ビジネスにおける「お悔やみ」の言葉:違いと適切な使い方を徹底解説(詳細版)
ビジネスシーンにおいて、訃報に接した際、どのような言葉をかけるべきか迷うことは少なくありません。「お悔やみ申し上げます」と「ご愁傷様です」は、どちらも弔意を表す言葉ですが、そのニュアンスや使用場面には明確な違いがあります。社会人として、相手や状況に応じた適切な言葉遣いは、故人への敬意だけでなく、遺族への配慮を示す上で非常に重要です。この記事では、ビジネスにおける「お悔やみ」の言葉について、その違いと、様々な相手に応じた適切な使い方、そして使用上の注意点を解説します
「お悔やみ申し上げます」と「ご愁傷様です」:その違いと基本
まず、この二つの言葉の基本的な違いを理解しましょう。
「お悔やみ申し上げます」
「お悔やみ申し上げます」は、故人の死を悼み、遺族の悲しみに寄り添う気持ちを伝える、広く一般的に使用される丁寧な表現です。この言葉の「悔やむ」は「後悔する」という意味合いだけでなく、「故人の死を惜しむ」「哀悼の意を表す」という深い意味を含んでいます。
特徴とニュアンス
- 汎用性が高い: どのような関係性の相手に対しても使用できます。公式な場面から個人的な会話まで、幅広く対応可能です。
- 丁寧で控えめ: 相手の悲しみを慮り、静かに哀悼の意を表す際に適しています。押し付けがましくなく、相手に寄り添う姿勢を自然に示せます。
- 口頭・書面問わず: 対面での挨拶はもちろん、電報、手紙、メール、社内掲示、プレスリリースなど、様々な形式で利用できます。格式を重んじる場面でも問題なく使えます。
- 普遍的な弔意: 宗教や宗派に関わらず使えるため、相手の信仰が不明な場合でも安心して使えます。
具体的な使用例
- 上司の訃報に際して同僚に伝える場合: 「〇〇部長が亡くなられたと聞いて、心よりお悔やみ申し上げます。」
- 取引先への弔電: 「〇〇株式会社 〇〇様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。」
- 社員の家族が亡くなった際の人事部からの通達: 「この度、社員〇〇さんのご家族がご逝去されました。謹んでお悔やみ申し上げます。」
「ご愁傷様です」
「ご愁傷様です」は、「愁傷」という言葉が「心を痛める、悲しむ」という意味を持つことから、相手の心の傷や悲しみに寄り添う気持ちを強調する言葉です。特に、相手の悲しみに対して深い共感を示したいときに用いられます。
特徴とニュアンス
- 口語的: 主に口頭で、対面で直接相手に伝える際に用いられることが多いです。そのため、改まった書面や公式な場での使用は避けるべきです。
- 同情や慰めを強く表す: 相手の深い悲しみを理解し、寄り添いたいという気持ちが強く表れます。比較的親しい間柄や、相手の顔を見て直接慰めの言葉をかけたい場合に適しています。
- 使用場面の限定: 目上の人に対しては、やや直接的すぎる、または軽々しい印象を与える可能性もゼロではありません。特に、形式を重んじるビジネスシーンでは注意が必要です。丁寧語の「ご愁傷様でございます」とすることで、目上の方にも使いやすくなります。
- 個人的な感情表現: 相手の心情に深く入り込むニュアンスがあるため、個人的な関係性で力を発揮しやすい言葉です。
具体的な使用例
- 悲しみに暮れる同僚への声かけ: 「〇〇さん、この度は本当にご愁傷様です。何か手伝えることがあれば言ってください。」
- 憔悴した様子の部下へ: 「〇〇君、お辛いでしょう。心からご愁傷様でございます。」(より丁寧な表現)
- 取引先の担当者が不幸に見舞われたことを電話で知った際: 「〇〇様、この度は大変ご愁傷様でございました。」(間接的だが丁寧な配慮を示す)
相手別に見る「お悔やみ」の言葉の適切な使い方
ビジネスシーンでは、相手との関係性によって言葉の選び方が変わります。状況や相手への配慮が不可欠です。
上司に対して
上司に対しては、最大限の敬意を表し、言葉遣いはより一層丁寧にする必要があります。
- 「お悔やみ申し上げます」が基本: 最も無難で丁寧な表現です。上司の悲しみに寄り添いつつ、失礼のないように配慮する姿勢が伝わります。
