「身を立てる」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「身を立てる」という慣用句は、自分自身の努力や才能、知識や経験などをもとにして社会的に独立した地位を築くことや、経済的に安定した生活基盤を確立することを意味します。つまり、誰かの助けに頼るのではなく、自らの力で生計を立てたり、社会的な立場を築いたりするという意図が込められています。この表現には、自立心や勤勉さ、責任感といった価値観が強くにじみ出ており、人生の中で「仕事を通じて社会の一員として認められる」という目標に向かう姿勢が見て取れます。
英語では、「establish oneself」や「make one’s way in the world」、あるいは「build a career」や「stand on one’s own feet」といった言い方が近い意味合いを持ちます。これらの表現もまた、努力によって自立し、社会的な成功を収めるというニュアンスが含まれており、文化的にも共通する価値観があると感じられます。なお、「身を立てる」は単なる職業的成功を意味するのではなく、人としての基盤を築くという深い意味合いを持っており、そのため精神的な成長や人間関係の成熟といった側面も含まれます。
たとえば、農家の出身であっても一流企業に就職し、自力で生活を確立した人に対して「彼は自分の力で身を立てた」と言うことで、その努力や信念が称賛されるわけです。また、芸術やスポーツの分野でも、誰かの支援に頼ることなく技術を磨いて世に認められると、「彼女はピアニストとして身を立てた」というふうに使われることがあります。このように「身を立てる」は、多様な分野において自力での成長と社会的承認を象徴する言い回しとして広く使われているのです。
「身を立てる」の一般的な使い方と英語で言うと
- 若い頃は経済的に厳しい状況だったが、コツコツ努力を重ねて自分で身を立てたところに本当に感動しました。 (He grew up in a tough financial environment, but through steady effort, he managed to establish himself independently, which was truly inspiring.)
- 親の後ろ盾がなくても、自分の力で身を立てようとする姿勢に心を打たれた。 (I was deeply moved by his attitude of trying to make his way in the world without relying on parental support.)
- 彼は高校を卒業してすぐに東京へ出て、技術者として身を立てた努力家です。 (He moved to Tokyo right after high school and built a career as an engineer through sheer hard work.)
- 身を立てるために地元を離れて、都会での厳しい生活に立ち向かう決意を固めました。 (I decided to leave my hometown and face the harsh life in the city in order to stand on my own feet.)
- 芸術の世界で身を立てるのは簡単ではないが、信念を持って続けることが大切だと思う。 (It’s not easy to establish oneself in the world of art, but I believe it’s important to continue with conviction.)
似ている表現
- 自立する
- 生計を立てる
- 独り立ちする
- 社会に出る
- 自分の道を切り開く
「身を立てる」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスの場において「身を立てる」という言い方は、主に若手社員が自らの力で仕事の成果を出し、会社の中で信頼を勝ち取っていく過程や、起業家が事業を軌道に乗せて経済的にも社会的にも自立していく様子を表すときに使われます。また、人事や面談の場面で、キャリア形成の意志を確認する際にも頻繁に登場します。転職や独立に関する話題の中でも、「新たな分野で身を立てたい」といった表現はよく見られます。
- 新入社員であっても、与えられた仕事に真摯に向き合い、自らの力で身を立てようとする姿勢が評価されています。 (Although he is a new employee, his dedication to his tasks and his effort to establish himself independently are highly regarded.)
- 海外市場で身を立てるには、語学力だけでなく異文化への理解も不可欠です。 (To make one’s way in the overseas market, not only language skills but also understanding of different cultures is essential.)
- 起業して自分の力で身を立てた彼は、多くの若者にとって憧れの存在となっています。 (He started his own business and established himself, becoming a role model for many young people.)
- 弊社では、自らのキャリアを見つめ直し、別の分野で身を立てる支援制度も整えています。 (Our company has systems in place to support those who wish to reassess their career and establish themselves in another field.)
- 上司の指示だけでなく、自発的に行動して身を立てようとする社員が、組織を引っ張っていく存在になります。 (Employees who act proactively and try to establish themselves, not just follow orders, become the driving force of the organization.)
「身を立てる」は目上の方にそのまま使ってよい?
