アサーションとは?自己表現スキルを磨き、相手を尊重しつつ自分の意見を効果的に伝えるコミュニケーション術
ビジネスの場で、自分の意見をはっきりと伝えつつ、相手との良好な関係を保つことは非常に重要です。しかし、「言いたいことがうまく伝わらない」「自分の意見を言うと、相手との関係が悪くなる気がする」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回ご紹介するのが、アサーションというコミュニケーションスキルです。アサーションは、相手を尊重しながらも、自分の意見や感情を正直かつ適切に表現するための方法です。
アサーションとは?
アサーションとは、「相手の気持ちも大切にしながら、自分の気持ちや考えを正直に伝えること」を意味します。これは、わがままに自分の意見を押し通すことでも、逆に相手の意見ばかりを優先して自分を犠牲にすることでもありません。自分も相手も大切にする、健全な自己表現の形と言えるでしょう。
わかりやすく例えるなら
アサーションを理解するために、いくつか身近な状況を例に挙げてみましょう
レストランでの注文
- あなたはハンバーグを食べたいけれど、友人が「パスタにしない?」と提案してきました。
- アサーションなし(自分を犠牲にする場合):「うん、パスタでもいいよ」と、本当はハンバーグが食べたかったのに我慢してしまいます。
- アサーションなし(相手を無視する場合):「は?私はハンバーグが食べたいんだけど?!」と、友人の意見を全く聞かずに自分の意見を押し通します。
- アサーションを使う場合:「パスタも良いですね!でも、実は今日はハンバーグの気分なんです。もしよかったら、ハンバーグにしませんか?」と、友人の提案を受け入れつつ、自分の希望も伝え、相手に選択肢を与えています。
会議での意見表明
- 会議で新しいプロジェクトのアイデアを募っています。あなたは良いアイデアを持っているのに、周りの意見が強くて発言しにくい雰囲気です。
- アサーションなし(自分を犠牲にする場合):結局、何も言わずに終わってしまい、後で「あの時言っておけばよかった」と後悔します。
- アサーションなし(相手を無視する場合):「皆さんの意見は違うと思います!私のアイデアの方が絶対良いです!」と、他の意見を否定して自分の意見を一方的に主張します。
- アサーションを使う場合:「皆様のアイデア、大変参考になります。私からも一つ提案させて頂いてもよろしいでしょうか?実は、このようなアプローチも考えられるのではないかと思っております。」と、前置きをしながら、自分の意見を丁寧に述べます。
友達からのお願い
- 週末にゆっくり休みたいのに、友達から急な手伝いを頼まれました。
- アサーションなし(自分を犠牲にする場合):「わかった、手伝うよ」と、本当は疲れているのに無理して引き受けてしまいます。
- アサーションなし(相手を無視する場合):「無理!手伝えない!」と、一方的に断ってしまいます。
- アサーションを使う場合:「いつもなら喜んで手伝いたいのですが、実は今週末は少し疲れていて、どうしてもゆっくり休みたいんです。ごめんなさい。また別の機会であればぜひお手伝いさせてください。」と、相手の気持ちを考慮しつつ、自分の状況と断る理由を伝えます。
これらの例からわかるように、アサーションは、自分の気持ちを我慢することも、相手を傷つけることもなく、お互いを尊重しながらコミュニケーションをとるための有効な手段なのです。
似ている慣用句やことわざはある?
