「けう」とは?意味は?使い方は?大河ドラマや古語・古典を詳しく現代風に解説
「けう」は古典語において「めったにないこと」「珍しいこと」「ありがたいこと」を意味する語であり、現代語の「希有」にあたります。語源は漢語「希有(けう)」に由来し、『万葉集』以前から文語に取り入れられました。古典では「まれで尊い」「今では見られないような貴重さ」を強調する形容動詞として用いられました。対して、近世以降になると、特に時代劇や講談などにおいては「けったいなこと」「妙なこと」という少々否定的な意味に転化し、「奇妙」「珍妙」「変わっていて少しおかしい」などの口語的表現として使われました。この転化は上方言葉を経由したもので、江戸語ではやや滑稽味を帯びた響きを含むようになりました。現代では、文学的に使われる場合は「希少」や「ありがたい」という肯定的な意味合いを持ちつつ、口語・演劇などでは「けったい」系統に近い感覚が含まれがちです。現代人が古文で「けう」と出会った際、「変なこと」と誤解しがちですが、元来は高貴で珍重される事象を表す語でした。
「けう」の一般的な使い方と英語で言うと
- 本日はご多忙のところわざわざお越しいただくなど、誠にけうなご厚情と深く感謝申し上げます。
(It is truly a rare and honorable favor that you took the time to come today despite your busy schedule.) - このようなけうな機会にお目にかかれましたこと、心よりありがたく存じます。
(I am sincerely grateful to meet you on such a rare occasion.) - 昨今ではけうな志を持つ方にお会いすることが少なく、大変感銘を受けました。
(It is rare these days to meet someone with such aspirations, and I was deeply impressed.) - そのようなご配慮をいただけるとは、けうなことと感激いたしております。
(Receiving such consideration is rare and I am truly moved.) - 御社のようなけうな理念を貫かれる企業と関われることを光栄に思っております。
(I am honored to be involved with a company that upholds such rare values as yours.)
似ている言い回しと失礼がない言い方
- まれにある
- 非常に珍しい
- ごく限られた
- たいへん貴重な
- この上なくありがたい
性格や人格として言われた場合は?
「けうな人物」と形容される場合、その人物は「非常に珍しく、特異な資質を持つ存在」とされます。悪い意味ではなく、個性や希少性を強調した敬意のこもった表現とされます。特に学識・人格・信条などが常人と異なり、尊重すべき対象として称える場面で使われることが多く、「変わった人」という意味とは本来異なります。
「けう」をビジネスで使用する場面の例文と英語
- このようなけうなご縁をいただき、今後とも末永くお付き合いいただければと存じます。
(I am grateful for this rare connection and hope to continue our relationship for years to come.) - 御社のようなけうな技術力を持つ企業と業務提携が叶い、大変光栄に思っております。
(It is a great honor to form a partnership with a company possessing such rare technical skills.) - けうなご厚意に心から感謝申し上げますとともに、重ねて御礼申し上げます。
(I sincerely thank you for your rare kindness and extend my heartfelt appreciation.) - けうな事例として、今後の方針決定に大きく資するものと考えております。
(We believe this rare case will greatly contribute to our future policy decisions.) - このけうな機会を活かし、御社との信頼関係をさらに深めてまいりたく存じます。
(We hope to use this rare opportunity to further strengthen our relationship with your company.)
「けう」は目上の方にそのまま使ってよい?
「けう」は、もともと漢語由来の敬意を含んだ言葉であり、「ありがたく貴重なこと」を指すため、敬語表現においても使用可能です。ただし現代の一般会話では馴染みが薄く、文学的または書面的な印象を与えやすい言葉であるため、目上の方に使う際は文脈に応じて慎重に選ぶべきです。言葉の格調が高いため、文章全体が浮いてしまうことがあり、受け手が意味を即座に理解できない恐れがあります。とくに日常的なやり取りでは、より通じやすい表現に置き換えることが適切です。言葉の意味を正しく伝え、誤解を招かないよう配慮する姿勢が求められます。
- あまり一般的ではないため、理解されにくい可能性がある
- やや古風で文学的な印象を与える
- 文章の格調を高めたいときには適している
- 対面ではなく、書面上での使用が無難
- 日常語と併用して用いると違和感が軽減される
「けう」の失礼がない言い換え
- お忙しい中にもかかわらずお時間を割いていただき、たいへんありがたく存じます。
- 御社とご一緒できることは、弊社にとって非常に貴重な機会でございます。
- こうしてお声掛けいただけましたこと、誠に光栄であり深く感謝申し上げます。
- このたびのご支援に接し、心からありがたく思っております。
- またとない機会を賜り、改めて御礼を申し上げる次第です。
注意する状況・場面は?
「けう」は、現代の口語ではあまり使われなくなった言葉であるため、使用に際しては相手の理解度や文脈への適合性を見極めることが重要です。とくに口語として使った場合、「けったい」といった誤解を招く可能性もあるため注意が必要です。文学や格式ある文面では問題ありませんが、カジュアルな会話や若年層への説明には適していません。また、堅苦しすぎる印象を与えたり、伝わらなかったりすることもあるため、相手や文面の調和を意識する必要があります。誤用により、せっかくの好意が適切に伝わらない恐れもあります。
- 相手が若年層やビジネス初級者の場合は避けた方がよい
- 会話よりも文書の中で使う方が適している
- 相手に意味が伝わらない可能性がある場合は使わない
- 格式ある表現に整えてから使用する
- 「けったい」と混同されることがあるため、用法に注意する
「けう」のまとめ・注意点
「けう」は、古典においては「めったにないほど尊い」「希少でありがたいこと」を意味する敬意の高い語であり、文学的な背景を持った言葉です。語源は漢語「希有」に由来し、日本語として平安期以降の文語文体に広く使われました。近世以降の口語では、時代劇や落語などで「けったいな」や「変わった」といった意味を帯びることがあり、現代においてはその誤解が広まりつつあります。現代のビジネスや日常生活において用いる場合は、古典的な意味を知っていれば文章の格調を高めることができますが、相手が理解しにくい場合や誤って伝わる可能性がある場合には、より分かりやすい言い換えが求められます。また、相手への敬意をきちんと伝えるには、意味の正確な把握と場面に応じた表現選択が不可欠です。使用時には、自分の伝えたい意図が正しく相手に届くよう、慎重に語を選ぶことが大切です。