- 例1(口頭): 「〇〇部長、この度は誠にお悔やみ申し上げます。心よりお察しいたします。」
- 例2(メール・手紙): 「〇〇部長、この度は、お父様(またはご尊父様)のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。」
- 「この度は、誠にご愁傷様でございました」も可能だが注意: 「ご愁傷様です」は口語的ですが、「~でございました」と丁寧語を重ねることで、敬意を示しつつ使用することも可能です。ただし、あくまで丁寧さを意識し、言葉尻がぶっきらぼうにならないように注意が必要です。対面で深い悲しみに沈む上司に対して、心からの慰めの気持ちを込めて、静かに伝える場合に限られます。
- 例1(口頭、対面で): 上司の顔色が悪く、悲しみが深いと察した場合。「〇〇部長、この度は大変ご愁傷様でございました。さぞお力落としのことと存じます。」
- 例2(少し間接的な状況、例えば電話で訃報を知った際): 「〇〇部長、この度は大変ご愁傷様でございました。何か私にできることがあれば、ご遠慮なくお申し付けください。」
上司への注意点
- 長々と話さない: 悲しみに暮れる上司に対し、余計な言葉は不要です。簡潔に、しかし心を込めて弔意を伝えましょう。多くを語るよりも、その後の行動(業務サポートなど)で示す方が重要です。
- 故人のことを詮索しない: 故人の死因や詳しい状況を尋ねるのはマナー違反です。上司が自ら話さない限り、深掘りは避けましょう。
- 私情を挟まない: 自身の感情や経験(「私も以前、同じ経験をしました」など)を語るのは避け、あくまで上司への配慮に徹します。個人的な共感を表現するよりも、相手の立場に立った気遣いを優先しましょう。
- 業務への配慮を申し出る: 「お辛いでしょうから、しばらくは業務のことはご心配なさらないでください」「何か手伝えることがあれば、いつでもお申し付けください」など、具体的なサポートの意思を伝えることで、上司の負担を軽減する姿勢を示せます。
部下に対して
部下に対しては、上司としての立場から、部下の悲しみに寄り添い、気遣いを示すことが重要です。
- 「お悔やみ申し上げます」が基本: 丁寧な姿勢で弔意を示すことができます。
- 例1(口頭、フォーマルな場面): 「〇〇君、この度は心よりお悔やみ申し上げます。大変でしたね。」
- 例2(メール、全社通達の場合): 「〇〇部〇〇さんのご家族がご逝去されました。会社として謹んでお悔やみ申し上げます。」
- 「ご愁傷様です」も使用可: 部下の悲しみに寄り添い、慰めるニュアンスを強く伝えたい場合に有効です。特に、部下が言葉を失うほど悲しんでいるような状況では、「ご愁傷様です」という言葉が、深い共感を示すことにつながります。
- 例1(口頭、親身な声かけ): 「〇〇さん、本当にご愁傷様です。無理しなくていいからね。何かあればすぐに言ってください。」
- 例2(深刻な状況で、より感情に寄り添う): 「〇〇、顔色が悪いぞ。本当にご愁傷様だ。辛いときは休んでいいんだぞ。」(部下の年齢や関係性によっては、語尾を「だ」とすることも。)
- 気遣いの言葉を添える: 「何かできることがあれば、遠慮なく言ってください」「しばらくは大変でしょうが、無理をしないでください」といった、具体的な気遣いの言葉を添えると、部下への思いやりが伝わります。
- 例: 「お辛い中で申し訳ないが、業務のことは我々でフォローするから、今はご家族を大切にしてあげてください。」
- 例: 「忌引き明けも、体調がすぐれないときは遠慮なく相談してくださいね。」
部下への注意点
- 上から目線にならない: 部下への配慮を忘れず、威圧的な態度にならないよう注意しましょう。共感を示す姿勢が大切です。
- プライベートに踏み込みすぎない: 心配するあまり、個人的な質問(例:亡くなった原因は?など)を深く掘り下げるのは避けましょう。相手が話したがる場合は聞き役に徹し、無理に聞き出そうとしないことです。
- 業務への配慮: 業務の調整やサポートなど、会社として、あるいは上司としてできる具体的な配慮を申し出ることが重要です。実際にサポート体制を整えることで、言葉だけでなく行動で支えることができます。
