「帰心矢の如し」一般的な意味と英語で言うと
「帰心矢の如し」とは、心が早く家に帰りたいという思いでいっぱいになり、その気持ちがまるで放たれた矢のように真っすぐで止まらない様子を表す慣用句です。主に遠く離れた場所にいる人が、故郷や自分の家へ戻りたいと強く願う気持ちを比喩的に表現しています。「心はすでに帰っている」というようなニュアンスも含まれ、単なる「帰りたい」ではなく、「一刻も早く帰りたい」という切迫した気持ちが込められています。
この言葉は、中国の故事成語が語源で、「矢のように真っ直ぐで止まらない心」を矢にたとえています。つまり、肉体はまだその場にあっても、心はもう帰る方向に全力で飛んでしまっているという状態を指します。特に旅先や単身赴任、または長期出張の終盤などで、気持ちが強く家に向いてしまうときに使われることが多く、感情の高まりを伴った表現です。
英語で言い換える場合、「I can’t wait to go home」「My heart is already home」「Eager to return home like an arrow」などが比較的近い表現になりますが、完全に同じ意味の言葉は存在しません。「like an arrow」や「my heart rushes home like an arrow」といった詩的な言い方にすることで、日本語の情緒に近づけることができます。
「帰心矢の如し」の一般的な使い方と英語で言うと
・年末年始の休暇が近づくにつれ、彼は毎日「帰心矢の如し」の状態で、仕事の合間にも実家のことばかり考えていた。
(His heart was already at home as the New Year’s break approached, and he thought of his hometown even during work.)
・長期出張がようやく終わりが見えた彼は、「帰心矢の如し」といった様子で、荷造りを始めていた。
(As his long business trip neared its end, he began packing with an eagerness like an arrow rushing home.)
・遠く離れた地での単身赴任生活が続く中、彼の心はいつも家族のもとにあり、「帰心矢の如し」だった。
(While living away from his family, his heart was always with them, yearning like an arrow toward home.)
・夏の帰省を前にした学生たちは、まさに「帰心矢の如し」で、講義にも身が入らなくなっていた。
(The students, eager to return home for the summer, were distracted in class, their minds rushing like arrows.)
・留学生活の最終日、彼女は「帰心矢の如し」の思いで、早く家族と再会したくて仕方なかった。
(On the final day of her study abroad, she couldn’t wait to see her family again; her heart was flying home like an arrow.)
似ている言い方
・心ここにあらず
・一日千秋の思い
・気もそぞろ
・故郷が恋しい
・いてもたってもいられない
「帰心矢の如し」のビジネスで使用する場面の例文と英語
「帰心矢の如し」は日常会話では比較的自然に使えますが、ビジネスの場でも、例えば長期の出張、研修、海外滞在などから本社・自宅への帰還を控えた状況で、気持ちが強く帰りたい方向に向いているときに、少し砕けた雰囲気の中で用いることができます。ただし、くだけすぎる印象を与えることもあるため、慎重に使う必要があります。
・海外での業務を終え、ついに帰国日が決まった今、まさに帰心矢の如しで日々を過ごしております。
(Now that my return date from overseas has been set, I spend each day eager to return home like an arrow.)
・長期出張も終盤となり、帰心矢の如しの気持ちで報告書をまとめております。
(As the end of the long business trip approaches, I am preparing the report with a heart eager to return home.)
・来週の本社復帰を控え、帰心矢の如しで調整業務を進めております。
(With my return to headquarters scheduled for next week, I am handling the final adjustments with a deep sense of anticipation.)
・現場業務の終了が近づき、帰心矢の如しで本社での再会を楽しみにしております。
(As the fieldwork comes to a close, I eagerly look forward to rejoining everyone at headquarters.)
・研修も終盤に差しかかり、帰心矢の如しで業務への復帰を意識しています。
(As the training nears its end, my heart rushes toward returning to regular duties.)
「帰心矢の如し」は目上の方にそのまま使ってよい?