アサーションに直接的に当てはまる慣用句やことわざは多くありませんが、その精神性や考え方に近いものはいくつか挙げられます。
- 「立つ鳥跡を濁さず」
- これは、去り際をきれいにすることのたとえですが、アサーションの「相手を尊重する」という側面と通じる部分があります。自分の意見を伝えることで、後味を悪くしたり、関係を損ねたりしないようにするという考え方です。
- 「正直は最善の策」
- 正直であることが最終的には良い結果をもたらすという意味です。アサーションは自分の気持ちを正直に伝えることを含みますが、これは相手への配慮を伴う正直さです。ただ単に思ったことをそのまま言うのではなく、どう伝えれば相手も受け入れやすいかを考える点が異なります。
- 「和して同ぜず」
- 人と協調はするが、安易に同調はしないという意味です。自分の意見を持ちつつも、周りとの調和を大切にするという点で、アサーションの考え方に近いと言えるでしょう。相手の意見を聞きつつ、自分の意見もきちんと表明するという姿勢に通じます。
- 「言わぬが花」との違い
- 「言わぬが花」は、言わない方が良いこともある、という意味で、日本の文化の中では美徳とされてきました。しかし、アサーションは「言わない」ことで生まれる誤解や不満を防ぐためのスキルです。時には言わない方が良いこともありますが、ビジネスの場では、建設的な議論や問題解決のために、適切な自己表現が求められる場面が多々あります。アサーションは、「言わぬが花」と対極にあるようでいて、実は「何を、どのように、いつ言うか」を考える上で、より戦略的なコミュニケーションを促します。
これらの言葉は、アサーションの全体像を完璧に表しているわけではありませんが、その一部の側面や考え方と共通する部分があることを理解する助けになるでしょう。
ビジネスとしての捉え方
ビジネスにおいてアサーションは、個人のスキルアップだけでなく、組織全体の生産性向上にも大きく貢献する重要な要素です。
建設的な議論と意思決定
アサーションは、会議や商談において、より活発で建設的な議論を促します。自分の意見を適切に伝えることで、多様な視点からの意見交換が生まれ、より良い意思決定に繋がります。例えば、プロジェクトの方向性を決める会議で、誰もが「反対意見を言ったら空気を壊してしまう」と遠慮してしまえば、重要な問題点が見過ごされる可能性があります。アサーションを用いることで、異なる意見も安心して表明できるようになり、より多角的な検討が可能になります。
信頼関係の構築とチームワーク
自分の意見を正直に伝えつつ、相手を尊重する姿勢は、相互の信頼関係を深めます。相手は「この人は自分の意見を大切にしてくれる」と感じ、安心して自分の意見を述べられるようになります。これにより、チーム内のコミュニケーションが円滑になり、協力体制が強化されます。
問題解決能力の向上
問題が発生した際、アサーションスキルがあれば、感情的にならずに冷静に状況を伝え、解決策を共に考えることができます。例えば、チーム内で意見の対立があった場合、アサーションを用いてそれぞれの立場や感情を伝え合うことで、対立を乗り越え、協力して解決策を見つけ出すことができるようになります。
ストレスの軽減と精神的健康の維持
自分の意見や感情を適切に表現できることは、ストレスの蓄積を防ぎます。言いたいことを我慢し続けると、心身に負担がかかり、パフォーマンスの低下に繋がります。アサーションは、そのような不健康な状態を避けるためにも有効です。
リーダーシップの発揮
リーダーは、チームメンバーの意見を引き出し、自身の考えを明確に伝える必要があります。アサーションは、リーダーがメンバーからの信頼を得ながら、的確な指示を出し、チームを導く上で不可欠なスキルです。
ビジネスシーンでは、日報や週報、企画書作成、プレゼンテーション、顧客との交渉、上司への報告、部下へのフィードバックなど、あらゆる場面でアサーションの考え方が活かせます。自分の意見を適切に表現することで、業務の効率化、ミスの削減、そしてより良い成果へと繋がっていくでしょう。
うまく使えない場合の改善方法・考え方
アサーションを身につけることは、一朝一夕にできるものではありません。多くの人が、自分の意見を言うことにためらいを感じたり、逆に感情的になってしまったりすることがあります。しかし、いくつかの考え方や練習方法を取り入れることで、徐々にアサーションスキルを向上させることができます。
自分の気持ちや考えを明確にする
アサーティブな表現をするためには、まず自分が何を考え、どう感じているのかを明確にすることが重要です。漠然とした不満や要求ではなく、「何について」「どうして」「どうしたいのか」を具体的に整理しましょう。
「I(アイ)メッセージ」を使う
