Power AutomateとTeamsで労働時間超過アラートを自動通知する!
「労働時間が長くなっているメンバーに気づくのが遅れる」「残業過多になっていないか心配だけど、手動でのチェックは大変」「従業員の健康とコンプライアンスを守るための対策を強化したい」。労働時間の適切な管理は、従業員の健康を守り、企業のコンプライアンスを遵守する上で非常に重要です。しかし、日々変動する勤務時間を常に監視し、適切なタイミングで対応するのは、手間がかかり、見落としのリスクも伴いがちですよね。
Power AutomateとTeams、そして勤怠データを管理するシステム(ここではSharePointリストまたはExcelを想定)を組み合わせることで、従業員の労働時間超過を自動で検知し、本人や上長、人事・総務部門へ迅速にTeamsでアラート通知する仕組みを構築できます。
なぜ労働時間超過アラートの自動通知が大切なのでしょう?
従業員の労働時間を適切に管理することは、企業の社会的責任であり、生産性にも直結します。アラート通知の自動化がもたらす具体的なメリットについて、一緒に見ていきましょう。
従業員の健康と安全を守れるから
長時間労働は、従業員の心身の健康を損ない、過労死やメンタルヘルスの問題に繋がる可能性があります。自動アラート通知は、労働時間が事前に設定した閾値を超過しそうになったり、実際に超過したりした従業員を即座に検知し、本人や上長へ通知します。これにより、無理な働き方を未然に防ぎ、従業員の健康と安全を守るための早期介入を可能にします。
企業のコンプライアンス遵守を徹底できるから
労働基準法などの法令では、労働時間の上限(法定労働時間、36協定など)が定められています。これらの規定に違反すると、企業は法的責任を問われるだけでなく、社会的信用を失うリスクもあります。自動アラート通知システムは、労働時間に関する法令遵守を徹底するための強力なツールとなり、コンプライアンス違反のリスクを大幅に低減します。
人事・総務部門の負担を大幅に軽減できるから
従業員一人ひとりの労働時間を手動でチェックし、超過者に連絡したり、上長に報告したりする作業は、特に従業員数が多い企業では大きな負担となります。自動アラート通知システムを導入することで、これらの定型的な監視・連絡業務から解放され、担当者はより戦略的な人材管理や、労働環境の改善といった、価値の高い業務に集中できるようになります。
早期の課題発見と是正措置を可能にするから
労働時間の超過は、単に個人の問題だけでなく、業務量の偏り、プロセスの非効率性、人員不足といった組織全体の課題を示している場合があります。自動アラート通知は、特定の部署やチームで労働時間超過が頻発していることを可視化し、組織的な課題を早期に発見できます。これにより、業務改善や人員配置の見直しといった是正措置を迅速に講じることが可能になります。
構築システムの準備を始めましょう
労働時間超過アラートの自動通知システムを作る前に、いくつか確認し、準備しておくべきことがあります。これらを事前に整理しておくことで、スムーズに自動化を進められます。
勤怠データの「置き場所」を決めましょう
Power Automateが労働時間を計算し、超過を検知するためには、その勤怠データがどこかに保存されており、Power Automateからアクセスできる必要があります。ここでは、「SharePointリスト」または「Excelファイル」を想定します。
- SharePointリストの活用(推奨):
- 人事・総務部門用のSharePointサイトを選択または新規作成します。
- リスト名(例:
日次勤怠データ)で新しいリストを作成します。 - 必要な列の追加(例):
- タイトル(既定): 氏名
- 社員番号: テキスト(1行)
- 日付: 日付と時刻
- 出勤時刻: 日付と時刻(タイムスタンプ)
- 退勤時刻: 日付と時刻(タイムスタンプ)
- 休憩時間(分): 数値
- 実労働時間(時間): 数値(計算列またはPower Automateで計算)
- 担当部署: テキスト(1行)
- 上長メールアドレス: テキスト(1行、通知用)
- アラートステータス: 選択肢(例:
正常、超過警告、超過確定) - 最終アラート通知日時: 日付と時刻(重複通知防止用、Power Automateで自動更新)
- ヒント: 勤怠打刻システムからSharePointリストに自動でデータを取り込むフローを別に作成しておくと便利です。
