「天秤に掛ける」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「天秤に掛ける」という言い回しは、比べたい物事を同時に見比べて、どちらにするかを決めようとする際に使われます。天秤とは重さを測る道具で、左右に物を載せてバランスを取ることで比較するイメージがもとになっています。この言葉が意味するのは、価値や利益、損得、好悪、あるいは選択の難しさなどを含むもの同士を比べて、最終的にどちらかを選ぶ、あるいはどちらかが有利かを考えることです。実際の使われ方としては、恋愛、ビジネス、進学、転職など人生における選択の場面でよく見かけます。
英語ではこの慣用句に完全に一致する直訳は存在しないものの、近いニュアンスを持つ言い方としては “weigh one’s options” や “compare A and B carefully”、あるいは “weigh A against B” が挙げられます。たとえば「彼女は転職先と今の職場を天秤に掛けている」と言う場合は “She is weighing the new job offer against her current job” といった具合です。
また、この表現にはある種の「打算的な態度」や「計算高さ」が含まれることもあり、単純な選択というよりも、どちらがより自分にとって得かを冷静に、時に利己的に考えるような印象もあります。そのため、人間関係において使用する際には、相手に対して不快感を与える可能性もあるので注意が必要です。恋愛において「どちらの相手を選ぶか天秤に掛けている」となれば、相手を比較して優劣を付けているとも取られるので、使用する場面や相手の心情をよく理解したうえで使うことが求められます。
「天秤に掛ける」の一般的な使い方と英語で言うと
- 彼は海外留学と国内の大学進学を天秤に掛けて、最終的に海外を選んだが、心残りもあるようだった。
(He weighed studying abroad against attending a domestic university and eventually chose the overseas option, though he still seems to have some regrets.) - 転職の話が出ているが、今の待遇と新しい会社の条件を天秤に掛けていて、なかなか決断できない状態が続いている。
(A job change is on the table, but he’s weighing his current benefits against the new company’s offer and can’t seem to make up his mind.) - 彼女は二人の男性の間で気持ちが揺れていて、どちらが本当に自分に合うのかを天秤に掛けて考えていた。
(She was torn between two men and tried to weigh which one was truly right for her.) - 家族の意見と自分の夢のどちらを優先するかを天秤に掛けるのは、非常に難しい判断を迫られることになる。
(Weighing family opinions against personal dreams forces one to make a deeply difficult decision.) - その取引は利益はあるがリスクも高く、彼は収益と損失の可能性を慎重に天秤に掛けて検討している。
(The deal is potentially profitable but risky, so he is carefully weighing the possible gains against the potential losses.)
似ている表現
- 比較する
- 選択を迫られる
- 葛藤する
- 決断に迷う
- 判断を保留する
「天秤に掛ける」のビジネスで使用する場面の例文と英語
この表現はビジネスでも頻繁に使用されますが、主に複数の提案、契約、方針、投資先などを比較検討していることを示す時に使います。また、利益やリスク、将来的な展望などを考慮して、どちらを選ぶか決める際の説明に用いられます。以下はそのような場面での文例です。
- 弊社では複数のサプライヤーと交渉しており、品質とコストのバランスを天秤に掛けて選定しております。
(We are currently negotiating with multiple suppliers and weighing the balance between quality and cost in our selection process.) - 新規プロジェクトへの投資は魅力的ですが、既存事業への影響も天秤に掛けて慎重に判断しております。
(While the new project seems promising, we are carefully weighing its impact on our existing operations before making a decision.) - 今回の契約条件は非常に有利に見えますが、長期的な信頼関係とのバランスを天秤に掛けて検討する必要があります。
(Although the contract terms appear favorable, we must weigh them against the importance of long-term trust.) - 従業員の福利厚生とコスト削減を天秤に掛けることは避けたいと考えております。
(We hope to avoid weighing employee benefits against cost-cutting measures.) - 海外進出を進めるべきか否か、現在の市場状況と経営資源を天秤に掛けて議論しております。
(We are currently discussing whether to proceed with international expansion by weighing the market conditions against our management resources.)
「天秤に掛ける」は目上の方にそのまま使ってよい?
