「定義」と「規定」の違いは?
「定義」と「規定」は、日本語において似ているようで意味や使い方が異なる言葉です。どちらも言葉や事柄の意味・内容を明確にする働きがありますが、その目的や使われる場面、細かなニュアンスには違いがあります。ここでは「定義」と「規定」の違いについて、できる限り分かりやすく、かつ詳細に説明します。
「定義」のビジネス用語としての説明
「定義」とは、ある言葉や概念、用語などについて、その本質的な意味や内容を明確にし、誰もが同じ理解ができるようにするための説明や決めごとのことを指します。特にビジネスの場面や学術分野など、共通認識が重要となる領域では、「定義」は非常に大切です。
例えば、新しいプロジェクトを立ち上げるとき、その中で使われる専門用語や略語があれば、それぞれの意味を「定義」することで、関わる人全員が混乱なくやりとりできるようになります。「定義」を明確にすることで、誤解やトラブルを防ぐ効果があり、組織の運営や業務の効率化にもつながります。
また、「定義」は基本的に「この言葉はこういう意味で使います」と内容を明らかにする行為ですので、法律、規約、契約書、マニュアル、ガイドラインなど、幅広い場面で用いられます。
まとめ
- 「定義」は言葉や概念の意味や範囲を明確に示すこと
- 共通認識や誤解防止が目的
- 法律、契約、学術、ビジネス用語など幅広い分野で使われる
- 基本的に「内容・意味を説明する」ニュアンスが強い
「規定」のビジネス用語としての説明
一方で「規定」は、一定の事柄や行為について、ルールや取り決め、方法などを具体的に決めることを指します。つまり「規定」は「どうするか」「どのように扱うか」「何を基準にするか」といった運用や実施のルール自体を定める働きがあります。
ビジネスの世界では、社内規定や就業規則、取引条件、各種ガイドラインなど、組織や業務を円滑に進めるために必要なさまざまなルールや手続きが設けられています。これらは「規定」と呼ばれ、従業員や関係者が守るべき基準・ルールとして機能しています。
「規定」は「この場合にはこうする」「何をどのように処理するか」といった具体的な方法や手順、運用ルールを定めるものですので、「定義」よりもさらに実務的な側面が強いと言えます。
まとめ
- 「規定」は物事のルールや手順、基準を定めること
- 業務や組織運営上の秩序や効率化が目的
- 社内規定、就業規則、契約書、業務マニュアルなどで多用される
- 基本的に「ルール・取り決めを決める」ニュアンスが強い
違いをより分かりやすく説明すると
「定義」は「この言葉はこういう意味です」と内容や範囲を明確にするための説明、
「規定」は「この場合はこうしなさい」と運用ルールや基準を定める決めごと、
という点が大きな違いです。
「定義」が「言葉の意味」に焦点を当てているのに対し、「規定」は「行動やルール」に焦点を当てていると考えると分かりやすいでしょう。
「定義」と「規定」の一般的な使い方は?
定義の使い方
- 新しい専門用語をチームに説明するとき、その意味を明確にする
- マニュアルや説明書の冒頭で用語を定義しておく
- 契約書や規約などで言葉の意味を定める
- 学術論文などで研究対象の範囲や内容を定義する
- 企画書や提案書で使われる言葉の意味をはっきりさせる
規定の使い方
- 社内ルールやマニュアルで業務の手順や方法を決める
- 契約書において各種条件や手続きの流れを定める
- 社内規定や就業規則で働くうえで守るべきルールを明確にする
- 取引先との間で業務上の基準や約束事を取り決める
- イベント運営時のルールや進行手順を決める
「定義」が使われる場面
ビジネスやメールで「定義」を使う場面は、用語や概念の内容をはっきりさせたい時に限られます。たとえば、新しいプロジェクトやルールができた時、その中で使われる専門用語を分かりやすく説明しておきたい場合、まず「定義」を示すことが有効です。
特に複数の部署や関係者がかかわる業務、または外部とのやりとりが発生するような場面では、「定義」が曖昧だと認識にズレが生じてしまうことがあるため、事前に定義を明確にしておくことが大切です。
間違えないように使い分けるには、言葉の意味や範囲を説明したい場合は「定義」、何かをどう扱うか・どう運用するかのルールを決めたい場合は「規定」と考えると良いでしょう。
失礼がない使い方 定義と規定を言い換えて伝える場合
丁寧な日本語での使い方
- ご提案いただいた用語につきまして、こちらの理解を深めるため意味を明確にしたいと存じます。
- 本件に関しまして、具体的な運用方法や判断基準を取り決める必要がございます。
- 関係者全員で内容を統一して理解できるよう、用語の意味を整理させていただきます。
- ご説明いただいた内容において、具体的な手順や取扱いについて明確にしていただけますでしょうか。
- ご提示の内容について、今後の業務における扱い方を決めさせていただきたいと考えております。
丁寧な例文集
- 先日ご相談いただいた案件について、内容を統一して理解するため、使用されている各用語の意味を明確にしておきたいと考えております。
- 今回のルール作成にあたり、誤解を防ぐために各項目の意味や範囲を整理し、関係者に周知したいと存じます。
- 新たな取り決めに関して、手順や基準を明確に定めることで、円滑な運用を図りたいと考えております。
- 今後の業務において混乱を避けるため、判断基準や取り扱い方法について、社内で合意形成を図る予定です。
- ご案内いただいた資料の中で、専門用語について不明な点がございましたので、あらためて内容をご説明いただけますと幸いです。
- 本プロジェクトの進行にあたり、各メンバーが共通認識を持てるよう、基本用語の内容を整理させていただきました。
- 今後のやり取りを円滑に進めるため、作業手順や基準をあらかじめ決めておきたいと考えております。
- 関係各所との調整を行う際、条件や基準について明文化しておくことで、誤解を未然に防ぐことができると考えております。
- 提出いただいたご提案について、実務上どのような扱いとなるかを明確にし、今後の運用方法を定めていきたいと存じます。
- 社内マニュアルの改定にあたり、新たに導入される手順や用語の意味について、担当部署より説明を受ける予定です。
「定義」と「規定」の間違えた使い方は?
