ダンピングとは?ビジネスでの意味・日本語での言い換え・言い回しての使い方と注意点

ダンピング|ビジネスでの意味・日本語で言い回しての使い方と例文・メールでの注意点

ビジネス用語としての「ダンピング」とは、商品やサービスを意図的に非常に安い価格、時には原価を下回るような価格で販売する行為を指します。通常、このような価格設定は、競争相手を市場から排除することを目的として行われることが多く、市場の健全な競争を損なう恐れがあるため、公正取引の観点から問題視されるケースが多くあります。

この行為は特に国際貿易の分野で顕著に現れ、例えば一国の企業が自国では高値で販売している製品を、他国に対しては極端に低い価格で販売するような場合に「不当廉売」として、輸入先の政府から規制や課税(アンチ・ダンピング関税)を受けることがあります。

ダンピングの目的は単に商品を売ることではなく、短期的には赤字を被ってでも他社の市場シェアを奪い、最終的には価格決定権を握ることにあります。競合他社が市場から撤退すれば、その後で価格を引き上げて利益を得ることができるため、非常に戦略的で計画的な販売手法とも言えるでしょう。

企業がダンピングを行う背景には、在庫処分、過剰生産、海外市場への参入戦略、競争排除などさまざまな要因がありますが、その影響としては、消費者にとっては一時的に価格が下がるメリットがある一方で、長期的には競争の喪失によって価格が上昇し、選択肢が減るというデメリットも伴います。

とくに、製造業や重工業、農産品などにおいては、ダンピングによって国内産業が打撃を受けるケースが少なくありません。そのため各国では、世界貿易機関(WTO)のルールのもと、ダンピングの調査や制裁が行われる仕組みが整えられています。

まとめ

  • 「ダンピング」は意図的に商品を非常に安価で販売する行為を指す
  • 主に市場シェア獲得や競合排除が目的で行われる
  • 短期的には消費者に恩恵があるが、長期的には価格の高騰や独占化につながる
  • 国際貿易の場では不公正競争と見なされ、制裁の対象になる場合がある
  • 各国はWTOなどのルールに基づいてダンピング対策を実施している

「ダンピング」を英語で言うと?
Dumping(読み方:ダンピング)です。


ダンピング言い換え・言い回しは?

  • 不当な値引き
  • 原価割れ販売
  • 極端な価格競争
  • 価格破壊的な販売
  • 利益を度外視した価格設定

ダンピングが使われる場面

  • 海外企業が安価に製品を輸出していることを問題視するとき
  • 国内企業が競合に勝つために、原価を下回る価格で販売していると指摘する場合
  • 政府や業界団体が不当廉売として調査を開始する場面
  • 長期的な市場支配を狙った企業戦略の分析時
  • 過剰な安売りにより価格競争が過熱している状況の説明として

言い換えて失礼がない伝え方・目上・取引先に送る場合

  • ご提示いただいた価格について、市場の相場と比較し、非常に競争力が高いように拝見しております。
    (Your offered price appears to be highly competitive when compared with the current market standards.)
  • 今回のご提案価格につきましては、原価に近い水準かと存じますので、詳細をご確認いただけますと幸いです。
    (As the proposed pricing seems to be close to the cost, we would appreciate it if you could kindly review the details.)
  • 弊社といたしましては、採算性の観点から今後の継続について慎重に検討を進めております。
    (From the perspective of profitability, we are currently considering the continuation of this matter with care.)
  • ご提供価格に関しましては、他社と比較して非常に魅力的である反面、長期的な安定供給の面で懸念もございます。
    (While the offered price is very attractive compared to others, we do have some concerns regarding long-term stable supply.)
  • ご配慮いただいた価格には深く感謝申し上げますが、取引全体のバランスを見直す必要があるかと存じます。
    (We deeply appreciate your considerate pricing, but we may need to reconsider the overall balance of our transaction.)

社内メールで言い換えて使用する例文

  • 競合他社がかなり強気な価格設定をしてきており、対策を早急に検討する必要があるかと思います。
    (Our competitors are setting very aggressive prices, and we may need to consider our response urgently.)
  • 今回の価格提案は原価に近い水準で、採算面で厳しい状況が予想されます。
    (The proposed pricing is close to our cost, and it may pose challenges for profitability.)
  • 現状のままですと、過度な価格競争に巻き込まれる恐れがございます。
    (At this rate, we may be caught in an excessive price war.)
  • 相手先の価格設定は、市場破壊を懸念させる内容ですので、注意が必要です。
    (The pricing from the other party could disrupt the market, so caution is advised.)
  • 利益を度外視したような価格提案が続いており、方針の見直しを検討しております。
    (We are receiving continued price proposals that disregard profitability, and we are considering a review of our strategy.)

ダンピングを使用した本文

  • ご提案の価格設定は非常に挑戦的で、市場への影響が大きいと感じております。
    (The proposed pricing is quite aggressive and may have a significant impact on the market.)
  • 現在、過度な安売りが続いており、業界全体への悪影響が懸念されています。
    (Excessive discounting continues, raising concerns about the negative impact on the entire industry.)
  • 競合他社の戦略は、原価を割ることで他社排除を狙っているようにも見受けられます。
    (The competitor’s strategy appears to aim at eliminating others by selling below cost.)
  • 安価な輸出が続いており、国内市場のバランスが崩れつつあります。
    (Cheap exports continue and the balance of the domestic market is beginning to shift.)
  • 売上は伸びていますが、利益率が著しく下がっていることが課題です。
    (Sales are increasing, but the profit margin is significantly declining, which is a concern.)

