TeamsとPower Automate連携で稟議書承認プロセスの電子化をしたい!作り方を分かりやすく説明

TeamsとPower Automate連携で稟議書承認プロセスを電子化する魔法!

「稟議書作成から承認までのプロセスが紙で手間がかかる」「承認者がどこまで回っているか分からない」「承認が遅れて、業務が滞ってしまう」。稟議書の承認は、企業の意思決定を円滑に進める上で不可欠な業務です。しかし、手動での回覧や状況確認は、非効率でミスも発生しがちですよね。

Power AutomateとTeams、そして稟議書ファイルを管理するSharePointやOneDriveを組み合わせることで、稟議書申請から承認、そして承認状況の通知までの一連の流れを、効率的に自動化・電子化する仕組みを構築できます。これにより、稟議プロセスの迅速化と可視性を高め、業務効率を飛躍的に向上させられますよ。


 

なぜ稟議書承認プロセスの電子化が大切なの?

稟議書承認のプロセスを電子化することは、企業の意思決定を加速し、業務の透明性を高める上で非常に重要です。この自動化がもたらす具体的なメリットについて、一緒に見ていきましょう。

 

承認プロセスが迅速化し、業務の停滞を防げるから

紙の稟議書回覧では、担当者が不在だったり、承認印の押し忘れがあったりして、承認が遅れてしまうリスクがあります。自動承認ワークフローを導入すれば、稟議書が提出された時点で、Power Automateが承認者へTeams上で直接承認依頼を送信します。これにより、承認までの時間を大幅に短縮し、次の業務へスムーズに移行できるため、プロジェクトの進行や購買の手配が加速するでしょう。

 

稟議状況が「見える化」され、無駄な問い合わせが減るから

「今、この稟議書は誰の承認待ち?」「承認されたのかな?まだなのかな?」。このような疑問は、起案者や関連部署にとってストレスですよね。自動通知システムは、承認依頼が送信されたこと、承認されたこと、却下されたことなど、ステータスの変化をTeamsにリアルタイムで通知します。これにより、関係者は常に最新の承認状況を把握でき、総務部門や承認者への無駄な問い合わせを削減できます。

 

人的ミスを減らし、管理の正確性が高まるから

紙の稟議書では、紛失、記載漏れ、承認ルートの誤りといった人的ミスが発生しがちです。また、承認状況の転記ミスも起こり得ます。自動化されたワークフローは、これらのヒューマンエラーのリスクを大幅に削減します。全ての履歴がシステム上に記録されるため、常に正確な情報に基づいた承認プロセスが実行され、管理の正確性と信頼性が向上し、コンプライアンスの遵守にも貢献できるでしょう。

 

ペーパーレス化を推進し、コスト削減に繋がるから

稟議書承認の電子化は、紙の消費、印刷コスト、書類の保管スペース、郵送費といった直接的なコスト削減に貢献します。また、承認プロセスにかかる時間削減は、間接的な人件費の削減にも繋がり、企業全体の生産性向上にも寄与するでしょう。


 

構築システムの準備を始めよう

稟議書承認プロセスの電子化システムを作る前に、いくつか確認し、準備しておくべきことがあります。これらを事前に整理しておくことで、スムーズに自動化を進められます。

 

稟議書情報の「入力方法」と「置き場所」を決めよう

Power Automateが稟議書承認ワークフローを開始するためには、稟議書がどこに保存され、どのように申請されるのかを明確にする必要があります。

  • Microsoft Formsの活用(推奨):
    • 稟議書の内容を入力するためのフォームを作成します。FormsはTeamsと連携しやすいため、申請の入口として最適です。
    • 申請項目例:
      • 申請者名、所属部署
      • 稟議件名
      • 稟議内容(詳細)
      • 目的、効果
      • 費用、予算(関連する場合)
      • 承認ルートの選択(例: 直属上長、部門長、経理部、社長など)
      • 添付資料(ファイルアップロード)
  • SharePointリストの活用:
    • Formsからの回答データや、稟議書のステータスを管理するための中央リポジトリとしてSharePointリストを設計します。
    • 必要な列(例):
      • タイトル(既定): 稟議件名
      • 申請者: ユーザー列(Formsの回答者から自動取得)
      • 申請部署: テキスト(1行)
      • 申請日時: 日付と時刻
      • 稟議内容詳細: 複数行テキスト
      • 費用: 数値
      • 現在の承認ステータス: 選択肢(例: 申請中承認待ち_一次承認待ち_二次承認済却下差し戻し)、**既定値は申請中**とします。
      • 最終承認者: ユーザー列
      • 最終承認日時: 日付と時刻
      • 承認コメント: 複数行テキスト
      • 添付ファイルURL: ハイパーリンクまたは画像(添付されたファイルへのリンク)
      • 承認履歴: 複数行テキスト(各承認者のコメント、日時を記録)

