sharepointワークフローの作り方を分かりやすく解説・手順は?
SharePointにおける「ワークフロー」は、特定の業務プロセスを自動化するための重要な機能です。以前は「SharePoint Designer」というツールを使ってワークフローを作成するのが一般的でしたが、現在ではその役割は「Power Automate(パワー・オートメイト)」に完全に移行しています。
SharePoint Designerで作成されたワークフロー(SharePoint 2013 ワークフローなど)は、2026年4月2日には既存のテナントからも削除され、完全に廃止されることが決まっています。そのため、これからワークフローを作成する場合、または既存のワークフローを移行する場合は、Power Automateを使用することが必須となります。
ここでは、現在の主流であるPower Automateを使ったSharePointワークフローの作り方を、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。
日々の業務で「この申請、誰に承認依頼すればいいんだっけ?」「このファイルが更新されたら、関係者に手動で連絡しなきゃ…」といった、繰り返し発生する定型作業に時間を取られていませんか? SharePointの「ワークフロー」機能は、そんな業務プロセスを自動化し、劇的に効率化するための強力なツールです
かつては「SharePoint Designer」というツールでワークフローを作成していましたが、そのサポートは間もなく完全に終了し、現在はPower Automate(パワー・オートメイト)が、SharePointにおけるワークフロー自動化の標準となっています。
SharePointワークフローとは?その目的とPower Automateへの移行
まず、SharePointにおけるワークフローがどのようなものか、その本質を理解しておきましょう。
ワークフローの「自動化」とは?
「ワークフロー」とは、特定の業務が開始されてから完了するまでの一連のタスクや承認プロセスを、あらかじめ決められた手順で実行することを指します。これを「自動化」するということは、人間が手動で行っていた「確認」「通知」「データ転記」「承認依頼」といった作業を、システムが自動的に行うようになる、ということです。
例えば、「新しい休暇申請書がSharePointリストに追加されたら、自動で上司に承認依頼メールを送る」といった流れが、典型的なワークフローの自動化です。
なぜPower Automateを使うのか?
以前はSharePoint Designerというツールが使われていましたが、これはレガシーな技術に基づいています。Microsoftは、クラウドベースで柔軟性の高い「Power Automate」を、Office 365(現在のMicrosoft 365)エコシステム全体の自動化の中核として位置付けています。
SharePoint Designerワークフローの廃止: SharePoint 2013 ワークフロー(SharePoint Designerで作成されたワークフローの最終バージョン)は、2026年4月2日には既存のテナントからも削除され、完全に廃止される予定です。この日以降は、これらの古いワークフローは動作しなくなります。
Power Automateの利点:
- クラウドベース: インターネット環境があればどこからでもアクセス・管理できます。
- 直感的な操作: プログラミング知識がなくても、視覚的なフローデザイナーで簡単にワークフローを作成できます。
- 豊富な連携先: SharePointはもちろん、Outlook、Teams、Forms、Excel、OneDriveといったMicrosoft 365サービス、さらにはSalesforce、Twitterなど、数百種類もの外部サービスとシームレスに連携できます。
- 高度な承認機能: Teamsの「承認」アプリと連携し、Teams内での承認・却下が可能になるなど、承認プロセスを強力にサポートします。
このように、これからのSharePointワークフローは、Power Automateで作成することが唯一の選択肢であり、最も賢いアプローチとなります。
Power Automateワークフローの「基本のキ」:3つの要素
Power Automateでワークフローを作成する際、基本となる3つの要素を理解しておきましょう。
トリガー(きっかけ)
- フローが自動で動き出す「きっかけ」となるものです。これがなければ、フローは始まりません。
- 例: 「SharePointリストに新しいアイテムが作成されたとき」「SharePointのドキュメントライブラリにファイルがアップロードされたとき」「毎日特定の時間になったとき」「Teamsで特定のキーワードが投稿されたとき」など。
アクション(やること):
- トリガーが起動した後にフローが「実行すること」です。自動化したい具体的な作業がここに並びます。
