「一刻を争う」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「一刻を争う」という言い回しは、「時間のわずかな遅れも許されないほど急を要する」という意味を持ちます。特に緊急性が極めて高い状況で用いられます。例えば、人の命がかかっているような医療の場面や、火災・事故・災害対応など、遅れることが致命的な結果を招く恐れがある場合などに使われます。この言葉は、ただ急いでいるという程度ではなく、ほんの数分、いや数秒の差が大きな影響を及ぼすという深刻な緊張感を含んでいます。
この言葉の意味を英語で言い表す場合には、”every second counts” や “time is of the essence”、”urgent”、”a race against time” などが該当します。中でも “a race against time” は「時間との戦い」という直訳的な表現で、「一刻を争う」とほぼ同じニュアンスを持っています。
「一刻を争う」と検索すると、救命現場や緊急搬送、法的手続きの締切対応、あるいは大規模システム障害への即応など、多様な分野での使用例が確認できます。特に医療現場では「一刻を争う処置が必要」といった形で使われることが多く、事態が深刻であることを強調する意味でも非常に重要な言い回しです。さらに、自然災害が発生した直後の避難や対策も「一刻を争う」状況とされ、人命や社会的混乱への影響を最小限に抑えるために、即座の判断と行動が求められます。こうした場面では、情報伝達の遅延すら致命的となるため、迅速な決断と実行が不可欠です。
「一刻を争う」の一般的な使い方と英語で言うと
・彼は心臓発作を起こし、一刻を争う状態だったため、救急車が到着するまでの数分が生死を分けた。
(He suffered a heart attack and every second counted, so the minutes before the ambulance arrived were a matter of life and death.)
・火災が発生していたため、一刻を争う状況で家族を安全に避難させる必要がありました。
(Since a fire had broken out, it was a race against time to get the family to safety.)
・データ漏洩が発覚した直後、被害拡大を防ぐためには一刻を争う対応が求められた。
(Immediately after the data breach was discovered, it became urgent to act quickly to contain the damage.)
・津波警報が発令されていたため、住民は一刻を争って高台に避難した。
(Due to the tsunami warning, residents raced against time to evacuate to higher ground.)
・交通事故の現場では、一刻を争うため、通行人たちはすぐに救急車を呼んで応急処置を始めた。
(At the scene of the traffic accident, time was of the essence, so bystanders immediately called an ambulance and began first aid.)
似ている表現
- 時間との戦い
- 急を要する
- 猶予がない
- 今すぐにでも必要
- 緊急対応が求められる
「一刻を争う」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスの場面で「一刻を争う」は、プロジェクトの納期が差し迫っているときや、クレーム・障害対応、緊急会議の招集、上司への即報告、または取引先からの要請への迅速な対応など、待ったなしの行動が必要な状況で使用されます。ここでは単なる忙しさではなく、時間に遅れると業務や信頼に甚大な影響を及ぼすという緊張感を表します。
・顧客からのクレームは一刻を争う内容であり、即時の対応を全社員に指示した。
(The complaint from the client was extremely urgent, and immediate action was instructed to all staff.)
・サーバーのダウンによる障害対応は一刻を争うため、技術チームを夜間でも招集した。
(The server outage was a race against time, so the technical team was assembled even at night.)
・本件は一刻を争う案件でございますので、至急ご確認いただきたくお願い申し上げます。
(This matter is extremely time-sensitive, so your immediate attention would be greatly appreciated.)
・本日中に契約を締結しなければならないため、一刻を争う状況です。
(As the contract must be concluded by today, we are in a time-critical situation.)
・株主への説明責任があるため、一刻を争う報告が必要です。
(Due to accountability to the shareholders, an urgent report is required without delay.)
「一刻を争う」は目上の方にそのまま使ってよい?