 

承認ルートと承認者を決めよう

誰がこの稟議書を承認するのか、承認ルートはどのような多段階になるのかを事前に明確にしておきましょう。

承認者

  • 申請者の直属の上長(Formsで入力させるか、Azure ADで自動取得)。
  • 部門長、事業部長。
  • 経理部長、法務部長。
  • 役員(社長、専務など)。

承認ルートの分岐

  • 稟議内容(例: 購買、人事、契約など)によって分岐。
  • 費用、予算額によって分岐(例: 〇〇万円以上は部長承認、〇〇万円以上は役員承認)。
  • 申請部署によって分岐。

 

通知する「メッセージ内容」と「テンプレート」を準備しよう

自動でTeamsに投稿されるメッセージは、簡潔かつ分かりやすく、次のアクションを促せるように工夫しましょう。

  • 申請受付通知(申請者向け):
    • 件名: 【稟議申請受付完了】
    • 本文: 申請内容の確認、現在の承認ステータス、承認者へのリマインド方法。
  • 承認依頼通知(承認者向け):
    • 件名: 【承認依頼】稟議書「〇〇」のご確認
    • 本文: 申請者、稟議件名、内容概要、費用、承認・却下アクションボタン、承認コメント入力欄、稟議詳細へのリンク、添付ファイルへのリンク。
  • 承認完了通知(申請者向け):
    • 件名: 【✅承認完了】稟議書「〇〇」が承認されました
    • 本文: 承認者、承認コメント、承認された稟議の次のステップへの案内、詳細へのリンク。
  • 却下/差し戻し通知(申請者向け):
    • 件名: 【❌却下/差し戻し】稟議書「〇〇」
    • 本文: 却下/差し戻し理由、承認者コメント、修正・再提出の依頼、詳細へのリンク。
  • 関連部門への通知(オプション):
    • 件名: 【稟議承認】〇〇稟議が承認されました
    • 本文: 稟議件名、申請者、承認状況、関連部署への情報共有。

 

必要な「権限」を確認しよう

 

Power Automateでフローを作成し、Formsの回答を読み取り、SharePointリストの情報を読み書きし、Teamsにメッセージを送信するためには、フローを実行するアカウントが適切な権限を持っている必要があります。

  • Formsへのアクセス権: 申請フォームのURLと回答内容を取得できる権限。
  • SharePointリストへのアクセス権: 稟議書管理リストに対する「読み取り」および「書き込み」権限が必要です。
  • Teamsチャネル/チャットへのメッセージ投稿権: 投稿先のTeamsチャネルまたは個人チャットへのメッセージ投稿権限が必要です。

 

Power Automateで自動化を設定しよう(基本編)

ここからはいよいよ、Power Automateを使って稟議書承認プロセスの電子化フローを作成していきます。Formsで稟議書申請が送信されたことをトリガーに、SharePointリストに登録し、一次承認者へTeamsで承認依頼を送信する基本的なフローから見ていきましょう。

 

フローを作成する場所を決めよう

Power Automateのウェブサイトにアクセスし、左側のメニューから「作成」を選択します。今回は、特定のイベント(Formsの回答)が発生したときに自動的に実行されるフローなので、「自動化したクラウド フロー」を選択します。

 

トリガーを設定しよう

フローのトリガーとは、「いつ」このフローを実行するかを決定するものです。ここでは、Formsで稟議書申請が送信されたときにフローを実行したいので、トリガーには「新しい応答が送信されるとき (Microsoft Forms)」を選択します。