「定義」と「規定」は似ている言葉なので、混同して使われやすいです。しかし、意味や目的が違うため、誤って使ってしまうと相手に誤解を与えることがあります。
- 「定義」とすべきところで「規定」と言うと、単なる意味の説明ではなくルール自体を決めているように誤解されてしまう場合があります。
- 「規定」とすべき場面で「定義」としてしまうと、ルールを作っているというニュアンスが伝わらず、内容が不明確になってしまうことがあります。
以下に間違えた使い方と修正案を示します。
「商品の返品手順についての定義を作成しました」
本来は「返品手順についての規定を作成しました」が正しい。定義では手順やルールは示せない。
「専門用語の規定をまとめました」
本来は「専門用語の定義をまとめました」が正しい。規定はルールや手順に使う言葉。
「業務時間の定義について相談したい」
業務時間そのものの意味を説明したい場合は「定義」でも良いが、開始・終了のルールや条件などの話なら「規定」になる。
「新商品の扱い方の定義を決めました」
新商品の取り扱い手順やルールは「規定」で表すべき内容。
「社内メールの作成方法を定義します」
メール作成方法はやり方・ルールなので「規定します」が正しい。
英語だと違いはある?
英語における「定義」と「規定」のニュアンス
英語でも「定義」は「definition」と訳され、「規定」は「regulation」「provision」「rule」などと訳されます。それぞれ使い方や意味合いは日本語とほぼ同じですが、より直接的な違いがあります。
「definition」はある言葉や概念の意味を明確にする説明や記述です。文書やガイドライン、契約書などで「for the purpose of this document, the following terms shall have the following definitions」のように使われます。
「regulation」「rule」「provision」は、何かのルールや基準、手順を決めている場合に使われ、「The company regulation prohibits smoking in the office」などが例となります。
日本語と同様に、意味の説明とルールの決定は明確に区別されています。
目上にも使える丁寧な言い回し方は?
丁寧な「定義」と「規定」の伝え方
「定義」について、目上の方や取引先へ伝える場合は、単に「定義します」という直接的な言い方よりも、「内容を明確にし、ご理解いただきやすくするために、用語の意味を整理させていただきます」といった柔らかい言い回しが適しています。
「規定」についても、「本件につきまして、運用方法や基準について明文化し、今後の業務が円滑に進むよう取り決めてまいりたいと存じます」といった表現がより丁寧です。
特にビジネスメールや会議、説明の場面では、相手の立場や状況を考慮しつつ、相手に配慮した穏やかな言葉選びが大切です。
メール例文集
- いつも大変お世話になっております。新たな業務マニュアル作成にあたり、用語の意味について共通認識を持つため、各項目の内容を明確に整理いたしました。
- 本プロジェクトの進行に際し、判断基準および手順につきまして社内で合意形成を図り、今後の運用方法を文書にて定めていく予定です。
- このたびご提案いただいた業務改善案について、関係各所で用語や基準の整理を進め、業務がスムーズに進行するよう努めてまいります。
- 新規ルール導入にともない、社員全員が内容を正しく理解できるよう、説明会や資料配布を実施し、必要に応じて個別にご説明いたします。
- 先日ご連絡いただきました内容につきまして、今後の業務における具体的な取扱い方法を検討し、あらためてご連絡差し上げます。
- お問い合わせいただきました用語の意味や範囲について、社内で確認のうえご案内申し上げます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
- 新規施策導入に際して、ルールや基準が明確でない部分につきましては、担当部署と連携しながら明文化を進めております。
- 今回の案件に関して、判断基準が不明確な点がございましたので、運用ルールを再度ご説明させていただきたく存じます。
- ご質問の件につきましては、専門的な用語や手続きの定義が複雑になっているため、担当より詳細な説明をさせていただきます。
- これまでのルールと異なる運用が求められる場合は、あらためて基準や手順を整備し、ご案内いたしますのでご安心ください。
まとめ
「定義」と「規定」は、どちらも業務や日常のコミュニケーションでよく使われる言葉ですが、それぞれ目的や使われる場面が異なります。「定義」は言葉や概念の意味を明らかにし、共通認識を図るためのもの。「規定」はルールや手順、基準を決めて運用するためのものです。
ビジネスメールや日常のやりとりでこの二つを正しく使い分けることで、相手との誤解を防ぎ、スムーズな業務進行や信頼関係の構築につながります。特に新しい用語や業務のルール、マニュアルなどを扱う際は、事前に「定義」と「規定」をしっかり分けて整理しておくことが大切です。
また、目上の方や取引先など、相手との関係性に応じて丁寧な言葉遣いや柔らかい言い回しを心がけることで、より円滑なコミュニケーションが可能になります。相手に安心してもらえるような、分かりやすく、配慮の行き届いた伝え方を意識しましょう。