ジレンマとは?ビジネスでの意味・日本語での言い換え・言い回しての使い方と注意点
ビジネスの現場で使われる「ジレンマ」という言葉には、単なる葛藤や迷いという以上に、非常に深い意味合いがあります。「ジレンマ」は元々ギリシャ語に由来する言葉で、直訳すれば「2つの困難な選択肢の間で悩む状態」とされます。つまり、「どちらを選んでも何かを失う」「どちらにも一長一短があり決めきれない」といった状況を指します。
ビジネスにおいては、あらゆる場面でこの「ジレンマ」が発生します。たとえば、短期的な利益を優先すればコストがかさむが、長期的な信頼を考えると利益を抑える必要があるといった場面。あるいは、革新的なアイデアを進めたいが、現場の混乱を招く恐れがあるため躊躇してしまうような場面などです。
さらに、「経営ジレンマ」や「戦略的ジレンマ」といった使い方も一般的で、企業活動全体の方向性をどう舵取りするかを悩む際によく使われます。たとえば、「社員の自由度を高めれば創造性は増すが、生産性の管理が難しくなる」といった相反する課題がある場合などが典型的です。
このようなジレンマの中で求められるのは、「最善解を探す姿勢」と「決断力」です。つまり、どちらも完全には満たされない中で、何を優先すべきか、どのように折り合いをつけるかを考える力が問われるのです。そのため、ジレンマとは単なる苦悩ではなく、「判断力と責任感を問われる状況」として理解されるべき言葉でもあります。
ビジネスにおける成長や変革は、多くの場合ジレンマの中から生まれます。だからこそ、ジレンマに向き合うことを避けるのではなく、誠実に考え抜く力を持つことが、信頼されるビジネスパーソンとしての土台となります。
まとめ
- 相反する選択肢の中でどちらも選びにくい状態を指す
- 利益とリスク、効率と品質など、対立する価値の間で悩む場面で使われる
- 経営判断・戦略決定など重大な意思決定の場面で頻出する
- ジレンマを避けるのではなく、向き合って決断する姿勢が重要
- 成長や改革のきっかけはジレンマの中にあることが多い
「ジレンマ」を英語で言うと?
Dilemma(ディレンマ) が該当します。
の言い換え・言い回しは?
- 板挟み
- 難しい選択
- 二律背反
- 抜け出せない状況
- どちらにも決めかねる状態
を言い換えて使用する場面
- 新規事業を進めるか、既存顧客対応を優先するかで迷っているとき
- 社内でルールを厳しくするか、自由度を重視するかを検討するとき
- コスト削減と品質維持の両立が難しいと感じるとき
- 社員の働き方改革を進めたいが業務量とのバランスに悩むとき
- 顧客要望と社内規定のどちらを優先するべきか迷うとき
を言い換えて失礼がない伝え方・目上・取引先に送る場合
- 現在、複数の方針の間で慎重に検討を重ねております。
(We are currently giving careful consideration to several different directions.) - いずれの選択肢にもそれぞれの課題がございますため、調整を要しております。
(Since each option presents its own challenges, we are working on adjustments.) - 今回の判断におきましては、双方の影響をふまえた上で最善を模索しております。
(We are striving to find the best path while taking into account the impact of both sides.) - 社内でも意見が分かれており、丁寧に意見を集約している状況でございます。
(There are varying opinions within our team, and we are carefully consolidating views.) - どちらを優先すべきか、慎重に見極めながら進めております。
(We are moving forward while carefully determining which priority to set.)
ジレンマ・社内メールで言い換えて使用する例文
- どちらの方針にも利点と懸念点があるため、判断が難しい状況です。
(Both directions have advantages and concerns, making it difficult to decide.) - A案とB案の間で意見が分かれており、調整に時間を要しています。
(Opinions are split between Plan A and B, and the adjustment is taking time.) - コストと品質のバランスに悩んでおり、部内で再検討中です。
(We’re reconsidering internally due to the challenge of balancing cost and quality.) - スピード重視と慎重な対応のどちらを取るか悩んでおります。
(We’re struggling between prioritizing speed and ensuring thoroughness.) - 業務負担と対応範囲の調整が必要な局面に差しかかっています。
(We are at a point where we need to adjust between workload and coverage.)
を使用した本文
取引先との調整で方向性を迷う場合
ご相談いただいている件につきましては、コスト面と納期面の両方に配慮が必要なため、現時点ではどちらを優先すべきか判断に苦慮しております。双方にとって納得できる形を模索しておりますので、今しばらくお時間をいただけますと幸いです。
(Regarding the matter under discussion, we are currently considering both cost and delivery schedule and are finding it difficult to prioritize. We are seeking a mutually agreeable solution, and would appreciate your patience.)
新規プロジェクトへの対応で板挟み状態を説明
新たに立ち上げ予定のプロジェクトについて、既存案件との人員調整が難航しており、どちらも軽視できないために判断に時間を要しております。チーム全体で優先順位を再検討しており、近日中に方針をお伝えできるよう進めております。
(For the upcoming project, we’re having difficulties reallocating staff due to commitments with ongoing tasks. Since both sides require attention, we are taking time to assess priorities. We aim to finalize our direction shortly.)