- 精神的なサポート: 必要に応じて、カウンセリングサービスや相談窓口を紹介するなど、心のケアにも配慮しましょう。
会社から社員に対して(社内通達・掲示など)
会社として社員に対して弔意を示す場合は、公式な文書や通達として、より丁寧かつ一般的な表現を用いる必要があります。
- 「謹んでお悔やみ申し上げます」が適切: 公式文書では、「謹んで」という言葉を添えることで、より丁重な弔意を表します。会社全体の意思を示すため、個人的な感情は抑えます。
- 例1(訃報通達): 「本日、〇〇部所属〇〇さんのご尊父様(またはご家族)がご逝去されました。ここに謹んでお悔やみ申し上げます。」
- 例2(弔電手配の案内): 「〇〇社員のご不幸につきまして、会社より弔電をお送りします。謹んでお悔やみ申し上げます。」
- 「ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます」など: 故人の逝去を悼む気持ちをより明確にする表現です。
- 例: 「〇〇社員の義母様(またはご令室様)のご逝去の報に接し、社員一同、心よりお悔やみ申し上げます。」
- 「ご愁傷様です」は不適切: 個人的な慰めの言葉であり、会社全体の公式なメッセージには向きません。フォーマルな場では避けるべきです。
会社から社員への注意点
- 簡潔に、しかし誠意を込めて: 定型文になりがちですが、故人への敬意と遺族への配慮が伝わるよう、誠意をもって作成します。感情的な表現は避け、事実と弔意を明確に伝えます。
- 社内規定に準拠: 会社によっては、弔事に関する独自の規定や文言がある場合があるため、それに従う必要があります。福利厚生や弔慰金の支給規定など、社員が確認しやすいように情報を整理しておくことも大切です。
- 連絡先や今後の手続きについて明記: 必要に応じて、香典や供花の手続き、忌引き休暇の申請方法、連絡窓口など、具体的な情報を記載すると親切です。社員が混乱しないよう、わかりやすい指示が必要です。
- 情報公開の範囲: 故人の氏名、続柄、葬儀形式(密葬など)など、どこまで情報を開示するかは、遺族の意向を最優先し、慎重に判断します。
取引先に対して
取引先への弔意は、ビジネス上の関係性を考慮し、非常に丁寧かつ慎重に行う必要があります。会社の代表として弔意を伝える意識が重要です。
- 「この度は、誠に〇〇様(故人の氏名)のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます」が基本: 故人の氏名を明確にし、丁寧な言葉遣いを心がけます。先方企業の担当者を通じて伝える場合も、故人への敬意を示します。
- 例1(取引先代表者の訃報に際して): 「〇〇株式会社 代表取締役 〇〇様のご逝去の報に接し、弊社一同、謹んでお悔やみ申し上げます。」
- 例2(担当者の家族の訃報に際して): 「〇〇様、この度は、お父様のご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。さぞお力落としのことと存じます。」
- 「ご生前の〇〇様には、格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます」など、故人への感謝の言葉を添える: 故人との生前の関係性や、お世話になったことへの感謝を伝えることで、より深い弔意を示すことができます。具体的なエピソードは、相手との関係性に応じて加減します。
- 例: 「〇〇様には、長年にわたり弊社事業にご尽力いただき、大変お世話になりました。そのご功績に心より敬意を表し、謹んでお悔やみ申し上げます。」
- 「ご愁傷様です」は不適切: 取引先のような社外の相手に対しては、より丁寧で改まった「お悔やみ申し上げます」を用いるべきです。直接的すぎる表現はビジネスの場にはそぐいません。
取引先への注意点
- 迅速な対応: 訃報に接したら、できるだけ早く弔意を伝えます。情報が入り次第、速やかに対応することがビジネスマナーです。