「身を立てる」という言い方は基本的には丁寧さに欠けるわけではありませんが、目上の方や取引先の人物に対して用いる場合には配慮が求められます。というのも、この言葉には「自分の力で成功する」という意味が込められており、相手の過去の苦労や背景を軽視してしまうように受け取られるおそれがあるからです。たとえば、すでに確固たる地位を築いている目上の方に対して「身を立てられたのですね」と言うと、かえって上から目線のように聞こえる可能性があります。そのため、謙譲や敬意をもって表現を工夫することが重要です。
- 相手がすでに成功を収めている場合には、その道のりを「ご尽力の末、現在の地位に至られた」と表現する
- 自分が身を立てたいという意志を伝える場合でも「精進し、実績を積んでまいりたい」といった柔らかい言い回しにする
- 取引先の成功に対して使う場合は「貴社のご発展を心よりお慶び申し上げます」といった表現を用いる
「身を立てる」の失礼がない言い換え
- 今後はこれまで以上に精進し、少しずつ実績を重ねてまいりたいと考えております
- 経験を積みながら、地道に自分の道を切り開いていければと存じます
- お力添えをいただきながら、少しずつ責任ある立場を目指してまいります
- 社会人としての基盤を築けるよう、努力を重ねてまいります
- 着実に成果を積み上げ、自立した存在として信頼いただけるよう努めます
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
- いつも温かくご指導いただき、心より感謝申し上げます。今後の成長に向けてお話をさせていただきたく存じます。
- 貴重なお時間をいただき誠にありがとうございます。本日は、将来の方向性についてご相談させていただきたく存じます。
- 日頃よりお世話になっております。日々の業務に励む中で、自らの成長について考える機会がありましたので、お話させてください。
- これまでの経験を踏まえて、次なるステップについて真剣に考えるようになりました。本日はその件についてご報告申し上げます。
- 長らくご厚意を賜り誠にありがとうございます。自分の将来像について考えるなかで、決意を固めましたのでご報告させていただきます。
締めの挨拶
- 今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。自立した社会人として努力を重ねてまいります。
- 自分の力で責任を果たせる人間を目指し、今後も一層精進してまいりますので、引き続きご高配のほどお願い申し上げます。
- 今後の成長を見守っていただけましたら幸いです。常に誠意を持って職務にあたる所存ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
- これからも日々努力を怠らず、社会人としての基盤を築いてまいりますので、引き続きお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
- 最後までお読みいただきありがとうございました。今後の展望についてご助言いただければ、大変ありがたく存じます。
注意する状況・場面は?
「身を立てる」という言葉は前向きな意思を表す反面、使い方を誤ると相手に誤解を与えてしまう可能性もあります。特に、相手がまだ努力の途中である場合や、社会的に不安定な立場にある場合に「身を立てる」という表現を使うと、まるで「今は身を立てていない」と受け取られてしまうおそれがあります。また、職業や生活の状況を軽視しているように聞こえる場合もあるため、慎重さが求められます。自分の意志や感謝を込めて使うのは適切ですが、相手の立場を推し量らずに用いるのは控えた方が良いでしょう。
- 相手が職を失っている場合には避ける
- 目上の方の経歴に対して不用意に使わない
- 人の努力の程度を軽んじるように聞こえる文脈で使わない
- 学歴や職業によって差別的に響く場合は避ける
- 軽い冗談のように使うと侮辱と受け取られる場合がある
細心の注意払った言い方
- これまでの経験を礎として、一歩一歩確実に自分の力で前進していければと心から願っております。
- 多くの方に支えられながらではありますが、自分自身の力で責任を果たしていく覚悟でおります。
- 道のりはまだまだ遠いかと存じますが、今後とも真摯に取り組み、信頼される存在となれるよう励みます。
- これからも多くの学びを糧として、自立した社会人として認めていただけるよう努力してまいります。
- 周囲の期待に応えられるよう、自身の能力を磨き、着実に実績を積んでまいりたいと考えております。
「身を立てる」のまとめ・注意点
「身を立てる」という言い回しは、個人の努力や誠実さによって自分自身の道を切り開いていく姿を示す、非常に前向きで意味のある慣用句です。自らの力で生活基盤を築き、社会的な地位を確立するという意味を持つこの言葉は、若者の成長過程やビジネスでの成功を語る際にもよく使われます。一方で、その使用には注意も必要です。相手の立場や状況を考慮せずに使ってしまうと、逆に侮辱的に響いたり、上から目線だと受け取られる危険があります。特に目上の方や取引先とのやり取りでは、慎重な言い回しや敬意を込めた表現に置き換える必要があります。また、自分の意志を表す際にも、周囲の支援や感謝の気持ちを忘れずに伝えることが好ましいでしょう。丁寧な語り口と、相手の背景を思いやる姿勢を忘れずに、この言葉を適切に使うことが大切です。

