「業を煮やす」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「業を煮やす」とは、何度も我慢してきたが、ついに限界を迎えて怒りや苛立ちを抑えきれなくなる状態を指す言い回しです。何かを期待していたり、何度も注意してきたにもかかわらず相手が改善しなかったり、物事が思うように進まず、いよいよ堪忍袋の緒が切れたときに使います。特に、目下の人や後輩、あるいは取引先などに対して注意を繰り返してきたにもかかわらず、その状況が改善されないときに用いられることが多く、イライラが溜まりに溜まった最終局面で出る感情表現です。「業」とは、仏教の概念において、過去の行いによって積み重ねられる原因と結果を示す言葉ですが、ここでは「気持ち」「気性」のような意味合いで使われています。そして「煮やす」はその気持ちがぐつぐつと煮え立つ様子を表しています。つまり、心の中が煮えたぎるほど怒りや苛立ちが高まっている様子を比喩的に表現しています。
この言い回しは、「ついに堪忍袋の緒が切れる」「我慢の限界が来る」といった表現と近く、怒りが爆発寸前であるという状態を丁寧に、かつやや文学的に伝えることができます。日常会話ではやや固めに響くものの、ニュースや評論、エッセイなどで目にすることも少なくありません。英語に直訳することは難しいですが、ニュアンスとしては “lose one’s patience” や “run out of patience”、または “reach the boiling point” といった言い方が近いです。さらに強く言う場合は “blow a fuse” や “hit the roof” という言い回しも近いです。これらは、耐えていた怒りが爆発するという意味で、ほぼ同じ場面で使うことができます。
「業を煮やす」の一般的な使い方と英語で言うと
・何度も注意したにもかかわらず遅刻を繰り返す部下に対し、ついに業を煮やして厳しく叱責することになった。
(I finally lost my patience and gave my subordinate a stern warning after he kept being late despite repeated reminders.)
・作業の進捗があまりに遅いため、業を煮やした上司が自らプロジェクトに介入し始めた。
(The manager, having run out of patience due to the sluggish progress, stepped in and took control of the project himself.)
・彼の曖昧な態度に業を煮やし、思い切って自分の気持ちをはっきり伝えることにした。
(Fed up with his indecisive attitude, I finally decided to tell him exactly how I felt.)
・子どもが何度注意しても宿題をしないので、業を煮やしておやつを取り上げた。
(I ran out of patience with my child who refused to do homework and took away the snacks.)
・対応があまりにも遅かったため、業を煮やして別の会社に依頼することにした。
(Due to the extremely slow response, I lost patience and decided to ask another company.)
似ている言い回し
・堪忍袋の緒が切れる
・我慢の限界を迎える
・腹に据えかねる
・怒り心頭に発する
・ついにキレる
「業を煮やす」のビジネスで使用する場面の例文と英語
「業を煮やす」はビジネスの場でもよく使われますが、使う場面には注意が必要です。例えば、取引先や社内の他部署、あるいは部下に対して、何度も対応をお願いしたにもかかわらず改善が見られない、約束が守られない、納期が遅れるなどの事態が続く中で、ついに行動を起こす、あるいは強い態度に出るという文脈で用いられます。感情が高ぶっている状態を表すため、直接的に伝えるのではなく、少し遠回しに記述する方が適切です。
・何度も仕様変更の連絡がなかったため、業を煮やしてこちらから確認の電話をかけました。
(After receiving no updates despite several changes in specifications, I lost patience and made a call myself.)
・取引先の度重なる遅延に業を煮やし、上層部に正式な改善要求を提出しました。
(Having grown increasingly frustrated with our partner’s repeated delays, we submitted a formal request for improvement to the upper management.)
・社内調整が進まない状況に業を煮やし、関係部署を一堂に集めて対応を協議しました。
(Frustrated by the lack of internal coordination, we gathered all relevant departments for an urgent meeting.)
・報告が滞っていたため、業を煮やして進捗状況の詳細なレポートを提出させました。
(Due to delayed reporting, I ran out of patience and requested a detailed progress report.)
・取引先からの返答が一向に届かず、業を煮やした上司が直接出向くことになりました。
(After receiving no reply from our client, my supervisor, having lost patience, decided to visit them directly.)
「業を煮やす」は目上の方にそのまま使ってよい?