- Excelファイル(OneDrive for Business / SharePointに保存):
- 従業員の勤怠データがExcelファイルに記録されている場合。Excelファイルのテーブル形式でデータを管理している必要があります。
- 列の例:
日付,社員番号,氏名,出勤時刻,退勤時刻,休憩時間(分),実労働時間(時間),部署,上長メールアドレス。
労働時間超過の「閾値」を決めましょう
どのような基準で労働時間超過を判断し、アラートを出すのかを具体的に設定します。
- 日次労働時間: 8時間超、10時間超など。
- 週次労働時間: 40時間超、50時間超など(集計が必要)。
- 月次労働時間: 月60時間超残業など(集計が必要)。
- 警告ラインと確定ライン: 例:月40時間超で「警告」、月60時間超で「確定アラート」。
通知を送るTeamsの「場所」を決めましょう
労働時間超過のアラートを、どこに、誰に対して送りたいのかを決定します。
- 本人への個人チャット: 最も重要です。自身の労働時間超過に気づかせ、状況確認や業務調整を促します。
- 上長への個人チャット: 担当従業員の労働時間超過状況を把握させ、業務負荷の調整や指導を促します。
- 人事・総務部門チャネル: 全社的な超過状況の把握、コンプライアンス管理用(例:
人事部_労働時間アラート)。 - 部署別チャネル: 特定の部署で超過者が多い場合の全体的な注意喚起用。
アラートメッセージの内容とタイミングを考えましょう
自動で送信されるアラートメッセージは、簡潔かつ明確で、受け手が次の行動に移しやすい情報が過不足なく含まれている必要があります。
- タイミングの例:
- 日次: 退勤打刻後(その日の労働時間超過時)または翌朝(前日の労働時間超過時)。
- 週次/月次: 毎週/毎月の労働時間集計後。
- メッセージの例:
- 件名:
【🚨労働時間超過アラート】〇月〇日_労働時間が〇時間を超えています - 本文(本人向け):
- 「〇〇様、〇月〇日の労働時間が〇時間を超えています。健康に留意し、業務調整にご協力ください。」
- 「この通知に関するご不明点は上長または人事担当者まで。」
- 勤怠データへのリンク。
- 本文(上長向け):
- 「〇〇(部下氏名)の〇月〇日の労働時間が〇時間を超えました。業務負荷の調整にご配慮ください。」
- 部下の勤怠データへのリンク。
- 重要度: Power AutomateのTeamsアクションで「重要度」を「重要」または「緊急」に設定することを検討します。
- 件名:
Power Automateで自動化を設定しましょう(基本編)
ここからはいよいよ、Power Automateを使って労働時間超過アラートの自動通知フローを作成していきます。ここでは、SharePointリストに記録された日次勤怠データを基に、日次労働時間超過を検知し、本人と上長へTeamsで通知する基本的なフローから見ていきましょう。
フローを作成する場所を決めましょう
Power Automateのウェブサイトにアクセスし、左側のメニューから「作成」を選択します。今回は、毎日特定の時間にフローを実行し、対象となる勤怠データを検索して通知するフローなので、「スケジュール済みクラウド フロー」を選択します。
トリガーを設定しましょう
フローのトリガーとは、「いつ」このフローを実行するかを決定するものです。ここでは、「毎日特定の時間にフローを実行する」というスケジュールトリガーを設定します。
作成例1:日次労働時間超過を検知し、本人と上長へTeams通知
このフローは、毎日実行され、前日分の勤怠データを確認し、日次労働時間(例: 8時間)を超過した従業員を検知して、本人と上長へTeamsチャットでアラート通知を送信します。
- Power Automateにサインインします。お使いのMicrosoft 365アカウントでPower Automateのウェブサイト(https://make.powerautomate.com/)にアクセスし、サインインします。
- 「作成」から「スケジュール済みクラウド フロー」を選択します。左側のナビゲーションペインにある「作成」をクリックし、表示されるオプションの中から「スケジュール済みクラウド フロー」を選択します。
- フロー名を指定し、トリガーを設定します。フロー名には「労働時間超過アラート_日次」など、分かりやすい名前を付けます。
- 繰り返し間隔: 「