社内業務効率と顧客対応のバランスに悩む場面
現在、業務の効率化と丁寧な顧客対応の両立について、どちらに重きを置くべきか悩んでおります。それぞれに意義があるため、慎重に進めてまいります。
(We are currently debating whether to prioritize operational efficiency or dedicated customer care. Both are essential, so we will proceed with careful consideration.)
チームの方針決定で意見が分かれる場合
次期の営業戦略について、チーム内でも方向性に対して意見が分かれており、慎重に調整を進めております。最終的には全体の整合性を重視した上で決定する予定です。
(Regarding the next sales strategy, there are differing opinions within the team. We are carefully coordinating and will base our final decision on overall coherence.)
お客様要望と社内体制の間で調整が難しい場合
お客様からのご要望を受け、最大限対応させていただきたいと考えておりますが、社内体制の調整が必要で、ただいま最善の方法を検討中です。
(We fully wish to accommodate the client’s request, but it requires internal adjustments. We are currently exploring the best possible approach.)
ジレンマをメールで使用すると不適切な場面は?
「ジレンマ」という言葉には、やや苦しさや行き詰まりを連想させる響きがあります。そのため、相手によっては「解決策が見つからない」「対応するつもりがない」といった印象を持たれてしまうことがあります。特に取引先やお客様とのやり取りにおいて「ジレンマに陥っています」などと使ってしまうと、あまり前向きでない印象を与える恐れがあります。
また、業務に対して受け身であるような印象になりやすく、「困っているが動けない」という印象だけが先行してしまうこともあります。メールで使う際は、「難しい判断が求められているが、最善を模索している」「双方の利点を整理しつつ進めている」といった前向きな説明を添えることが大切です。カタカナ語に頼りすぎず、丁寧に状況を伝えることで、相手への安心感にもつながります。
ジレンマ 細心の注意を払い誰にでも不快感を与えない伝え方
- いずれの選択肢にも利点と課題があり、最善の方法を模索しております。
(Both options have pros and cons, and we are seeking the best possible approach.) - 双方の影響をふまえつつ、調整に努めております。
(We are working on adjustments, taking into account both sides.) - 様々な要素を考慮しながら、優先順位を検討中です。
(We are reviewing priorities while considering various factors.) - 決定にはもう少し検討時間を要しますが、前向きに進めております。
(We require a bit more time for decision-making, but we are progressing positively.) - どちらのご意見も大切にしながら、今後の方針を整理しております。
(We are carefully organizing our future direction, respecting both perspectives.)
メール例文集
目上の方・取引先の企業へ言い換え適したメール例文
判断が難しい状況で前向きな対応を伝える
いつも大変お世話になっております。ご提案いただいた内容につきまして、コスト面と品質面の双方に配慮する必要があり、社内でも検討を重ねております。それぞれに重要な要素がございますため、もう少しお時間を頂戴したく存じます。最善のご提案となるよう調整を進めておりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
対立する課題を丁寧に説明しつつ誠意を伝える
平素より格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。現在、貴社のご要望と弊社の業務体制との調整を慎重に行っております。それぞれに重要な意味を持つため、どちらか一方に偏ることなく、可能な限りご要望に沿える形を目指しております。引き続き真摯に対応いたしますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
顧客・お客様へ言い換え適したメール例文
難しい調整の中でも誠実に向き合う姿勢を伝える
このたびは大切なご相談をいただき、誠にありがとうございます。ご要望の内容を拝見し、最大限お応えしたいと考えておりますが、現在の業務体制との兼ね合いにより、方法について慎重に検討しております。お客様にご満足いただける形でご提案できますよう、誠意を持って取り組んでまいります。
双方の事情をふまえて丁寧に調整中であることを伝える
平素より弊社をご利用いただき、心より御礼申し上げます。いただいたご要望につきまして、サービス内容とご希望内容の調整を進めております。それぞれに大切な意味があるため、慎重に方向性を固めております。ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。
社内メールで使う際に言い換え適したメール例文
チーム内での判断に悩んでいることを共有する
お疲れ様です。○○案件につきまして、納期と品質のバランスに頭を悩ませております。どちらも外せない要素であるため、部内で意見を集めながら最善策を模索中です。皆さんのご意見もぜひお聞かせいただければと思います。
複数の選択肢で迷っているが前向きに検討中であることを伝える
お疲れさまです。次期施策について、A案とB案のどちらを採用するかで検討を重ねております。それぞれにメリット・デメリットがあるため、今週中には方向性を定めたいと考えています。皆様の視点も参考にさせていただきたく、何かあればご教示ください。
ジレンマ 相手に送る際の注意点・まとめ
「ジレンマ」という言葉は、日常的な会話では便利に使える反面、ビジネスのやり取りではやや注意が必要です。特にメール文中でそのまま使用すると、「行き詰まっている」「対応が困難」といった印象を与えやすく、相手に不安を与えてしまうことがあります。
そのため、ジレンマという言葉を使う際には、必ず「何が難しいのか」「何を考えているのか」「どう動いているのか」という前向きな補足を添えることが大切です。言葉選びひとつで相手に与える印象は大きく変わるため、やわらかく丁寧に伝える工夫を忘れないようにしましょう。
迷っていることを素直に伝えることは悪いことではありませんが、それ以上に「考え抜いている」「解決しようとしている」という誠実な姿勢が、最も相手の信頼につながります。

