「奥歯に物が挟まる」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文

「奥歯に物が挟まる」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文

「奥歯に物が挟まる」とは、思っていることや本音をはっきりと言わず、どこか曖昧で遠回しな言い方をしてしまうような場面で使われる慣用句です。口の中に実際に何かが挟まっていると喋りづらくなるように、人間関係や会話の中でも何かを飲み込んだままはっきり言えず、もやもやとした状態が続いているときに使われます。特に、相手を気遣ったり、問題が複雑で本音を言いにくかったりする場合によく使われます。

この慣用句は、対人関係の繊細なニュアンスを含んでおり、明確に物事を伝えることが重要な場面においても、時にはその逆の曖昧さを選ぶことで摩擦を避けようとする人間の心理を表しています。たとえば、仕事の進め方に不満があるけれど、相手との関係性を壊したくないために強く言えないような状況がこれに該当します。

英語で近い意味を持つ言い回しとしては、“beating around the bush”(はっきり言わない、遠回しに言う)が一般的です。他にも “not saying what you mean” や “holding something back” なども近い意味合いを持つ表現です。ただし、直訳的に「something stuck in one’s back molars」というような言い方はされません。つまりこの慣用句は比喩表現であり、日本語独自のニュアンスを英語に完全に置き換えるのは難しいものの、上記のような言い方が意味としては近いと言えます。

また、感情を飲み込んで言葉を濁す態度は、文化的背景により捉え方が異なるため、日本語特有の「察する文化」に基づくこの表現は、直接的な言葉が好まれる欧米文化とは対照的でもあります。そのため、翻訳する際は場面の意図に応じて選ぶ必要があります。

「奥歯に物が挟まる」の一般的な使い方と英語で言うと

  1. 最近の会議では、彼の発言がどうも奥歯に物が挟まったようで、本音を語っていない気がしてならない。どうしても遠回しな物言いが気になってしまう。 (His remarks in recent meetings seem like he’s beating around the bush, and I can’t shake the feeling that he’s not being honest.)
  2. 奥歯に物が挟まったような言い方では、こちらとしてもどう動けばいいのか判断に困ってしまいます。率直に言っていただけませんか。 (When you speak so ambiguously, it’s difficult for me to know how to proceed. Could you be more straightforward?)
  3. あの上司はいつも奥歯に物が挟まったような話し方をするので、何を期待されているのかがよくわからないまま仕事をしている気分になる。 (That supervisor always speaks in a roundabout way, so I never really understand what is expected of me.)
  4. 奥歯に物が挟まったような説明では、クライアントには伝わりません。もっと明確に、そして正確に情報を共有する必要があります。 (That kind of vague explanation won’t get through to the client. We need to be clearer and more precise when sharing information.)
  5. 彼女が奥歯に物が挟まったように話すのは、何か言いたいけれど言えない理由があるのだろう。気遣いすぎて本心を見せない人だから。 (She talks as if something is stuck in her back molars, which probably means she wants to say something but can’t. She’s too considerate to show her true feelings.)

似ている言い方

  • のらりくらりする
  • はぐらかす
  • 言い淀む
  • 歯切れが悪い
  • 煮え切らない

「奥歯に物が挟まる」のビジネスで使用する場面の例文と英語

ビジネスでは、遠回しな言い方や本音を隠した発言は、誤解を招いたり意思疎通の妨げになったりするため、慎重に使う必要があります。部下が上司に対して言いにくいことを控えたり、クライアントに対して曖昧に答えてしまう場面などで見られます。また、利害関係が絡む交渉などでも本音を出しにくい時に「奥歯に物が挟まる」ような言い回しになることがあります。

  1. 先方の返答は奥歯に物が挟まったようで、具体的な意思決定が感じられませんでした。 (The response from the other party felt vague, like something was being held back, and no clear decision was communicated.)
  2. ミーティング中に彼の発言が奥歯に物が挟まったようだったので、本件について改めて確認した方が良いと思います。 (His comments during the meeting seemed rather hesitant, so I believe we should follow up to confirm his intentions.)
  3. お客様が奥歯に物が挟まったような口ぶりで懸念点を話されていました。誠実に対応する必要があります。 (The client spoke with some hesitation about their concerns. We need to respond sincerely.)
  4. 彼の報告は奥歯に物が挟まったようで、事実が完全に共有されていない印象を受けました。 (His report was ambiguous, giving the impression that not all the facts were being shared.)
  5. 上層部への説明では奥歯に物が挟まるような説明ではなく、率直で具体的な報告が求められます。 (When reporting to upper management, vague explanations won’t do. Direct and specific communication is required.)

「奥歯に物が挟まる」は目上の方にそのまま使ってよい?

