インシデントとは?ビジネスでの意味・日本語での言い換え・言い回しての使い方と注意点
「インシデント」という言葉は、日常会話ではあまりなじみがないかもしれませんが、ビジネスの場では非常に広く使われている用語です。もともとは英語の “incident” に由来し、「出来事」「突発的な事案」「予期せぬ事態」という意味を持ちます。日本語では主に「事故一歩手前の異常事態」や「問題の発生」といった意味で使われることが多く、特に情報システムや医療、安全管理などの業界では専門的な使い方がされています。
ビジネス用語としての「インシデント」は、「通常とは異なる状態が発生し、業務に何らかの影響を与える可能性がある出来事」を指します。たとえば、システム障害、セキュリティ上の問題、製品の不具合、ヒヤリとした事故寸前の出来事などがこれに該当します。重要なのは、すでに大きな被害が出た「事故(アクシデント)」とは違い、「まだ被害には至っていない段階」や「軽微な問題」の段階でも使えるという点です。
この言葉がビジネスの現場でよく使われる理由は、「問題を小さいうちに見つけ、対処することで、より大きなトラブルを未然に防ぐ」という考え方が重視されているからです。インシデントを記録し、共有し、改善策を講じることで、同じ問題を繰り返さないようにするという予防的な意味合いが強く込められています。
たとえば、社内のITシステムで一時的に動作が遅くなった場合、それによってデータの損失や業務停止などの深刻な事態が起きていなくても、「何かおかしい」「注意が必要」としてインシデントとして報告されることがあります。これによって技術部門が早めに原因を調べ、対策を講じることで、大きな障害や損害を防ぐことができます。
また、顧客対応においても、苦情や不満、クレームの一歩手前の出来事を「インシデント」として記録しておくことで、顧客満足度の低下を事前に察知し、改善へとつなげることができます。
このように、「インシデント」は、単に「何かあった」という事実だけでなく、「それを組織としてどう捉え、どう対処するか」が問われる重要な概念です。
まとめ
- 業務に影響を及ぼしかねない突発的な出来事や異常事態
- 事故や重大なトラブルには至っていないが、注意が必要な状態
- 小さな異変を見逃さず記録・共有・改善に生かすことが目的
- 情報システム、医療、製造、顧客対応など幅広い分野で使われる
- 組織の安全管理と品質向上に欠かせないキーワード
インシデントを英語で言うと?
→ incident
インシデントの言い換え・言い回しは?
- 想定外の事態
- 軽度なトラブル
- 注意すべき異常
- 業務への軽微な影響
- 未然の問題発生
インシデントが使われる場面
- サーバーやネットワークに一時的な不具合が起きたとき
- 顧客から苦情には至らないが気になる声が届いたとき
- 工場で製品の不具合につながりかねない兆候が見られたとき
- 医療現場で事故には至らなかったが注意すべき事象があったとき
- 業務フローの一部で通常と異なる動きが発生したとき
インシデントを言い換えて失礼がない伝え方・目上・取引先に送る場合
- 業務の中で軽微ではございますが、通常とは異なる事象が発生いたしました。
(A minor but unusual occurrence was observed during the course of operations.) - 早急に対応すべき予期せぬ事態が確認されましたため、ご報告申し上げます。
(An unforeseen situation requiring prompt attention has been identified.) - 業務に支障はないものの、注意を要する状態を確認いたしました。
(While there is no disruption to operations, we have identified a state that requires attention.) - ご心配には及びませんが、業務中に不具合につながる可能性のある事象がございました。
(There is no cause for concern, but an issue with potential impact was noted.) - 万が一に備え、念のためご共有させていただきたく存じます。
(As a precaution, we would like to share the following information with you.)
インシデント・社内メールで言い換えて使用する例文
- 業務中に一時的な異常動作が確認されましたので、調査を開始しています。
(We have started investigating a temporary irregularity observed during operations.) - 軽度な不具合が発生しましたが、現在は正常に戻っております。
(A minor issue occurred but has since been resolved.) - 念のため、本日発生した予期しない挙動について共有いたします。
(For your awareness, we would like to share an unexpected behavior observed today.) - 大きな支障はございませんが、注意すべき事象がありました。
(There is no major issue, but something worth noting has occurred.) - 今後の予防対策のため、今回の事例を記録しておきます。
(This case will be recorded for future preventive measures.)