「帰心矢の如し」という言い回しは、情緒的で表現力のある言葉ではありますが、目上の方や取引先に対して使用する場合には注意が必要です。というのも、この表現はやや詩的で、個人的な感情を強く含んでいるため、ビジネスメールや公のやりとりにそのまま使用すると、やや軽く見られる恐れがあります。特に、帰りたくて仕方がないというニュアンスが、集中力の欠如や「もう気持ちがそこにない」と誤解される可能性もあるため、受け手によっては不適切に感じる場合があります。
また、心の中での強い感情を比喩的に語るこの言い方は、カジュアルな場や親しい関係では効果的に伝わる一方、ビジネス文書や公式の場面では婉曲的な表現を用いる方が望ましいです。特に、上司や取引先などへの文書や挨拶では、控えめで礼儀正しい言い方を優先することが求められます。
・感情を抑えて伝える
・業務の区切りを強調する
・責任感をにじませる
・軽さを避けた言い方にする
・表現に詩的要素を避ける
「帰心矢の如し」の失礼がない言い換え
・出張が終了に近づき、帰任の準備を丁寧に進めております。
・長期の業務が一区切りとなり、帰社後の再始動に向けて心を整えております。
・近日中に帰任予定であり、残務処理を責任をもって進めております。
・帰社の段取りを進めながら、最後まで集中して業務に取り組んでおります。
・復帰に向けて最終業務の仕上げを行っております。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
・おかげさまで長期出張も順調に終わりを迎えつつあり、現地での業務にも一区切りがついてまいりました。
・日頃より温かいご支援をいただき、誠にありがとうございます。おかげさまで業務は順調に進んでおります。
・お忙しい中ご連絡いただき誠にありがとうございます。いただいたご指示の通り、現地での業務も最終段階に入っております。
・お世話になっております。現地での業務も終盤に差し掛かり、帰社の準備に取り掛かっております。
・いつも温かく見守っていただき、心より御礼申し上げます。いよいよ帰任の時期が近づいてまいりました。
締めの挨拶
・帰任後は一層気を引き締めて業務に励む所存でございますので、引き続きご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
・帰社後も引き続き変わらぬご厚情を賜れますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
・今後とも変わらぬご支援のほど、心よりお願い申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
・業務終了後は速やかに帰任いたしますので、引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
・現地での経験を活かし、今後の業務にも反映させてまいります。何卒よろしくお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「帰心矢の如し」は感情が前面に出る言い方であるため、使う場面を誤ると、無責任・落ち着きのなさ・感傷的すぎる印象を与えてしまう恐れがあります。特に、まだ業務が完全に終わっていない場面や、緊張感を保たなければならない状況、公式な場では使うべきではありません。
また、「早く帰りたい」という感情をあからさまに伝える表現でもあるため、「現状から逃げたい」というように受け取られる危険もあります。そうなると、信頼関係の損失や評価の低下にもつながりかねません。感情を適切にコントロールし、業務に集中している姿勢を見せることが重要です。
・業務中に不用意に使うと、集中していない印象を与える
・目上の方に使うと軽視されたと感じられる可能性がある
・メールや報告書での使用は控えるべき場合が多い
・感情の表出が不適切とされる職場文化では避けるべき
・「帰りたい」というニュアンスが逃避のように受け止められる恐れがある
細心の注意払った言い方
・帰社に向けた準備を着実に進めており、残りの業務にも引き続き真摯に取り組んでおります。
・現地での経験を今後の業務にしっかりと活かすべく、最後まで集中して職務を全うする所存です。
・帰任を控えつつも、現状の任務を一つひとつ丁寧に遂行してまいりますので、どうぞご安心ください。
・復帰後の業務に備え、現在の役割を最後まで責任をもって全ういたします。今後ともよろしくお願い申し上げます。
・最終調整に取り掛かっておりますが、業務完遂まで気を抜かず対応してまいりますので、ご指導のほどお願い申し上げます。
「帰心矢の如し」のまとめ・注意点
「帰心矢の如し」という言葉は、遠く離れた場所から早く家に帰りたいという気持ちが高まる様子を、放たれた矢のような勢いで例えた情緒ある慣用句です。旅や出張、留学、単身赴任など様々な場面で使える一方で、その感情の強さゆえに、伝える相手や使い方を誤ると誤解を生むことにもなりかねません。
特にビジネスの場では、「仕事を放り出して帰りたい」という印象にならないよう、丁寧な言い換えや控えめな言い回しが必要です。また、感情を前面に出すこの表現は、上司や取引先に対しては慎重に扱うべきで、直接的な使用は避ける方が無難です。
一方で、気持ちが帰りたくて仕方がないという場面をドラマチックに語りたい時や、日常の会話で親しい相手に心情を表現する場合には、効果的で味わい深い言葉です。使い方に配慮しながら、その美しい比喩を活かすことができれば、非常に豊かな表現となります。