作成例1:Forms稟議申請送信時にSharePointリスト登録&一次承認者へTeams承認依頼

このフローは、従業員がFormsで稟議書申請を送信した際に、その内容をSharePointリストに記録し、一次承認者(例: 直属の上長)へTeamsで承認依頼を送信します。

  1. Power Automateにサインインします。 お使いのMicrosoft 365アカウントでPower Automateのウェブサイト(https://make.powerautomate.com/)にアクセスし、サインインします。
  2. 「作成」から「自動化したクラウド フロー」を選択します。 左側のナビゲーションペインにある「作成」をクリックし、表示されるオプションの中から「自動化したクラウド フロー」を選択します。
  3. フロー名を指定し、トリガーを選択します。 フロー名には「稟議申請_承認電子化」など、分かりやすい名前を付けます。 「フローのトリガーを選択してください」の検索ボックスに「Forms」と入力し、「新しい応答が送信されるとき (Microsoft Forms)」を選択して「作成」をクリックします。
  4. トリガーの詳細を設定します。
    • フォーム ID: 事前に作成した「稟議申請フォーム」(Microsoft Forms)を選択します。
  5. 新しいステップを追加し、フォームの応答詳細を取得します。+ 新しいステップ」をクリックします。 検索ボックスに「Forms」と入力し、「応答の詳細を取得します (Microsoft Forms)」を選択します。
    • フォーム ID: トリガーで選択したフォームと同じものを選択します。
    • 応答 ID: 動的なコンテンツのリストから「応答 ID」(「新しい応答が送信されるとき」トリガーからの出力)を選択します。
  6. 新しいステップを追加し、申請者と一次承認者(上長)のメールアドレスを取得します。 Formsの回答者メールアドレスはResponder's Emailで取得できますが、上長の情報は別途取得が必要です。
    • 「ユーザー プロファイル (V2) を取得する (Azure AD)」アクション(申請者):
      • User (UPN): @{triggerOutputs()?['body/responder']?['email']} (Forms回答者のメールアドレス)
    • 「ユーザー プロファイル (V2) を取得する (Azure AD)」アクション(上長):
      • User (UPN): @{outputs('ユーザー_プロファイル_(V2)_を取得する')?['body/manager']} (申請者の上長メールアドレス)
      • 補足: Azure ADで上長が設定されている場合にのみ有効です。Formsで「承認依頼先上長のメールアドレス」を入力させるのが、より確実な方法です。
  7. 新しいステップを追加し、SharePointリストに申請情報を記録します。+ 新しいステップ」をクリックします。 検索ボックスに「SharePoint」と入力し、「新しいアイテムを作成します (SharePoint)」を選択します。
    • サイトのアドレス: 稟議書管理リストを作成したSharePointサイトのURLを選択します。
    • リスト名: 作成したSharePointリスト(例:稟議書管理)を選択します。
    • 各列に値をマッピングします。 Formsの質問項目とSharePointリストの列を対応付けます。
      • タイトル: @{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']} (稟議件名)
      • 申請者: @{outputs('ユーザー_プロファイル_(V2)_を取得する')?['body/DisplayName']} (申請者の表示名)
      • 申請日時: utcNow() (フロー実行時の日時)
      • 費用: @{outputs('応答の詳細を取得します')?['body/r〇〇〇']} (費用)
      • 現在の承認ステータス:承認待ち_一次」(固定値)
      • 添付ファイルURL: (Formsでファイル添付がある場合、そのリンクを保存するロロジックは別途必要)
      • 補足:r〇〇〇はFormsの質問IDです。
  8. 新しいステップを追加し、一次承認者へTeamsで承認依頼を送信します。+ 新しいステップ」をクリックし、「アクションを開始して承認を待機します (承認)」アクションを選択します。
    • 承認の種類:最初の応答
    • タイトル: 稟議書承認依頼: @{outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/Title']}(申請者:@{outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/申請者']?['DisplayName']})
    • 割り当て先: @{outputs('ユーザー_プロファイル_(V2)_を取得する_2')?['body/mail']} (上長のメールアドレス)
    • 詳細:
      以下の稟議書の承認をお願いいたします。
      