インシデントを使用した本文
- 昨日午後、ネットワーク機器に一時的な接続不良が発生し、軽微ではありますが業務に影響がありました。現在は復旧済みで、再発防止策を検討中です。
(A temporary network disconnection occurred yesterday afternoon, slightly affecting operations. The issue is now resolved and preventive measures are being considered.) - お客様からのお問い合わせ内容に、今後の品質向上のために注目すべき点がございました。対応を進めております。
(A recent customer inquiry included feedback that could be valuable for future quality improvements. We are currently addressing it.) - 製造ラインにて通常とは異なる動作を確認し、即時に調整を行いました。今後のため記録いたします。
(Atypical behavior was observed on the production line and adjustments were made immediately. This will be documented for reference.) - 医療機器の作動中に反応が鈍くなる場面がありましたが、安全性への影響はありませんでした。
(A brief delay was noticed during the operation of medical equipment, but there was no impact on safety.) - 通信環境の一部に不安定な状態が見られたため、詳細を調査中です。
(We are investigating a partial instability observed in the communication environment.)
インシデントをメールで使用すると不適切な場面は?
「インシデント」という言葉は業界によって意味や重みが異なるため、相手によっては誤解を招くことがあります。たとえば、医療や情報セキュリティ分野では「インシデント」という言葉が非常に重大な意味を持つため、「軽い出来事」として伝えたつもりでも、相手にとっては「大きな事故が起きたのでは」と不安を与えることがあります。
また、カタカナであるため、慣れていない方には内容が伝わりにくく、「専門用語でごまかされている」と感じられることもあります。特に謝罪や説明が必要な場面では、「インシデント」という言葉だけで済ませるのではなく、具体的に「何が起きたのか」「どのように対応したのか」を丁寧に説明することが求められます。
インシデント 細心の注意を払い誰にでも不快感を与えない伝え方
- ご迷惑をおかけする前に、予兆となる事象を確認いたしました。
(We have identified an early indicator before it could cause inconvenience.) - 念のため、通常とは異なる点について共有させていただきます。
(As a precaution, we would like to share some unusual observations.) - 大事には至っておりませんが、早期対応を行いました。
(Although the situation did not escalate, we took early action.) - ご安心いただけるよう、早急に対応を進めております。
(To provide reassurance, we are taking swift measures.) - 現時点で影響はありませんが、念のため報告させていただきます。
(There is no impact at present, but we are reporting this just in case.)
インシデント メール例文集
目上の方・取引先の企業へ言い換え適したメール例文
軽度な異常事象の発生と対応について
いつも大変お世話になっております。業務中に、通常とは異なる動作を確認いたしましたため、早急に調査と対処を行いました。お取引先様への影響はございませんでしたが、念のためご報告申し上げます。今後の再発防止策についても検討を進めておりますので、安心してお任せいただけますと幸いです。何かご不明点などございましたら、遠慮なくお申し付けくださいませ。
想定外の事態への迅速な対応について
平素より格別のご高配を賜り、心より御礼申し上げます。本日午後、社内システムにて一時的な動作の乱れが確認されましたが、すぐに通常通りの状態へ復旧しております。本事象によるお取引内容への影響は一切ございません。より安心いただける体制づくりのため、再発防止策を徹底してまいります。
顧客・お客様へ言い換え適したメール例文
ご心配をおかけしないための事前ご報告
いつもご愛顧いただきありがとうございます。本日、サービス提供中に軽度の不安定な動作が一時的に確認されましたが、すぐに対応を行い、現在は正常に稼働しております。ご利用中のお客様には影響はございませんが、念のためご報告させていただきます。今後とも安心してご利用いただけますよう、継続して品質向上に努めてまいります。
安全確保を優先した早期対応のご案内
日頃よりご利用いただきありがとうございます。この度、サービスの一部において通常とは異なる挙動を確認したため、事前にお知らせさせていただきます。念のため調査を進めており、状況の改善も完了しております。今後ともお客様にご不便をおかけしないよう努めてまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
社内メールで使う際に言い換え適したメール例文
注意すべき事象の早期共有について
お疲れさまです。本日午前、社内ネットワークに一時的な不安定さが見られましたが、担当部署にて対応済みです。今後の参考として記録し、再発防止の対策を講じます。ご不明点があれば、お知らせください。
異常検知と今後の対応方針について
各位 本日発生した業務システムの軽度な不具合について、現在調査中です。業務への影響は確認されていませんが、今後同様の事象が起こらないよう対策を進めております。進捗があり次第、追ってご連絡いたします。
インシデント 相手に送る際の注意点・まとめ
インシデントという言葉は便利で汎用的ですが、使い方を誤ると相手に不安や誤解を与えることがあります。特に相手がこの言葉に対する理解や業務経験が浅い場合、「どれほど深刻な問題なのか」が曖昧に伝わってしまい、かえって不安を招く恐れがあります。
また、業界によっては「インシデント=重大トラブル」と認識されていることもあるため、軽微な出来事を報告するつもりでも、過度に深刻に受け止められてしまうことがあります。ですので、まずは「どのような内容なのか」「影響の有無」「対応の状況」を丁寧に具体的に伝えることが大切です。
相手の立場に立って、できる限りわかりやすく、安心できる言葉で伝えること。それがビジネスの信頼を築く基本だと言えるでしょう。

