「甲乙付け難し」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「甲乙つけ難し」という言葉は、どちらも優れていて、はっきりと優劣を判断できない、あるいは決められない状況を指す慣用句です。たとえば、二つの作品がどちらも非常に完成度が高く、どちらが上とも下とも言えないといった場面でよく使われます。この言葉は単に選択肢があって迷うという意味ではなく、両方が極めて優秀であるがゆえに、順位や評価をつけることが難しいという点に特徴があります。つまり、「どちらも素晴らしいから選べない」という、ポジティブな迷いの状態を表す表現といえます。
この慣用句は、ビジネスや学業、芸術、スポーツなど、様々な分野で頻繁に使われます。たとえば、二人の応募者がどちらも優秀で、採用を決めかねるといった場面。または、二つの料理がどちらも美味しくて、どちらが好みか決められないといった日常の中でも用いられます。
英語では、似た意味を持つ言い回しとして「It’s hard to tell which is better」や「It’s hard to choose between the two」または「It’s a close call」といった表現があてはまります。また、文脈によっては「Both are equally good」や「Too close to call」なども使われます。ただし、英語では「甲乙つけ難し」のような一語で言い表せる言葉はあまりないため、状況に応じて複数の表現を使い分ける必要があります。
この慣用句は、特に優劣をつけるべき場面でどちらも優れていて決められないときに使うため、失礼な意味や批判的な意味は一切なく、むしろ対象を高く評価していることを伝えるポジティブな言葉です。
「甲乙つけ難し」の一般的な使い方と英語で言うと
・二人のプレゼンテーションはどちらも説得力があり、論理性や資料の質も申し分なく、本当に甲乙つけ難い内容でした。 (It was truly hard to decide which of the two presentations was better, as both were convincing and well-structured.)
・二つのレストランの料理はどちらも美味しく、味付けのバランスや見た目の美しさも素晴らしくて、甲乙つけ難いものでした。 (The dishes at both restaurants were equally delicious, with excellent flavor balance and presentation, making it hard to choose one over the other.)
・今年の新人賞候補は、どの候補者も個性が際立っていて実力もあり、審査員も甲乙つけ難いと悩んでいました。 (All of the candidates for this year’s newcomer award were highly talented and unique, leaving the judges struggling to decide the best.)
・映画祭で上映された二本の作品は、演出、脚本、演技のすべてにおいて見事で、まさに甲乙つけ難しという状況でした。 (The two films screened at the festival were both remarkable in direction, script, and acting, truly making it a close call.)
・どちらのデザインも完成度が高く、細部にわたる工夫が感じられ、選考会では甲乙つけ難しという声が多数ありました。 (Both designs were of such high quality and attention to detail that many at the selection meeting found it hard to choose between them.)
似ている言い回し
・五分五分
・一長一短
・互角
・伯仲する
・紙一重
「甲乙つけ難し」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスの場では、「甲乙つけ難し」は提案書の比較、企画案の選定、人事評価など、複数の選択肢がある中で最も優れたものを選ばなければならない場面において使われます。どれも質が高く、判断が非常に難しいというニュアンスを丁寧に伝えたいときに適しています。相手の努力を正当に認め、誠実に選考している姿勢を伝えるための言葉としても有効です。
・今回の二つの提案は、いずれも完成度が高く、どちらを採用するか非常に悩ましく、まさに甲乙つけ難い内容でした。
(Both proposals were of exceptional quality, making it genuinely difficult to decide which one to proceed with.)
・候補者全員が優秀で、経験やスキルも申し分なく、甲乙つけ難い状況にあるため、最終面接を通じて総合的に判断することといたします。
(All candidates are outstanding with excellent skills and experience, making it hard to rank them; we will make a final decision based on the upcoming interviews.)
・各チームから提出された案はいずれもユニークで、実現性にも富んでおり、甲乙つけ難いというのが正直な感想です。
(All proposals from the teams were unique and practical, and frankly, it’s hard to distinguish which is the best.)
・プレゼン資料の内容や発表の進行など、どのチームも遜色なく、審査員の間でも甲乙つけ難いという意見が多数ありました。
(The content and delivery of each team’s presentation were equally impressive, with many judges finding it hard to determine a winner.)
・新製品のデザイン案はどれも魅力的で、機能性やコストの観点でも甲乙つけ難く、慎重に検討を進めております。
(All new product design proposals are attractive and competitive in terms of functionality and cost, making it difficult to choose one over the others.)
「甲乙つけ難し」は目上の方にそのまま使ってよい?
