単位でデータを読み込みます。テーブル名は「Table1」など、自動で割り当てられるか、自分で変更できます。
- 必要な「列(カラム)」を用意する:テーブルの各列には、メール送信に必要な情報(例: 「メールアドレス」「氏名」「件名内容」「本文詳細」「添付ファイルパス」など)を分かりやすい見出し(ヘッダー)として入力します。
- メールアドレスの列は必須です。
- パーソナライズしたい場合は、受信者の「氏名」や「会社名」などの列を用意します。
- 添付ファイルを自動で付けたい場合は、添付ファイルのパス(SharePointやOneDriveのファイルパス)を記載する列も必要です。
- Excelファイルをクラウドに保存する:作成したExcelファイルは、Power Automateからアクセスできるように、SharePoint(推奨)またはOneDriveに保存してください。
2. Power Automateで「Excelの行を読み込む」
準備したExcelファイルから、メール送信に必要なデータを読み込みます。
「表に行を一覧表示 (Excel Online (Business))」:指定したExcelファイル内の「テーブル」の全ての行(データ)を読み取る主要なアクションです。このアクションで、メール送信に必要なすべての情報(メールアドレス、氏名、件名、本文など)を取得します。
3. 取得した各行に対して「メールを送信する」
Excelから読み込んだ各行のデータを使って、一つずつメールを作成し、送信します。
- 「Apply to each(各項目に適用)」:「表に行を一覧表示」で取得したExcelの各行に対して、同じ「メール送信」の処理を繰り返すために使います。
- 「メールを送信する (V3) (Office 365 Outlook)」:メールを作成し、送信するためのアクションです。宛先、件名、本文、添付ファイルなどを設定します。V3は、アダプティブカードの送信など、より高度な機能も持っています。
Excelデータから「一斉メール送信」を自動化する具体的な手順
ここでは、SharePointに保存されたExcelファイルから顧客リストを読み込み、それぞれの顧客にパーソナライズされたメールを自動で送信するフローを例に、具体的な作成手順をステップバイステップで解説します。
事前準備:Excelファイルと保存先のSharePointドキュメントライブラリ
- 顧客リストExcelファイルを作成します。SharePoint(例: 「顧客データ」ドキュメントライブラリ)に新しいExcelファイルを作成し、ファイル名を「顧客連絡リスト.xlsx」など、分かりやすい名前にします。Excelファイルを開き、シートの1行目に以下の見出しを入力し、データ範囲を「テーブル(表)」として設定します。
メールアドレス(A1セル)顧客名(B1セル)契約プラン(C1セル)担当者名(D1セル)- そして、その下に実際の顧客データを入力しておきます。
- ExcelファイルがPower Automateからアクセスできる場所に保存されていることを確認します。
ステップ1:Power Automateで新しいフローを作成します。
今回は、手動でボタンを押してメール送信を開始するフローを例にします。決まった時間に自動送信したい場合は「スケジュール済みクラウド フロー」を選んでも構いません。
- ウェブブラウザでPower Automate(https://www.google.com/search?q=make.powerautomate.com)にアクセスし、あなたのMicrosoft 365アカウントでサインインします。
- 左側のメニューから「作成」をクリックします。
- 表示されるフローの種類の選択肢の中から「インスタント クラウド フロー」(手動でボタンを押して動かすフロー)を選択してください。
- フローに分かりやすい名前を付けます(例:「顧客連絡メール自動送信」)。
- 「フローのトリガーを選択してください」の検索ボックスに「手動」と入力し、「フロー ボタンがクリックされたとき (V2)」を選択してください。
- 「作成」ボタンをクリックします。
ステップ2:メール送信元となるExcelファイルのデータを読み込みます。
顧客リストExcelファイルのデータをPower Automateに読み込ませます。
- 「フロー ボタンがクリックされたとき (V2)」トリガーの下に「新しいステップ」をクリックします。
- 検索ボックスに「Excel Online」と入力し、「表に行を一覧表示 (Excel Online (Business))」アクションを選択してください。
- アクションの詳細を設定します。
- 場所: Excelファイルが保存されているSharePointサイトのURLを選択または入力します。
