「猫も杓子も」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「猫も杓子も」という慣用句は、ありとあらゆる人が同じようなことをしている様子や、誰もが巻き込まれているような状態を表す言い回しです。「猫」や「杓子(しゃくし)」のような一見無関係なものまで含めて、つまり非常に多くの人が一様に何かをしている状況を指します。決して「猫」や「杓子」が実際に関わっているわけではなく、「誰も彼も」「どいつもこいつも」といった意味合いに近く、物事の流行や騒ぎに皆が参加しているようなニュアンスがあります。現代では、トレンドやムーブメントに誰もが乗っているという皮肉や驚きの含みを持って使われることも多いです。
この表現を英語で言い換える場合には、「everyone and their dog」や「every Tom, Dick and Harry」という表現がよく使われます。特に「everyone and their dog」は「誰も彼も」といった意味で使われ、カジュアルな言い方として知られています。また、「the whole world seems to be doing it」や「literally everyone is jumping on the bandwagon」のように、周囲の大多数が何かに熱中している様子を表す言い方も場面によってはぴったり当てはまります。
この慣用句の語源を少し掘り下げると、「猫も杓子も」の「杓子」とは、食事の際に使うしゃもじのような道具を指し、昔から身の回りにあるごく当たり前の道具という意味を持っています。つまり「猫のような動物も、しゃもじのような道具も」などというように、あらゆるものが対象になるということを面白おかしく言い表しています。この言い回しは、江戸時代から既に使われていたとされ、庶民の生活の中で自然に浸透してきたと考えられます。特定の人物や階級を区別することなく、老若男女、身分の上下関係なく全員が何かに参加している、そんな状況を端的に言い表すのに便利な表現です。
「猫も杓子も」の一般的な使い方
・最近はSNSで発信する人が急激に増えて、猫も杓子もインフルエンサー気取りになっているのが少し違和感を感じます。
Everyone and their dog is acting like an influencer on social media these days, and it’s honestly a bit unsettling.
・流行りのダイエット法が紹介された瞬間、猫も杓子もそれに飛びついて、ジムは人で溢れかえっていました。
As soon as the latest diet trend was introduced, every Tom, Dick and Harry jumped on it, and the gym was packed.
・あの映画がヒットしてからというもの、猫も杓子も関連グッズを身につけて歩いているのをよく見かけます。
Ever since that movie became a hit, everyone and their mother has been wearing merchandise related to it.
・猫も杓子もリモートワークと言い出すようになったが、実際には向いていない人も多く見受けられます。
Everyone and their uncle is now talking about remote work, but many people clearly aren’t suited for it.
・最近の若い人たちは猫も杓子も「副業」を始めているようで、本業が疎かになっているケースもあるようです。
It seems like all the young people these days are trying to start side jobs, and it’s affecting their main work.
似ている表現
・誰も彼も
・どいつもこいつも
・皆が皆
・右へ倣え
・総出で
「猫も杓子も」のビジネスで使用する場面の例文と英語
「猫も杓子も」はビジネスでも、特定のトレンドや新しい制度、あるいはブームに対して、社内外問わず多くの関係者が一斉に反応している場面を少し皮肉や驚きの気持ちを込めて表す際に使われます。ただし、相手との関係や状況によっては不適切な印象を与えることもあるため、使用には十分注意が必要です。
・最近は猫も杓子も「生成AI」の導入を口にしており、冷静に導入効果を見極める必要があると感じます。
Everyone seems to be talking about implementing generative AI, and I believe it’s crucial to assess its actual benefits calmly.
・社内の会議でも猫も杓子もDXだと騒いでいますが、目的の明確化が先決ではないでしょうか。
Everyone in the company is talking about DX, but shouldn’t we clarify the purpose first?
・猫も杓子もプロジェクトマネージャーになりたがる昨今、本質的なスキル育成がなおざりになっています。
Everyone and their dog wants to become a project manager these days, but true skill development is being neglected.
・猫も杓子もテレワークの推進を強調していますが、現場の実情を無視した導入には疑問を感じています。
Everyone is promoting telework, but introducing it without understanding the actual situation on the ground is questionable.
・展示会では猫も杓子も似たようなブースばかりで、差別化を図る工夫が求められます。
At the trade show, all the booths looked similar, and efforts to stand out are clearly needed.
「猫も杓子も」は目上の方にそのまま使ってよい?
