「手の平(掌)を返す」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文

「手の平(掌)を返す」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文

「手の平(掌)を返す」という言い回しは、ある人物の態度や考え方、接し方などが急激に変わることを意味しています。特に、今まで親しくしていた相手に対して急に冷たくなる、またはそれまで批判していた対象を急に持ち上げるようになるなど、態度の変化があからさまであればあるほどこの言葉が使われやすくなります。「掌を返す」という比喩は、手のひらをひっくり返す動きの素早さ、簡単さをイメージしており、それと同じくらい簡単に人の態度が変わることを非難する意図が込められています。

また、この言い回しには、裏切りや日和見主義、利害関係で人間関係を操るような冷淡な印象を与える場合も多くあります。たとえば、選挙で勝ちそうな候補に急に支持を変えるような行為や、立場が悪くなった途端に人を切り捨てるような態度などがこの表現の典型です。日常会話や報道、ビジネスの現場でも広く使用されるこの慣用句は、相手への不信感や失望を表現する際に使われることが多く、人間関係の中での信頼性や誠実さを問う背景が見え隠れします。

英語では「change one’s tune」や「do a 180(degree turn)」、あるいは「flip-flop」などが類似した意味合いで使われます。ただし、英語のこれらの言い回しは必ずしも相手を非難するニュアンスを含むとは限らず、文脈によっては中立的に使われることもあります。それに対し、「手の平を返す」は明確に否定的な意味合いを帯びており、軽蔑や不満が込められることがほとんどです。こうしたニュアンスの違いにも注意が必要です。

「手の平(掌)を返す」の一般的な使い方と英語で言うと

・彼は昇進した途端、それまでの同僚たちに冷たくなり、まるで手の平を返したような態度を取るようになった。
(He started acting cold towards his colleagues right after his promotion, completely changing his attitude as if he turned his palm over.)

・彼女は新しい上司が来たとたん、それまでの不満を忘れて手の平を返したように媚びるようになった。
(She suddenly started flattering the new boss, forgetting all her complaints as if she had flipped her palm.)

・会社の業績が悪化したとたんに、上層部は以前の約束をなかったことにして手の平を返してきた。
(As soon as the company’s performance declined, the executives acted like their previous promises meant nothing, completely changing their stance.)

・選挙前には庶民の味方のようなことを言っていたのに、当選したら手の平を返して高額な増税を進めている。
(He claimed to be on the people’s side before the election, but after winning, he changed his stance and pushed for a heavy tax increase.)

・取引先が他社と契約したと知ったとたん、それまでの親切さを忘れて手の平を返したような対応をしてきた。
(Once they found out the client signed with another company, they forgot all their kindness and started treating us coldly, like they had turned their palm over.)

似ている言い方

・掌を返すように
・態度を一変させる
・ころっと変わる
・180度変わる
・豹変する

「手の平(掌)を返す」のビジネスで使用する場面の例文と英語

ビジネスの場において「手の平を返す」という言葉は、契約や信頼関係、協力関係にあった相手が、状況や利益の変化によって急に態度を変えることを意味します。たとえば、会議では協力的だったのに別の提案が通ると急に非協力的になる、または新たな取引先に乗り換えると前の関係を無視するような行為に対して使われます。以下にそのような事例を示します。

・先日の交渉では非常に前向きな姿勢だったのに、競合他社の条件を見たとたん手の平を返してきた。
(They had shown a very positive attitude during the last negotiation, but as soon as they saw a competitor’s offer, they changed their attitude completely.)

・社内の方向性が変わった途端、それまでの合意事項に対して手の平を返すような反応があった。
(As soon as the internal strategy shifted, they reacted as if all previous agreements no longer mattered.)

・提案を採用された瞬間、それまでの慎重な態度から一転して手の平を返したように強気な要求をしてきた。
(Once their proposal was accepted, they suddenly became aggressive in their demands, as if they had flipped their stance.)

・他部署が注目を集め始めたことで、上司が急に手の平を返して対応を変えたのは非常に残念だった。
(It was disappointing to see the supervisor suddenly change his attitude as soon as another department gained attention.)

・当初はこちらをパートナーとして扱ってくれていたのに、別案件が動き出すと手の平を返してきたのが不信感につながった。
(They originally treated us like partners, but when another project came up, their sudden change in attitude caused mistrust.)

「手の平(掌)を返す」は目上の方にそのまま使ってよい?

