「描写」と「叙述」の違い?使い分けは?
日本語の「描写」と「叙述」は、どちらも物事や出来事を言葉で表す際に用いられる重要な言葉ですが、それぞれの意味やニュアンスには大きな違いがあります。この違いをきちんと理解し、正しく使い分けることは、ビジネスメールや日常の会話、または文章作成の場面でも非常に大切です。ここでは、それぞれの意味と特徴、そしてビジネスや日常会話での具体的な使い方について、丁寧にわかりやすく解説していきます。
ビジネス用語としての「描写」の説明
「描写」とは、出来事や人物、風景、雰囲気などを、読んだ人が実際にその場面を目に浮かべられるように、細かく具体的に言葉で伝えることを意味します。まるで絵を描くように、色や形、音、動き、感情までも臨場感たっぷりに表すことが求められます。
「描写」は主に次のような特徴があります。
- 状況や様子、雰囲気、感情などを細かく言葉で伝えることを重視する
- 五感に訴える情報(見た目、音、匂い、触感など)を盛り込んで、リアルさや臨場感を与える
- 文章を読む人が「その場にいるような感覚」を持てることが目的
ビジネスにおいては、新しい商品やサービスの特徴を伝えたい時、イベントの様子を分かりやすく説明したい時、現場の雰囲気や会議の空気感を伝えたい時など、相手に「イメージ」をしっかり持ってほしい場面でとても役立つ表現方法です。
描写のまとめ
- 状況や人物の外見、場の雰囲気、商品の見た目や感触など、具体的に伝えるときに使う
- 体験談や現場レポート、商品説明、企画書などで効果的
- 読み手の想像力をかきたてたいときに最適
ビジネス用語としての「叙述」の説明
「叙述」とは、物事や出来事、考え、心情などを、客観的かつ論理的に順序立てて「事実や内容を述べること」を指します。単なる説明や記録、報告ではなく、時系列や論理の流れに沿って、一連の出来事や思考、気持ちの移り変わりまでを丁寧に「述べる」というニュアンスが含まれます。
「叙述」には以下のような特徴があります。
- 事実や出来事、経過、心情の移り変わりを、順序立てて分かりやすく述べる
- 主観的なイメージや感覚よりも、客観的に出来事を伝える意識が強い
- ビジネス文章では、報告書や経過説明、議事録など、客観性が求められる文書に適している
「叙述」は、出来事の流れや状況の推移、理由や結果を丁寧に説明したいとき、読み手が事実や内容を正しく理解できるように伝えたい場面に最適です。
叙述のまとめ
- 物事の経過や出来事、理由や背景などを順を追って説明する時に使う
- 主観的な感覚よりも、論理や時系列の流れを重視
- 議事録、報告書、経過説明、業務日誌などに幅広く使われる
「描写」と「叙述」の一般的な使い方は?
ここでは、日常会話やビジネスメールの場面で、どのように使い分けると良いかを例文とともに解説します。
「描写」の使い方
- 新商品の色や質感、手に取ったときの感触を詳しく説明してください。
- 展示会場のにぎやかな雰囲気を具体的に説明してください。
- お客様が実際に商品を使った時の様子を詳しく伝えてください。
- 新店舗の内装や照明の印象を分かりやすく説明してください。
- 取引先訪問時の現場の様子やスタッフの表情を具体的に伝えてください。
「叙述」の使い方
- 今回のプロジェクトの進行状況を順を追って説明してください。
- トラブル発生から解決までの経過を分かりやすくまとめてください。
- 会議の議論の流れや、決定事項を時系列で説明してください。
- 業務改善の経緯と今後の対応策について説明してください。
- お客様の問い合わせ対応の流れを詳細に説明してください。
「描写」が使われる場面
「描写」は、何かを「イメージ豊かに」伝えたい時に適しています。ビジネスの場面では、商品やサービスの紹介、新しいプロジェクトのイメージ提案、現場の状況レポートなどで、相手により深く印象付けたいときに使われます。
たとえば、新しいオフィスの紹介で「白を基調とした明るい室内に、木目のテーブルが並び、窓からは柔らかな日差しが差し込んでいます」といった書き方は、まさに「描写」です。
間違えないように使い分けるには?
「描写」は、目で見たり、音で聞いたり、感触で感じたりする「五感でとらえたこと」を、相手にも伝わるように「具体的に描き出す」ときに使います。一方で、「叙述」は出来事や経過、内容、意見などを「時系列や論理的に分かりやすく説明」する場合に使います。
そのため、臨場感や雰囲気を重視する時は「描写」、事実や流れの説明が大切な時は「叙述」を選びましょう。
「描写」を言い換えて失礼がない伝え方・目上・取引先に送る場合
ビジネスメールで「描写」という言葉をそのまま使うと、やや文学的な印象を与えることもあるため、より丁寧な表現や自然な言い換えを選ぶと安心感があります。
- お手数ですが、現場の様子をできる限り詳しくお伝えいただけますと幸いです。
- 新製品の特徴や質感を分かりやすくご説明いただけますでしょうか。
- 先日のイベントの雰囲気について、詳しくご教示いただきますようお願い申し上げます。
- お客様の反応やご感想を、できる限り具体的にご記入いただけるとありがたく存じます。
- 展示スペースの様子について、ご体験を交えてご説明いただけますようお願い申し上げます。
- 今回の現場の様子を、臨場感を持ってご説明いただけますとありがたく存じます。
- 新規オープンした店舗の雰囲気を分かりやすくご共有いただけますようお願いいたします。
- サンプル製品の印象について、率直なご意見を具体的にご記入いただければ幸いです。
- イベント当日の空気感について、お気づきの点を含めてご説明いただけますと幸いです。
- 新しい展示物の見た目や印象について、できるだけ詳細にご教示ください。
- お客様からいただいた感想やご意見を具体的にご記入いただき、今後の参考にさせていただきます。
- 商品のデザインや手触りについて、詳しくご説明いただければ幸いです。
- 新プロジェクトのコンセプトイメージについて、ご説明いただけますと幸いです。
- プレゼンテーション資料の見た目について、ご感想を具体的にご共有いただけますようお願い申し上げます。
- 新商品発表会の印象や雰囲気について、ご説明いただけますと助かります。
「描写」と「叙述」の間違えた使い方は?