- 関係性を考慮した連絡方法: 関係性や緊急度に応じて、電話、メール、弔電、あるいは直接弔問などを使い分けます。
- 電話: 急な訃報や、親しい担当者の場合。ただし、通夜・葬儀の直前は避けます。
- メール: 略式ではあるが、相手が忙しい場合や、情報共有目的で用いることも。件名に「【お悔やみ】〇〇株式会社より」などと明記し、簡潔に。
- 弔電: 遠方の場合や、通夜・葬儀に参列できない場合に広く用いられます。会社名で送るのが一般的です。
- 弔問: 故人や遺族との関係が深く、直接弔意を伝えたい場合。事前に先方の意向を確認することが重要です。
- 故人の家族構成や関係性を確認: 誰が喪主を務めるのか、どのような形で連絡すべきかなど、事前に確認できる範囲で確認し、失礼のないようにします。特に喪主の氏名や会社での役職は正確に把握しましょう。
- 余計な質問をしない: 故人の死因や詳細について尋ねるのは厳禁です。遺族の心情に寄り添うことを最優先します。
- 営業活動と混同しない: 弔意を伝えることが、ビジネス上の利益につながるような印象を与えないよう、細心の注意を払います。あくまで故人への哀悼と遺族への配慮が目的です。
- 香典・供花・供物の確認: 相手方が辞退されている場合も多いため、必ず事前に確認し、意向に沿うようにしましょう。
問い合わせに対して(電話・メールなど)
訃報に関する問い合わせ、または問い合わせ中に訃報に触れるような場面では、相手への配慮が重要です。感情的な対応ではなく、冷静かつ丁寧な対応が求められます。
- 「この度は、誠にご愁傷様でございます」または「誠にお悔やみ申し上げます」が適切: どちらの言葉も使えますが、電話口など口頭で相手の悲しみに直接触れる場合は「ご愁傷様でございます」も有効です。丁寧語を重ねることで、より丁寧な印象を与えます。
- 例1(お客様からの電話で訃報を知った場合): 「〇〇様、この度は大変ご愁傷様でございました。さぞお力落としのことと存じます。」
- 例2(問い合わせのメールの中に訃報に関する記述があった場合): 「この度は、誠にお悔やみ申し上げます。ご連絡いただいた件につきましては、〇〇の通り対応させていただきます。」
- 相手の状況を慮る言葉を添える: 「この度は大変でございましたね」「さぞお力落としのことと存じます」など、相手の心情を察する言葉を添えると、配慮が伝わります。
- 例: 「お辛い中、ご連絡いただきありがとうございます。何かお困りのことがございましたら、遠慮なくお申し付けください。」
問い合わせ対応時の注意点
- 簡潔に、しかし丁寧に: 事務的な対応になりすぎず、感情を込めて弔意を伝えます。定型的なフレーズだけでなく、相手の状況に合わせた一言を添えることで、より人間的な対応ができます。
- 問い合わせの内容を優先: 弔意を伝えつつも、本来の問い合わせ内容を疎かにしないよう注意します。弔意を伝えた後、速やかに本題に移り、相手の要望に応えましょう。
- 無理強いしない: 相手が話したがらない場合は、無理に話を深掘りせず、静かに耳を傾ける姿勢が大切です。相手のペースに合わせましょう。
- 情報の共有と連携: 問い合わせ内容が緊急性を持つ場合や、他部署との連携が必要な場合は、弔意を伝えた上で、迅速かつ正確に情報を共有し、対応を進めましょう。
目上の人に対して(取引先の重役、会社の顧問など)
上司だけでなく、取引先の重役、会社の顧問など、自分よりも社会的な地位や年齢が上の人に対しては、最も丁寧な言葉遣いを心がけます。
- 「この度は、誠にご愁傷様でございました」または「謹んでお悔やみ申し上げます」が最適: 「ご愁傷様でございます」を口頭で用いる場合は、言葉遣いをより一層丁寧にすることで、敬意を示すことができます。書面や公式な場では「謹んでお悔やみ申し上げます」がより適切です。
- 例1(口頭、弔問時): 「〇〇様、この度は、誠にご愁傷様でございました。心よりお悔やみ申し上げます。」(二つの言葉を重ねて、最大限の敬意を示す)
- 例2(弔電・書面): 「〇〇様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げますとともに、心より哀悼の意を表します。」
