「遅れをとる」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「遅れをとる」とは、他人や他の集団と比較して、進歩や行動、情報取得の面で後手に回ることを指します。自分が望むタイミングで動けなかった結果、他人に先を越されてしまったり、競争において不利な立場に立たされたりする状態を意味します。これは個人間だけでなく、企業や組織、国など、さまざまな単位でも使われます。競争の激しい現代社会においては、ほんのわずかな判断の遅れや行動の鈍さが、大きな差となって結果に表れるため、「遅れをとる」ことは重大なリスクと見なされます。
この慣用句の英語に相当する言い回しとしては、“fall behind”や“lag behind”、または“miss the boat”といった言い回しが当てはまります。“fall behind”は、時間的にも能力的にも他に比べて後れを取ってしまうことを指します。“miss the boat”はチャンスを逃した、つまりタイミングを誤って「遅れをとった」ことを意味します。特にビジネスや日常会話の中では、“He fell behind in the race for the promotion.”(昇進争いで遅れをとった)や、“We missed the boat on investing early.”(早期投資の機会を逃してしまった)などの使い方が一般的です。
「遅れをとる」は、時間管理の甘さや意思決定の遅れ、状況把握の不足などから来る結果として捉えられることが多く、「後悔」や「焦り」と結びつく場面も少なくありません。たとえば、同僚が次々に新しい資格を取得している中、自分は勉強を始めてもいなかった場合、「自分は完全に遅れをとっている」といった意識が芽生えます。これは能力が劣っているというよりも、タイミングを逃してしまったことへの反省として使われることが多いです。
「遅れをとる」の一般的な使い方と英語で言うと
- 新しいシステムの導入が他社に比べて大幅に遅れをとってしまい、取引先からの信頼も薄れてきた。 (fell significantly behind other companies in implementing the new system, causing a decline in trust from clients.)
- 毎日少しずつでも勉強しておけばよかったのに、試験直前になってから焦っても遅れをとっているのは明らかだった。 (If only I had studied a bit every day—now that the exam is near, it’s clear I’ve fallen behind.)
- 周囲が次々と転職してキャリアアップしている中、自分だけが同じ場所にとどまって遅れをとっているように感じた。 (As everyone around me switched jobs and moved up the career ladder, I felt like I had fallen behind.)
- 最新技術への対応が遅れをとってしまい、業界内での競争力が急激に低下したことに気づいた。 (We realized we had fallen behind in adapting to new technology, which drastically weakened our competitiveness.)
- チームの中で唯一進捗が遅れており、全体の計画に遅れをとる結果になってしまった。 (Being the only one with slow progress in the team, I caused us to fall behind the overall schedule.)
似ている表現
- 出遅れる
- 後手に回る
- 一歩遅れる
- タイミングを逃す
- 足並みが揃わない
「遅れをとる」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスの場面において「遅れをとる」という言葉は、プロジェクトの進行や市場への参入、社内のスキル習得状況、他社との競争など、さまざまな文脈で使用されます。特に「納期の遅れ」や「対応の遅れ」は信頼を失う要因となるため、注意が必要です。「遅れをとった」という事実を素直に認めつつも、今後の改善策を明確に提示することが求められます。
- 新製品の企画段階での意思決定が遅れをとり、競合に先を越される形になってしまいました。
(Our decision-making in the planning phase of the new product lagged behind, allowing our competitors to get ahead.) - 最新技術に関する社内研修の実施が他社に比べて遅れをとっております。
(We have fallen behind other companies in providing in-house training on the latest technologies.) - 業界のトレンドに対する分析が遅れをとっており、マーケティング戦略の再構築が急務です。
(Our analysis of industry trends is behind, and there is an urgent need to rebuild our marketing strategy.) - 海外市場への参入において遅れをとっているため、迅速な現地法人の設立が求められています。
(We are falling behind in entering the overseas market, so setting up a local subsidiary quickly is essential.) - 社内のデジタル化推進に関して遅れをとっている現状を改善するため、タスクフォースを設けました。
(To address our current delay in digital transformation, we have established a dedicated task force.)
「遅れをとる」は目上の方にそのまま使ってよい?