- ドキュメント ライブラリ: Excelファイルが保存されているドキュメントライブラリ(例: 「顧客データ」)を選択します。
- ファイル: メール送信のデータ元となるExcelファイル名(例: 「顧客連絡リスト.xlsx」)を選択します。
- テーブル: Excelファイル内で設定したテーブル名(例: 「テーブル1」または「顧客リスト」など)を選択します。
ステップ3:取得した各顧客データに対してメールを送信するループを設定します。
「表に行を一覧表示」で読み込んだExcelの各行(各顧客のデータ)に対して、メール送信の処理を繰り返します。
- 「表に行を一覧表示」アクションの下に「新しいステップ」をクリックします。
- 検索ボックスに「制御」と入力し、「Apply to each」(各項目に適用)アクションを選択してください。
- 「以前の手順から出力を選択」フィールドにカーソルを置き、動的なコンテンツから「表に行を一覧表示」アクションの「値」(読み取ったExcelの表のすべての行データ)を選択します。
ステップ4:各顧客にパーソナライズされたメールを送信するアクションを追加します。
「Apply to each」ループの中で、それぞれの顧客にカスタマイズされたメールを送信します。
- 「Apply to each」ブロックの中に「アクションの追加」をクリックします。
- 検索ボックスに「Outlook」と入力し、「メールを送信する (V3) (Office 365 Outlook)」アクションを選択してください。(V3は、より新しいメール送信アクションです。)
- アクションの詳細を設定します。
- 宛先 (To):入力フィールドをクリックし、動的なコンテンツからExcelの「メールアドレス」列を選択します。これにより、各行のメールアドレスが宛先になります。
- 件名 (Subject):パーソナライズされた件名を設定します。例えば、「@{outputs(‘表に行を一覧表示’)?[‘body/value’][0]?[‘担当者名’]}様からのご案内:新プランのご紹介」のように、Excelの他の列(例: 「担当者名」)を動的なコンテンツとして件名に含めることができます。
- 【注意】:
outputs('表に行を一覧表示')の部分は、あなたのフローで自動的に割り当てられた「表に行を一覧表示」アクションの正確な名前に置き換えてください。
- 【注意】:
- 本文 (Body):パーソナライズされたメール本文を設定します。HTML形式で記述することも可能です。
- 例:
<div>@{outputs('表に行を一覧表示')?['body/value'][0]?['顧客名']}様</div><br><div>いつもお世話になっております。</div><br><div>この度、お客様にご契約いただいております『@{outputs('表に行を一覧表示')?['body/value'][0]?['契約プラン']}』につきまして、</div><br><div>新しい情報がございます。詳細は後ほど担当の@{outputs('表に行を一覧表示')?['body/value'][0]?['担当者名']}よりご連絡させていただきます。</div><br><div>何卒よろしくお願いいたします。</div> - 【ポイント】: HTML形式で本文を記述することで、改行(
<br>タグ)や太字(<b>タグ)などの装飾が可能です。
- 例:
- 添付ファイル (Attachments Name/Content):もし添付ファイルを付けたい場合は、添付ファイルのパスをExcelの列に持たせておき、それに基づいて「ファイルのコンテンツを取得」アクションを追加し、そのコンテンツを添付します。複数の添付ファイルがある場合は、さらにループ処理が必要になることがあります。
ステップ5:フローを保存してテストする
すべての設定が完了したら、フローを保存してテストしましょう。
- 画面右上の「保存」ボタンをクリックします。
- 「テスト」ボタンをクリックし、「手動」を選択してテストを開始します。
- テストが完了するのを待ちます。設定した宛先(Excelのメールアドレス列の各アドレス)に、パーソナライズされたメールが正しく送信されているかを確認してください。
これで、Excelデータから一斉メール送信を自動化する基本的なフローが完成し、自動で動作するようになります。
Excelデータから一斉メール送信をスムーズに運用するための「大切なポイント」
Power AutomateでExcelデータから一斉メール送信を行う機能は非常に便利ですが、そのメリットを最大限に引き出し、スムーズな運用を実現するためには、いくつかの重要な注意点を理解し、適切に対処する必要があります。