「天秤に掛ける」は日常ではよく使われる言い回しですが、目上の方や取引先とのやり取りにおいては、ややカジュアルな印象を与えるため注意が必要です。この言い回しは、何かを比較している、もしくは打算的に見極めているニュアンスが強く、ビジネス上では誤解を招く恐れがあります。とくに、「相手を天秤に掛けている」という言い方は、相手を対等の存在ではなく、一方的に価値判断しているようにも受け取られかねません。ビジネスの世界では、相手の立場や感情に配慮した慎重な言葉選びが求められますので、同様の意味を持ちながらも、より丁寧で柔らかい言い方に言い換えることが望ましいです。
- 打算的に選んでいると誤解されやすい
- 相手に優劣をつけているように受け取られる可能性がある
- 感情的に冷たく聞こえる場合がある
- 相手に対する配慮が欠けている印象を持たれる恐れがある
- 柔らかく丁寧に表現し直すことで、誤解や摩擦を避けられる
「天秤に掛ける」の失礼がない言い換え
- ご提案いただいた内容について、複数の視点から慎重に検討しております。
- 複数の選択肢を踏まえたうえで、最も適した方向性を模索しております。
- 諸条件を考慮しつつ、総合的に判断するよう努めております。
- 各案の優先順位や影響を精査したうえで決定いたします。
- 検討すべき事項が多岐にわたるため、現在慎重に確認を進めております。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
- いつも格別のお引き立てを賜り、心より感謝申し上げます。先日の件につきまして、検討状況を共有させていただきます。
- 平素よりお世話になっております。現在、いくつかの選択肢を基に慎重に協議を重ねております。
- 貴社のご提案について、社内にて詳細を精査しており、ご報告まで今しばらくお時間をいただければ幸いです。
- ご案内いただいた件につきまして、関係部署と連携し、最適な形を模索しております。
- 先般は迅速なご対応をいただき、誠にありがとうございました。現在、社内での調整を進めておりますので、下記にご報告申し上げます。
締めの挨拶
- 今後ともご期待に添えるよう努めてまいりますので、引き続きご指導賜りますようお願い申し上げます。
- 引き続き真摯に検討を進めてまいりますので、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
- 最終判断にあたりましては、誠に恐れ入りますが、もう少々お時間を頂戴できれば幸いです。
- ご提案の内容につきましては誠意をもって受け止めております。今後の対応につきましては、追ってご連絡差し上げます。
- 本件について何かご不明点がございましたら、どうぞお気軽にお申し付けくださいませ。
使用に注意する場面は?
「天秤に掛ける」は、その言葉の裏にある「打算的」「損得勘定」「優劣の比較」といった意味合いが強く表れる場合があるため、相手の立場や関係性によっては失礼と感じさせてしまうこともあります。特に人間関係において、複数の人物や提案を比較検討していることをあからさまに言葉にすると、相手に対して不快感や軽視されたような印象を与えることがあります。したがって、次のような場面では十分注意し、場合によっては他の表現に置き換えることが望ましいです。
- 恋愛関係で相手を比較していることを告げる際
- 上司や取引先に提案を「他と比較している」と伝える場面
- 感情的に繊細な状況で使用する際(病気や退職、家族の事情など)
- 他社と比較している旨を直接伝えることで取引関係に影響が出る場面
- 転職などで現在の職場と新しい職場を比べていることを話す場合
細心の注意払った言い方
- さまざまなご提案の中から、総合的な判断をもって慎重に選定を進めております。
- ご案内いただきました内容につきましては、他の候補と並行して検討しておりますが、いずれも真摯に向き合っております。
- 複数のご提案の中で、各要素を一つずつ整理し、どのような結果が最良となるか慎重に模索しております。
- 一方的な判断とならぬよう、各案の長所や今後の影響を丁寧に検討してまいります。
- いただいたご意見を含め、さまざまな可能性を踏まえて、今後の方向性を慎重に定めてまいります。
「天秤に掛ける」のまとめ・注意点
「天秤に掛ける」という言い方は、何かを比べてより良い方を選ぶという、ごく自然で一般的な行動を言葉にしたものであり、私たちの生活の中で多くの場面に登場します。進学、就職、転職、人間関係、商品選びなど、選択肢が複数ある時には、どうしても何かと何かを比べざるを得ません。そのような判断の瞬間を表すのにとても便利な言い回しです。
しかしながら、利己的に聞こえたり、相手に対して優劣をつけるような印象を与えかねない場面では使用を慎まなければなりません。特に対人関係やビジネスの場面では、使い方一つで誤解を生む可能性がありますので、常に相手の気持ちや関係性を重んじた丁寧な言い換えが求められます。また、言葉が持つニュアンスや背景をしっかり理解した上で、自分の気持ちや考えを的確に伝える工夫をすることが、円滑なコミュニケーションには欠かせません。適切な場面で上手に使えば、相手との意思疎通を深めるための有用な表現となる一方で、乱用すれば信頼を損ねかねない両刃の剣とも言えるでしょう。