相手を主語にした「You(ユー)メッセージ」(例:「あなたはいつも〇〇だ」)は、相手を非難しているように聞こえ、反発を招きやすいです。一方、「Iメッセージ」(例:「私は〇〇だと感じます」「私は〇〇してほしいです」)は、自分の感情や要望を伝えるため、相手に受け入れられやすくなります。
相手の立場や感情を想像する
自分の意見を伝える前に、相手がどのような状況にあり、どのように感じるかを想像してみましょう。これにより、より相手に寄り添った言葉遣いや表現方法を選ぶことができます。相手の状況を理解しようとする姿勢は、信頼関係の構築にも繋がります。
練習を繰り返す
アサーションは、自転車の乗り方や楽器の演奏と同じで、練習することで上達します。最初は簡単な状況から始めて、徐々に難しい状況で試してみましょう。例えば、家族や親しい友人を相手に、意識的にアサーティブな表現を試してみるのも良い練習になります。
完璧を目指さない
最初から完璧なアサーティブなコミュニケーションができる必要はありません。うまくいかなくても、「次はこうしてみよう」と前向きに捉え、経験を積むことが大切です。失敗は、学びの機会と捉えましょう。
自分の権利を理解する
アサーションの根底には、自分にも意見を言う権利があるという考え方があります。自分の意見を述べることは、決してわがままなことではありません。自分自身を尊重し、自信を持って表現する権利があることを認識しましょう。
具体的な行動計画を立てる
例えば、「来週の会議で、自分の意見をIメッセージを使って一度発言する」「上司に、〇〇について自分の意見を伝える練習をする」など、具体的な目標を設定してみましょう。目標が明確であれば、行動に移しやすくなります。
これらの考え方を意識し、日々のコミュニケーションの中で実践していくことで、あなたのコミュニケーションスキルは確実に向上していくでしょう。
わかりやすく一般的な行動から例えるなら
アサーションは、特別な場面だけでなく、私たちの日常生活の中にも応用できる考え方です。身近な例を通して、アサーションの考え方をより深く理解してみましょう。
買い物中に困った時
- 状況:お店で商品を探しているが見つからない。店員さんが忙しそうにしている。
- アサーションなし(自分を犠牲にする場合):見つからないまま諦めて、お店を出てしまいます。
- アサーションなし(相手を無視する場合):「ねぇ、これどこにあるの?!早く教えてよ!」と、店員さんに強く当たります。
- アサーションを使う場合:「すみません、お忙しいところ恐縮ですが、この商品を探しているのですが、どこにあるか教えていただけますでしょうか?」と、相手の状況を慮りながら、自分の困っていることを具体的に伝えます。
友人からの急な誘いを断る時
- 状況:ゆっくり過ごしたい休日に、友人から急に「今から遊びに行かない?」と誘われた。
- アサーションなし(自分を犠牲にする場合):「うん、いいよ」と、本当は疲れているのに無理して付き合ってしまいます。
- アサーションなし(相手を無視する場合):「えー、無理無理!行かない!」と、相手の気持ちを考えずに一方的に断ります。
- アサーションを使う場合:「誘ってくれてありがとう!とても嬉しいのですが、実は今日はゆっくり休みたいと考えていて、申し訳ありませんが、今回は見送らせていただいてもよろしいでしょうか?また近いうちに、こちらから誘わせてくださいね!」と、感謝の気持ちを伝え、断る理由を丁寧に説明し、次の機会を示唆します。
食事の好みを伝える時
- 状況:友人と食事に行くことになり、何を食べたいか聞かれたが、友人の希望と自分の希望が違う。
- アサーションなし(自分を犠牲にする場合):「なんでもいいよ」と、自分の希望を伝えずに相手に合わせます。
- アサーションなし(相手を無視する場合):「絶対に〇〇が食べたい!」と、自分の希望だけを一方的に主張します。
- アサーションを使う場合:「〇〇も良いですね!実は今日は、△△の気分なのですが、もし〇〇でなければ、△△はいかがでしょうか?」と、相手の提案を受け入れつつ、自分の希望も伝え、相手に選択肢を与えます。
家族との意見の食い違いがあった時
- 状況:家族で旅行の計画を立てているが、行きたい場所が家族と違う。
- アサーションなし(自分を犠牲にする場合):「みんなが行きたいなら、私もそれでいいよ」と、自分の希望を諦めてしまいます。
- アサーションなし(相手を無視する場合):「なんでみんな〇〇に行きたがるの?私は絶対△△に行きたい!」と、自分の意見を押し付けます。
- アサーションを使う場合:「皆さんの〇〇という意見もとても良いですね!実は私は△△にも興味があるのですが、もしよろしければ、それぞれの場所の良さを話し合ってみませんか?」と、相手の意見を尊重しつつ、自分の意見も提示し、建設的な話し合いを促します。