1. Excelファイルの「テーブル(表)」設定は必須!
Power AutomateがExcelシートからデータを読み込む際、「表に行を一覧表示」アクションは、データ範囲が「テーブル(表)」として設定されていることを前提としています。単なるセル範囲では動作しません。
- 確認と設定: Excelファイルを開き、データを読み込みたい範囲がテーブルとして設定されているか確認してください。設定されていない場合は、範囲を選択し、Excelの「挿入」タブから「テーブル」をクリックして設定できます。
2. Excelの「メールアドレス」列は必ず正しく記述する
送信エラーを防ぐために、Excelファイルのメールアドレス列には、有効なメールアドレスが正確に記述されていることを確認してください。入力ミスや不要なスペースが含まれていないか、事前にチェックすることが重要です。
3. メール送信の「レート制限」と「スロットリング」に注意
OutlookやExchange Onlineなどのメールサービスには、短時間で送信できるメールの数に制限(レート制限やスロットリング)があります。大量のメールを一度に送信しようとすると、この制限に引っかかり、429エラーが発生したり、メールが送信されないことがあります。
対策
- 「Apply to each」ループの並列処理を制限する: ループの「設定」で「コンカレンシー制御」(並列処理)を有効にし、「並列度の最大限度」を低めに設定(例: 1〜5)します。これにより、API要求の集中を避け、メール送信の速度を調整できます。
- 「遅延」アクションの追加: ループ内のメール送信アクションの後に、数秒の「遅延」アクションを挿入し、メール送信の間隔を空けます。例えば、5秒の遅延を入れると、1時間に720通のメール送信が可能です(3600秒/5秒)。
- Outlookの送信制限を確認する: Microsoft 365におけるExchange Onlineのメール送信制限(ユーザーあたりの1日の送信数など)を事前に確認し、それを超えないようにフローを設計します。非常に大量のメール(数万通以上)を送信する場合は、SendGrid(センドグリッド)のような専門のメール配信サービスや、Azure Communication Servicesとの連携を検討する方が適切です。
4. 送信「権限」と「差出人」の管理
フローが使用するアカウントが、Outlookからメールを送信する適切な権限を持っていることを確認します。
「メールを送信する (V3)」の差出人: V3アクションは、microsoft@powerapps.comのような汎用的な差出人を使うことが多いです。特定の共有メールボックスから送信したい場合は、Excel Online (Business) コネクタの「共有メールボックスからメールを送信する (V2)」アクションを使用します。
5. エラー通知と監視を設定する
メールの一斉送信は重要な操作です。予期せぬ問題(例: 無効なメールアドレス、API制限、接続エラーなど)でフローが失敗した場合に備えて、必ず「エラーハンドリング」を設定してください。
設定方法
メール送信アクションを含む「Apply to each」ループ全体を「スコープ」で囲み、もしスコープ内で失敗したら、自動で管理者へ通知メールを送ったり、エラーログを記録したりするアクションを追加します。これにより、問題発生時にすぐに気づき、対応することができます。
6. テスト環境での十分な検証と「テスト用アドレス」の利用
本番環境で実際にメールの一斉送信を行う前に、必ずテスト環境でフローを十分にテストしてください。
- テスト用Excelファイル: 数行程度のテスト用データ(テスト用のメールアドレスを含む)を含むExcelファイルを作成し、それを使ってフローをテストします。
- パーソナライズの確認: 各メールが、Excelのデータに基づいて正しくパーソナライズされているか、誤字脱字がないか、レイアウトが崩れていないかなどを確認します。
- 迷惑メールフォルダの確認: テスト送信したメールが、相手の迷惑メールフォルダに振り分けられないかを確認することも重要です。
7. コンプライアンスと同意の確認
一斉メール送信を行う際は、送信先の相手からメール送信の同意(オプトイン)を得ているか、あるいは会社のコンプライアンスポリシー(例: 特定商取引法、GDPRなど)に準拠しているかを事前に確認してください。これらは法律や規制に違反しないために非常に重要です。
Power AutomateでExcelから「自動でパーソナルメール」を送ろう!
Power AutomateでExcelデータから一斉メール送信を自動化することは、顧客や社内へのコミュニケーションを劇的に効率化し、パーソナライズされた情報提供を大規模に行うための強力なツールです。
- Excelファイルを「テーブル(表)」として設定し、SharePointやOneDriveに保存します。
- 「表に行を一覧表示」アクションでデータを読み込みます。
- 「Apply to each」ループで各行を処理し、「メールを送信する (V3)」アクションでメールを送信します。
- 「式(Expression)」と動的なコンテンツを活用して、メールをパーソナライズします。
- メール送信のレート制限、コンカレンシー制御、遅延アクションといった対策を講じ、エラーハンドリングとテストを徹底することが、安定運用への鍵となります。
これらの知識と手順を上手に活用して、あなたのメールコミュニケーションプロセスを自動化し、日々の業務をよりスムーズで効率的なものに変えてくださいね。