「一刻を争う」という言葉は強い緊急性を示すため、目上の方や取引先に対して使う場合には慎重さが求められます。直訳的で語気が強いため、場合によっては「命令口調」「慌てている印象」「相手にプレッシャーを与えるような言い方」と受け取られてしまう可能性があります。特に、相手に行動を求める際にこの言葉を使うと、失礼と感じられることもあります。そのため、直接的に「一刻を争う」と言うのではなく、やわらかい表現に変えることが望ましいです。
- 相手に「至急お願いします」とだけ伝えるときでも、文脈によっては厳しい印象になります。
- 目上の方に使う場合は、緊急性を丁寧に伝える工夫が必要です。
- 社外メールや電話で使う際は、穏やかで礼儀正しい言い回しに変換することを意識してください。
- 特に書面では、感情的・急かす印象を与えない文脈づくりが重要です。
- 会議中や報告資料でも「一刻を争う」の代わりに丁寧な語彙を使うと、信頼感が保たれます。
「一刻を争う」の失礼がない言い換え
- 緊急性が非常に高いため、速やかなご対応をお願い申し上げます。
- 至急のご確認が必要となっておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
- お手数をおかけいたしますが、早急にご判断を賜れますと幸甚に存じます。
- 時間的制約が大きいため、お忙しい中恐縮ですがご対応をお願いいたします。
- 緊急を要する案件でございますので、迅速なご対応をお願い申し上げます。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
- 平素より大変お世話になっております。本日は急ぎご連絡差し上げる必要があり、ご迷惑を承知の上でのご連絡となりました。
- いつも格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。今回は早急なご報告が必要なため、恐縮ながらお知らせさせていただきます。
- お忙しいところ恐れ入りますが、非常に差し迫った状況のため、取り急ぎご連絡申し上げます。
- 日頃よりご支援を賜り、心より感謝申し上げます。本件につきましては、時間的猶予がないため、緊急でのご対応をお願いする次第です。
- ご多忙の折、大変恐縮ではございますが、至急ご確認をお願いしたくご連絡いたしました。
締めの挨拶
- 誠に勝手ながら緊急性が高いため、恐れ入りますが、何卒お早めのご対応を賜りますようお願い申し上げます。
- ご迷惑をおかけし誠に恐縮ではございますが、迅速なご対応をいただけますと幸いです。引き続きよろしくお願いいたします。
- 本件につきまして、少しでも早いご判断をいただけますよう重ねてお願い申し上げます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
- 急なご連絡となりましたことをお詫び申し上げるとともに、何卒速やかなご対応をお願い申し上げます。
- 末筆ながら、迅速なご対応を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
使用に注意が必要な場面は?
「一刻を争う」という言い回しは、明確に緊急性が高く、即時の行動が必要な場合に限って使うべき言葉です。これを軽々しく使用すると、相手に過剰なプレッシャーを与えるだけでなく、「本当に緊急なのか」と疑念を持たれてしまう恐れがあります。特に、社外や目上の方に対してこの表現を使うと、命令的・高圧的に受け止められる場合があります。また、実際にはさほど急ぎではない内容で「一刻を争う」と使ってしまうと、信頼を損なう結果になることもあります。相手の状況を無視して自己都合を押しつけている印象になることもあるため、慎重な判断が求められます。
- 緊急でない内容で使うと、信頼を失う可能性があります。
- 相手に即答や行動を強要するような文脈では控えましょう。
- 自社の都合だけで「急いでほしい」と伝えるのは非常に危険です。
- 目上の方に強い言い回しをすると無礼になる恐れがあります。
- 他の依頼と優先順位を混同させると混乱を招く場合があります。
細心の注意払った言い方
- 本件につきましては迅速な対応が求められている状況でございますため、ご多忙のところ恐縮ですが、可能な限り早めにご確認いただけますようお願い申し上げます。
- 大変恐縮ではございますが、現在の状況は時間的な制限が非常に厳しく、貴殿のお力添えをいただけますと非常に助かります。
- 緊急度の高い案件となっておりますが、相手先への影響も考慮し、丁寧かつ速やかなご対応をお願い申し上げます。
- 一両日中のご対応をお願いする内容となっておりますが、もしご都合がつかない場合はご一報いただけますと幸甚です。
- 非常に急を要する案件ではございますが、ご無理を申し上げることのないよう、調整の上でご検討をお願い申し上げます。
「一刻を争う」のまとめ・注意点
「一刻を争う」という言葉は、非常に緊迫した状況において使用されるものであり、時間の遅れが命取りになる可能性を強く示唆しています。そのため、日常生活ではもちろん、ビジネスの現場においても慎重な使い方が求められます。特に取引先や上司など、目上の方に対して使用する場合には、直球でこの言い回しを用いるのではなく、丁寧な言い換えや前置きのある表現に変えることで、相手への敬意を保ちながら、緊急性をしっかりと伝えることができます。
また、緊急性を過剰に煽ることで相手に不快感を与えたり、信頼を損なったりする危険性もあるため、使用する文脈は十分に吟味する必要があります。「今すぐにでも」といった表現は時に圧力と受け取られる可能性があるため、やわらかく「できるだけ早く」「可能な範囲でご確認いただければ」などの配慮が重要です。信頼関係を維持しながら、的確にメッセージを届けるために、言葉選びの丁寧さが問われます。ビジネスでは、言葉ひとつが信頼の構築にも破壊にもつながることを常に意識しておきましょう。