      稟議件名: @{outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/Title']}
      申請者: @{outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/申請者']?['DisplayName']}
      申請日時: @{formatDateTime(outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/申請日時'], 'yyyy/MM/dd HH:mm')}
      費用: @{outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/費用']}円
      
      ▼稟議詳細はこちら
      [SharePointリストを開く]@{outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/WebUrl']}
      
    • 項目へのリンク: @{outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/WebUrl']} (SharePointリストアイテムへの直接リンク)
    • 項目への説明: 稟議書の内容を確認し、承認または却下してください。
  9. 新しいステップを追加し、承認結果によって処理を分岐します。+ 新しいステップ」をクリックし、「条件」アクションを選択します。
    • 左側の値: 「アクションを開始して承認を待機します」アクションのOutcomeを選択します。
    • 演算子:次の値と等しい
    • 右側の値:Approve」と入力します。
  10. 「はい」のパス(承認された場合)に、SharePointアイテムの更新と次の承認プロセスへの連携を行います。
    • 「項目を更新します (SharePoint)」アクション:
      • サイトのアドレス/リスト名: 稟議書管理リスト
      • ID: @{outputs('新しいアイテムを作成します')?['body/ID']}
      • 現在の承認ステータス:承認待ち_二次」(次の承認者へ回す場合)または「承認済」(最終承認の場合)を選択します。
      • 承認コメント: 「アクションを開始して承認を待機します」アクションのResponses Comments
      • 最終承認者: 「アクションを開始して承認を待機します」アクションのResponses Approver Name
      • 最終承認日時: utcNow()
      • 承認履歴: 既存の承認履歴に今回の承認情報を追記するロジック(concat関数など)
    • (オプション)次の承認者へ依頼: 「現在の承認ステータス」が「承認待ち_二次」になった場合、新しい承認アクションをここに追加し、次の承認者へ依頼を送信します。
    • 「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション(申請者向け):
      • 投稿先: チャット
      • 受信者: 申請者のメールアドレス
      • メッセージ: 「稟議書「〇〇」が承認されました!(現在のステータス:〇〇)」
  11. 「いいえ」のパス(却下された場合)に、SharePointアイテムの更新とTeams通知アクションを追加します。
    • 「項目を更新します (SharePoint)」アクション:
      • 現在の承認ステータス:却下」または「差し戻し」を選択します。
      • 承認コメント: 「アクションを開始して承認を待機します」アクションのResponses Comments
      • 最終承認者: 「アクションを開始して承認を待機します」アクションのResponses Approver Name
      • 最終承認日時: utcNow()
      • 承認履歴: 既存の承認履歴に今回の却下情報を追記。
    • 「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション(申請者向け):
      • 投稿先: チャット
      • 受信者: 申請者のメールアドレス
      • メッセージ: 「稟議書「〇〇」が却下されました。理由:[承認コメント]」
  12. フローを保存してテストします。 画面右上の「保存」をクリックします。 保存後、「テスト」をクリックし、「手動」を選択して「テスト」をクリックします。 Formsでテスト用の稟議申請を送信します。Teamsで上長に承認依頼が届くので、承認/却下を行い、その結果がTeamsに通知され、SharePointの「現在の承認ステータス」が更新されることを確認します。

 

アクションを設定しましょう

トリガーが発動したら、次に「何を」するのかを設定します。これがアクションです。

Formsアクション

  • 新しい応答が送信されるとき」: 稟議申請フォームが送信されたことを検知するトリガー。
  • 応答の詳細を取得します」: フォームから送信された申請内容の詳細を取得します。

Azure ADアクション(オプション)

ユーザー プロファイル (V2) を取得する」: 申請者やその上長(承認者)の情報を取得します。

SharePointアクション

  • 新しいアイテムを作成します」: 稟議書申請情報をSharePointリストに記録します。
  • 項目を更新します」: 承認結果に基づいて、申請の「現在の承認ステータス」などを更新します。

承認アクション

アクションを開始して承認を待機します」: Teams上で承認者へ承認依頼のカードを送信し、応答を待ちます。

制御アクション

条件」: 承認結果(承認/却下/差し戻し)によって処理を分岐させます。

Teamsアクション

チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する」: 申請受付通知、承認依頼、承認結果通知などに使用します。

