SharePointの自動化が動かない!ワークフローが実行されない原因と解決策を徹底解説!
「SharePoint(シェアポイント)にファイルをアップロードしたのに、自動で動くはずのワークフローが始まらない…」「申請を提出したのに、承認依頼のメールが届かないんだよね」「自動で動くはずの連絡が来ないから、業務が滞ってしまうんだけど、どうすればいいの?」
こんな風に感じたことはありませんか? SharePointのワークフロー(自動化の仕組み)は、日々の業務をスムーズに進めるための大切な機能です。しかし、せっかく設定したワークフローが、いざという時に自動で実行されないと、とても困りますよね。これは、業務の効率を低下させるだけでなく、情報共有の遅れや、判断の遅延につながる可能性もあります。
SharePointのワークフローが実行されない原因はいくつか考えられますが、その多くは特定でき、適切な対処法を知っていれば、比較的簡単に解決できます。これは、ワークフロー自体の設定、連携先のSharePointの設定、あるいは一時的なシステム状況によるものかもしれません。
SharePointのワークフローってどんなもの?なぜ自動で動きたいの?
SharePointにおける「ワークフロー」とは、特定の業務プロセスを自動化するための一連の流れのことです。例えば、ファイルの承認、情報の通知、データの転記といった作業を、自動で実行するように設定できます。現代のSharePointでは、主にPower Automateというツールを使ってこれらのワークフローを構築します。
なぜワークフローを自動で動かしたいのか?その大きなメリット
ワークフローを自動的に実行させることには、たくさんの良い点があります。
- 手作業をなくして時間を節約: これまで手動で行っていた確認作業、メール送信、データ入力などの繰り返し作業を自動化することで、あなたの時間と労力が大幅に削減されます。
- ミスを減らして正確性アップ: 人が作業する際に起こりがちな、情報の見落とし、処理漏れ、入力ミスといったヒューマンエラーを防ぎ、業務の正確性を高めます。
- 業務のスピードを上げる: トリガー(きっかけ)が発生したらすぐに自動で次の処理が始まるため、業務のリードタイム(最初から最後までかかる時間)が短縮され、全体のスピードが向上します。
- どこに何があるか見える化: ワークフローの状況が可視化されることで、今どこで処理が止まっているのか、誰が次の作業をするべきなのかが明確になり、業務の透明性が向上します。
ワークフローが「自動で実行されない」主な原因
SharePointのワークフローが自動で始まらない場合、様々な理由が考えられます。エラーメッセージが出ないことも多いため、一つずつ確認していくことが大切です。
1. フロー(Power Automate)の設定に問題がある
ワークフローの自動化の仕組みそのものに、間違いや不足がある場合があります。
- トリガーの設定が正しくない:フローが動き出す「きっかけ」(トリガー)が、あなたが意図する状況で起動するようになっていないかもしれません。例えば、「SharePointでファイルが『変更されたとき』」を選んだのに、実際は「新しいファイルが『作成されたとき』」に動かしたかった、といったトリガーの選択ミスや、トリガーの条件(例:特定のファイル名で始まる場合のみ起動)が厳しすぎたり、間違っていたりすると、フローは起動しません。
- フローが「オフ」になっている:Power Automateのフロー自体が、何らかの理由で無効化(オフ)になっている可能性があります。これは、手動でオフにした場合や、無料版・試用版のライセンスで長期間(通常90日間)使われなかったために自動的にオフにされた場合などが考えられます。
- フローがエラーで停止している:以前の実行でフローがエラーになって停止したままになっていると、新しいトリガーが発生してもフローが起動しないことがあります。
- コネクタの接続が切れている:フローがSharePointやOutlook、Teamsといったサービスに接続するための情報(コネクション)が、パスワード変更や有効期限切れなどで無効になっていると、トリガーが正常に動作しないことがあります。
2. SharePoint側の設定に問題がある
ワークフローが連携しているSharePointのドキュメントライブラリやリストの設定が、自動開始の条件を満たしていない場合があります。
- コンテンツ承認の設定が不完全:SharePointのドキュメントライブラリで「コンテンツの承認を必須にする」設定が有効になっているのに、その後の承認プロセスがフローと正しく連携していない、あるいは承認が完了していないと、コンテンツが「保留中」のままで、ワークフローが自動で動かないことがあります。
- バージョン管理の設定の影響:ドキュメントライブラリで「メジャーバージョンとマイナーバージョン」が有効になっている場合、新しいファイルや変更が「下書き」(マイナーバージョン)として保存されたままで、正式な「メジャーバージョン」として発行されていないと、ワークフローが起動しないことがあります。
- ファイルのチェックイン忘れ:ドキュメントライブラリで「チェックアウトを必須にする」設定が有効な場合、ファイルを編集後に「チェックイン」しないと、その変更が「下書き」のままになり、ワークフローが起動しません。
3. ユーザーの権限や環境に問題がある
ワークフローを起動するユーザーや、フロー自体が使うアカウントの権限、あるいはパソコンの環境が原因の場合です。