「手の平を返す」という表現は、その性質上、相手の態度の変化を非難または皮肉的に指摘する語感が強いため、目上の方や取引先に対してそのまま使用するのは非常にリスクがあります。特に、ビジネスの文脈においては丁寧さや相手の立場への配慮が求められるため、誤解を招いたり不快にさせたりする恐れが大いにあります。相手に対して否定的な印象を与える言い方は控えたほうがよいでしょう。言いたいことの本質を伝えるためには、遠回しでやわらかい言い換えや状況を説明する言葉を用いることが望ましいです。

・直接的すぎて相手を攻撃しているように見える可能性がある
・ビジネスの関係性にヒビを入れることがある
・誠実な話し合いの場で不必要な対立を生む場合がある
・相手に悪意がなかった場合でも誤解を与える可能性がある
・目上の方に失礼にあたると受け取られるリスクがある

「手の平(掌)を返す」の失礼がない言い換え

・先日はご意見をいただいておりましたが、今回は異なるお考えをお持ちのようでございますね。
・以前とは異なるご判断をいただいていること、十分に承知しております。
・当初のお話とは少々方向性が変わってきたように感じております。
・これまでのご対応と今回のご方針に違いがあるように受け取っております。
・お立場の変化によりご意見に変化が見られること、理解しております。

適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?

書き出し

・先日までのご意見を尊重しつつ、現在のご判断について再度お伺いしたくご連絡差し上げました。
・これまでのご協力に感謝申し上げるとともに、新たなご方針について少しお伺いできればと存じます。
・ご多忙の折とは存じますが、変化されたご意向について丁寧に確認をさせていただけますと幸いです。
・以前に頂戴いたしましたお言葉との相違が見られる点について、ご確認をお願い申し上げたく存じます。
・先般のお打ち合わせの内容と今回のご対応の違いにつき、念のためご確認いただければと思いご連絡いたしました。

締めの挨拶

・ご多用の中とは存じますが、今後の進め方についてご指導賜れますと幸いに存じます。
・急なご連絡にて恐縮でございますが、ご対応のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
・ご判断に至られた背景を拝察しつつ、引き続きのご助力を心よりお願い申し上げます。
・ご方針に合わせた対応をこちらでも整えてまいりますので、今後とも変わらぬご協力を賜れれば幸いです。
・今後も誠意を持って対応させていただきますので、引き続きのお付き合いを何卒よろしくお願い申し上げます。

注意する状況・場面は?

「手の平を返す」という表現は、あからさまな態度の変化に対する強い不満や皮肉を含んでいるため、使い方には非常に注意が必要です。特にビジネスや目上の方との関係においては、この言い方をそのまま用いると、不快感や敵意を与えてしまう危険性があります。また、本人にそのつもりがなかった場合でも、外部から見た印象で断定するような言い回しは、誤解を招く恐れがあります。したがって、自分の感情や主観に任せて使うのではなく、状況を冷静に分析し、言い回しを選んで伝えることが大切です。

・相手に失礼と感じさせる場面
・相手の判断に背景や事情がある場合
・本人が変わったつもりがないとき
・誤解によって関係が悪化しやすい場面
・第三者に対して誹謗中傷と受け取られかねないとき

細心の注意払った言い方

・先般のご意向を拝受しておりましたが、今回のご方針についても改めてご説明いただけますと理解が深まると存じます。
・過日のご判断と異なるご対応であったため、念のため現在のご意見を確認させていただきたく存じます。
・お考えの変化には何か背景があるかと存じますので、よろしければお聞かせいただけますと幸いです。
・以前のご方針と現時点でのご意向に相違が見受けられたため、詳細を確認させていただければと存じます。
・ご判断の変化につきまして、誤解のないよう確認をさせていただきたく、どうぞよろしくお願いいたします。

「手の平(掌)を返す」のまとめ・注意点

「手の平を返す」という言葉は、相手の態度が急に変わることに対する不信感や非難の意を含んだ、非常に強い意味を持つ言い回しです。そのため、日常会話や私的な場では気軽に使えるかもしれませんが、ビジネスや目上の方とのやりとりでは、丁寧な言い換えが必須となります。特に感情的になってしまうと、この言葉は相手を攻撃する手段として捉えられやすく、意図せぬ誤解や関係の悪化を招く可能性も高いです。また、自分の主観で「手の平を返した」と感じたとしても、相手には相応の事情がある場合も多いため、一方的に断定するのではなく、まずは確認や理解に努める姿勢が重要です。

相手に変化が見られた時には、丁寧に背景を伺ったり、状況をすり合わせることで誤解を防ぐことができます。短絡的に「手の平を返した」と口にするのではなく、その意図や影響をきちんと理解した上で、言葉を選ぶことが大人としての品格にもつながります。冷静に、丁寧に、思いやりを持った対応を心がけることで、関係性を損なうことなく話し合いを進めていけるでしょう。