 

通知メッセージのカスタマイズをしましょう

メッセージの内容は、動的なコンテンツを利用して、稟議件名、申請者、費用、承認者、コメント、申請詳細へのリンク、添付資料へのリンクなどを自動的に埋め込むことができます。

  • 稟議件名: Title (SharePointリストアイテム)
  • 申請者: 申請者/DisplayName (SharePointリストの列、またはAzure ADから取得)
  • 費用: 費用 (SharePointリストの列)
  • 承認者: Responses Approver Name (承認アクションの出力)
  • 承認コメント: Responses Comments (承認アクションの出力)
  • SharePointリストアイテムへのリンク: WebUrl (SharePointリストアイテムへの直接リンク)

これらの情報を適切に配置することで、パーソナルで正確な申請依頼を自動で送信し、関連者への通知も分かりやすくできます。


 

Power Automateで自動化を設定しましょう(応用編)

基本編で作成したフローをさらに便利にするための応用テクニックを見ていきましょう。

 

多段階承認ルートを構築する

稟議内容や費用、申請部署などに応じて、一次承認者、二次承認者、最終承認者など、複数の承認者が順番に承認を行うルートを自動で設定します。


作成例2:多段階承認ルートを構築するPower Automateフロー

基本編のフローの「はい」のパス(承認された場合)に、さらに条件分岐と承認アクションを追加します。

  1. 基本編のフロー(稟議申請_承認電子化)を開きます。
  2. ステップ10の「はい」のパス(一次承認された場合)内を開きます。
    • 「条件」アクションを追加します。
      • 左側の値: 稟議の費用(SharePointリストから取得)
      • 演算子:次の値より大きいか、または等しい
      • 右側の値: 500000 (例: 50万円)
  3. 内側の「はい」のパス(費用が50万円以上の場合)に、二次承認(例: 部門長)の承認アクションを追加します。
    • 「アクションを開始して承認を待機します (承認)」アクション(二次承認):
      • 割り当て先: 部門長のメールアドレス(例: department.head@yourcompany.com)。
      • 詳細: 稟議件名、一次承認者、一次承認コメントなどを記載。
    • 「項目を更新します (SharePoint)」アクション: 「現在の承認ステータス」を「承認待ち_二次」に更新。
    • 「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション: 申請者へ「稟議書が一次承認されました。現在、二次承認中です。」と通知。
  4. 内側の「いいえ」のパス(費用が50万円未満の場合)に、最終承認完了の処理を追加します。
    • 「項目を更新します (SharePoint)」アクション: 「現在の承認ステータス」を「承認済」に更新。
    • 「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション: 申請者へ「稟議書が最終承認されました!」と通知。
  5. 二次承認後の処理も同様に分岐します。 二次承認アクションの後に再度「条件」を追加し、二次承認の結果に応じて、最終承認完了、または却下・差し戻しの処理を行います。
  6. フローを保存してテストします。 異なる費用額の稟議を提出し、承認ルートが正しく分岐することを確認します。

 

承認が遅延している場合にリマインドする

承認依頼を送信したものの、一定時間(例:24時間)経過しても承認が完了していない場合に、自動でリマインド通知を送信することで、承認忘れやプロセスの停滞を防ぎます。


作成例3:承認が遅延している場合にリマインドするPower Automateフロー(別フロー)