「業を煮やす」は自分の感情を強く表す言い回しであり、目上の方や取引先に直接的に用いるのは非常に注意が必要です。特に相手に対して「業を煮やした」と言ってしまうと、感情的で攻撃的に受け取られる可能性があり、礼儀を欠く表現として敬遠されがちです。もちろん、自分自身の気持ちとして使う場合であっても、冷静さを欠いたように見えることもあるため、丁寧な伝え方が求められます。目上の方やお客様に対して使う場合は、遠回しな表現で心情や状況を伝える工夫が大切です。たとえば「お待ちかねかと存じます」「何度かお願い申し上げましたが…」などの丁寧な言い回しで、状況を説明するのが適切です。
・直接的に「業を煮やしたので~」とは言わない
・「対応が遅れているように見受けられます」と婉曲に伝える
・自分の怒りを抑えた表現にする
・相手を責めるのではなく、状況を共有する姿勢を取る
・できるだけ丁寧で客観的な表現に言い換える
「業を煮やす」の失礼がない言い換え
・度重なるご連絡に応じていただけていない状況を踏まえ、こちらからご連絡を差し上げました。
・ご多忙かと存じますが、進捗が確認できかねる状況が続いておりますため、改めてご確認をお願い申し上げます。
・以前よりお願いしておりました件に関しまして、ご対応の状況をお伺いしたく存じます。
・何度かご案内差し上げましたがご返信がないため、念のため再度ご連絡申し上げます。
・確認のお願いを複数回差し上げておりますが、いまだご対応いただけていないようですので、ご確認をお願い申し上げます。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
・度重なるご連絡で大変恐縮ではございますが、進行中の件について確認させていただきたく、改めてご連絡いたしました。
・先日よりお願いしております案件につきまして、進展が確認できておりませんため、恐れ入りますが再度ご確認願います。
・お手数をおかけいたしますが、以前のご依頼につきましてご対応状況をお知らせいただけますと幸いです。
・こちらから何度かご連絡差し上げておりますが、いまだご返答をいただいておらず、再度ご連絡いたします。
・ご多忙の折とは存じますが、進行中のご案件についてご確認いただきたく、ご連絡差し上げました。
締めの挨拶
・ご多忙の折誠に恐縮ではございますが、ご対応いただけますよう何卒よろしくお願い申し上げます。
・ご確認とご返答を心よりお待ち申し上げておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
・今後の円滑な進行のため、ぜひともご協力賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
・ご無理のない範囲で結構ですので、進捗状況をご一報いただけましたら幸いに存じます。
・お手数をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「業を煮やす」という言い回しは、強い苛立ちや怒りを内包しているため、使用する相手や文脈によっては大変失礼に感じられることがあります。とくに取引先、上司、年配の方に対してこの表現を使うと、感情的で非礼な印象を与えてしまうことがあるため、慎重に選ぶ必要があります。また、言い回しとしてもやや文学的で堅苦しい響きがあるため、日常会話でも誤解を招く恐れがあります。自分の怒りの感情を直接相手にぶつけるような使い方は避け、代わりに穏やかに状況を共有するような言い方が望まれます。
・目上の人に怒りの感情を直接伝える際
・取引先や顧客に対して感情的な指摘を行う際
・メールで感情が伝わりやすい文章になる場合
・社内でも上層部に向けた報告文に用いるとき
・カジュアルな会話で使うと誤解される可能性がある場合
細心の注意払った言い方
・以前よりご案内差し上げております件につきまして、進捗が確認できていない状況でございますため、恐れ入りますがご確認のほどお願い申し上げます。
・これまでにも何度かご対応をお願い申し上げておりますが、未だ反映が確認できませんため、念のため再度ご案内申し上げます。
・ご多忙のところ恐縮ではございますが、進行中の件に関してご確認をいただけていないようですので、再度ご一報いただけますと幸いに存じます。
・たびたびのご連絡となり恐縮ではございますが、対応状況についてのご連絡をいただけますよう、お願い申し上げます。
・大変恐縮ではございますが、本件についてのご対応状況をお伺いしたく、何卒ご返信いただけますようお願い申し上げます。
「業を煮やす」のまとめ・注意点
「業を煮やす」という言い回しは、長い間我慢してきた怒りがついに限界を超えてしまった状態を表現する、非常に感情の強い言い方です。文章として使う分には印象的で情緒のある表現となりますが、実際の対話やビジネスの中で使う際には注意が必要です。特に相手に対する不満や怒りを直接的に伝える場面では、誤解を招いたり信頼関係を損なったりする可能性があります。丁寧に相手を尊重しつつ、自分の立場や感情を伝えるためには、もっと柔らかい言い回しや遠回しの伝え方が適しています。また、メールなど文章でのやり取りでは相手の反応が直接見えないため、誤解を招きやすいという点にも注意が必要です。言い換え表現や婉曲的な表現を選ぶことで、ビジネスの場にふさわしい冷静かつ丁寧な対応を心がけましょう。感情を抑えつつも、状況をはっきりと伝える工夫が重要です。自分の気持ちを表すだけでなく、相手への配慮を忘れずに言葉を選ぶことが、信頼関係を築く上で大切です。