- 例: 「メールを送信する」「Teamsにメッセージを投稿する」「SharePointリストのアイテムを更新する」「ファイルをコピーする」「承認依頼を送信する」など。
コネクタ(接続先)
- Power Automateと、あなたが使っている様々なアプリケーションやサービスを「つなぐ」役割を担います。
- 例: 「SharePointコネクタ」「Outlookコネクタ」「Microsoft Teamsコネクタ」など。コネクタを通じて、SharePointリストのデータや、Outlookのメール、Teamsのチャットといった情報にアクセスし、操作することができます。
これらの要素を組み合わせることで、多様な業務プロセスを自動化していきます。
Power AutomateでSharePointワークフローを作成する具体的な手順(承認フローの例)
ここでは、SharePointリストに新しい申請が追加されたら、自動で上司に承認依頼を送り、その結果をリストに反映させる、という最も一般的な「承認ワークフロー」を例に、具体的な作成手順をステップバイステップで解説します。
事前準備:SharePointリストの作成
まず、申請内容を登録するためのSharePointリストを作成します。
- SharePointサイトを開き、左側のナビゲーションメニューまたは「+ 新規」から「リスト」を選択します。
- 「空白のリスト」を選択し、リスト名に「休暇申請」など、分かりやすい名前を入力して「作成」します。
- リストの列を追加します。以下の列を作成しましょう。
- 「タイトル」(デフォルトの列をそのまま利用): 申請タイトル(例:〇月〇日休暇申請)
- 「申請者」: 「+ 列の追加」→「ユーザー」を選択し、名前を「申請者」とする。
- 「開始日」: 「+ 列の追加」→「日付と時刻」を選択し、名前を「開始日」とする。
- 「終了日」: 「+ 列の追加」→「日付と時刻」を選択し、名前を「終了日」とする。
- 「理由」: 「+ 列の追加」→「複数行テキスト」を選択し、名前を「理由」とする。
- 「承認状況」: 「+ 列の追加」→「選択肢」を選択し、名前を「承認状況」とする。選択肢として「申請中」「承認済み」「却下」の3つを追加し、デフォルト値を「申請中」に設定する。
このリストにアイテム(データ)が追加されることが、今回のワークフローのトリガーとなります。
ステップ1:Power Automateにアクセスし、新しいフローを作成する
- ウェブブラウザで Power Automateのサイト https://make.powerautomate.com/ にアクセスし、Microsoft 365アカウントでサインインします。
- 左側のメニューから「作成」をクリックします。
- 「自動化したクラウドフロー」を選択します。
- 「自動化されたクラウドフロー」は、特定のイベント(今回の場合はSharePointリストへのアイテム作成)をきっかけに自動で実行されるフローです。
- 「フロー名」に、このワークフローの名前(例:「休暇申請承認フロー」)を入力します。
- 「フローのトリガーを選択してください」の検索ボックスに「SharePoint」と入力します。
- 表示されたトリガーの中から「項目が作成されたとき (SharePoint)」を選択します。
- 「作成」ボタンをクリックします。
ステップ2:SharePointトリガーを設定する
作成したフローの最初のステップ(トリガー)を設定します。
- 「項目が作成されたとき」というトリガーのアクションボックスが表示されます。
- 「サイトのアドレス」: 先ほど作成した「休暇申請」リストがあるSharePointサイトのURLを選択します(ドロップダウンから選択するか、URLを直接入力します)。
- 「リスト名」: サイト内のリストの中から、先ほど作成した「休暇申請」リストを選択します。
ステップ3:申請者の上司を取得する(オプションだが実用的)
承認フローでは、通常、申請者の直属の上司に承認を依頼したい場合が多いでしょう。Power Automateは、ユーザープロファイルサービスと連携して、申請者の上司情報を取得できます。
- 「項目が作成されたとき」トリガーの下にある「新しいステップ」をクリックします。
- 検索ボックスに「ユーザープロファイル」と入力し、「ユーザープロファイル (V2) の取得」アクションを選択します。
- 「ユーザー (UPN)」: ここには、SharePointリストにアイテムを作成した「申請者」のユーザープリンシパル名(UPN、通常はメールアドレス形式)を入力します。
- 入力フィールドをクリックすると、「動的なコンテンツ」というウィンドウが表示されます。
- 「項目が作成されたとき」セクションの中から、「作成者メール」または「作成者表示名」などを選択します。(ユーザープリンシパル名が必要な場合は、
作成者Emailを選ぶのが一般的です)
- 「新しいステップ」をクリックします。
- 検索ボックスに「マネージャーの取得 (V2)」と入力し、選択します。