- 状況に応じて、定型的な表現を重視: 個人的な感情を出しすぎず、社会人としてふさわしい、礼儀を重んじた言葉選びを心がけましょう。簡潔かつ格式を重んじた表現が好ましいです。
目上の人への注意点
- 言葉の選び方に細心の注意を払う: 敬語の誤用や不適切な表現は、大きな失礼にあたります。事前に言葉を確認し、完璧な敬語を使うよう努めましょう。
- 簡潔さと控えめさ: 相手の心情を慮り、長話や不要な質問は避けます。多くを語るよりも、その場の雰囲気を察し、静かに寄り添う姿勢が大切です。
- 服装や態度にも配慮: 言葉だけでなく、自身の振る舞い全体で敬意を示すことが重要です。身だしなみや立ち居振る舞いにも気を配りましょう。
- 相手の役職や立場を正確に呼称する: 故人の役職、喪主の役職など、正確な敬称を使用し、間違いがないように細心の注意を払います。
「お悔やみ」の言葉を使用する上での共通の注意点
相手や状況を問わず、弔意を伝える際に共通して注意すべき点があります。これらを理解し、実践することで、より心遣いの伝わる対応ができます。
忌み言葉を避ける
「忌み言葉」とは、不幸を連想させる言葉や、不幸が重なることを暗示する言葉のことです。これらを避けることは、弔事における基本的なマナーです。
- 重ね言葉: 不幸が「重なる」ことを連想させるため、使用を避けます。
- 例: 「重ね重ね」「度々(たびたび)」「いよいよ」「追って」「くれぐれも」「次々」「返す返す」「再度」「再三」など。
- 言い換え例: 「この度は」「先日来」「どうか」「なにとぞ」など。
- 直接的な表現: 死を直接的に表現する言葉は、遺族に強い不快感を与える可能性があります。
- 例: 「死ぬ」「死亡」「急死」「ご存命」「生きていた頃」など。
- 言い換え例: 「ご逝去」「他界」「亡くなる」「ご生前」「お元気だった頃」など。
- 宗教・宗派に配慮: 宗教によっては特定の言葉が不適切であったり、独自の慣習があったりします。「ご冥福をお祈りします」は仏教用語であるため、相手の宗教が不明な場合は、宗教を問わない表現を用いるのが無難です。
- 仏教以外の場合の言い換え例:
- 神道: 「御霊(みたま)のご平安をお祈りいたします」「安らかな旅立ちでありますようお祈りいたします」
- キリスト教: 「安らかな眠りにつかれますようお祈りいたします」「主の御許(みもと)に召されますようお祈りいたします」「〇〇様の永遠の安息をお祈りいたします」
- 宗教が不明な場合: 「心よりお悔やみ申し上げます」「心から哀悼の意を表します」「安らかなることをお祈りいたします」など。
- 仏教以外の場合の言い換え例:
手短に、簡潔に
悲しみに暮れている相手に対し、長々と話すのは負担をかける行為です。弔意は、簡潔かつ丁寧に伝えましょう。多くを語らずとも、心からの気持ちは伝わります。
- 具体的な実践: 葬儀会場で弔意を伝える際、玄関で立ち止まり、喪主や遺族に一礼して「この度は誠にご愁傷様でございます。心よりお悔やみ申し上げます。」と簡潔に伝え、すぐに退場する。長居は無用です。
- メールの場合: 短い文面で要点を絞り、弔意が明確に伝わるようにします。余計な情報は含めません。
故人の死因や病状を尋ねない
故人の死因や病状を尋ねることは、遺族の心を深く傷つける可能性があります。プライバシーに関わることであり、無神経な行為とみなされます。相手が自ら話さない限り、絶対に尋ねてはいけません。
- 具体的な実践: 遺族と会話する中で、もし故人の話題が出たとしても、深掘りせず、相手の話に静かに耳を傾ける姿勢が大切です。無言で寄り添うことも、立派な弔意の表し方です。
故人との関係性をわきまえる
親しい間柄であれば個人的な思い出を語ることも許されますが、ビジネスシーンでは、故人との関係性や、その場にいる遺族との関係性を考慮し、TPOをわきまえた発言を心がけましょう。
- 具体的な実践: 例えば、取引先の社長の訃報に際して、その息子さん(喪主)に「お父様には、ゴルフで大変お世話になりました」と伝えるのは問題ありませんが、個人的な思い出話に終始しすぎたり、場にそぐわない話に発展させたりすることは避けましょう。