このフローは、毎日特定の時間に実行され、承認待ちの期間が長い稟議書を検索し、承認者へTeamsでリマインドを送信します。

  1. 新しいフローを「スケジュール済みクラウド フロー」として作成します。
    • フロー名:「稟議書承認_遅延リマインダー
    • 繰り返し: フローを実行したい頻度を設定します。例:毎日、午前10時。
  2. 新しいステップを追加し、SharePointリストから承認待ちの稟議書を取得します。アイテムの取得 (SharePoint)」アクションを追加します。
    • サイトのアドレス: 稟議書管理リストのSharePointサイト
    • リスト名: 稟議書管理リスト
    • フィルタークエリ: 現在の承認ステータス eq '承認待ち_一次' or 当前批准状态 eq '批准待定_二级' (各承認待ちステータスをORで繋ぐ) and 申請日時 lt '@{formatDateTime(addHours(utcNow(), -24), 'yyyy-MM-ddTHH:mm:ssZ')}' (申請日時から24時間以上経過)
  3. 新しいステップを追加し、取得した各稟議書に対して処理を繰り返します。アプライ トゥー イーチ」コントロールを追加し、「アイテムの取得」アクションのを選択します。
  4. 「アプライ トゥー イーチ」の中に「条件」アクションを追加し、現在のステータスから承認者を特定します。
    • 左側の値: @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['現在の承認ステータス']?['Value']}
    • 演算子:次の値と等しい
    • 右側の値:承認待ち_一次
  5. 「はい」のパス(一次承認待ちの場合)に、Teamsへのリマインダー通知アクションを追加します。
    • 「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション:
      • 投稿先: チャット
      • 受信者: @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['一次承認者']?['Email']} (一次承認者のメールアドレス、リストに列を追加)
      • メッセージ:
        @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['一次承認者']?['DisplayName']}様
        
        【🚨重要リマインダー】稟議書承認依頼が保留中です。
        
        以下の稟議書の承認がまだ完了していません。
        お手数ですが、ご確認の上、承認をお願いいたします。
        
        稟議件名: @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['Title']}
        申請者: @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['申請者']?['DisplayName']}
        依頼日時: @{formatDateTime(items('アプライ_トゥー_イーチ')?['申請日時'], 'yyyy/MM/dd HH:mm')}
        
        ▼稟議を確認し承認する
        [承認アクション] (Teamsの承認カードへの直接リンクがあればここに追加)
        [リストアイテムを開く]@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['WebUrl']}
        
      • 重要度:重要」を選択します。
    • (オプション)依頼者への通知: 承認が遅れている旨を依頼者(申請者)にも通知します。
  6. 「いいえ」のパスに、二次承認待ちの場合のリマインダーを追加します。
  7. フローを保存してテストします。 テスト用の稟議書を「承認待ち_一次」にし、しばらく待ってからフローを手動で実行し、リマインダーが届くことを確認します。

 

稟議状況のダッシュボードをTeamsに埋め込む(Power BI連携)

SharePointリストに蓄積された稟議書情報をPower BIで可視化し、承認待ち件数、各承認段階での滞留件数、平均承認時間、却下率などをダッシュボードで一目で確認できるようにします。Teamsチャネルにタブとして埋め込むことで、常時アクセス可能な「見える化」のハブとなります。


作成例4:稟議状況のダッシュボードをTeamsに埋め込む(Power BI連携)

これはPower Automateのフロー自体ではなく、Power BIとTeamsの連携機能です。

  1. SharePointリストのデータ準備:
    • 上記フローでデータを自動登録している稟議書管理リストが、Power BIのデータソースとなります。
    • 「現在の承認ステータス」「申請日時」「最終承認日時」「最終承認者」「承認コメント」などの列をPower BIで利用できるようにしておきます。
  2. Power BI Desktopでレポート作成:
    • Power BI Desktopを開き、「データの取得」から「SharePointオンラインリスト」を選択し、稟議書管理リストをデータソースとして追加します。
    • データを加工し、以下のレポートを作成します。
      • KPIカード: 承認済み件数、承認待ち件数、却下件数、平均承認時間。
      • ドーナツグラフ: 各承認ステータス別の割合。
      • 棒グラフ: 部署別の稟議件数、承認者別の処理件数。
      • 折れ線グラフ: 月別の承認件数推移、平均承認時間推移。
      • テーブル: 承認待ちの稟議書一覧(件名、申請者、現状ステータス、滞留日数)。
    • これらのレポートを分かりやすいダッシュボードにまとめます。
  3. Power BI Serviceに発行:
    • 作成したレポートをPower BI DesktopからPower BI Service(クラウドサービス)に発行します。
  4. TeamsにPower BIレポートをタブとして追加:
    • Teamsを開き、稟議状況を可視化したいチャネル(例: 総務部_稟議管理)を選択します。
    • チャネルの上部にある「+」ボタンをクリックし、新しいタブを追加します。
    • Power BI」アプリを検索して選択します。
    • 表示されたワークスペースから、先ほど発行したレポートまたはダッシュボードを選択します。
    • 保存」をクリックします。