これらの日常の場面でも、アサーションの考え方を用いることで、より円滑でストレスの少ない人間関係を築くことができます。
効果的な使い方
アサーションを効果的に使うためには、いくつかのポイントがあります。これらを意識することで、あなたのメッセージはより相手に伝わりやすくなります。
客観的に表現する
あいまいな表現や感情的な言葉は避け、事実に基づいた具体的な言葉で伝えましょう。「いつも」「全然」といった極端な言葉も、相手に反発心を抱かせやすいので注意が必要です。
- 悪い例:「あなたはいつも会議で私の意見を聞いてくれない!」
- 良い例:「前回の会議で、私が〇〇について発言した際、最後まで話を聞いていただけなかったように感じました。」
自分の感情や考えを「私」を主語にして伝える(Iメッセージ)
前述した「Iメッセージ」を意識的に使うことで、相手を責めることなく、自分の感情や考えを伝えることができます。
- 悪い例:「あなたは仕事が遅い!」
- 良い例:「〇〇さんの仕事の進捗が遅れていると、私はプロジェクト全体に影響が出るのではないかと心配になります。」
相手の意見や感情にも耳を傾ける
アサーションは、自分の意見を伝えるだけでなく、相手の意見にも真摯に耳を傾けることから始まります。相手の言い分を理解しようと努めることで、より建設的な対話が可能になります。
解決策や代替案を提示する
ただ不満を伝えるだけでなく、「どうしてほしいのか」「どのようにすれば解決できるのか」といった解決策や代替案を提示することで、建設的な話し合いに繋がりやすくなります。
- 悪い例:「この資料、分かりにくいです。」
- 良い例:「この資料の〇〇の部分について、もう少し具体的なデータがあれば、より分かりやすくなると思います。もしよろしければ、追記をご検討いただけますでしょうか?」
相手への配慮を示す言葉を選ぶ
「恐れ入りますが」「もし差し支えなければ」「~していただけると助かります」といったクッション言葉を使うことで、相手に与える印象を和らげ、協力を引き出しやすくなります。
タイミングを見計らう
感情的になっている時や、相手が非常に忙しい時など、状況によってはアサーティブなコミュニケーションが逆効果になることもあります。相手の状況や雰囲気を見て、適切なタイミングで伝えることも重要です。
簡潔に伝える
伝えたいことを長く話しすぎると、相手は飽きてしまったり、結局何が言いたいのか分からなくなってしまうことがあります。要点を押さえ、簡潔に伝えることを心がけましょう。
これらのポイントを意識して実践することで、あなたのコミュニケーションはより効果的になり、人間関係もスムーズになるでしょう。
説明するための注意点
アサーションについて他者に説明する際、誤解を与えないようにいくつかの点に注意する必要があります。特に、アサーションが「わがまま」や「自己中心的」と捉えられないように、その本質を正しく伝えることが重要です。
「わがまま」や「自己中心的」ではないことを強調する
アサーションは、自分の意見を主張することだけではありません。相手の権利や感情を尊重し、相互理解を深めることを目的としています。この点を明確に伝え、「一方的な主張ではない」ことを強調しましょう。
説明する際の例:「アサーションは、自分の意見を押し付けることではありません。相手の意見にも耳を傾け、お互いを尊重しながら、正直な気持ちを伝えるコミュニケーション方法です。」
「攻撃的」なコミュニケーションとは違うことを明確にする
怒鳴る、批判する、威圧するといった攻撃的なコミュニケーションとは全く異なることを明確にしましょう。アサーションは、相手を傷つけることなく、建設的な対話を目指すものです。
説明する際の例:「アサーションは、決して相手を攻撃したり、非難したりするものではありません。感情的にならず、冷静に自分の意見を伝えることが重要です。」
「受動的」なコミュニケーションとも違うことを説明する
自分の意見を言わずに我慢したり、相手の意見に流されたりする「受動的」なコミュニケーションとは違うことも強調しましょう。アサーションは、自分を犠牲にしない自己表現です。
説明する際の例:「アサーションは、自分の意見を言わずに我慢することとも違います。自分の気持ちを抑え込むのではなく、適切な方法で表現することで、ストレスを軽減し、より良い関係を築くことができます。」
具体的な例を多く挙げる
抽象的な説明だけでは伝わりにくいことがあります。前述したような日常の具体的な例や、ビジネスシーンでの例を複数挙げることで、聞き手はアサーションがどのようなものかをイメージしやすくなります。
練習が必要なスキルであることを伝える
