「なにがし」とは?意味は?使い方は?大河ドラマや古語・古典を詳しく現代風に解説

「なにがし」とは?意味は?使い方は?大河ドラマや古語・古典を詳しく現代風に解説

仮の名で人を呼ぶ(someone)

身元を明かさない者(so-and-so)

匿名で語られる人物(anonymous person)

  • 古典における「なにがし」は、漢字で「某」とも記され、特定の人物名を伏せる目的で用いられた仮の名です。成立は平安時代とされ、物語や日記文などに頻出し、「なにがしの中将」や「なにがし殿」といった表現で登場します。これは貴族社会において実名を公にすることが失礼にあたるとされていた慣習や、話の筋に影響を与えず人物を登場させる語りの技術から生じたものです。場面全体の趣を保ちつつ、聞き手に柔らかい距離感を与える語でした。
  • 近世以降の口語では、武士や庶民の間でも「なにがし」が用いられ、講談や時代劇、落語などの口頭文化で多く見られます。この用法では、身元を明かさず登場する人物や、あえて名前を伏せた表現が演出効果として活用されます。たとえば「拙者、なにがしと申す」や「なにがし町の与兵衛」などがあり、芝居がかった語調が特徴的です。現代では一般会話では使われることはほとんどなく、文語的・歴史的な言葉として認識されがちです。

なにがしの一般的な使い方と英語で言うと

  • 昨日の会議で発言されたなにがし様について、もしご存知であればご所属を教えていただけますでしょうか。
  • (If you happen to know the affiliation of the person who spoke in yesterday’s meeting, could you kindly let me know?)
  • 先日名刺交換させていただいたなにがし様から、来週の予定についてご連絡をいただく予定です。
  • (I’m expecting a message next week from the individual I exchanged cards with the other day.)
  • お取引先のなにがし様より、追加見積のご依頼がございましたので、至急準備を進めております。
  • (We received a request for an additional quotation from a certain client, so we are preparing it urgently.)
  • なにがしの方から先ほどの資料に関する質問を頂戴しましたので、こちらでご対応いたしました。
  • (A certain individual had a question regarding the earlier document, so I responded accordingly.)
  • 先方のなにがし様が来社される予定ですので、会議室の準備をお願いできますでしょうか。
  • (A guest from the other party is expected to visit, so could you kindly prepare the meeting room?)

似ている表現と失礼がない言い回し

  • ある方
  • ご担当の方
  • 該当の方
  • 関係者様
  • 先方の方

性格や人格として言われた場合はどういう意味?

「なにがし」を性格に対して使うことは本来の語義から外れますが、皮肉や曖昧さを含んだ言い回しとして使われる場合があります。例えば「なにがしのような者が言っていた」などの形で用いられたときは、発言者の軽視や距離を置いた態度を含むことがあります。これは聞き手に対して人物の重要性を低めに伝える意図があり、意識して使わないと失礼になる場合があります。話の文脈によっては、侮蔑的にも捉えられかねないため注意が必要です。

なにがしのビジネスで使用する場面の例文と英語

  • 先日お電話をいただいたなにがし様につきまして、折り返しご連絡を差し上げるようにいたします。
  • (Regarding the person who called the other day, I will make sure to return their call.)
  • なにがしの件について、先方と合意が取れましたので、契約書作成に進めさせていただきます。
  • (We have reached an agreement on the matter in question and will proceed with drafting the contract.)
  • 本日なにがしの担当者が来訪予定とのことですので、受付にてご案内をお願いいたします。
  • (A certain representative is expected today, so please provide guidance at the reception desk.)
  • 先ほどご来社いただいたなにがし様から、名刺をお預かりしております。
  • (We received a business card from the person who visited us earlier.)
  • なにがしの要件に関して、至急の対応が求められておりますので、各部署にご協力をお願いします。
  • (We are required to respond promptly to the matter at hand, so please coordinate with all departments.)

なにがしは目上の方にそのまま使ってよい?