笑顔を見せない、ふざけた態度を取らない
弔事の場では、笑顔や不謹慎な態度は厳禁です。真摯な態度で、故人への敬意と遺族への配慮を示すことが求められます。
- 具体的な実践: 葬儀会場では、携帯電話の電源を切り、私語は慎み、厳粛な雰囲気を保ちます。友人や知人と出会っても、挨拶は会釈程度に留め、長話は避けます。
状況に応じた連絡方法を選ぶ
訃報を受けた際の連絡方法は、相手との関係性や状況によって使い分けます。適切な連絡手段を選ぶことも、弔意を示す上で重要です。
- 電話: 急を要する場合や、特に親しい関係の場合に適しています。しかし、通夜や葬儀の準備で多忙な時間帯や、深夜・早朝の電話は避けるべきです。手短に弔意を伝え、すぐに電話を切ることがマナーです。
- メール: 略式の連絡手段として使用されることが増えましたが、親しい関係か、相手がメールでの連絡を希望している場合に限ります。件名に【お悔やみ】などと明記し、簡潔に弔意を伝えます。返信を求める内容にしないことも大切です。
- 弔電: 遠方の場合や、通夜・葬儀に参列できない場合に広く用いられます。NTTなどが提供するサービスを利用し、故人の氏名や喪主の氏名を正確に記載しましょう。定型文だけでなく、故人や遺族への気持ちを込めた文面を選びましょう。
- 手紙・メッセージカード: 後日、改めて丁寧な弔意を伝えたい場合に有効です。故人との思い出や感謝の気持ちを綴ることで、より心温まる弔意を伝えられます。葬儀後、落ち着いた頃に送るのが一般的です。
- 弔問: 故人や遺族との関係が深く、直接弔意を伝えたい場合に選択します。ただし、事前に先方の意向(密葬など)を確認することが非常に重要です。突然の弔問は、かえって負担をかける可能性があります。
香典・供花・供物の有無とマナー
会社として、または個人として、香典や供花、供物を送る場合は、以下の点に注意が必要です。
- 先方の意向を確認: 「香典、供花、供物の儀は、固くご辞退申し上げます」といった辞退の意思表示がある場合は、その意向を尊重します。無理に贈ろうとすると、かえって迷惑になります。
- 会社としてのルール: 会社によっては、弔事に関する規定(福利厚生、弔慰金、供花供物の手配など)がある場合がありますので、それに従いましょう。個人の判断で行動する前に、必ず確認が必要です。
- 金額: 関係性や立場によって適切な金額があります。相場を参考に、失礼のないようにします。一般的には、上司に対しては部下よりも高額に、同僚には同程度、目下には少し少なめに、という傾向があります。
- 名義: 会社として送る場合は「株式会社〇〇」のように会社名で、個人として送る場合は個人名で記入します。連名の場合は、役職の高い順に右から記入します。
- 表書き: 宗教・宗派によって表書きが異なります。仏教では「御香典」「御霊前(四十九日前まで)」「御仏前(四十九日以降)」、神道では「御玉串料」「御榊料」、キリスト教では「お花料」「御ミサ料」などが一般的です。宗派が不明な場合は「御霊前」を用いるのが無難ですが、仏教以外の宗派では「御霊前」も不適切な場合があるため、「御供(おそなえ)」や「御弔料」がより安全です。
まとめ
ビジネスにおける「お悔やみ」の言葉は、単なる定型句ではありません。故人への敬意と遺族への深い配慮を示すための重要なコミュニケーションです。
- 「お悔やみ申し上げます」 は、汎用性が高く、丁寧で控えめな表現として、ビジネスシーン全般で安心して使用できます。公式な場面や書面での使用に最適です。
- 「ご愁傷様です」 は、相手の悲しみに寄り添い、慰めるニュアンスが強い言葉ですが、主に口頭で、かつ目上の人に対しては「ご愁傷様でございます」と丁寧語を重ねるなど、より慎重な使用が求められます。
相手との関係性、その場の状況、そして個人の心情を考慮し、最もふさわしい言葉を選ぶことが、社会人としての品格と相手への思いやりを示すことにつながります。訃報に接した際は、この詳細な解説を参考に、失礼なく、心からの弔意を伝えるように心がけてください