「描写」と「叙述」は混同しやすい言葉ですが、意味が違うため正しく使い分けることが大切です。よくある誤用をその理由とともに紹介します。
- 「叙述」を使うべき場面で「描写」を使ってしまう例
(解説)出来事の経過や事実を順序立てて説明する時は「叙述」が適切です。
間違った例:会議の議論の流れを描写してください。 - 「描写」を使うべき場面で「叙述」を使ってしまう例
(解説)雰囲気や外見、感触など五感で感じたことを説明する時は「描写」が適切です。
間違った例:新商品の手触りやデザインを叙述してください。 - 議事録や報告書で「描写」を使う
(解説)客観的な経過や内容を伝える文書には「叙述」が向いています。
間違った例:業務日誌には業務の経過を描写してください。 - 商品や体験のイメージ説明に「叙述」を使う
(解説)商品の印象や体験談、雰囲気を伝えたい時は「描写」が適切です。
間違った例:商品の見た目や質感を叙述してください。 - 物語や小説、印象的なシーンの説明で「叙述」を使う
(解説)物語の雰囲気や人物の外見を伝える場合は「描写」が自然です。
間違った例:主人公の表情や行動を叙述してください。
英語だと違いはある?
「描写」と「叙述」は英語でも違いがあります。内容やニュアンスに合わせて適切な単語を選ぶと良いでしょう。
「描写」の英語での説明
「描写」は英語で「describe」「depict」「portray」「illustrate」などが使われます。特に「depict」や「portray」は、情景や人物の外見・雰囲気など、五感で感じる要素を言葉で「描き出す」意味が強い単語です。「describe」もよく使われますが、よりリアルなイメージを伝えたい場合は「depict」や「portray」などが適しています。
「叙述」の英語での説明
「叙述」は英語で「narrate」「state」「explain」「chronicle」などが当てはまります。「narrate」は「順を追って語る」「物事の経過を説明する」という意味合いが強く、事実や内容を客観的に、時系列で伝える場合に適しています。「state」は「述べる」、論理的に説明する場合に使います。
目上にも使える丁寧な言い回し方は?
ビジネスや取引先、目上の方への連絡で「描写」や「叙述」を求める場合は、柔らかく丁寧な言い方を選びましょう。
描写を丁寧にお願いする場合
「できる限り具体的にご説明いただけますと幸いです」「雰囲気や印象も含めてお伝えいただければと存じます」など、相手の感覚や気づきも含めてお願いする言い回しが適しています。
叙述を丁寧にお願いする場合
「順を追ってご説明いただけますようお願い申し上げます」「経過や理由も含めて分かりやすくご教示いただけますとありがたく存じます」など、客観性や時系列を意識した丁寧な言葉が安心感を与えます。
メール例文集
- お世話になっております。新商品の特徴につきまして、実際にご覧になった印象を分かりやすくご説明いただけますと幸いです。
- 先日の会議の内容について、議論の流れや決定事項を時系列でご説明いただければと存じます。
- 展示会場の雰囲気や来場者の様子について、できるだけ具体的にご教示いただけますようお願い申し上げます。
- 今回の業務改善に至った経緯や背景について、順を追ってご説明いただきますようお願いいたします。
- 新オフィスの内装や雰囲気について、イメージが伝わるようにご説明いただけますと助かります。
- お客様からいただいた感想や反応について、臨場感を持ってご説明いただき、今後の参考にさせていただきます。
- 本日の作業の経過を、できるだけ分かりやすくご教示いただけますようお願いいたします。
- イベント当日の様子について、会場の雰囲気や印象も含めてご説明いただければ幸いです。
- 新商品のお披露目の様子について、ご自身のご感想も交えてご教示いただけますと助かります。
- ご報告いただく内容に関しましては、順序立てて分かりやすくまとめていただきますようお願い申し上げます。
「描写」と「叙述」相手に送る際・伝え方の注意点・まとめ
「描写」と「叙述」は、どちらも文章作成やビジネスメール、日常会話で重要な役割を果たす言葉です。しかし、それぞれに込められた意味やニュアンスが異なります。
「描写」は、出来事や物、人の様子などを、五感に訴える具体的な言葉で「生き生きと」伝えることが目的です。イメージや印象、雰囲気などを相手にしっかり伝えたい場合には、「描写」の力を借りることで、伝えたい内容をより魅力的に伝えられます。
一方で「叙述」は、物事の流れや経過、背景、理由などを、客観的かつ論理的に「順序立てて」述べることが中心です。事実関係や経緯を正確に、かつ分かりやすく相手に伝えたい場合には、「叙述」を用いることが大切です。
伝え方の工夫としては、相手の立場や状況、関係性を踏まえて、より柔らかく配慮のある言葉を選ぶことで、より良いコミュニケーションが実現できます。特にビジネスでは、事実説明や報告には「叙述」を、イメージ共有や体験談には「描写」を意識的に使い分けると、相手に伝わる印象も大きく変わります。
また、間違えて使ってしまうと、内容が十分に伝わらなかったり、誤解を生む恐れがありますので、それぞれの違いを意識して、使い分けを心がけることが大切です。日本語の表現力を磨くためにも、この違いを理解して、より伝わるコミュニケーションを目指しましょう。