- ワークフローを起動するユーザーの権限不足:SharePointのコンテンツをアップロード・変更するユーザー(フローのトリガーとなる操作を実行する人)が、そのコンテンツの「変更」や「アイテムの追加」権限しか持っておらず、ワークフローを開始するための十分な権限を持っていない場合があります。
- フローが使用する接続アカウントの権限不足:Power AutomateのフローがSharePointに接続するために使っているアカウント(コネクションの認証情報)が、ワークフローを起動したり、承認状況を更新したりするための十分な権限を持っていないと、フローが実行できません。
- ネットワークやブラウザの問題:パソコンのインターネット接続が不安定だったり、使っているWebブラウザに一時的な問題があったり、ブラウザのキャッシュが古い情報を持っていたりすることも、ワークフローの起動を妨げる原因になることがあります。
4. SharePoint環境やパフォーマンスの問題
ごく稀に、SharePoint環境自体の一時的な不具合や、マイクロソフト側のサービスに問題がある場合です。
- SharePointのスロットリング(API制限):短時間に大量のコンテンツがアップロード・変更されたり、多くのフローが起動しようとしたりする場合、SharePointが一時的に要求を制限(スロットリング)し、トリガーの起動が遅れたり、スキップされたりすることがあります。
- Microsoft 365サービスの一時的な不具合:マイクロソフトのSharePoint Onlineサービスや、Power Automateのサービスに、一時的な障害やメンテナンスが発生している場合。
3. ワークフローが「自動で実行されない」時の具体的な対処法
原因を特定し、以下の対処法を順番に試していくことが推奨されます。
対策1:Power Automateフローの状態と設定を確認する(まず試すべきこと)
これが最も重要で、多くの問題がここで解決します。
- フローが「オン」になっているか確認する:Power Automateポータル(https://www.google.com/search?q=make.powerautomate.com)にアクセスし、「マイ フロー」の一覧で、該当のフローのステータスが「オン」になっているか確認します。もし「オフ」になっていれば、「オンにする」をクリックして有効化してください。
- フローの実行履歴を確認する:フローの名前をクリックして詳細画面を開き、「28日間の実行履歴」を確認します。
- 「失敗」している場合: 赤いアイコンの実行記録をクリックし、どのステップで、どのようなエラーメッセージが出ているかを詳しく確認します。エラーメッセージは、原因を特定する重要な手がかりになります。
- 「スキップ」されている場合: 実行履歴に「スキップ」と表示されている場合、フローのトリガー条件が満たされていない可能性があります。トリガー条件を見直してください。
- そもそも実行履歴がない場合: フローが全く起動していないことを意味します。トリガーの設定(サイトのアドレス、リスト名、フォルダーなど)が正しいか、そしてトリガーの詳細な条件が厳しすぎないかを確認します。
- コネクションが有効か確認し、再認証する:Power Automateの左メニュー「データ」→「接続」に進みます。該当のSharePointコネクタの接続が「無効」や「エラー」になっていないか確認します。もしそうであれば、「接続を修正」または「再接続」を選んで、正しいユーザー名とパスワードで再認証を行います。多要素認証(MFA)が有効な場合は、MFAの承認も忘れずに行います。
対策2:SharePoint側の設定を見直す
SharePointのドキュメントライブラリやリストの設定が、ワークフローの起動に影響している場合があります。
- 「コンテンツの承認を必須にする」設定を確認・有効化する:ワークフローを適用したいドキュメントライブラリの「ライブラリの設定」を開き、「バージョン設定」をクリックします。「送信されたアイテムの承認を必須にする」の項目が「はい」に設定されていることを確認します。もし「いいえ」になっていたら「はい」に変更し、「OK」をクリックします。
- 「チェックアウトを必須にする」場合は、必ず「チェックイン」する:ドキュメントライブラリの「バージョン設定」で「ドキュメントを編集する前に必ずチェックアウトをする」が「はい」になっている場合、ファイルを編集した後、必ず「チェックイン」操作を行ってください。チェックインしないと、その変更は「下書き」のままになり、承認ワークフローが起動しません。
- 「下書きアイテムのセキュリティ」設定を確認する:「バージョン設定」の中の「下書きアイテムのセキュリティ」(誰が下書きアイテムを表示できるか)が、「承認済みバージョンのユーザーのみ」や「アイテムを承認するユーザー」に設定されていると、ワークフローが下書きを認識しにくいことがあります。一時的に「アイテムを読み取りできるすべてのユーザー」に設定変更して、問題が解決するか試すことも検討してください。
対策3:ユーザーの権限を確認・付与する
ワークフローに関連するユーザーや、フロー自身が使うアカウントの権限が適切かを確認します。
- コンテンツを作成・変更するユーザーの権限を確認する:ワークフローを起動するきっかけとなるSharePointのコンテンツを操作するユーザーが、そのドキュメントライブラリやリストに対して「編集」権限以上を持っていることを確認します。
