Power AutomateとTeamsで緊急連絡網を自動化する!
災害発生時やシステム障害、あるいは予期せぬ緊急事態が発生した際、関係者への連絡に手間取った経験はありませんか?「誰に連絡すればいいかリストが古い」「電話がつながらない」「情報が錯綜して混乱した」。緊急時に迅速かつ正確な情報伝達を行うことは、被害の最小化、従業員の安全確保、そして企業の信頼性維持において極めて重要です。しかし、手動での連絡や連携では、見落としやタイムラグが発生し、対応が遅れてしまうリスクがあります。
Power AutomateとTeams、そして緊急連絡先を管理するSharePointリストを組み合わせることで、緊急事態発生を自動で検知し、事前に定めた連絡網に基づいて関係者へ迅速にTeamsで通知する仕組みを構築できます。
なぜ緊急連絡網の自動化が大切なのでしょう?
緊急時の情報伝達は、その後の対応に大きな影響を与えます。連絡網を自動化することがもたらす具体的なメリットについて、一緒に見ていきましょう。
迅速な情報伝達で被害を最小限に抑えられるから
災害やシステム障害など、緊急時には一刻を争います。情報伝達が遅れると、問題が拡大したり、従業員の安全が確保できなかったりする可能性があります。自動通知システムは、問題発生を検知した時点で即座に関係者へ通知するため、迅速な状況把握と初期対応が可能になります。これにより、被害の拡大を防ぎ、従業員の安全を確保し、問題解決までの時間を大幅に短縮できるでしょう。
担当者への確実な情報共有で対応漏れを防げるから
緊急時に手動で関係者一人ひとりに連絡するのは、時間もかかり、連絡漏れのリスクも伴います。また、多忙な中でリストの更新が追いつかず、連絡先が古いといった問題も発生しがちです。自動通知システムは、事前に設定された情報(発生事象、対応指示など)をTeamsのメッセージとして正確に届け、グループや個人に確実に通知するため、情報共有の漏れやミスを防ぎます。
危機管理体制を強化し、企業の信頼性を守れるから
迅速かつ適切な危機管理対応は、企業の信頼性を維持する上で不可欠です。緊急事態発生時の自動通知は、組織全体としての対応体制を強化し、混乱を最小限に抑えます。これにより、企業としての対応力を高め、顧客や社会からの信頼を守ることに貢献します。平時から自動化された連絡網を整備しておくことは、非常時における冷静な判断と行動の基盤となるでしょう。
人的負担を軽減し、冷静な判断を促せるから
緊急時において、担当者は強いプレッシャーにさらされます。手動での連絡作業は、そのプレッシャーをさらに増大させ、焦りによるミスを引き起こす可能性があります。自動通知システムは、この連絡業務を肩代わりするため、担当者はより冷静に状況を判断し、問題解決に集中できるようになります。これにより、ヒューマンエラーのリスクを低減し、対応の質を高められるでしょう。
連絡網システムの準備を始めましょう
緊急連絡網の自動化システムを構築する前に、いくつか確認し、準備しておくべきことがあります。これらを事前に整理しておくことで、スムーズに自動化を進めることができます。
緊急連絡の「トリガー」を決めましょう
どのような状況で緊急連絡網を起動するのか、そのきっかけとなる「トリガー」を具体的に決定します。緊急連絡網は重要度が高いため、誤作動を防ぐための工夫が必要です。
- 緊急連絡フォームの送信: 従業員が利用する「緊急事態報告フォーム」(Microsoft FormsやPower Appsなど)が送信された場合。これが最も一般的で、情報を体系的に収集できる方法です。
- 特定のキーワードを含むメールの受信: 外部からの緊急通知メール、監視システムからのアラートメールなど、特定の件名や送信元、キーワードを含むメールを受信した場合。
- SharePointリストへの手動登録: 事態の発生を検知した担当者が、SharePointリストに情報を登録した場合。
- 手動でのフロー起動: Power AutomateのモバイルアプリやTeamsのPower Automateアプリから、承認を得た上で手動でフローを起動する(緊急時、担当者が判断して発動する場合)。
緊急連絡網の「連絡先リスト」を準備しましょう
連絡網の肝となるのは、誰に連絡するかです。連絡先情報を一元的に管理するためのSharePointリストを作成しましょう。