アサーションは、一度学んだらすぐにできるようになる魔法のようなものではありません。練習と経験が必要なスキルであることを伝え、継続的な取り組みを促しましょう。
説明する際の例:「アサーションは、練習すればするほど身につくスキルです。最初は難しく感じるかもしれませんが、少しずつ実践することで、必ず上達していきます。」
メリットだけでなく、難しさも伝える
アサーションがもたらすメリットだけでなく、実践することの難しさや、失敗することもあるという現実的な側面も伝えることで、聞き手はより共感し、現実的な目標設定ができるようになります。
相互の理解が重要であることを強調する
アサーションは、一人だけが実践しても効果が限定的です。相手もアサーティブなコミュニケーションを理解し、実践することで、より良い関係が築けることを伝えましょう。
これらの注意点を踏まえながら説明することで、アサーションの本質を正しく伝え、聞き手の理解を深めることができるでしょう。
悪い使い方・注意点
アサーションは非常に有益なコミュニケーションスキルですが、使い方を誤ると逆効果になることがあります。意図せず相手を不快にさせたり、関係を悪化させたりしないよう、以下の点に注意が必要です。
感情的に伝える
アサーションは、感情的にならず、冷静に自分の意見を伝えることが前提です。怒りや苛立ちの感情が先行すると、言葉が攻撃的になったり、相手に不快感を与えたりしてしまいます。
- 悪い例:イライラしながら「なんであなたはいつもこうなの?!」と声を荒げる。
- 良い使い方:一度冷静になり、「〇〇な状況だと、私は△△だと感じてしまいます」と、落ち着いて伝える。
相手を非難するような言葉遣いをする
「あなたは~すべきだ」「あなたは~ができていない」といった相手を責めるような「Youメッセージ」は、アサーションではありません。相手は防御的になり、コミュニケーションが成立しにくくなります。
- 悪い例:「あなたのせいで仕事が滞っている。」
- 良い使い方:「〇〇さんの作業の遅れが、私の業務にも影響が出ていると感じています。何か困っていることがあれば、お伺いしましょうか?」
相手の意見や感情を無視する
アサーションは、自分の意見を主張する一方で、相手の意見や感情も尊重するものです。一方的に自分の意見を押し付けたり、相手の反論に耳を傾けなかったりすることは、アサーションの目的とは異なります。
- 悪い例:相手が何か言おうとしているのに、遮って自分の意見だけを話し続ける。
- 良い使い方:相手の話を最後まで聞き、「〇〇さんの仰ることもよく理解できました。その上で、私の考えとしては~」と、相手の意見を受け止めた上で自分の意見を述べる。
適切なタイミングではないのに伝える
相手が非常に忙しい時、精神的に不安定な時、あるいは公共の場で個人的な話を切り出すなど、状況にそぐわないタイミングでアサーティブな表現をすると、相手に不快感を与えてしまいます。
- 悪い例:締め切り直前で焦っている同僚に、今すぐ自分の意見を聞いてほしいと迫る。
- 良い使い方:相手の状況を察し、「お忙しいところ申し訳ないのですが、少しお時間をいただくことは可能でしょうか?」と、相手の都合を尋ねる。
曖昧な表現や遠回しな言い方をする
相手に忖度しすぎて遠回しな言い方をしたり、曖昧な表現を使ったりすると、結局何を言いたいのかが伝わらず、誤解を生む原因になります。アサーションは、正直かつ明確な表現を目指します。
- 悪い例:「えっと…もし、その…できればなんですけど…」と、はっきりと要求を伝えられない。
- 良い使い方:「〇〇について、△△をお願いできますでしょうか?」と、具体的に依頼する。
結果を急ぎすぎる
アサーションによるコミュニケーションは、すぐに良い結果が出るとは限りません。相手にも考える時間が必要な場合もありますし、一度で解決しない問題もあります。結果を急ぎすぎると、焦りから不適切な言動につながる可能性があります。
- 悪い例:意見を言ったのにすぐに相手が理解してくれないと、不満を露わにする。
- 良い使い方:意見を伝えた後、相手の反応を待ち、必要であれば再度、別の表現で伝えたり、質問したりする。
冗長な説明になる
アサーションは、簡潔かつ明確に伝えることが重要です。前置きが長すぎたり、何度も同じことを繰り返したりすると、相手は退屈したり、うんざりしたりする可能性があります。
- 悪い例:長々と自分の気持ちを語り、結局何が言いたいのか分かりにくくなる。
- 良い使い方:伝えたい要点を整理し、短く分かりやすく伝える。
アサーションは、あくまで相手との良好な関係を築きながら、自分の意見を伝えるためのツールです。これらの注意点を意識することで、より効果的にアサーションを活用できるようになるでしょう。

