小学校受験|年長の夏からでも合格できるって本当?
夏から始めても合格する子はいます
「年長の夏から始めたって、もう遅いんじゃないの?」という不安は、とてもよく耳にするものです。確かに、多くのお子さまは年中の秋や冬ごろからスタートし、長い時間をかけて準備しています。でも、年長の夏から始めても合格できる子は、決して少なくありません。
実際、夏からのスタートでも志望校に受かったご家庭はあります。大切なのは、「何をどう準備するか」「ご家庭での取り組み方」そして「合格する子の特徴を正しく理解すること」です。夏だからこそ、やるべきことを見極めれば、まだ十分に可能性はあるのです。
ただし、現実的には“簡単ではありません”
一方で、すべての子が夏スタートで合格できるわけではありません。特に、受験倍率の高い国立・私立の人気校や、有名小学校を志望している場合には、厳しさも増します。すでに周囲の子たちが1年半~2年の準備をしてきている中で、同じ土俵に立つには、かなり綿密な対策と覚悟が必要になります。
だからこそ、「夏からで間に合いますか?」という質問に対しては、「絶対とは言えません。でも、やり方次第で十分可能性はあります」と、正直にお伝えするのが現実に近い答えになります。
夏からの受験準備|どんな子が受かりやすい?
落ちる子の特徴|家庭も子どもも準備不足
年長の夏から始めて不合格になるお子さまには、ある共通点が見られます。
- 準備の中心が「ペーパー」だけで、人との関わり・運動・行動観察への対策がない
- 親御さんが「とにかく間に合わせよう」と焦ってしまい、子どもが疲れきってしまう
- 志望校の傾向を調べず、なんとなく有名校を選んでしまっている
- 自宅での生活習慣や言葉づかいが整っていない
- 基本的な聞き取りやお話づくりが苦手なのに、指摘されず見過ごされている
このような状態では、たとえ毎日頑張っても、合格には届きにくくなってしまいます。
受かる子の特徴|「3つの力」が急速に育っている
一方で、夏からの準備でも合格していくお子さまには、共通する力があります。
- 言われたことをすぐ聞いて動ける、聞き取り力と行動力
- 先生やまわりのお友だちと気持ちよく関われる社会性
- 答えを出すだけでなく、自分の考えを伝える力や感情表現
これらは「非認知能力」と呼ばれますが、紙の上だけでは測れない力です。こうした力がすでにある、または夏からの数か月で一気に育つ土壌のある子は、逆転合格の可能性を十分に秘めています。
夏から始めるならまず確認したい“生活の土台”
早寝早起き・ていねいな言葉・自分のことを自分で
夏休みは、生活リズムが乱れやすい時期です。受験準備の前に、まずはこの3つを整えてあげることがとても大切です。
- 朝は同じ時間に起きる:7時~7時半ごろには起きるリズムを
- 自分の名前、年齢、今日の天気が言えるか:面接でよく聞かれます
- 「おはようございます」「ありがとうございます」が自然に言えるか:これは面接や行動観察で大切な印象ポイントです
- お支度やお片づけが自分でできるか:家庭の中で“自立”が求められます
小学校受験では、学力だけでなく“ふだんの姿”がそのまま見られます。ですから、「ペーパー学習より先に家庭でできること」が、とても重要になってきます。
小学校受験|夏から始めて合格した子・落ちた子
合格した子の例|お母さまとお子さまが同じ方向を見ていた
例1:言葉が豊かだったAちゃん(女子)
Aちゃんは、お話しするのがとても好きなお子さまでした。年長の7月、ふとしたきっかけで私立小学校を目指すことになり、地元の小さな塾に通い始めました。ペーパー経験はほぼゼロ。最初は線が真っすぐ引けないほどでしたが、8月には「お話づくり」で感情を込めた表現ができるように。
お母さまは毎日絵本を2冊ずつ読んであげながら、「こんな時どう思った?」「どっちが好き?」と、日常の会話の中で表現力を広げる工夫をされていました。塾ではなく「家庭」が中心の勉強でしたが、11月には第一志望の女子校に合格。周囲の子より半年以上遅れてのスタートでしたが、思考力と共感力が評価された例です。
例2:やんちゃだったけど変化できたBくん(男子)
Bくんは元気いっぱいで、最初の模試では「落ち着きがない」と評価されてしまいました。夏の初めはお教室でも動きまわってしまい、先生を困らせる場面も。でも、お母さまが怒らずに“見守る姿勢”を崩さず、家庭では「お手伝いシール表」を作って、行動をほめることを徹底されていました。
8月後半には、集団行動の中で他の子に道をゆずる姿や、先生の話を真剣に聞く場面が出てきました。本番では、行動観察で「お友だちを待つことができていた」と面接でコメントされたとのこと。運動も得意だったBくんは、男子校2校に合格されました。
落ちてしまった子の例|焦りと計画不足が原因に
例1:詰め込みで疲れてしまったCちゃん
Cちゃんは、年長の6月までまったく受験を考えておらず、保育園の友だちが受験すると聞いて突然スタートされました。週4日塾に通い、空き時間もプリント三昧。でも、もともとおっとりタイプだったCちゃんにとってはそのペースが苦しく、9月ごろには「お腹が痛い」と泣く日も。
試験当日は緊張で固まってしまい、ほとんど声が出ずに面接が終わってしまったそうです。お母さまは「もっとゆっくり準備すればよかった」と後悔されていました。
例2:志望校の傾向をまちがえていたDくん
Dくんは工作や運動が得意で、絵を描くのも大好き。けれど、志望校として選ばれたのは「お行儀・礼儀重視」で有名な超人気校。Dくんの明るさは素敵だったのですが、「手をまっすぐ膝に置く」「座って動かない」といった“型”を重視する校風とは合わず、不合格に。
その後、滑り止めとして受けた“表現重視”の学校には合格されました。お母さまは「うちの子に合う学校を最初から選べていたら…」とおっしゃっていました。
塾えらび|夏から始める子に向いている塾とは?