- SharePointリストの作成:
- 人事部門や総務部門、または危機管理部門用のSharePointサイトを選択または新規作成します。
- リスト名(例:
緊急連絡網リスト)で新しいリストを作成します。 - 必要な列の追加(例):
- タイトル(既定): 氏名
- メールアドレス: テキスト(1行)
- 所属部署: テキスト(1行)または選択肢
- 役職: テキスト(1行)
- 連絡区分: 選択肢(例:「全社員」「役員」「IT部門」「管理部門」「〇〇拠点」など)。通知対象を絞り込むために重要です。
- 連絡方法(Teams): はい/いいえ(Teams通知の可否)
- 連絡方法(SMS): はい/いいえ(SMS通知の可否、別途SMSサービス連携が必要)
- 連絡方法(電話): はい/いいえ(電話通知の可否、別途サービス連携が必要)
- 備考: 複数行テキスト
緊急連絡を送るTeamsの場所を決めましょう
緊急連絡網による通知を送るTeamsのチャネルや、担当者への個人チャットを事前に決めておきましょう。
- 緊急連絡網チャネル: 災害時やシステム障害時など、緊急事態に特化した専用のTeamsチャネル(例:
緊急連絡網_全社、〇〇拠点_緊急連絡)を作成し、関係者全員がそのチャネルに参加していることを確認します。このチャネルは、「プライベート」にし、限られたメンバーのみがアクセスできるようにすることが重要です。 - 個人への通知: 各個人のTeamsチャットへ直接通知します。これが最も確実な連絡方法の一つです。
- (オプション)部署別チャネル: 状況に応じて、関連する部署のチャネルにも通知します。
緊急通知メッセージの内容を考えましょう
緊急通知のメッセージは、簡潔かつ明確で、従業員が次に取るべき行動が分かる情報が過不足なく含まれている必要があります。Teamsの「緊急」オプションを利用すると、通知が既読になるまで繰り返されるため、メッセージの内容は特に重要です。
- 件名:
【🚨緊急連絡】〇〇発生!対応確認!のように、冒頭で緊急性を明確にします。 - 何が起きたか: 状況の概要を簡潔に伝えます(例: 「震度6強の地震発生」「全社システム停止」)。
- 発生日時と場所/対象: いつ、どこで、何に対して問題が発生したのかを具体的に。
- 影響範囲: どの程度の影響があるのかを記載します(例: 「〇〇ビル全従業員」「全システム利用不可」)。
- 取るべき行動: 最も重要です。 従業員が次に取るべき行動を明確に指示します(例: 「自宅待機してください」「業務を中断し避難してください」「システムAの利用を停止してください」)。
- 詳細情報へのリンク: 問題の詳細が記載されたWebサイト、安否確認フォーム、対応手順書などへの直接リンクを含めます。
- 問い合わせ先: 不明点があった場合の連絡先(緊急連絡先電話番号など)。
- 重要度: Power AutomateのTeamsアクションで「重要度」を「緊急」に設定します。
Power Automateで自動化を設定しましょう(基本編)
Power Automateを使って緊急連絡網の自動化フローを作成していきます。ここでは、従業員からの「緊急事態報告フォーム」が送信されたことをトリガーに、緊急連絡網リストの対象者へTeamsで緊急通知を送信する基本的なフローから見ていきましょう。
フローを作成する場所を決めましょう
Power Automateのウェブサイトにアクセスし、左側のメニューから「作成」を選択します。今回は、特定のイベント(フォームの回答)が発生したときに自動的に実行されるフローなので、「自動化したクラウド フロー」を選択します。
トリガーを設定しましょう
フローのトリガーとは、「いつ」このフローを実行するかを決定するものです。ここでは、Microsoft Formsで「緊急事態報告フォーム」が送信されたときにフローを実行したいので、トリガーには「新しい応答が送信されるとき (Microsoft Forms)」を選択します。
作成例1:緊急事態報告フォーム送信時にTeamsへ緊急連絡網を自動通知
このフローは、Microsoft Formsで緊急事態報告フォームが送信された際に、緊急連絡網リストに登録されている対象者へTeamsチャットで「緊急」通知を送信します。