- 「ユーザー (UPN)」: ここには、先ほど取得した「ユーザープロファイル (V2) の取得」アクションから、「マネージャー」の「ユーザープリンシパル名」を選択します。
ステップ4:承認を開始するアクションを追加する
いよいよ承認依頼を送信するアクションを追加します。
- 「マネージャーの取得 (V2)」アクションの下にある「新しいステップ」をクリックします。
- 検索ボックスに「承認」と入力し、「承認を開始して待機する (V2)」アクションを選択します。
- 承認アクションの設定を行います。
- 「承認の種類」: ドロップダウンから「最初の応答を待機」を選択します。(これにより、複数の承認者がいる場合でも、誰か一人が承認・却下すればフローが進みます)
- 「タイトル」: 承認依頼の件名です。動的なコンテンツを活用して分かりやすくします。
- 例:「休暇申請の承認依頼:[動的なコンテンツから「タイトル」を選択](申請者:[動的なコンテンツから「作成者表示名」を選択])」
- 「割り当て先」: 承認を依頼する相手です。ここには、先ほど「マネージャーの取得 (V2)」アクションで取得した「マネージャーのメール」を選択します。
- 「詳細」: 承認依頼の本文です。申請の詳細情報を入力します。
- 例:「以下の内容で休暇申請がありました。\n理由:[動的なコンテンツから「理由」を選択]\n開始日:[動的なコンテンツから「開始日」を選択]\n終了日:[動的なコンテンツから「終了日」を選択]\n\n申請を確認し、承認または却下してください。\n\n[動的なコンテンツから「アイテムへのリンク」を選択]」
\nは改行を意味します。
- 「アイテムへのリンク」: 申請されたSharePointリストアイテムへの直接リンクを挿入できます。これにより、承認者はすぐに詳細を確認できます。動的なコンテンツから「アイテムへのリンク」を選択します。
- 「アイテムのリンクの説明」: リンクの表示名です(例:「申請の詳細を見る」)。
ステップ5:承認結果に応じて処理を分岐させる
承認者が「承認」または「却下」のどちらを選んだかによって、フローの処理を分岐させます。
- 「承認を開始して待機する (V2)」アクションの下にある「新しいステップ」をクリックします。
- 検索ボックスに「条件」と入力し、「条件」アクションを選択します。
- 条件のアクションボックスを設定します。
- 左側のボックスにカーソルを置き、動的なコンテンツから「承認を開始して待機する (V2)」アクションの「応答」を選択します。
- 中央のドロップダウンで「次に等しい」を選択します。
- 右側のボックスに「承認」と入力します。(「承認」という単語は承認フローで自動的に生成されるボタン名に対応しています)
ステップ6:承認された場合の処理を設定する
条件アクションの「はい」のパスに、承認された場合の処理を追加します。
- 「条件」アクションの「はい」のパスにある「アクションの追加」をクリックします。
- 検索ボックスに「SharePoint」と入力し、「項目を更新します (SharePoint)」アクションを選択します。
- 更新アクションの設定を行います。
- 「サイトのアドレス」: 「休暇申請」リストがあるSharePointサイトのURLを選択します。
- 「リスト名」: 「休暇申請」リストを選択します。
- 「ID」: 更新したいリストアイテムのIDです。動的なコンテンツから「項目が作成されたとき」の「ID」を選択します。
- 「タイトル」: これは必須項目なので、動的なコンテンツから「項目が作成されたとき」の「タイトル」をそのまま選択します。
- 「承認状況」: ドロップダウンから「承認済み」を選択します。
- 「新しいステップ」をクリックし、承認されたことを申請者に通知するメールアクションを追加します。
- 検索ボックスに「Outlook」と入力し、「メールを送信する (V2)」アクションを選択します。
- 「宛先」: 動的なコンテンツから「項目が作成されたとき」の「作成者メール」を選択します。
- 「件名」: 「承認されました:[動的なコンテンツから「タイトル」を選択]」
- 「本文」: 「あなたの休暇申請は承認されました。\n詳細:[動的なコンテンツから「アイテムへのリンク」を選択]」
ステップ7:却下された場合の処理を設定する
条件アクションの「いいえ」のパスに、却下された場合の処理を追加します。
- 「条件」アクションの「いいえ」のパスにある「アクションの追加」をクリックします。
- 承認された場合と同様に「項目を更新します (SharePoint)」アクションを追加します。
- 「サイトのアドレス」: SharePointサイトを選択。
- 「リスト名」: 「休暇申請」リストを選択。
- 「ID」: 「項目が作成されたとき」の「ID」を選択。
- 「タイトル」: 「項目が作成されたとき」の「タイトル」を選択。
- 「承認状況」: ドロップダウンから「却下」を選択します。
- 「新しいステップ」をクリックし、却下されたことを申請者に通知するメールアクションを追加します。