1」日、「日」を選択します。 - 開始時刻: 毎日フローを実行したい時刻(例:
09:00、前日分確認用)を設定します。 - 「作成」をクリックします。
- 繰り返し間隔: 「
- 新しいステップを追加し、対象日付(前日)を設定します。
- 「タイムゾーンの変換 (日付と時刻)」アクション:
- 基本時間:
addDays(utcNow(), -1)(前日の日付を取得) - ソース タイム ゾーン: 「協定世界時」
- ターゲット タイム ゾーン: 「(UTC+09:00) 大阪、札幌、東京」
- 書式設定文字列: 「
yyyy-MM-dd」 - 補足: これを
TargetDateという変数に格納すると後で使いやすいです。
- 基本時間:
- 「タイムゾーンの変換 (日付と時刻)」アクション:
- 新しいステップを追加し、SharePointリストから前日の勤怠データを取得します。「アイテムの取得 (SharePoint)」アクションを追加します。
- サイトのアドレス:
日次勤怠データリストを作成したSharePointサイトのURLを選択します。 - リスト名:
日次勤怠データリストを選択します。 - フィルタークエリ:
日付 eq '@{variables('TargetDate')}' and 実労働時間 ge 8- 補足: これは「日付が前日」で、かつ「実労働時間が8時間以上」のアイテム(勤怠データ)を抽出します。
実労働時間はSharePointリストの列名。
- 補足: これは「日付が前日」で、かつ「実労働時間が8時間以上」のアイテム(勤怠データ)を抽出します。
- サイトのアドレス:
- 新しいステップを追加し、取得した各勤怠データに対して処理を繰り返します。「アプライ トゥー イーチ」コントロールを追加し、「アイテムの取得」アクションの値を選択します。
- 「アプライ トゥー イーチ」の中に労働時間超過を判断する条件分岐を設定します。
- 「条件」アクション:
- 左側の値:
@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['実労働時間']}(取得した実労働時間) - 演算子: 「次の値より大きい」
- 右側の値:
8(日次8時間超過の場合の閾値)
- 左側の値:
- 「条件」アクション:
- 「はい」のパス(労働時間超過の場合)に、本人と上長へのTeams通知アクションを追加します。
- (本人への通知)「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション:
- 投稿者: Flow bot
- 投稿先: チャット
- 受信者:
アプライ トゥー イーチ内のアイテムから取得した打刻者の「打刻者メールアドレス」を選択します。 - メッセージ:
@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['Title']}様 【労働時間超過アラート】 昨日の労働時間(@{variables('TargetDate')})が@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['実労働時間']}時間でした。 健康に留意し、業務調整にご協力ください。 ▼勤怠詳細はこちら [勤怠ログ]@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['WebUrl']} - 重要度: 「重要」を選択します。
- (上長への通知)「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション:
- 投稿者: Flow bot
- 投稿先: チャット
- 受信者:
アプライ トゥー イーチ内のアイテムから取得した「上長メールアドレス」を選択します。 - メッセージ:
@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['上長メールアドレス']?['DisplayName']}様 【部下労働時間超過アラート】 @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['Title']}さんの労働時間(@{variables('TargetDate')})が@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['実労働時間']}時間でした。 業務負荷の調整にご配慮をお願いいたします。 ▼勤怠詳細はこちら [勤怠ログ]@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['WebUrl']} - 重要度: 「重要」または「緊急」を選択します。