- Power Automateにサインインします。お使いのMicrosoft 365アカウントでPower Automateのウェブサイト(https://make.powerautomate.com/)にアクセスし、サインインします。
- 「作成」から「自動化したクラウド フロー」を選択します。左側のナビゲーションペインにある「作成」をクリックし、表示されるオプションの中から「自動化したクラウド フロー」を選択します。
- フロー名を指定し、トリガーを検索します。フロー名には「緊急連絡網_自動発動」など、分かりやすい名前を付けます。「フローのトリガーを選択してください」の検索ボックスに「Forms」と入力し、「新しい応答が送信されるとき (Microsoft Forms)」を選択して「作成」をクリックします。
- トリガーの詳細を設定します。
- フォーム ID: 事前に作成した「緊急事態報告フォーム」(Microsoft Forms)を選択します。このフォームには、「事象の種類(地震、システム障害など)」「発生日時」「発生場所」「影響範囲」「詳細概要」などの質問項目を含めておきます。
- 新しいステップを追加し、フォームの応答詳細を取得します。「+ 新しいステップ」をクリックします。検索ボックスに「Forms」と入力し、「応答の詳細を取得します (Microsoft Forms)」を選択します。
- フォーム ID: トリガーで選択したフォームと同じものを選択します。
- 応答 ID: 動的なコンテンツのリストから「応答 ID」(「新しい応答が送信されるとき」トリガーからの出力)を選択します。
- 新しいステップを追加し、緊急連絡網リストから連絡対象者を取得します。「+ 新しいステップ」をクリックします。検索ボックスに「SharePoint」と入力し、「アイテムの取得 (SharePoint)」を選択します。
- サイトのアドレス:
緊急連絡網リストを作成したSharePointサイトのURLを選択します。 - リスト名:
緊急連絡網リストを選択します。 - フィルタークエリ(オプション): フォームの「事象の種類」や「影響範囲」に応じて、連絡区分を絞り込む場合。例: 連絡区分 eq ‘全社員’ or 連絡区分 eq ‘役員’ (全社員または役員に連絡する場合)
- 補足: ここでフィルタリングすることで、通知対象を絞り込めます。
- サイトのアドレス:
- 新しいステップを追加し、各連絡対象者に対して処理を繰り返します。「アプライ トゥー イーチ」コントロールを追加し、「アイテムの取得」アクションの値(緊急連絡網リストの各アイテム)を選択します。
- 「アプライ トゥー イーチ」の中にTeamsへの緊急メッセージ投稿アクションを追加します。「+ アクションの追加」をクリックします。検索ボックスに「Teams」と入力し、「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」を選択します。
- 投稿者: 「Flow bot」を選択します。
- 投稿先: 「チャット」を選択します(各個人に直接通知するため)。
- 受信者:
アプライ トゥー イーチ内のアイテムから取得した「メールアドレス」を選択します。 - メッセージ: ここに緊急通知のメッセージ内容を記述します。フォームから取得した情報を動的なコンテンツとして挿入できます。
【🚨緊急連絡🚨】@{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']}発生!至急対応願います。 事象の種類: @{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']} 発生日時: @{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']} 発生場所: @{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']} 概要: @{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']} 影響範囲: @{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']} 【取るべき行動】:@{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']} (例: 自宅待機、避難など) 詳細はこちらをご確認ください: [緊急事態報告フォームへのリンク] (Formsの「Webサイトで表示」リンクなど、詳細を確認できるURLをここに挿入) 緊急連絡先: 〇〇〇 (内線:〇〇〇)- 補足:
r〇〇〇の部分は、実際のFormsの質問IDに置き換えてください。
- 補足:
- 重要度: ここが最も重要な設定です!「緊急」を選択します。これにより、メッセージが既読になるまで2分間隔で最大20分間通知が繰り返されます。
- フローを保存してテストします。画面右上の「保存」をクリックします。保存後、「テスト」をクリックし、「手動」を選択して「テスト」をクリックします。作成したMicrosoft Formsの「緊急事態報告フォーム」にテストデータを入力して送信します(フォームの担当者には自身のメールアドレスを含む、連絡網リストに登録されているテスト用のメールアドレスを入力してください)。Power Automateのフロー実行履歴を確認し、Teamsのチャットに「緊急」通知が届いていることを確認します。Teamsで通知が繰り返し届き、特別な音が鳴ることを確認してください。
アクションを設定しましょう
トリガーが発動したら、次に「何を」するのかを設定します。これがアクションです。
- Formsアクション:
- 「新しい応答が送信されるとき」: 緊急事態報告フォームが送信されたことを検知するトリガー。
- 「応答の詳細を取得します」: フォームから送信された緊急事態の内容の詳細を取得します。
- SharePointアクション:
- 「アイテムの取得」: 緊急連絡網リストから、連絡対象者を取得します。
- Teamsアクション:
- 「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する」: 緊急連絡網の対象者へ、Teamsの「緊急」オプションを使った通知として送信します。
- 「重要度」の設定: このアクションの設定項目の中に、「重要度」というドロップダウンがあります。ここで必ず「緊急」を選択してください。これが、メッセージを緊急通知として送信するための最も重要な設定です。
通知メッセージのカスタマイズをしましょう
メッセージの内容は、動的なコンテンツを利用して、事象の種類、発生日時、概要、影響範囲、取るべき行動といったフォームからの情報を自動的に埋め込むことができます。
- 事象の種類: フォームの回答(例:
事象の種類) - 発生日時: フォームの回答(例:
発生日時) - 概要: フォームの回答(例:
概要) - 影響範囲: フォームの回答(例:
影響範囲) - 取るべき行動: フォームの回答(例:
取るべき行動) - 詳細へのリンク: Formsの回答結果のWebサイト表示URLや、緊急時対応マニュアルへのリンクなど。
これらの情報をメッセージ本文に適切に配置することで、受け取った従業員が、何が起きたのか、どこで、いつ、そして自分が何をすべきかを一目で把握できるように工夫しましょう。緊急時には、余分な情報を排除し、必要な情報だけを簡潔に、かつ明確に伝えることが重要です。
Power Automateで自動化を設定しましょう(応用編)
基本編で作成したフローをさらに便利にするための応用テクニックを見ていきましょう。
緊急度や事象の種類に応じて連絡網の対象者や通知方法を変える
地震、システム障害、火災など、緊急度や事象の種類に応じて、連絡網の対象者グループを切り替えたり、Teams通知だけでなくSMSや自動音声電話を組み合わせたりすることで、連絡の確実性と緊急度に応じた対応を可能にします。
作成例2:緊急度や事象の種類に応じて連絡網の対象者や通知方法を変えるPower Automateフロー
フォームに「事象の種類」や「緊急度」の選択肢を追加し、その回答に基づいてフローの処理を分岐させます。
- 基本編のフロー(緊急連絡網_自動発動)を開きます。
- 「応答の詳細を取得します」アクションの後に「切り替え」アクションを追加します。「+ 新しいステップ」をクリックし、「切り替え」を検索して選択します。