メリット: 関係者はTeamsを離れることなく、常に最新の稟議状況ダッシュボードを確認できます。これにより、問題の早期発見、承認プロセスのボトルネックの特定、改善をデータに基づいて行うことができます。


 

エラー対策とトラブルシューティングを確認しましょう

Power Automateフローは、確実に動作することが求められます。特に稟議書承認は、企業の意思決定に関わるため、信頼性が非常に重要ですし、誤作動は避けたいものです。よくあるエラーとその対策、そしてトラブルシューティングのポイントをご紹介します。

 

権限不足のエラーが出た場合

「アクセスが拒否されました」といったエラーメッセージが表示される場合、Power AutomateがFormsの回答を読み取ったり、SharePointのリストを操作したり、Teamsにメッセージを送信したりするための権限が不足している可能性があります。

  • 対策: フローを実行するアカウントが、対象のForms、SharePointリスト、Teamsチャネルに対して適切な権限を持っていることを確認してください。人事・総務部門やシステム管理者がフローを作成・管理するのが望ましいでしょう。

 

Formsの入力ミスやSharePoint列との不一致の場合

Formsで稟議申請を入力する際、入力ミスや、SharePointリストの列のデータ型と合致しない形式で入力される場合に、フローがエラーになることがあります。特に金額や日付の形式、ユーザー列へのマッピングに注意が必要です。

  • Formsでの入力規則の設定: Formsで、日付形式、数値のみといった入力規則を適用し、入力時点でデータの品質を高めましょう。
  • SharePoint列のデータ型: SharePointリストの列のデータ型が、Formsからのデータと一致しているか確認しましょう。
  • Power Automateでのデータ変換: 必要に応じてformatDateTime()int()float()といった関数を使って、明示的なデータ型変換を行うことで、堅牢性を高めましょう。
  • ユーザー列には、メールアドレス形式の値を渡す必要があります。

承認者情報取得エラーが出た場合

Forms回答者の上長情報をAzure ADから取得する場合、Azure ADに上長が正しく設定されていないと、上長が見つからずにフローが失敗します。

  • Formsで承認者メールアドレスを入力させる: 申請者がFormsで直接、承認を依頼する上長や部門長のメールアドレスを入力する項目を設けるのが最も確実です。
  • Azure ADのデータ整備: Azure ADで上長情報が正確に登録されているか確認し、整備を促しましょう。
  • エラー時の代替通知: 上長情報が取得できなかった場合に、人事・総務部門のチャネルにエラー通知を送り、手動での対応を促すロジックを組み込みましょう。

 

通知がTeamsに届かない場合(フローは成功しているのに)

Power Automateの実行履歴ではフローが「成功」しているのに、Teamsに通知が届かない場合があります。

  • Teamsの通知設定: 受信者(申請者、承認者など)のTeamsアプリの通知設定で、Flow botからの通知がブロックされていないか、ミュートされていないかなどを確認してください。
  • 受信者のメールアドレス: Teamsのチャット通知の場合、受信者のメールアドレスが正確であるかを確認しましょう。
  • 接続の正常性: Power Automateの「データ」→「接続」で、Teamsへの接続が正常に確立されているかを確認しましょう。

 

フローの履歴を確認しましょう

エラーが発生した場合や、フローが意図通りに動作しない場合は、Power Automateのフロー実行履歴を確認することが最も重要です。

  1. Power Automateの「マイ フロー」から、該当のフローを選択します。
  2. 実行履歴」タブをクリックします。
  3. 失敗した実行、または成功したものの動作が怪しい実行を選択すると、フローの各ステップがどのように処理され、どこでエラーが発生したか、そして入力/出力データやエラーメッセージの詳細を確認できます。

各アクションの「入力」と「出力」を確認することで、どのデータがどのように処理され、どこで問題が発生したのかを詳細に把握できます。特にFormsからのデータ取得、承認者情報の解決、承認アクションの出力が期待通りに構成されているかを確認しましょう。