- Power Automateフローの接続アカウントの権限を確認する:フローが使用しているSharePointへの接続アカウント(通常はフローの所有者や設定されたサービスアカウント)が、対象のSharePointサイトやコンテンツに対して、フローが実行する操作(例:アイテムの追加、更新、承認状況の変更、ファイル削除など)に必要な十分な権限(通常は「編集」または「フルコントロール」)を持っていることを確認します。不足していれば、SharePoint管理者に権限の付与を依頼し、その上でフローの接続を再認証してください。
対策4:ネットワークやブラウザの問題を確認する
パソコンの環境やネットワークの一時的な問題が原因であることもあります。
- インターネット接続の安定性を確認する:インターネット接続が不安定な場合、SharePointでの操作が正しくサーバーに伝わらず、ワークフローのトリガーが起動しないことがあります。安定したネットワーク環境で再度試すか、VPN接続を使っている場合はVPNを一時的に切断して試してみてください。
- ブラウザのキャッシュをクリアする:使用しているWebブラウザのキャッシュとCookieをすべてクリアし、ブラウザを再起動してから再度コンテンツの操作を行い、ワークフローが起動するか確認します。
対策5:SharePoint環境やパフォーマンスの問題を確認する
ごく稀に、SharePoint環境自体やマイクロソフトのサービス側で問題が発生している場合です。
- Microsoft 365 サービス正常性ダッシュボードを確認する:会社のMicrosoft 365管理者に依頼し、Microsoft 365 管理センターの「サービス正常性」ダッシュボードで、SharePoint OnlineやPower Automateサービスに障害が発生していないか確認してもらいます。
- 時間をおいて再試行する:一時的な遅延やスロットリング(API制限)が原因の場合、数分から数時間待ってから再度コンテンツの作成・変更を試すと、自動でワークフローが起動することがあります。
ワークフローを確実に自動開始させるための「大切なポイント」
SharePointのワークフローを安定して自動開始させるためには、上記のような原因を特定し解決するだけでなく、日頃からの予防策も非常に重要です。
1. フローの「トリガー条件」を細かく設定する(無限ループ防止にも)
Power Automateフローが「項目が変更されたとき」をトリガーにしている場合、フロー自身が項目を更新すると、それが再びトリガーを起動し、無限ループに陥る可能性があります。これを防ぐために、トリガーの「設定」で、「トリガーの条件」を追加し、「変更者がフローのアカウント以外である場合のみ」起動するように設定することを強くお勧めします。これにより、不要な再起動を防ぎ、フローの安定性を高めます。
2. Power Automateフローの「接続アカウント」は常に有効か確認する
フローの接続アカウントのパスワードが変更されたり、認証が切れたりすると、フローがSharePointにアクセスできず、トリガーが起動しない、または途中で失敗します。定期的にPower Automateポータルの「接続」画面を確認し、SharePointへの接続が常に「有効」であることを確認し、必要に応じて再認証を行ってください。
3. エラーハンドリングと通知を設定する
ワークフローが自動開始されない、または途中で失敗した場合に備えて、必ず「エラーハンドリング」を設定し、問題が発生したことを管理者へ通知する仕組みを構築しておきましょう。例えば、フローがエラーになったら自動でメールやTeamsに通知が飛ぶように設定します。これにより、問題発生時にすぐに気づき、迅速に対応できます。
4. テスト環境での十分な検証を行う
本番環境で運用する前に、必ずテスト環境でフローを十分にテストしてください。
- 様々なシナリオでのテスト: ファイルの新規作成と更新、異なるユーザーでの操作、トリガー条件を満たす場合と満たさない場合の両方でテストし、フローが期待通りに起動するかを確認します。
- エラーシナリオのテスト: わざとエラーを発生させるような状況を作り出し(例: ファイル名に不正な文字を含める、権限がないユーザーで操作する)、フローがエラーハンドリング通りに動作するかを確認します。
5. ドキュメントライブラリの「バージョン管理」と「承認設定」を理解・適切に運用する
コンテンツ承認が絡むワークフローの場合、SharePointのドキュメントライブラリの「バージョン設定」が非常に重要です。
- 「送信されたアイテムの承認を必須にする」は「はい」に設定しましょう。
- 「下書きアイテムのセキュリティ」は、誰が下書きを見れるかに影響します。ここが厳しすぎると、ワークフローが下書きを認識しにくいことがあります。
- 承認されたら、Power Automateフローで自動的に「発行」アクションを追加するか、ユーザーが手動で「発行」を行うように徹底します。これが、アイテムを「確定」させるために不可欠なステップです。
SharePointのワークフローが自動的に開始されない問題は、設定の細かな部分に原因があることがほとんどです。上記で解説した原因と対処法を一つずつ確認し、ベストプラクティスを実践することで、あなたはこれらの問題を解決し、ワークフローをよりスムーズで信頼性の高いものにできるでしょう。