- On: フォームの「事象の種類」の質問に対する回答(動的なコンテンツ)を選択します。
- 「切り替え」の各ケースを設定します。
- Case 1: 「大規模地震」の場合
- 新しいステップを追加し、緊急連絡網リストを再度取得します。「アイテムの取得 (SharePoint)」アクションを追加します。
- フィルタークエリ:
連絡区分 eq '全社員' or 連絡区分 eq '〇〇拠点'(全社員と特定の拠点に連絡)
- フィルタークエリ:
- Teamsへの緊急メッセージ投稿アクション:
アプライ トゥー イーチでループし、Teams通知。 - (オプション)SMS通知: SMS送信サービス(例: Twilioコネクタ)を利用し、
連絡方法(SMS)がTrueの連絡先へSMSを送信。
- 新しいステップを追加し、緊急連絡網リストを再度取得します。「アイテムの取得 (SharePoint)」アクションを追加します。
- Case 2: 「システム障害」の場合
- 新しいステップを追加し、緊急連絡網リストを再度取得します。「アイテムの取得 (SharePoint)」アクションを追加します。
- フィルタークエリ:
連絡区分 eq 'IT部門' or 連絡区分 eq '役員'(IT部門と役員に連絡)
- フィルタークエリ:
- Teamsへの緊急メッセージ投稿アクション:
アプライ トゥー イーチでループし、Teams通知。
- 新しいステップを追加し、緊急連絡網リストを再度取得します。「アイテムの取得 (SharePoint)」アクションを追加します。
- 既定: どのケースにも当てはまらない場合(一般的な通知)の処理。
- Case 1: 「大規模地震」の場合
- フローを保存してテストします。フォームの「事象の種類」を「大規模地震」や「システム障害」と選択して送信し、設定した分岐が正しく動作し、それぞれの連絡網の対象者へ通知が届くことを確認します。
安否確認フォームのリンクを通知に含める
緊急連絡網の通知と合わせて、従業員が自身の安否を報告できるWebフォーム(Microsoft Formsなど)へのリンクを含めることで、迅速な安否確認を促します。
作成例3:安否確認フォームのリンクを通知に含めるPower Automateフロー
基本編のTeams通知メッセージに、安否確認フォームへのリンクを追加します。
- 基本編のフロー(緊急連絡網_自動発動)を開きます。
- 「アプライ トゥー イーチ」の中にあるTeams通知アクションのメッセージ内容を修正します。
【🚨緊急連絡🚨】@{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']}発生!至急対応願います。 ... (既存のメッセージ内容) ... 【安否確認のお願い】 状況が落ち着き次第、以下の安否確認フォームにご入力ください。 [安否確認フォーム]https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=... (作成した安否確認フォームのURL) 緊急連絡先: 〇〇〇 (内線:〇〇〇) - フローを保存してテストします。フォームを送信し、Teams通知に安否確認フォームへのリンクが含まれることを確認します。
連絡の到達確認と未確認者へのリマインド
緊急連絡網の通知を送信した後、一定時間内にメッセージが既読にならない対象者や、安否確認フォームへの入力が確認できない対象者に対して、自動でリマインド通知を送信することで、連絡の確実性を高めます。
作成例4:連絡の到達確認と未確認者へのリマインド Power Automateフロー(高度、別のスケジュール済みフロー)
この機能は、Teamsメッセージの既読状況をAPIで取得したり、安否確認フォームの回答リストと緊急連絡網リストを照合したりする、より高度な技術を要します。ここでは概要を説明します。
- フローA (連絡網自動発動フロー):
- 基本編のフローで、通知を送信した後に、送信日時と通知対象者(メールアドレス)を別途SharePointリスト(例:
緊急連絡状況管理)に記録します。
- 基本編のフローで、通知を送信した後に、送信日時と通知対象者(メールアドレス)を別途SharePointリスト(例:
- フローB (未確認者リマインダーフロー – スケジュール済みクラウド フロー):
- トリガー: 毎日、特定の時刻(例: 発生から数時間後、または翌日朝)。
- 「アイテムの取得 (SharePoint)」アクション:
緊急連絡状況管理リストから、直近の緊急連絡でまだ確認が取れていない(例: 既読フラグが未設定、安否確認未回答)連絡の記録を取得します。 - 「アプライ トゥー イーチ」: 各未確認者に対してループ。
- 「条件」アクション:
- (高度)Teams Graph API (
Get chat message detailsやGet read receiptsなど) を使ってメッセージの既読状況を取得し、未読であればリマインド。 - (簡易)安否確認フォームの回答リストを検索し、回答がない場合はリマインド。
- (高度)Teams Graph API (
- Teamsへの通知アクション: 未確認者へ再度Teamsチャットでリマインド。
- メッセージ内容: 「先ほどの緊急連絡をご確認ください。安否確認フォームへの入力をお願いします。」
- 重要度: 「重要」または「緊急」
メリット: 緊急連絡の到達率を高め、未確認の従業員を特定して、迅速な安否確認や状況把握に繋げられます。
エラー対策とトラブルシューティングを確認しましょう
Power Automateフローは、確実に動作することが求められます。特に緊急連絡網は、その信頼性が非常に重要です。よくあるエラーとその対策、そしてトラブルシューティングのポイントをご紹介します。
権限不足のエラーが出た場合
「アクセスが拒否されました」といったエラーメッセージが表示される場合、Power AutomateがFormsの応答を読み取ったり、SharePointリストを操作したり、Teamsにメッセージを送信したりするための権限が不足している可能性があります。
対策: フローを実行するアカウントが、対象のForms、SharePointリスト、Teamsチャネルに対して適切な権限を持っていることを確認してください。システム管理者や危機管理チームの担当者がフローを作成・管理するのが望ましいでしょう。
SharePointリストのデータ型不一致の場合
緊急連絡網リストに情報が登録・取得される際、列のデータ型とフローから送られるデータの型が一致しない場合にエラーが発生することがあります。
対策
- SharePointリストの列のデータ型と、Power Automateで処理する際のデータ型が一致しているか確認します。
- 特に日付/時刻の形式や、ユーザー列へのマッピング(メールアドレスなど)に注意しましょう。
通知がTeamsに届かない場合(フローは成功しているのに)
Power Automateの実行履歴ではフローが「成功」しているのに、Teamsに通知が届かない場合があります。特に「緊急」通知は、Teamsの通知設定が重要です。
対策
- Teamsの通知設定: 受信側のTeamsで、Flow botからの通知がブロックされていないか、ミュートされていないかなどを確認してください。特に、Teamsの「設定」->「通知とアクティビティ」->「Flow bot」で、「バナーとメール通知」が有効になっているか、または「緊急」通知が許可されているかを確認しましょう。
- 受信者のメールアドレス: Teamsのチャット通知の場合、受信者のメールアドレスが正確であるかを確認しましょう。緊急連絡網リストのメールアドレスが最新であるかを定期的に確認する運用も重要です。
- 接続の正常性: Power Automateの「データ」->「接続」で、Teamsへの接続が正常に確立されているかを確認しましょう。
フローの履歴を確認しましょう
エラーが発生した場合や、フローが意図通りに動作しない場合は、Power Automateのフロー実行履歴を確認することが最も重要ですされます。
手順
- Power Automateの「マイ フロー」から、該当のフローを選択します。
- 「実行履歴」タブをクリックします。
- 失敗した実行、または成功したものの動作が怪しい実行を選択すると、フローの各ステップがどのように実行されたか、どこでエラーが発生したか、そしてエラーメッセージの詳細を確認できます。
