小学校受験でよく聞く「過去問ロックオン」ってどういうこと?
なんとなく聞いたことあるけど、実はよくわからない?
「過去問ロックオン」という言葉、最近は小学校受験の現場でもよく聞くようになりました。でも、意味がふわっとしていて「何となく過去問をやること?」くらいに思ってしまうこともあるかもしれません。
実はこれは、「受ける学校の出題傾向に絞って、徹底的に過去問を分析し、それを軸に対策していく」という、いわば“志望校特化型”の勉強方法なんです。
いろんな問題集に手を出すのではなく、「この学校に出るタイプの問題、形式、設問の流れ」にしっかりと絞って、その“出やすい型”に子どもを慣れさせる、そういうイメージになります。
どうして過去問ばかりに絞っていいの?他の問題もやらなくていいの?
出る問題には「型」があるからです
小学校受験といっても、出題される問題は本当にさまざまです。でも、たとえば…
- 数の操作がよく出る学校
- お話の記憶が毎年必ず出る学校
- 行動観察が重視される学校
といったように、「この学校はこういうことを見ているよね」という“型”がはっきりしていることが多いです。
そして、同じ学校の過去問を5年分・10年分と見ていくと、その“型”がどんどん明確になってくるんです。
そうすると、「この学校は、こういう力を見たいんだな」という意図が透けて見えてきます。そしてその意図に合わせて、日々の取り組みを変えていくことができます。
いろいろな問題をやらせるよりも、なぜロックオンの方がいいの?
「満点を狙う」のではなく、「合格点を確実に取る」ためです
よく「何でも解けるようにしておきたいから、全体的に対策したいです」という声もあります。それも間違いではありません。
でも実際のところ、小学校受験においては“満点”を取らせる必要はないんです。
たとえば、ある学校での合格者の平均点が「6割程度」だったとします。その学校で満点を取ることにこだわって、広く浅く勉強した子よりも、「出やすい6割分の問題を全部確実に正解する練習をしてきた子」の方が合格に近いことがあります。
これは、私立小の入試が「選抜試験」であることと深く関係しています。
過去問ロックオンで「落ちるケース」と「受かるケース」の違いって?
【落ちるケース】とりあえず過去問を解かせているだけ
よくある失敗例として、「過去問ロックオン=過去問をただ解かせるだけ」と勘違いしてしまっているご家庭があります。
- 年長の夏になってから急に過去問を買ってきて、
- 答え合わせを親がして、
- 「できた/できなかった」を記録して終わり
という形ですと、ただの“練習の一環”で終わってしまい、本当の意味で「ロックオン」にはなっていません。
「どこでつまずいているか」「その学校の設問の順番や形式に慣れているか」「同じ問題が出たときに取りこぼさないか」など、もっと深く丁寧に見ていく必要があります。
【受かるケース】出題のパターンと子どもの相性を冷静に見て対策している
一方で、合格するお子さんの場合は、過去問を使いながら“出題の型”をしっかり分析しています。
たとえば、
- 問題の順番が変わるだけで混乱してしまう → 実際の出題順で繰り返し練習
- 言語問題の聞き取りが弱い → 類似の音声問題を組み合わせてトレーニング
- お話の記憶で最後の一文が抜けてしまう → 最後に出る問いへの注意を引くように
といったように、「出題内容」と「自分の子どもの苦手傾向」をすり合わせながら、ピンポイントで対策をしています。
どのタイミングで「ロックオン」に切り替えるといいの?
遅くても年長の夏までにははじめたいです
過去問ロックオンを意識的に始めるなら、早ければ早いほど良いのですが、少なくとも「年長の夏」には意識を切り替えておく必要があります。
なぜなら、この時期から「仕上げ期」に入っていくからです。
- 春までは基礎力や生活習慣
- 夏以降は“志望校に寄せる練習”
という風に、子どもの状態を“合格に合わせて仕上げていく時期”になるので、ここでロックオンに移れないと、「結局、的が絞れないまま本番を迎える」ことになってしまいます。
家庭でできる「過去問ロックオン」のやり方とは?