- 検索ボックスに「Outlook」と入力し、「メールを送信する (V2)」アクションを選択します。
- 「宛先」: 動的なコンテンツから「項目が作成されたとき」の「作成者メール」を選択します。
- 「件名」: 「却下されました:[動的なコンテンツから「タイトル」を選択]」
- 「本文」: 「あなたの休暇申請は却下されました。\n理由:[承認アクションから「コメント」を選択(承認者が却下時に入力したコメント)]\n詳細:[動的なコンテンツから「アイテムへのリンク」を選択]」
ステップ8:フローを保存してテストする
すべての設定が完了したら、フローを保存してテストしましょう。
- 画面右上の「保存」ボタンをクリックします。
- 「テスト」ボタンをクリックします。
- 「手動」を選択し、「テスト」を開始します。
- 新しいWebブラウザタブを開き、先ほど作成したSharePointの「休暇申請」リストに新しいアイテム(申請)を追加します。
- アイテムを作成すると、Power Automateのフローが起動し、承認者に承認依頼が送信されます。承認者はTeamsの「承認」アプリまたはメールから内容を確認し、承認または却下を行います。
- 承認者が応答すると、フローが続き、SharePointリストの「承認状況」列が更新され、申請者に結果通知メールが送信されることを確認します。
これで、基本的なSharePointの承認ワークフローが完成しました。
SharePointワークフロー活用のヒントと応用編
Power Automateを使ったSharePointワークフローは、上記のような承認フロー以外にも様々な活用が可能です。
- ファイルの自動処理:
- こんなことできるの?:
- SharePointの特定のドキュメントライブラリにファイルがアップロードされたら、自動でそのファイルをPDFに変換して別のライブラリに保存する。
- 特定のタグ(メタデータ)が付与されたファイルを、自動で別のSharePointサイトやOneDriveにコピーする。
- 指定された期間アクセスがないファイルを自動でアーカイブフォルダーに移動する。
- こんなことできるの?:
- 情報伝達の自動化:
- こんなことできるの?:
- SharePointのニュースが公開されたら、自動でTeamsの特定のチャネルに通知を投稿する。
- SharePointリストの「タスク」の期限が近づいたら、自動で担当者にTeamsでリマインダーを送信する。
- 特定のキーワード(例:「緊急」「対応必須」)がSharePointページ内で言及されたら、自動で担当者グループにメール通知を送る。
- こんなことできるの?:
- データ連携とレポート:
- こんなことできるの?:
- SharePointリストのデータが変更されたら、自動でExcel Onlineの表にデータを追加する。
- SharePointリストに登録されたデータを、定期的にPower BIに連携し、最新のダッシュボードを更新する。
- こんなことできるの?:
- Power Appsとの連携:
- こんなことできるの?:
- SharePointリストをデータソースとして、Power Appsでより使いやすいカスタムフォームを作成し、そのフォームからデータが登録されたことをトリガーにワークフローを開始する。
- Power Appsで入力されたデータに基づき、SharePointにファイルを作成し、同時にそのファイルの承認ワークフローをPower Automateで起動する。
- こんなことできるの?:
【ポイント】
- 「動的なコンテンツ」を積極的に活用する: トリガーや前のアクションから得られた情報を、後のアクションで利用する「動的なコンテンツ」は、フローを柔軟で強力なものにします。
- エラーハンドリングを設定する: フローが失敗した場合に備えて、「エラー発生時に管理者に通知する」「処理を再試行する」といったエラーハンドリングを設定しましょう。
- テストを徹底する: フローは、必ず本番稼働させる前に、様々なシナリオ(正常系、異常系、却下された場合など)で十分にテストを行うことが重要です。
Power AutomateでSharePointを「動かす」
SharePointは、情報やファイルを「格納し、整理し、共有する」ためのプラットフォームです。そして、Power Automateは、そのSharePoint上で「情報が動く」仕組みを自動で作り出すツールです。
両者を連携させることで、これまで手作業で行っていた無駄なプロセスを削減し、情報共有のスピードを上げ、承認プロセスを簡素化するなど、組織全体の業務効率を飛躍的に向上させることができます。
SharePoint Designerのサポート終了は、Power Automateへの移行という大きな転換点ですが、これはより強力で柔軟な自動化の世界への扉を開くものです。ぜひ、この機会にPower Automateを学び、あなたの業務をさらにスマートに、そして効率的に変革していきましょう。