- (本人への通知)「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション:
- 新しいステップを追加し、SharePointリストの「アラートステータス」と「最終アラート通知日時」を更新します。これは、同じ超過に対して何度も通知しないための重複防止策です。
- 「項目を更新します (SharePoint)」アクション:
- サイトのアドレス: SharePointサイト
- リスト名:
日次勤怠データ - ID:
アプライ トゥー イーチ内のアイテムのID - アラートステータス: 「
超過確定」に更新。 - 最終アラート通知日時:
utcNow()(式から取得)
- 「項目を更新します (SharePoint)」アクション:
- フローを保存してテストします。画面右上の「保存」をクリックします。保存後、「テスト」をクリックし、「手動」を選択して「テスト」をクリックします。SharePointリスト(日次勤怠データ)に、テスト用の勤怠データ(日付を前日に設定し、実労働時間を9時間など閾値より大きい値に設定)を登録します。Power Automateのフロー実行履歴を確認し、本人と上長のTeamsにアラート通知が届いていることを確認します。
アクションを設定しましょう
トリガーが発動したら、次に「何を」するのかを設定します。これがアクションです。
- スケジュールアクション:
- 「繰り返し」: 毎日特定の時間にフローを実行するためのトリガー。
- データ操作アクション:
- 「タイムゾーンの変換」: 日付を整形したり、タイムゾーンを合わせたりするために使用します。
- 「作成」: 日数計算など、一時的なデータ処理に使用します。
- SharePointアクション:
- 「アイテムの取得」: 日次勤怠データリストから、対象期間の勤怠情報を取得します。
- 「項目を更新します」: 勤怠データのアラートステータスや最終アラート通知日時を更新し、通知が重複しないように管理します。
- 制御アクション:
- 「アプライ トゥー イーチ」: 取得した各勤怠データに対してループ処理を行います。
- 「条件」: 労働時間超過や重複通知の有無を判断します。
- Teamsアクション:
- 「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する」: 本人や上長へアラート通知を送信します。
- 「重要度」の設定: このアクションの設定項目の中に、「重要度」というドロップダウンがあります。緊急性に応じて「重要」または「緊急」を選択します。
通知メッセージのカスタマイズをしましょう
メッセージの内容は、動的なコンテンツを利用して、打刻者名、対象日付、実労働時間、閾値、勤怠詳細へのリンクなどを自動的に埋め込むことができます。
- 打刻者名:
Title(SharePointリストの打刻者名) - 対象日付:
TargetDate(計算した日付変数) - 実労働時間:
実労働時間(SharePointリストの列名) - 勤怠詳細リンク:
WebUrl(SharePointリストアイテムへの直接リンク) - 上長名:
上長メールアドレス/DisplayName(SharePointリストのユーザー列)
これらの情報をメッセージ本文に適切に配置することで、受け取った担当者が、誰が、いつ、どの程度超過しているのか、そして次に何をすべきかを、一目で把握できるように工夫しましょう。簡潔で分かりやすいメッセージと、すぐにアクセスできる詳細リンクが重要です。
Power Automateで自動化を設定しましょう(応用編)
基本編で作成したフローをさらに便利にするための応用テクニックを見ていきましょう。
週次・月次労働時間超過も検知して通知する
日次だけでなく、週次や月次の総労働時間(残業時間)を集計し、設定した閾値を超過した場合にもアラートを送信することで、より包括的な労働時間管理を実現します。
作成例2:週次・月次労働時間超過も検知して通知するPower Automateフロー(別フロー)