「なにがし」は仮名を意味する曖昧な語であるため、ビジネスにおいて直接的に目上の方や取引先の方に対して使用することは避けるべきです。この語は匿名性を保つための表現であり、話の相手を特定せずに語る場合に用いられますが、それがかえって失礼や無礼と受け取られるおそれがあります。特に敬意を表すべき場面では、実名や正式な役職名を用いることが適切です。ビジネス上では曖昧さが混乱や誤解を招くこともあるため、相手に不快感を与えない配慮が必要です。

なにがしの失礼がない言い換え

  • 先日ご連絡いただきましたある方につきまして、担当部署にて対応を開始しております。
  • 先方のご担当者様よりお申し出がありました件、至急対応させていただいております。
  • 関係部署の方からご質問をいただきましたので、担当より回答を差し上げます。
  • 本日お越しになるお客様につきまして、資料をご準備の上ご対応くださいませ。
  • 前回の会議でご発言された方より、補足のご連絡がございました。

注意する状況・場面は?

「なにがし」はその語義からして名前をあえて伏せる、または匿名性を持たせるための語であり、敬意を示す必要がある場では使用を控えるべきです。目上の人や重要な取引先に対してこの語を使うと、相手の名前を覚えていない、軽視している、または不誠実であるという印象を与える可能性があります。また、文章の正式度が求められる報告書、契約文書、謝罪文などでも不適切とされます。日常会話では冗談めいた使い方が通用することもありますが、公的な場面では慎重に避けるべきです。

  • 相手の実名を知っているのに敢えて「なにがし」と表現した場合
  • 社外文書や報告書で名前の明記が必要な場面
  • 謝罪や感謝など、敬意を強調する必要のある場面
  • 初対面や紹介の際に曖昧な表現を使った場合
  • 責任の所在をぼかすような印象を与える文脈

「なにがし」のまとめ・注意点

「なにがし」という語は古典的には仮名としての意味合いを持ち、身分や礼儀をわきまえた書き言葉の中で尊重されて使用されてきました。平安時代の文学作品では頻出し、語りの中で人物名を伏せることで物語の構成や叙述の距離感を生み出していました。一方で江戸時代以降は、時代劇や落語などの語り文化で演出的に使われ、匿名性よりも演出効果が強くなっています。現代においては会話で使われることは少なく、主に文章や舞台の中でのみ生き残っている語といえます。ビジネスなどの場面では相手への敬意や明確性が求められるため、使用は控えるべきです。安易に用いると誤解や不快感を招くため、使う場面を選び、必要であれば他の丁寧な言い換えを心がけることが重要です。

古語とは何か

古語とは、昔の時代に使われていた言葉のことで、現代ではほとんど使われなくなった語句を指します。たとえば『いとをかし』『あはれなり』『あいなし』などのように、今の会話では聞かれない表現がそれにあたります。これらは平安時代や鎌倉時代の文章、特に『源氏物語』や『徒然草』といった古典文学の中で使われており、その時代の人々の感情や考え方を知る手がかりとなるものです。現代でも古典の授業や伝統文化を学ぶ際に使われますが、日常生活ではほとんど用いられません。

古語の特徴

古語には、今とはまったく違う語順や助動詞の使い方があることが特徴です。また、一つの言葉に複数の意味があることも多く、文脈によって意味が変わることもあります。たとえば『あはれ』は、感動・悲しみ・愛しさなど、いくつもの感情を含んだ言葉であり、現代語にそのまま訳すことが難しいものです。そのため、古語を学ぶ際には、単に意味を覚えるのではなく、その背景にある文化や当時の生活まで理解することが求められます。

古語の他の言い方

古語にはいくつかの別の言い方があり、場面によって使い分けることができます。たとえば『旧語』という表現は、古語と同じように過去に使われていた言葉を意味しますが、より学術的・記録的な印象を与えます。また『古典語』という言い方もあり、これは特に古典文学の中で使われる言葉に限定して用いられることが多いです。さらに『昔言葉』という呼び方はややくだけた言い回しで、会話の中で親しみをこめて使われることがあります。いずれも内容としては似ていますが、使う相手や文脈によって選び分けることが大切です。

現代での使われ方

古語は学校の授業や古典文学の研究だけでなく、舞台演劇や時代劇の脚本、伝統芸能のせりふ、あるいは文学作品の中でも使われることがあります。特に歌舞伎や能などの世界では、今でも古語がそのまま使われており、当時の雰囲気や世界観を再現するための大切な要素となっています。一般の人にとっては難しく感じるかもしれませんが、意味を知れば知るほど、昔の人の感じ方や考え方に触れることができるため、学ぶ価値の高い分野と言えます。