小学校受験|お受験戦友ってなに?
一緒にがんばる仲間のことです
小学校受験の準備をしていると、どうしても孤独になってしまう場面が多くあります。親としては、わが子のためにベストを尽くしたいと思いながらも、「他の子はどこまでできているのだろう?」「この塾で本当に合っているのかな?」と不安がつきものです。そんな時、同じ時期に同じように悩みながら歩んでいる人と出会い、気持ちを共有できたら……。それが「お受験戦友(せんゆう)」の存在です。
これは、戦う相手ではなく、”戦い抜く仲間”という意味です。比べる対象ではなく、支え合う存在。お互いの努力を認め合い、励まし合える関係です。
なぜ必要なのか、考えてみました
小学校受験は、短距離走ではなく、長く苦しいマラソンのようなものです。年中から始めれば1年半、年少からなら2年以上、母子で走り続けることになります。この長丁場を、孤独に戦うのはとても大変です。
もちろん夫や親の支えも大切です。でも、やはり「今まさに受験中」という”同じ温度”の気持ちを持つ仲間の存在は特別です。「この模試、点数下がったよね」「最近、願書で行き詰まってて……」そんな何気ない一言を、否定せずにただ受け止めてくれるだけでも、どれほど心が軽くなるでしょうか。
お受験戦友がいることで、こんなに変わります
落ちるケース|戦友がいないとどうなるか
実際に、お受験戦友がいないまま突き進んだご家庭の中には、途中で燃え尽きてしまう例もあります。
たとえば、あるお母さまは、周囲に受験家庭がいなかったため、情報も相談相手もなく、孤独感を深めてしまいました。模試の結果に一喜一憂し、合格ラインに届かないたびに「うちの子はダメかもしれない」と思い詰め、勉強量を一方的に増やしてしまいました。
でも、お子さまは疲れ切ってしまい、夏頃には拒否反応を示すようになってしまったのです。秋には塾も休みがちになり、本番でも本来の力を出しきれずに終わってしまいました。
一人で不安を抱え込むと、冷静な判断が難しくなります。「これでいいのかな?」という迷いが、どんどん不安へと変わってしまいます。
受かるケース|戦友と一緒だと支え合える
逆に、同じ塾で出会ったお母さま同士が、お互いに「お受験戦友」として支え合っていたケースでは、気持ちに余裕を持ちながら走り抜けられたという例もあります。
模試の成績がふるわなかった時も「うちも一緒。切り替えていこうね」とLINEで声をかけ合い、願書で悩んだ時は「書いたら読み合おうよ」と助け合い、直前期には「最後まで笑顔で乗り切ろうね」と励まし合いながら進めていました。
結果として、二人とも第一志望に合格しました。「あの人と一緒だったから、最後までやりきれた」と、涙ながらに振り返ったのが印象的です。
どうすれば出会える?戦友との出会い方
塾や模試でのご縁を大切に
お受験戦友は、意外と近くにいることが多いです。たとえば、同じ塾で毎週顔を合わせているお母さまや、模試の会場でよく見かける方。その中に、同じように不安を抱えている方がきっといらっしゃいます。
「いつもお世話になっています」と声をかけてみたり、「この模試、どうでしたか?」と自然に話しかけてみるだけで、距離が縮まることがあります。決して焦らず、自然な流れの中で少しずつつながっていければ大丈夫です。
お受験戦友に頼りすぎると危ない?気をつけたいこと
仲良しすぎると、逆にプレッシャーになることも
お受験戦友の存在はとても心強いものですが、距離感を間違えてしまうと、思わぬストレスになることもあります。たとえば、成績の話題が多すぎたり、志望校について踏み込みすぎたりすると、だんだん心が重くなってしまうことがあります。
「今度の模試、何点だった?」「○○小、うちも受けるつもりだけど、△△先生にどう言われた?」といったやりとりが繰り返されると、自然と比較が生まれてしまいます。もともとは励まし合っていた関係だったのに、ふとした瞬間に「うちはそこまで届いていないかも」と思ってしまうと、励ましがプレッシャーに変わってしまいます。
受かる人の特徴|適度な距離を保てる
合格されたご家庭に共通していたのは、「戦友関係に頼りきらず、自分の子のペースを大切にしていたこと」です。たとえ仲のよいママ友がいても、「うちはうち、よそはよそ」という軸をしっかり持っていらっしゃいました。
たとえば、戦友のお子さまがとても優秀で、志望校の面接練習も完璧に仕上がっているという話を聞いた時、「じゃあ、うちもそこまでやらなきゃ!」と焦る気持ちは当然出てきます。でも、そこで慌てずに「うちの子は今これをがんばっているから、それを大事にしよう」と切り替えられたご家庭は、落ち着いた雰囲気のまま本番を迎えられていました。
子ども同士にも“お受験戦友”ってあるの?