 

セキュリティとアクセス管理を確認しましょう

稟議書は、企業の財務、契約、人事などに関わる機密性の高い情報です。自動化システムを構築する際は、セキュリティとアクセス管理に細心の注意が必要です。

 

SharePointリストの権限設定を適切にしましょう

稟議書管理リストに保存されたデータは、誰が閲覧・編集できるべきかを厳密に管理する必要があります。

  • 編集権限: 申請者(自身の稟議のみ)、各段階の承認者(承認依頼中の稟議のみ)、総務・経理部門など、限られたメンバーにのみ「編集」権限を付与しましょう。
  • 閲覧権限: 全従業員に公開する必要はありません。人事・総務部門や経営層は全体の閲覧権限を持ち、申請者は自身の稟議のみ閲覧可能とします。
  • 最小限の原則: 必要な人にのみ最小限の権限を与えましょう。
  • グループの活用: 個々のユーザーに権限を付与するのではなく、Active DirectoryグループやMicrosoft 365グループを利用して権限を管理することで、運用が容易になります。

 

Teamsチャネル/チャットの権限設定を適切にしましょう

稟議承認に関する通知が送信されるTeamsチャネルやチャットのメンバーシップも適切に管理しましょう。

  • 個人チャットの利用: 申請者や承認者への通知は、個人チャットが最も安全で適切です。
  • プライベートチャネルの利用: 承認状況の全体管理チャネル(例: 総務部_稟議管理)は、必ず「プライベート」チャネルとし、関係者以外が閲覧できないようにしましょう。
  • 一般チャネルへの通知の制限: 全員がアクセスできる「一般」チャネルには、稟議申請に関する機密性の高い情報(費用など)は原則として投稿しないようにしましょう。承認完了の通知は、内容を厳選して概要のみ公開を検討しましょう。

 

フローの作成と実行権限を管理しましょう

この自動化フローは、会社の重要な意思決定に関わる情報を扱うため、不用意に作成・変更・実行できないように、適切な権限管理が必要です。

  • フロー作成者の制限: 重要なフローの作成権限は、総務部門、経理部門の責任者、または特定のシステム管理者にのみ付与することを検討しましょう。
  • 共有の最小化: フローを他のユーザーと共有する際は、実行のみの権限に限定し、共同所有者としての共有は慎重に検討しましょう。共同所有者はフローを編集できるため、意図しない変更のリスクがあります。
  • サービスアカウントの利用: フローの実行アカウントが個人アカウントではなく、専用のサービスアカウントであれば、個人の人事異動や退職の影響を受けにくく、権限管理も一元化しやすいでしょう。

 

個人情報保護への配慮を忘れずに

稟議書には、申請者の氏名、所属、内容によっては個人情報が含まれる可能性があります。これらの情報の取り扱いには、個人情報保護法などの関連法令や社内規定を遵守するよう細心の注意を払いましょう。

  • 利用目的の明確化: 稟議書情報の収集目的を従業員に明確に伝え、適切に管理しましょう。
  • 安全な保管: 不必要なアクセスを制限し、データの安全な保管に努めましょう。
  • 保持期間の検討: 稟議書情報の保持期間を定め、期間経過後は適切に廃棄する運用を検討しましょう。

 

まとめ

ここまで、Power AutomateとTeams、Microsoft Forms、SharePointリストを組み合わせることで、稟議書承認プロセスを電子化する方法について、基本的な設定から応用、エラー対策、そしてセキュリティとアクセス管理まで、詳細に解説してきました。

この自動化されたシステムは、稟議申請の迅速化、承認プロセスの効率化、稟議状況の見える化を実現するための強力なツールとなるでしょう。結果として、企業の意思決定を加速し、業務効率を向上させることに大きく貢献できます。

まずは、この記事で紹介した基本的なフローを実際に作成し、ご自身の環境で試してみてください。そして、貴社の稟議規定や業務プロセス、情報共有のニーズに合わせて、応用編で紹介した機能を追加したり、さらに独自のカスタマイズを加えたりすることで、より洗練された稟議管理システムを実現できるはずです。