ポイント: 各アクションの「入力」と「出力」を確認することで、どのデータがどのように処理され、どこで問題が発生したのかを詳細に把握できます。特にFormsからのデータ取得、SharePointからの連絡先取得、そしてTeamsへの通知の内容が、意図通りに構成されているかを確認しましょう。
セキュリティとアクセス管理を確認しましょう
緊急連絡網システムは、従業員の安全に関わる非常に重要な情報であり、誤作動は大きな混乱を招きます。自動化システムを構築する際は、セキュリティとアクセス管理に細心の注意が必要です。
緊急連絡フォームのアクセス設定を適切にしましょう
緊急事態報告フォームは、従業員が迅速に報告できるよう、アクセスを容易にしつつ、悪意のある利用や誤送信を防ぐ対策が必要です。
- 社内限定: 「組織内のユーザーのみが回答できます」に設定し、部外者からの誤送信や悪用を防ぎましょう。
- 名前の記録: 報告者を特定するため、「名前を記録する」を有効にしましょう。
- 誤送信防止の警告: フォームの冒頭に「これは緊急連絡網が発動する重要なフォームです。内容をよく確認して送信してください。」といった注意書きを加えましょう。
緊急連絡網リストの権限設定を適切にしましょう
緊急連絡網リストに保存されたデータは、従業員の個人情報(氏名、メールアドレス)を含むため、誰が閲覧・編集できるべきかを厳密に管理する必要があります。
- 編集権限: 人事部門、総務部門、危機管理チームの限られたメンバーにのみ「編集」権限を付与し、常に最新の連絡先を維持できるようにしましょう。
- 閲覧権限: 緊急連絡網リストの閲覧は、原則として関係者(人事、総務、拠点責任者など)に限定し、全従業員に公開すべきではありません。
- 最小限の原則: 必要な人にのみ最小限の権限を与えましょう。
フローの作成と実行権限を管理しましょう
この自動化フローは、従業員の安全と会社の信頼性に関わるため、不用意に作成・変更・実行できないように、適切な権限管理が必要です。
- フロー作成者の制限: 重要なフローの作成権限は、危機管理チームのリーダー、人事・総務部門の担当者、特定のシステム管理者にのみ付与することを検討しましょう。
- 共有の最小化: フローを他のユーザーと共有する際は、実行のみの権限に限定し、共同所有者としての共有は慎重に検討しましょう。共同所有者はフローを編集できるため、意図しない変更のリスクがあります。
- サービスアカウントの利用: フローの実行アカウントが個人アカウントではなく、専用のサービスアカウントであれば、個人の人事異動や退職の影響を受けにくく、権限管理も一元化しやすいでしょう。
- 承認ステップの導入(緊急度が高い場合): 緊急事態報告フォームが送信された後、自動で連絡網を発動する前に、危機管理責任者など特定の上長によるTeamsでの承認ステップを挟むことで、誤作動を防ぐ最終確認プロセスを設けることも検討できます。
個人情報保護への配慮を忘れずに
緊急連絡網リストに登録される個人情報(氏名、メールアドレスなど)の取り扱いには、個人情報保護法などの関連法令や社内規定を遵守するよう細心の注意を払いましょう。
- 利用目的の明確化: 緊急連絡網の個人情報収集の目的を従業員に明確に伝え、同意を得ましょう。
- 安全な保管: 不必要なアクセスを制限し、データの安全な保管に努めましょう。
- 保持期間の検討: 個人情報の保持期間を定め、期間経過後は適切に廃棄する運用を検討しましょう。
- 連絡先情報の定期的な更新: 従業員の連絡先情報は変化しやすいため、定期的に更新を促す仕組み(例: 年に1度、Formsで連絡先を確認してもらう)を構築し、連絡網の精度を保ちましょう。
まとめ
Power AutomateとTeams、Microsoft Forms、SharePointリストを組み合わせることで、緊急事態発生時の自動連絡網を構築する方法について、基本的な設定から応用、エラー対策、そしてセキュリティとアクセス管理まで、詳細に解説してきました。
この自動化された緊急連絡網システムは、緊急時における迅速かつ正確な情報伝達を可能にし、従業員の安全確保、被害の最小化、そして企業の信頼性維持に大きく貢献します。手動での連絡による見落としや混乱のリスクを排除し、組織全体の対応力を高めることができるでしょう。