「奥歯に物が挟まる」という言い方は日常ではよく使われるものの、目上の方や取引先に対してそのまま使うと、ぶしつけであると受け取られる可能性があります。この表現には、相手がはっきり物を言っていないという軽い非難のニュアンスが含まれることがあり、それが無意識に失礼に感じられることもあります。特に、相手が気を使って曖昧な言い方をしている場合に、「奥歯に物が挟まったようですね」といったような物言いをすると、配慮に欠ける印象を与えてしまいかねません。

そのため、ビジネスや目上の方とのやりとりでは、間接的に「言葉を選ばれているようですね」「ご事情があってご配慮いただいているようですね」といった表現に置き換える方が丁寧です。相手の立場や配慮に敬意を払いながら、伝えたいことを明確にすることが重要です。

  • 相手の発言が曖昧に感じられても、直接的に言及しないよう心がける
  • あくまで自分の理解の範囲で確認を行うようにする
  • 「ご意図がうまく汲み取れず…」などの言い回しで間接的に促す
  • 相手を責めるような言い方は避け、理解しようとする姿勢を見せる
  • 丁寧な言葉選びで会話の温度感を保つ

「奥歯に物が挟まる」の失礼がない言い換え

  • ご意向が少し読み取れず恐縮ですが、もう少し具体的にお伺いしてもよろしいでしょうか。
  • ご事情があるかと拝察いたしますが、差し支えなければ詳しくお聞かせいただけますか。
  • お話の意図を正確に把握したく存じますので、補足をお願いできますでしょうか。
  • 言葉を慎重にお選びいただいているように感じられましたが、率直なお考えをお伺いできれば幸いです。
  • ご発言の背景をより深く理解したく、恐れ入りますが追加のご説明をお願い申し上げます。

適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?

書き出し

  • いつも丁寧なご対応を賜り、誠にありがとうございます。いただいたご連絡を拝見し、少々気になる点がございましたのでご確認させていただきたく存じます。
  • 平素より格別のご厚情を賜り、深く御礼申し上げます。ご相談いただきました件について、一点確認させていただきたくご連絡差し上げました。
  • 大変お世話になっております。先般のご説明について、内容を拝見しましてお伺いしたい点がございましたので、下記にてお尋ね申し上げます。
  • ご丁寧なご連絡をありがとうございます。ご意向を汲み取りたく、ご説明の中でやや解釈に迷う箇所がございましたので、念のため確認させてください。
  • いつもご高配を賜り、誠にありがとうございます。ご案内の内容につきまして、理解を深めたく数点ご質問をさせていただければと存じます。

締めの挨拶

  • お忙しいところ誠に恐縮ではございますが、ご確認のほど何卒よろしくお願い申し上げます。今後とも変わらぬご指導を賜れますと幸甚に存じます。
  • ご多忙の中、恐れ入りますが、何卒ご教示いただけますようお願い申し上げます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
  • ご確認にお手数をおかけいたしますが、何卒ご対応のほどよろしくお願い申し上げます。ご指導のほど、引き続きよろしくお願い申し上げます。
  • ご一読いただき誠にありがとうございます。ご意見をお伺いできれば幸いに存じます。今後とも末永くお付き合いいただけますとありがたく存じます。
  • 何かご不明点などございましたら、ご遠慮なくお知らせくださいませ。今後とも丁寧なお取引をさせていただきたく、よろしくお願い申し上げます。

注意する状況・場面は?

「奥歯に物が挟まる」は、曖昧さを批判的にとらえるような意味合いが含まれるため、使用する場面には慎重さが求められます。特に相手が言いにくい事情を抱えていたり、配慮のもとに慎重な発言をしているような場面では、安易にこの表現を使うと相手を不快にさせてしまうことがあります。ビジネスでは、相手が本音を話さないことで状況の把握が難しくなることもありますが、だからといってその態度を非難するような言い回しをするのは避けるべきです。

  • 相手が明らかに慎重に言葉を選んでいる場面
  • 複雑な利害が絡む交渉や会議中の発言に対して
  • 言葉を濁している背景に事情があると見られるとき
  • 感情的な内容を含んでおり、ストレートな物言いが望ましくない場面
  • 上司や取引先など、立場が上の方の発言に対して疑問を抱いたとき

細心の注意払った言い方

  • 恐れ入りますが、いただいた内容について、私の理解が至らない部分がありましたので、補足のご説明をお願いできますと幸いです。
  • ご多忙の折に恐縮ですが、念のため貴社のご意向をより正確に理解するため、追加でお伺いしてもよろしいでしょうか。
  • ご配慮を重ねていただいた上でのご発言かと拝察いたしますが、今後の対応のためにも率直なお考えをお聞かせいただければと存じます。
  • 大変恐縮ではございますが、本件に関しまして、誤解を避けるためにも、ご意図を明確にしていただけると助かります。
  • 丁寧にお話しいただきありがとうございます。ご説明の中で一部判断が難しい箇所がございましたので、恐れ入りますが、改めてご確認させてくださいませ。

「奥歯に物が挟まる」のまとめ・注意点

「奥歯に物が挟まる」という言い方は、本音をはっきり言わず、どこか曖昧に話す様子を表す非常に身近な表現です。日常の中で誰しもが経験する感覚であり、使いやすさもありますが、その分、相手に誤解や不快感を与える可能性もあります。特に相手の立場や状況を十分に理解しないまま使ってしまうと、「はっきり言え」と迫っているように受け取られかねません。そのため、ビジネスや目上の方とのやりとりでは細心の注意が必要です。

代わりに、相手の発言の意図を理解しようとする姿勢を見せることで、丁寧な対応が可能となります。「ご意向を正確に把握したい」といった言い方を選ぶことで、配慮と尊重の気持ちを込めた伝え方ができるようになります。曖昧な発言に対して疑問がある場合でも、相手を責めることなく、補足や説明を求める丁寧な言葉を使うことが求められます。

「奥歯に物が挟まる」という言葉は、人との関係をより深く理解するための入り口でもあります。その意味をよく理解し、適切な場面で適切に使うことが、良好な対話や信頼関係の構築につながります。