「猫も杓子も」という表現は、少し砕けた印象や皮肉を含んだ意味合いを持っているため、目上の方や取引先などとの正式な会話や文書では使い方に慎重さが求められます。特に、誰も彼もが同じ行動をとっているというようなニュアンスは、相手の判断や行動を軽んじているようにも受け取られかねず、誤解を生む可能性も否めません。相手が参加している流れを指してこの言葉を使うと、「周囲に流されている」といった印象を与えてしまいかねません。そのため、同じ意味を伝えたい場合でも、より丁寧で慎重な言い回しに置き換えることが望ましいです。
・目上の方やお客様に対して、流行に乗っていることを指摘する際には注意が必要です。 ・相手の意思を軽視しているような印象を与える可能性があるため避けた方が無難です。 ・どうしても使いたい場合には、間接的な言い回しや他の言い換えを使用しましょう。 ・会話のカジュアル度合いをしっかりと見極めてから使う必要があります。 ・文章で使用する際には、前後の文脈を丁寧に整えることが大切です。
「猫も杓子も」の失礼がない言い換え
・最近では多くの企業様におかれましても、同様のご判断をされているご様子でございます。
・さまざまな業界の皆様におかれましても、同様の動きが見受けられております。
・多方面から類似のご相談をいただく機会が増えてまいりました。
・業界全体としても、同様の傾向が見られるように思われます。
・貴社を含め、多くの企業様が積極的に導入をご検討されていると伺っております。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
・この度は、御社における最近のご判断に関しまして、業界全体の動向と照らし合わせながらお伝え申し上げます。
・いつも大変お世話になっております。皆様のご活躍と貴社の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
・平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。今回は業界内でも注目されている件についてご連絡いたしました。
・日頃より大変お世話になっております。昨今の情勢を踏まえ、ご相談させていただきたく存じます。
・いつもご指導ご鞭撻を賜り、誠にありがとうございます。関連動向についてご共有申し上げます。
締めの挨拶
・今後とも貴社のご発展を心よりお祈り申し上げますとともに、引き続きご指導ご助言のほどよろしくお願い申し上げます。
・本件につきまして、何卒ご検討のほどお願い申し上げますとともに、貴重なお時間を頂戴し誠にありがとうございました。
・以上、何かご不明な点等がございましたら、どうぞご遠慮なくご連絡くださいますようお願い申し上げます。
・今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
・お忙しい中ご確認を賜り、心より御礼申し上げます。引き続き、よろしくお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「猫も杓子も」は一見ユーモアのある軽やかな言い方のようでありながら、使う相手や状況によっては不快感や皮肉に聞こえることがあります。特に、相手が好意的に取り組んでいることを「皆がやっているから」とまとめてしまうと、努力や工夫を軽視しているように受け取られるおそれがあります。さらに、言葉の持つ軽さゆえに、場の緊張感を壊してしまう可能性もあり、丁寧なコミュニケーションが必要な場では避けるのが賢明です。ビジネスの場においては、客観性や冷静さを保つ表現が求められるため、「猫も杓子も」は不適切と判断されるケースが多いです。
・相手の取り組みに対して、軽く見ていると思われる場面
・正式な会議やレポートなど、冷静で分析的な口調が求められる状況
・目上の方やお客様に対して意見を述べる際
・誰かの提案や考えを「流行に乗っているだけ」と受け取られかねない文脈
・新規提案に対して慎重さが必要なとき
細心の注意払った言い方
・昨今、多くの企業様が本件に注目されていると承知しておりますが、貴社のような先進的なご判断には一目置いております。
・現在、多くの業界関係者が同様の方向性をご検討されておりますが、御社のご判断は的確かつ先見の明があると感じております。
・業界全体が類似の取り組みに向かっている中、貴社におかれましては慎重かつ柔軟な対応をされていると存じます。
・多数の企業様が似たご判断をされている中で、貴社の戦略的なご対応には深く感銘を受けております。
・広く取り組まれている傾向が見られるなかで、御社独自の姿勢が非常に印象的でございます。
「猫も杓子も」のまとめ・注意点
「猫も杓子も」という慣用句は、誰も彼もが同じ行動をとっているということを、ややユーモラスに、時には皮肉を込めて表す際に非常に便利な言い回しです。しかしその軽妙さゆえに、目上の方や取引先とのやり取りでは慎重に扱う必要があります。この表現は、流行や動向への過度な同調をやんわりと指摘することができますが、言い方によっては相手の真剣さや取り組みを否定的に受け取られる恐れもあります。特に、相手が取り組んでいることを「皆がやっている」と一括りにするような言い回しは、配慮を欠く表現として誤解されることもあるため、丁寧な言い換えや、周囲の動きと合わせて紹介する言い方に改めるのが安心です。会話の内容や相手の立場を十分に考慮しながら使うことで、「猫も杓子も」という言い回しは、より効果的かつ洗練された言葉として機能します。使用の際には、その背景にある意味と響きのニュアンスをしっかりと理解した上で、バランスよく活用することが大切です。