子どもたちにもある、小さな“仲間意識”
大人同士だけでなく、子どもたちの間にも、自然と“お受験戦友”のような関係ができることがあります。たとえば、同じ塾で一緒に工作や行動観察をがんばっているお友達、面接練習でペアを組む相手など、「この子と一緒ならがんばれる」と思える相手は、お子さまにとっても心の支えになります。
ある男の子は、行動観察が苦手で、いつもおどおどしてしまうタイプでした。でも、ある時から「○○くんと一緒ならできる」と話すようになりました。その子と一緒にいると、安心できるようです。ペアで動く練習では、自信を持って発言できるようになっていきました。
落ちる例|ライバル意識が強すぎると逆効果に
ただ、子どもたちの中にも、無意識に「勝ちたい」「負けたくない」という気持ちが出てくることもあります。競争意識が強すぎると、相手のミスを見つけてしまったり、自分ができなかったときに悔しがりすぎたりしてしまいます。
とあるお子さまは、同じクラスの子が何でもできることに嫉妬するようになり、「○○くんがいるとやる気が出ない」と言い出しました。親御さんは「刺激になっていい」と思っていたそうですが、お子さまの中では「勝たなきゃいけない人」になってしまっていたのです。
子どもにとっての「戦友」は、味方であってほしい
お受験戦友とは、「一緒にがんばる仲間」です。敵ではなく、応援し合う存在であることがとても大切です。だからこそ、子どもたちの関係も、親がそっと見守りながら、どちらかに過剰なプレッシャーがかからないようにしてあげたいですね。
「今日○○ちゃんと一緒に工作したら楽しかった!」そんな会話が出てくるようなら、とてもよい関係が育っているサインです。比較や競争ではなく、「一緒にがんばるって楽しい」という経験を、お子さまの中に残してあげられると、受験を終えたあとも、その子にとっての大きな財産になります。
合格したあと、戦友との関係はどうなるの?
ゴールのあとにくる、ちょっとした変化
小学校受験が終わり、それぞれのご家庭に合否の結果が出たあと、多くのお母さまたちが口にするのが「戦友との距離が少しずつ変わった気がする」という感覚です。
同じ志望校に合格した場合は、安心感や喜びを共有しながら、そのまま“これからの育児仲間”として関係が続いていくことが多いようです。逆に、どちらか一方だけが合格した場合、気を遣いすぎたり、申し訳なさを感じたりして、なんとなく連絡が減ってしまうこともあるのが現実です。
でも、それは決して「終わった関係」ではなく、「少し形が変わっただけ」のこと。たとえ受験校が別々でも、共に悩み、泣いて、笑って走りきった日々は、何より深くつながった証です。
受かった後に続くご縁のかたち
一緒に受かったケース|そのまま“育児の味方”になる
同じ学校に合格したご家庭は、そのまま「お受験戦友」から「子育て戦友」へと変わることが多いです。
・新しい学校生活に一緒に慣れていく
・宿題や学校行事の情報交換ができる
・思春期に入っても相談できる
このように、受験だけでなく、その後の長い子育て人生においても、頼りになる存在として大きな心の支えになります。「あの頃一緒にがんばったよね」と笑い合える関係が、ずっと続いていくのです。
片方が不合格だったケース|丁寧な気遣いが大切に
お互いを大切に思っていても、結果が違った場合には、どうしても「どんなふうに声をかけたらいいんだろう」と悩んでしまいますよね。
ここで一番大切なのは、「焦って関係を続けようとしないこと」です。無理に励ましたり、報告し合ったりするよりも、「そっと時間を置くこと」が思いやりになる場合もあります。
そして、少し時間が経った頃、「あのとき一緒にがんばれてよかった」と連絡を取れるようになれば、それは“本物の戦友関係”だった証になります。
小学校受験で生まれた関係は一生ものになることも
お受験は、子どもだけじゃなく、親も成長させる時間です
この時期に築いた絆は、他のどのママ友関係とも違います。ただの「子どもが同じクラスだから仲良くなる」のではなく、「苦しい時期をともに乗り越えた人」だからこそ、心から信頼できる存在になるのです。
受験が終わっても、「困ったときはあの人に聞いてみよう」「迷ったときはあの人と話したらスッキリしそう」そんなふうに思える関係があることは、親としてもとても心強いことですよね。
あるお母さまは、子どもが小学校に上がったあとも、お受験戦友と毎年初詣に行っているそうです。「今年もがんばろうね」と言葉を交わすその時間は、子育てという大きな山を登るお守りのようなものなのだと話していらっしゃいました。