「遅れをとる」という表現は一般的には丁寧な印象を与える言葉ではないため、目上の方や取引先に対してそのまま使用するのは避けたほうが無難です。とくにビジネスメールや正式な会話の中では、直接的に「遅れをとる」と伝えることで、自己批判的な印象を与えたり、責任逃れのように受け取られたりすることがあります。さらに、相手に対してネガティブな印象を与えたり、場の空気を重くしてしまう可能性もあるため注意が必要です。代わりに、「後れを取っておりますが」「対応が間に合っておらず」など、柔らかく遠回しな表現に置き換えることで、印象を和らげることが可能です。
- 「ご指摘の件について、当方の対応が遅れをとっており、誠に申し訳ございませんでした。」のような表現は、あまり推奨されません。
- 「現在の対応状況について、進捗に遅れが生じておりますため、誠に恐縮ではございますが、再度ご確認いただけますでしょうか。」のような丁寧な言い換えが望ましいです。
- ビジネスの信頼関係を保つためにも、過度に否定的・直接的な言い回しを避けることが求められます。
- 自社の立場を下げる表現として使いすぎると、相手からの信頼に影響を及ぼすリスクもあります。
- よって、相手に敬意を払いつつ、自社の遅れを認める表現を工夫することが大切です。
「遅れをとる」の失礼がない言い換え
- 現在、他社様よりも若干対応が遅れておりますが、全力で追いつく所存でございます。
- 状況の変化が早く、現時点での対応に若干の課題があることを認識しております。
- 他社の進捗と比較し、我々の体制構築に時間を要している状況でございます。
- 現在、全体的な業務の見直しを行っており、対応の優先順位を整理中でございます。
- 想定よりもご要望への対応にお時間をいただいており、誠に申し訳ございません。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
- 昨今の市場動向に目を向けますと、競争の激化により対応速度が求められることを痛感しております。
- 日頃より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。さて、現在の進捗についてご報告申し上げます。
- ご指摘いただいた内容につきまして、社内での調整に時間を要しており、対応の遅れが生じております。
- 平素より変わらぬお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。さて、現状の課題についてご説明申し上げます。
- 昨今の業務量の増加により、やや遅れが出てしまっておりますことを、まずは深くお詫び申し上げます。
締めの挨拶
- 今後はこのような遅延を未然に防ぐべく体制を整えてまいりますので、引き続きのご理解とご協力をお願い申し上げます。
- ご迷惑をおかけしましたことを重く受け止め、以後このようなことがないよう業務改善に取り組んでまいります。
- 本件につきましては最優先で対応を進めてまいりますので、何卒引き続きよろしくお願い申し上げます。
- 今後の進捗につきましては随時ご報告させていただきますので、変わらぬご指導のほどお願い申し上げます。
- 今回の遅れにつきまして、深く反省しております。次回からは十分な準備をもって対応させていただく所存です。
注意する状況・場面は?
「遅れをとる」という言葉は使い方を誤ると、自分や自社の能力不足を強調してしまい、相手に不安を与える可能性があります。特に目上の方や取引先に対して、直接的に「遅れをとっております」などと言うと、自社に対する信頼を損なうおそれがあります。また、言い方によっては「危機感がない」「無責任」と受け取られることもあるため、伝える際には十分な配慮が必要です。たとえば、「納期の遅れ」や「情報取得の遅れ」を素直に認めることは大切ですが、同時に「今後の改善策」や「現時点での対策」をセットで提示する必要があります。
- 目上の方に対して不用意に「遅れをとっております」と言うのは避けるべきです
- 遅延の責任を相手に押し付けるような表現は、関係性を悪化させるリスクがあります
- 誤解を招くようなあいまいな言い回しはかえって不安を与えることもあります
- 社内の原因を詳細に語りすぎると、社外からの信頼を損なうことがあります
- 焦りや不安ばかりを伝える文章は、逆に準備不足の印象を与えかねません
細心の注意払った言い方
- 現状、想定よりも対応にお時間をいただいておりますが、現在は鋭意体制の見直しと再調整を行っております。
- お待たせしてしまい申し訳ございません。社内の確認事項が多く、結果的にご報告が遅れておりますことをお詫び申し上げます。
- 他部署との連携を図る中で、進捗に一部遅れが生じておりますが、全体計画に支障が出ないよう調整しております。
- ご期待に沿えるよう最大限の努力をしておりますが、今しばらくお時間を頂戴いたしたく存じます。
- 今回の進行において、当初の予定よりやや時間を要しておりますが、原因を明確にし、早期の対応に努めております。
「遅れをとる」のまとめ・注意点
「遅れをとる」という言葉は、個人や組織が他よりも後手に回ってしまったことを表す際に使われる慣用句です。しかし、その使い方には細心の注意が必要です。なぜなら、この言葉を直接的に使うことで、自己の能力不足や計画の甘さを強調してしまうおそれがあるからです。特にビジネスの場面においては、取引先や上司との信頼関係を損なうことのないよう、柔らかく丁寧な言い回しで伝える工夫が求められます。たとえば、「対応が遅れをとっております」という表現を、「若干の調整にお時間をいただいております」と言い換えるだけで、印象が大きく変わります。また、遅れを伝えるだけでなく、それをどうリカバリーしていくかという前向きな姿勢を一緒に伝えることが大切です。メールの書き出しや締めの言葉も慎重に選び、丁寧かつ真摯な気持ちが伝わるよう配慮しましょう。状況を正直に伝えつつ、相手の理解と信頼を得るための工夫が、「遅れをとる」ことへの対処法として重要なのです。