このフローは、毎週または毎月特定の日に実行され、従業員ごとの総労働時間を集計し、超過者を検知します。
- 新しいフローを「スケジュール済みクラウド フロー」として作成します。
- フロー名:「労働時間超過アラート_週次/月次」
- 繰り返し: 毎週月曜日(週次用)または毎月1日(月次用)。
- 新しいステップを追加し、対象期間(前週/前月)を設定します。
- 「タイムゾーンの変換 (日付と時刻)」アクション:
startOfWeek(addWeeks(utcNow(), -1))(前週の開始日)またはstartOfMonth(addMonths(utcNow(), -1))(前月の開始日)を計算。 - 「タイムゾーンの変換 (日付と時刻)」アクション:
endOfWeek(addWeeks(utcNow(), -1))(前週の終了日)またはendOfMonth(addMonths(utcNow(), -1))(前月の終了日)を計算。 - これらの日付を変数に格納します(例:
PeriodStartDate,PeriodEndDate)。
- 「タイムゾーンの変換 (日付と時刻)」アクション:
- 新しいステップを追加し、全従業員のリストを取得します。
- 「アイテムの取得 (SharePoint)」アクション(
社員名簿リストなど)または「グループメンバーの取得 (Azure AD)」アクション。
- 「アイテムの取得 (SharePoint)」アクション(
- 新しいステップを追加し、各従業員に対して処理を繰り返します。「アプライ トゥー イーチ」コントロールを追加し、全従業員のリストをループします。
- 「アプライ トゥー イーチ」の中に、対象期間の勤怠データを取得し、労働時間を集計します。
- 「アイテムの取得 (SharePoint)」アクション:
日次勤怠データリストから、アプライ トゥー イーチ内の従業員、かつPeriodStartDate~PeriodEndDateの勤怠データを取得。 - 「選択」アクション: 取得した勤怠データから「実労働時間」の数値だけを抽出して配列にします。
- 「作成」アクション:
TotalWorkHours変数を作成し、sum(outputs('選択'))で合計労働時間を計算します。
- 「アイテムの取得 (SharePoint)」アクション:
- 「アプライ トゥー イーチ」の中に労働時間超過を判断する条件分岐を設定します。
- 「条件」アクション:
- 左側の値:
TotalWorkHours - 演算子: 「次の値より大きい」
- 右側の値: 週次40時間、月次160時間など、閾値に応じて設定。
- 左側の値:
- (オプション)重複通知防止: 最終アラート通知日時やアラートステータスを確認する条件を追加。
- 「条件」アクション:
- 「はい」のパス(労働時間超過の場合)に、本人、上長、人事へのTeams通知アクションを追加します。
- 日次アラートと同様のメッセージ内容で、週次/月次の集計期間と合計時間を明記します。
- 重要度: 「重要」または「緊急」を選択します。
- SharePointリストの更新: 従業員の労働時間管理用リスト(例:
従業員別月次勤怠サマリー)を作成し、そこに超過フラグや最終アラート日時を記録するように更新します。
- フローを保存してテストします。テスト用の勤怠データをSharePointリストに複数登録し、スケジュール実行でフローが動作し、超過者に通知が届くことを確認します。
労働時間超過の状況をダッシュボードで可視化する(Power BI連携)
SharePointリストに蓄積された勤怠データをPower BIで可視化し、部署ごとの平均労働時間、超過者数、特定の期間の残業時間推移などをダッシュボードで一目で確認できるようにします。Teamsチャネルにタブとして埋め込むと、常時アクセス可能な「見える化」のハブとなります。
作成例3:労働時間超過の状況をダッシュボードで可視化する(Power BI連携)
これはPower Automateのフロー自体ではなく、Power BIとTeamsの連携機能です。
- SharePointリストのデータ準備:
- 上記フローでデータを自動登録している
日次勤怠データリストが、Power BIのデータソースとなります。
- 上記フローでデータを自動登録している
- Power BI Desktopでレポート作成:
- Power BI Desktopを開き、「データの取得」から「SharePointオンラインリスト」を選択し、
日次勤怠データリストをデータソースとして追加します。 - リストのデータを使い、以下のレポートを作成します。
- 棒グラフ: 部署ごとの合計労働時間、平均労働時間。
- 折れ線グラフ: 日次/週次の合計労働時間の推移。
- テーブル: 労働時間超過者の一覧(氏名、日付、時間数、上長など)。
- KPIカード: 今月の超過確定者数、今週の平均残業時間。
- これらのレポートを分かりやすいダッシュボードにまとめます。
- Power BI Desktopを開き、「データの取得」から「SharePointオンラインリスト」を選択し、
- Power BI Serviceに発行:
- 作成したレポートをPower BI DesktopからPower BI Service(クラウドサービス)に発行します。
- TeamsにPower BIレポートをタブとして追加:
- Teamsを開き、労働時間状況を可視化したいチャネル(例:
人事部_勤怠管理)を選択します。 - チャネルの上部にある「+」ボタンをクリックし、新しいタブを追加します。
- 「Power BI」アプリを検索して選択します。
- 表示されたワークスペースから、先ほど発行したレポートまたはダッシュボードを選択します。
- 「保存」をクリックします。
- Teamsを開き、労働時間状況を可視化したいチャネル(例:
メリット: 人事・総務部門やチームリーダーはTeamsを離れることなく、常に最新の労働時間状況ダッシュボードを確認できます。これにより、問題の早期発見、ボトルネックの特定、是正措置の検討をデータに基づいて行うことができます。
エラー対策とトラブルシューティングを確認しましょう
Power Automateフローは、確実に動作することが求められます。特に労働時間管理は、従業員の健康や給与計算、企業のコンプライアンスに直結するため、その信頼性が非常に重要ですし、誤作動は避けたいものです。よくあるエラーとその対策、そしてトラブルシューティングのポイントをご紹介します。
権限不足のエラーが出た場合
「アクセスが拒否されました」といったエラーメッセージが表示される場合、Power AutomateがSharePointのリストを操作したり、Teamsにメッセージを送信したりするための権限が不足している可能性があります。
対策: フローを実行するアカウントが、対象のSharePointリストに対して「編集」権限(作成・更新のため)と、Teamsチャネルへのメッセージ投稿権限、個人チャットへのメッセージ送信権限を持っていることを確認してください。人事・総務部門やシステム管理者がフローを作成・管理するのが望ましいでしょう。
SharePointリストのデータ型不一致の場合
勤怠データをSharePointリストに登録・更新する際、列のデータ型とフローから送られるデータの型が一致しない場合にエラーが発生することがあります。特に、実労働時間のような計算結果を数値列に格納する場合や、日付形式に注意が必要です。
対策
- SharePointリストの列のデータ型と、Power Automateで処理する際のデータ型が一致しているか確認します。
formatDateTime()を使用して、日付や時刻の形式を変換・整形するようにしましょう。- 数値列には
int()やfloat()を使って明示的に数値に変換しましょう。 - ユーザー列には、メールアドレス形式の値を渡す必要があります。
通知がTeamsに届かない場合(フローは成功しているのに)
Power Automateの実行履歴ではフローが「成功」しているのに、Teamsに通知が届かない場合があります。
対策
- Teamsの通知設定: 受信者(従業員本人、上長など)のTeamsアプリの通知設定で、Flow botからの通知がブロックされていないか、ミュートされていないかなどを確認してください。
- 受信者のメールアドレス: Teamsのチャット通知の場合、受信者のメールアドレスが正確であるかを確認しましょう。SharePointリストのメールアドレスが最新であるかを定期的に確認する運用も重要です。
- 接続の正常性: Power Automateの「データ」→「接続」で、Teamsへの接続が正常に確立されているかを確認しましょう。
フローの履歴を確認しましょう