ダンピングをメールで使用すると不適切な場面は?

「ダンピング」という言葉は、相手に対して強い否定的な印象を与える恐れがあるため、ビジネスの場面、特にメールでのやり取りでは慎重に扱う必要があります。この言葉は「不公正」「ルール違反」「市場破壊」などのニュアンスを含み、直接的に使用すると相手を攻撃するような印象を持たれかねません。

たとえば、取引先に対して「御社の価格はダンピングではないか」といった指摘をしてしまうと、たとえ事実であっても非常に挑発的に受け取られることがあります。これは信頼関係を損なう原因となり、今後の取引に悪影響を与える恐れがあります。

そのため、こうした事態に触れる際には、「非常に価格競争力がある」「原価に近い水準」など、やや遠回しで柔らかな言い回しを使うことが重要です。言葉一つで相手の印象は大きく変わりますので、感情的・断定的な表現は避け、冷静で丁寧な語り口を心がけるべきです。


細心の注意を払い誰にでも不快感を与えない伝え方

  • ご提示価格については、市場との整合性を再度ご確認いただけますと幸いです。
    (We would appreciate it if you could kindly recheck the alignment of the offered price with the market.)
  • 現在の価格水準について、社内でもさまざまな意見が出ており、慎重に対応を検討しております。
    (Various opinions have been raised internally about the current pricing, and we are carefully considering our response.)
  • 価格設定に関して、業界の健全性を保つためにも、改めてご相談できればと存じます。
    (Regarding the pricing, we hope to consult with you again to help maintain the soundness of the industry.)
  • ご提案価格について、長期的な継続性を踏まえて再考する余地があると考えております。
    (We believe there may be room for reconsideration of the proposed price in light of long-term continuity.)
  • 弊社内での分析結果をもとに、価格についての意見交換の場を設けさせていただければと存じます。
    (Based on our internal analysis, we would like to arrange a discussion regarding the pricing.)

メール例文集

目上の方・取引先の企業へ言い換え適したメール例文

極端な価格差に関して再確認をお願いするメール

平素より大変お世話になっております。
このたびご提示いただいた価格につきまして、誠にありがとうございます。市場全体の価格水準と照らし合わせた結果、非常に競争力のあるご提案と拝見いたしました。その一方で、今後の継続的なお取引や供給体制への影響も考慮する必要があると考えております。
つきましては、一度詳細なご説明を賜れますと幸いです。今後も円滑なお取引を続けさせていただけるよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

市場安定の観点から相談を希望するメール

いつも大変お世話になっております。
先日ご提示いただいた価格に関しまして、社内にて慎重に検討を進めております。大変魅力的な内容であることは間違いございませんが、業界全体の安定性と、継続的な品質維持の観点から、長期的な視点での価格調整についても併せてご相談できればと考えております。
今後ともご協力のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。


顧客・お客様へ言い換え適したメール例文

割引価格について説明を加えるメール

いつも格別のお引き立てを賜り、心より御礼申し上げます。
このたびの特別価格のご案内につきまして、ご確認いただき誠にありがとうございます。現在の価格は在庫調整と感謝の気持ちを込めた期間限定の設定となっております。
品質やサポートには一切の妥協をせず、引き続きご満足いただけるサービスをご提供できるよう努めてまいりますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

他社との価格差に対する説明メール

平素よりご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
お問い合わせいただきました他社との価格差についてですが、当社では品質やアフターサポートを含めた総合的な価値を大切に考えております。そのため、価格だけではなく、長期的な信頼を築けるサービスの提供に注力しております。
引き続きご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。


社内メールで使う際に言い換え適したメール例文

採算性に対する懸念を共有するメール

お疲れ様です。
今回の取引条件について社内でも再確認を行いましたが、現時点の価格設定では採算ラインを大きく下回る可能性があります。短期的な対応としては有効かもしれませんが、継続的な取引を考えるとリスクが高いため、再検討が必要かと思われます。

他社の価格攻勢への対応を協議するメール

お疲れ様です。
競合他社が非常に強い価格で市場に出てきており、こちらとしても対応を急ぐ必要があります。ただ、安易な値下げは中長期的にマイナスとなる可能性が高いため、戦略面を含めて改めて協議の場を設けたいと考えております。ご確認をお願いいたします。


相手に送る際の注意点・まとめ

「ダンピング」という言葉は、ビジネス上では非常に敏感な内容を含むため、使い方には細心の注意が必要です。特に相手企業の行動や価格戦略に対して直接的にこの言葉を使うと、「不当である」「ルール違反である」といった否定的な意味合いが強く伝わってしまいます。

相手に悪意があると決めつけるような印象を与えると、信頼関係を大きく損ねる可能性があります。たとえ価格が極端に安くても、その背景には在庫処分やキャンペーンなど、相手にとって正当な理由がある場合もありますので、まずは相手の意図を丁寧に聞き取る姿勢が大切です。

その上で、自社の立場や考えを冷静に説明し、できる限り中立的な言い回しで対話を進めることが、良好な関係を保ちながら解決への道を開く第一歩となるでしょう。