いきなり過去問から入るのではなく、準備が大事です
過去問ロックオンを成功させるには、ただ“たくさん解かせる”のではなく、その前に「準備」や「方向性の確認」がとても大切になります。
まずは次のような流れで考えてみてください。
- 志望校の出題傾向を調べる
説明会や塾の情報などを通じて、その学校の特徴(思考力問題が多い、図形が苦手だと不利、行動観察が重いなど)を把握しておきます。 - 過去問を5〜10年分、じっくり親が眺める
最初は子どもに解かせる前に、親が全体像を把握しておくのが理想です。どんな順番で出ているのか、どういう“くせ”があるかを知ることが第一歩です。 - 出やすい問題を整理して、対策を絞る
たとえば「この学校では数の構成が毎年出ている」「聞き取り問題の語尾がひっかけになっている」など、“出るもの”と“出ないもの”を明確にします。
「この学校の過去問ばかりやってて大丈夫?」という不安について
広げるのではなく、深めることが合格への近道になります
どうしても「他の学校の問題も一応やっておいた方が安心かも…」という気持ちが出てしまうかもしれません。でも、特に難関校や個性的な出題をする学校では、「深く対策しているかどうか」が問われます。
つまり、同じ学校の過去問を、5回・10回と繰り返すことにこそ意味があるのです。
たとえばこんな工夫ができます:
- 制限時間を計って本番のように練習する
- 一問ごとに、どこを読み落として間違えたか分析する
- 同じ問題を1週間後にもう一度解かせることで、定着を確認する
そうやって、“わかる”から“できる”へしっかり橋渡しをしてあげることがポイントです。
過去問ロックオンで大事なのは「親の見る目」
答え合わせではなく、子どもの“考え方”を見ることが大切です
過去問をやっていると、「〇だった」「×だった」で一喜一憂しがちですが、本当に大事なのは「なぜ間違えたのか」「どこで引っかかったのか」を一緒に丁寧に見ていくことです。
たとえば、
- 「最後の選択肢を急いで読んでしまった」
- 「図の向きを変える問題で、自分の視点で見てしまった」
- 「設問の“〜しなさい”の指示が読み取れていなかった」
というような、**つまずきの“根っこ”**を一緒に探すような姿勢がとても大切です。
そして、見つけたら怒ったり責めたりするのではなく、
「この問題、どこがちょっとむずかしかった?」
「どうしてそう思ったの?」
「じゃあ、次に同じ問題が出たらどうする?」
といったような問いかけで、考え直す時間をつくってあげるのがおすすめです。
塾まかせではなく「家庭でできること」がとても大きい
塾でできることと、家庭でしかできないことがあります
塾の授業はもちろん大切ですが、「毎日の過ごし方」「気づきの積み上げ」こそが合格につながります。
塾は…
- 過去問の出題傾向や対策方法の分析
- 苦手な分野の補強
- 模擬試験による客観的な実力測定
など、情報と実力チェックの場として活用するのがベースになります。
一方、家庭では…
- 繰り返し練習の習慣づけ
- どこでつまずいたかの丁寧なフィードバック
- 子どもが安心して間違えられる雰囲気づくり
といったように、定着と自信の育成を担う役目があります。
「うちの子は向いてない?」と思ったときの考え方
合格する子も最初はできません。「伸び方」に目を向けて
過去問ロックオンを進めていくと、「同じような問題を何回やっても間違える」「本番までに間に合うのか不安」という思いが出てくることもあるかもしれません。
でも、実際に受かるお子さんの中にも「秋になってようやく形になってきた」というタイプは多くいます。
過去問を繰り返す中で、だんだん“正解する精度”が上がってくることが大切であって、最初からできている必要はありません。
たとえば、
- 1回目はボロボロ
- 2回目は「あ、見たことある」で部分的に正解
- 3回目で「どこに注意すればいいかがわかる」
というような成長曲線を信じて、焦らず見守ることもとても大切です。
うまくいく子とうまくいかない子、何がちがうの?
成功する子は「慣れている」だけじゃなく「自分で気づける」
過去問ロックオンがうまくいっているご家庭には、いくつかの共通点があります。
たとえば、成功しているお子さんは、
- 「この問題、去年も似たのが出たよね」
- 「間違えたところ、今度は気をつけよう」
- 「この学校の問題、○○をよく見てから答えた方がいいよね」
というように、自分で気づいたり、次に活かす視点を持ちはじめます。これは、ただ解かせるだけではなかなか身につかない部分です。
一方で、失敗しやすいパターンはこんな様子です。
- 「やった問題をただこなしているだけ」
- 「同じ間違いを繰り返しても理由を考えない」
- 「正解か不正解かにしか意識が向かない」
こうした状態では、せっかくの過去問ロックオンも“量”だけに終わってしまい、実力にはなりません。
本番直前、何をすればいい?何をやめておけばいい?
直前期は「焦って新しいことをしない」が鉄則です
小学校受験の直前期(9〜10月ごろ)は、つい「もっとできるようにさせなきゃ」「最後にもう一冊問題集やらせようか」と気持ちが焦ってしまいがちです。
でも、この時期に大事なのは、
- 「できる問題を確実に落とさないこと」
- 「本番と同じ状況に慣れておくこと」
- 「親が安定した雰囲気を保つこと」
この3つです。
たとえば、過去問ロックオンの仕上げとしては、
- 過去問を“時間通り”に解く練習
- 本番と同じような服装や姿勢、筆記具
- 「今日は失敗してもいいから、ゆっくりやってごらん」という声かけ
などが、安心感につながります。
むしろ、新しい問題や見たことのない形式のものに触れすぎて不安になることは避けたいところです。
合格した子たちに共通していた「家庭の空気」とは?
結局、子どもがのびのび力を出せたかどうか
最終的に合格したお子さんたちに共通していたのは、「できなかったときの対応」や「失敗したときの雰囲気」が、責めるものではなく、“次に進むための安心の場”だったということでした。
たとえば、
- 「できなかったね。でも見直したら次はできるよ」
- 「この間の問題、今日は落ち着いてできたね」
- 「間違っても、お母さんはがんばりを見てたよ」
という声かけがあると、子どもは「間違えても大丈夫」と思えるようになります。そして、間違いを恐れず、試験本番でも自分の力を出しきれる状態になるのです。
逆に、
- 「なんでまたここ間違えたの?」
- 「どうして前に言ったのにできないの?」
- 「◯◯ちゃんはもっとできてるのに…」
という雰囲気になってしまうと、自信が削られてしまい、受かる力があっても“本番で力を出せない”ということも起きてしまいます。
「過去問ロックオン」は最後まで親子で歩く道のりです
「過去問ロックオン」は、“特別な裏ワザ”ではありません。でも、やり方次第で本当に大きな効果が出る取り組みです。
・何をやるかを絞る
・どこまで仕上がったかを丁寧に見ていく
・子どもが安心して本番に臨めるように支える
この3つが揃ったとき、「過去問ロックオン」は、ただの対策ではなく「合格への地図」になります。
最後の最後まで、お子さんの力を信じて、安心できる家庭の空気を大切に過ごしていただけたらと思います。