「甲乙つけ難し」は相手を高く評価する際に用いられる言葉であり、基本的には敬意を込めたニュアンスを持つため、目上の方や取引先に対して使っても問題はありません。ただし、その使い方には一定の注意が必要です。まず、あまりにも直接的に「どちらも同じで選べない」と伝えてしまうと、相手によっては優柔不断だと受け取られる恐れがあります。そのため、丁寧な表現に置き換えたり、背景や理由を丁寧に説明することが大切です。特にビジネスメールや商談の場では、誤解を避けるために「甲乙つけ難し」の一言だけで終わらせず、その後に具体的な評価ポイントや感謝の意を加えるとより適切です。加えて、「どちらも素晴らしい」ことを前提にしているため、上から目線で言わないように注意し、謙虚な姿勢を大切にすることが重要です。
・優劣を明確にするのが目的の場面では誤解を招くことがある
・相手に「曖昧な態度」と受け取られる可能性がある
・使う際には補足説明や感謝の言葉を添えるとよい
・一言で終えず、判断の根拠も丁寧に伝えると好印象
・目上の方には「評価が難しい」といった柔らかい言い回しを選ぶ方が無難
「甲乙つけ難し」の失礼がない言い換え
・どちらも大変素晴らしい内容であり、評価が非常に難しく感じております。
・いずれも高い完成度で、選定に際して大変迷うほど魅力的なご提案でございました。
・どちらのご案も優れた点が多く、判断に時間を要しておりますことをご了承いただけますと幸いです。
・非常に難しいご判断となっており、引き続き真摯に検討を進めてまいります。
・いずれの案も実現可能性が高く、総合的に判断する必要がございます。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
・いつも的確かつ魅力的なご提案をお寄せいただき、心より御礼申し上げます。今回はどれも素晴らしく、拝見するたびに感銘を受けました。
・お世話になっております。先日ご提示いただいた案について拝見いたしましたが、いずれも高い完成度で感動いたしました。
・お忙しいところ詳細なご資料をお送りいただき、誠にありがとうございます。すべての案に工夫が見られ、感心いたしました。
・このたびはご提案を賜り、心から御礼申し上げます。それぞれが非常に優れており、評価に時間を要しております。
・いつも丁寧なご対応をいただき、感謝申し上げます。今回も期待を上回るご提案であり、精査を進めております。
締めの挨拶
・いずれのご案も大変魅力的であり、慎重に検討を進めておりますので、今しばらくお時間を頂戴できますと幸いです。
・すべての内容を拝見したうえで、どれも甲乙つけ難い優れた案でございました。引き続きご指導を賜れますようお願い申し上げます。
・非常に充実したご提案で感謝申し上げます。決定には少々お時間をいただきますが、引き続きよろしくお願いいたします。
・内容が素晴らしく、どれを選ぶか迷うほどでございます。今後とも変わらぬご厚情のほどお願い申し上げます。
・本件につきましては、皆様の熱意あるご提案を大変ありがたく拝受しております。最終判断まで今しばらくご猶予をいただけますようお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「甲乙つけ難し」という言葉は、基本的には相手や対象を高く評価している前提で使われるため、一般的には失礼にはあたりません。しかし、その場の空気や文脈を誤ってしまうと、評価を避けている、責任逃れをしている、または明確な意見を持っていないと見なされてしまうことがあります。そのため、特に目上の方や取引先とのやり取りにおいては注意が必要です。例えば、意見を求められているのに「甲乙つけ難し」とだけ返すと、相手にとっては「決められないのか」と感じられてしまう可能性があります。また、競合のある場面では「甲乙つけ難し」は中立的な発言と取られがちで、どちらにも明確な賛同を示さないことで不満を生むこともあるでしょう。
・評価を避けているように感じさせてしまう場合
・判断を求められている正式な場面
・上位者に対して結論を出す責任がある時
・競争結果を明確にする必要がある場面
・相手の期待値が高いときに曖昧な印象を与える可能性がある
細心の注意払った言い方
・どちらの案も大変完成度が高く、それぞれに異なる魅力があり、慎重に検討している段階でございます。
・両案ともに多くの工夫とご配慮がなされており、優劣をつけるのが困難なほど素晴らしい内容です。
・どちらも甲乙つけ難い優れた内容で、どのような形で進めていくか社内で引き続き協議しております。
・ご提案の一つ一つに独自性と価値を感じており、即断できないほどの内容で深く検討を要しております。
・非常に有意義なご提案を複数賜り、どれを採用するかを関係部署と共に真摯に検討してまいります。
「甲乙つけ難し」のまとめ・注意点
「甲乙つけ難し」という言葉は、どちらも優れていて簡単には優劣を決められない状況を丁寧に伝えるための、非常に便利で前向きな意味合いを持つ慣用句です。使い方次第では、相手に対して高く評価している気持ちをストレートに伝えることができます。ただし、誤った場面で使用すると、「選ぶ責任を避けている」「判断力がない」といった誤解を生む可能性もあるため注意が必要です。特にビジネスの場では、曖昧な印象を与えないよう、補足説明や判断理由を加えることが望まれます。また、相手の努力を称える気持ちを忘れずに使うことで、良好な関係性を築く一助ともなります。目上の方や取引先に対しては、丁寧な言い回しに置き換えて使用することで、さらに円滑なコミュニケーションが図れるでしょう。優劣の決定が難しい場面において、感謝と敬意を込めながら、この言葉を上手に活用することが大切です。