少人数か個別対応をしてくれる塾がおすすめです
夏から受験を始めるお子さまには、「すでに受験対策が進んでいる集団塾」は少しハードルが高いこともあります。なぜなら、その塾のカリキュラムはすでに後半戦に入っているからです。
ですので、
- 個別でフォローしてくれる教室
- 夏期講習で基礎から教えてくれる柔軟なカリキュラム
- 家庭との連携がとれる指導者がいる場所
このような環境が合いやすいです。特に、先生との距離が近く、状況に応じて補講や相談ができるかどうかも、選ぶうえで大切なポイントになります。
家庭スケジュールの立て方|焦らず、でも淡々と
1日2時間以内におさえることが大切です
夏から始めると、「とにかく詰めこまないと」と感じてしまう方が多いのですが、詰めこみすぎは逆効果になります。とくに小学校受験は「量より質」が問われる場面が多いため、
- 午前:運動、外遊び、生活習慣(買い物や料理のお手伝いも◎)
- 午後:ペーパー学習や工作など、机の前に座る活動
- 夕方:家族と絵本や対話の時間、就寝前は安心して眠れる環境づくり
といったように、生活の中に“受験の種”をちりばめながら進めていく方法が、長続きしやすく、子どもにもストレスがかかりにくいです。
小学校受験|夏からの3か月で合格までにやること
8月|受験の土台づくりと家庭の生活リズムを整える月
8月のテーマは「整えること」です。とくに以下の4つを意識すると、秋以降の伸び方が変わってきます。
- 生活リズムを整える(早寝早起き、食事、お手伝い)
- 志望校の傾向を確認する(説明会動画、HPなどを家族で見る)
- 受験科目のバランスを見直す(ペーパーだけに偏らない)
- “人との関わり”を深める(お友だちや大人と触れ合う機会を増やす)
8月は「基本の見直し」の月です。特に夏期講習で塾に通われる場合でも、毎日詰めこむのではなく「余白」や「家での穏やかな時間」も大切にしてあげてください。
9月|実戦の入り口、本番を意識した練習を取り入れる月
9月に入ると、多くの塾や模試で「志望校別対策」が始まります。この時期の大きな目標は、
- 本番形式の練習に慣れる
- 時間を意識する(15分で集中するなど)
- 先生以外の大人とのやりとりに慣れる(面接の練習も含めて)
といった内容です。
特に大切なのは「行動観察」
行動観察とは、集団の中で子どもがどう振る舞うかを見る試験です。たとえば、
- 遊び道具の取り合いでどう対応するか
- お友だちが間違えたときにどんな反応をするか
- 自分の番を待てるかどうか
など、小さなやりとりに人柄が表れます。模試やプレ講習でも、結果より「どういう行動だったか」を先生からフィードバックしてもらい、親子で振り返っておくことが、合格につながる力を育てます。
10月|願書提出と直前対策、心を整える月
10月は本番がすぐそこまで近づく時期。願書の提出も重なり、ご家庭の緊張感も高まりやすい時期です。
この時期に心がけたいことは、
- 体調管理を最優先にする(無理に塾を詰め込まない)
- 1日1回は“ほっとできる時間”を必ず作る(親子でハグ、お茶、絵本)
- 願書や面接内容を、自然に話せるようにしておく(暗記しすぎない)
- 「ダメでもこの子はよく頑張った」と言える準備をしておく
直前になると、「これでよかったのか」「もっとやるべきか」と不安になることが増えてきます。でも、それよりも「安心感」をお子さまに届けてあげることが、直前の最大の対策になることが多いです。
志望校の決め方|夏からの受験は“絞り方”がすべて
校風に合う学校を選ぶことが、最も大きな合格の近道
すでに対策が遅れている夏スタートのご家庭にとって、「合う学校を見つけること」はいちばん大きな勝因です。
- 礼儀やお行儀を重んじる学校
- 自由な発想を評価する学校
- 親子の関係を重視する学校
それぞれ学校ごとに求められる子どもの姿が違います。たとえば、明るく感情表現が豊かなお子さまは、表現系や発話重視の学校に向いているかもしれません。逆に、落ち着いて正確に作業できるお子さまは、お行儀を評価する学校に適性がある可能性があります。
この時期から受験されるご家庭こそ、「合格できそうな学校」ではなく「この子が幸せになれそうな学校」を見極めることで、合格の確率がぐっと上がります。
模試の結果より“振り返り”が大事です
点数よりも「なぜそうなったのか」の確認を
模試を受けたあと、「この点数ではダメだ」と落ち込む必要はありません。むしろ、
- 問題の意味をちゃんと理解していたか
- 最後まで集中して解けていたか
- 手を動かすスピードが遅くなっていなかったか
といった行動の質を見直すことが、次のステップにつながります。模試はあくまで“今の実力”の確認です。模試の結果を叱るのではなく、どうサポートすればいいかを見つける機会として受けとめていただけたらと思います。
夏からの準備でも、まだ間に合う理由
夏からでも間に合う理由は、「子どもの力は想像以上に伸びるから」です。
そして、もう一つ。おうちの方の“まなざし”が変わると、お子さまも変わります。「できなかった」より「今日はここまでできたね」と一緒に喜びながら進めることが、お子さまの安心と自信を育て、結果として合格につながるのです。
焦らず、でもあきらめず、一つひとつ丁寧に。夏からの受験には、夏からの受験にしかない伸び方があります。その可能性を信じて、一緒に歩んでいただけたらと思います。