エラーが発生した場合や、フローが意図通りに動作しない場合は、Power Automateのフロー実行履歴を確認することが最も重要ですされます。
手順
- Power Automateの「マイ フロー」から、該当のフローを選択します。
- 「実行履歴」タブをクリックします。
- 失敗した実行、または成功したものの動作が怪しい実行を選択すると、フローの各ステップがどのように実行されたか、どこでエラーが発生したか、そして入力/出力データやエラーメッセージの詳細を確認できます。
ポイント: 各アクションの「入力」と「出力」を確認することで、どのデータがどのように処理され、どこで問題が発生したのかを詳細に把握できます。特にSharePointリストからの「アイテムの取得」アクションで、期待通りの勤怠データが抽出されているか、フィルタークエリが正しく機能しているかを確認しましょう。
セキュリティとアクセス管理を確認しましょう
従業員の労働時間データは、個人の健康やプライバシーに関わる非常に機密性の高い個人情報です。自動化システムを構築する際は、セキュリティとアクセス管理に細心の注意が必要です。
SharePointリストの権限設定を適切にしましょう
日次勤怠データリストに保存されたデータは、誰が閲覧・編集できるべきかを厳密に管理する必要があります。
- 編集権限: 人事・総務部門の限られたメンバーにのみ「編集」権限を付与しましょう。
- 閲覧権限: 上長は、自身の部下の勤怠データのみを閲覧できるように設定し、他の従業員のデータは閲覧できないようにしましょう。従業員は原則として、自分自身のデータのみ閲覧可能とします。
- 最小限の原則: 必要な人にのみ最小限の権限を与えましょう。
- グループの活用: 個々のユーザーに権限を付与するのではなく、Active DirectoryグループやMicrosoft 365グループを利用して権限を管理することで、運用が容易になります。
Teamsチャネル/チャットの権限設定を適切にしましょう
労働時間超過アラート通知が送信されるTeamsチャネルやチャットのメンバーシップも適切に管理しましょう。
- 個人チャットの利用: 本人や上長への通知は、個人チャットが最も安全で適切です。
- プライベートチャネルの利用: 人事・総務部門向けの労働時間アラートチャネルは、必ず「プライベート」チャネルとし、関係者以外が閲覧できないようにしましょう。
- 一般チャネルへの通知の制限: 全員がアクセスできる「一般」チャネルには、労働時間に関するアラートは原則として投稿しないようにしましょう。
フローの作成と実行権限を管理しましょう
この自動化フローは、従業員の勤怠情報という重要な個人情報を扱うため、不用意に作成・変更・実行できないように、適切な権限管理が必要です。
- フロー作成者の制限: 重要なフローの作成権限は、人事・総務部門の責任者や特定のシステム管理者にのみ付与することを検討しましょう。
- 共有の最小化: フローを他のユーザーと共有する際は、実行のみの権限に限定し、共同所有者としての共有は慎重に検討しましょう。共同所有者はフローを編集できるため、意図しない変更のリスクがあります。
- サービスアカウントの利用: フローの実行アカウントが個人アカウントではなく、専用のサービスアカウントであれば、個人の人事異動や退職の影響を受けにくく、権限管理も一元化しやすいでしょう。
個人情報保護への配慮を忘れずに
従業員の勤怠情報は、氏名、労働時間、部署といった個人情報を含むため、個人情報保護法などの関連法令や社内規定を遵守するよう細心の注意を払いましょう。
- 利用目的の明確化: 勤怠情報の収集目的を従業員に明確に伝え、同意を得ましょう。
- 安全な保管: 不必要なアクセスを制限し、データの安全な保管に努めましょう。
- 保持期間の検討: 勤怠情報の保持期間を定め、期間経過後は適切に廃棄する運用を検討しましょう。
まとめ
Power AutomateとTeams、SharePointリストを組み合わせることで、労働時間超過アラートを自動化する方法について、基本的な設定から応用、エラー対策、そしてセキュリティとアクセス管理まで、詳細に解説してきました。
この自動化されたアラートシステムは、労働時間超過を早期に検知し、従業員の健康を守り、企業のコンプライアンスを遵守するための強力なツールとなるでしょう。結果として、人事・総務部門の業務効率向上と、従業員が安心して働ける環境づくりに大きく貢献できます。

