ハリーってどうやって働き(就職)はじめたの?~みんな知らないその後~

ハリーってどうやって働き(就職)はじめたの?~みんな知らないその後~

ハリーってどうやって働きはじめたの?~みんな知らないその後~

あの大戦のあと、ハリーはどこに向かったのか

ホグワーツの戦いが終わったとき、私たちは「物語の終わり」を感じました。でも、本当の意味での「ハリーの人生」は、あの戦いのあとにやっと始まったんですよね。あれだけ多くの犠牲と、心に深い傷を負って、彼がどう生きていくのかは、どこか曖昧にされていました。小説の本編でも、映画でも、明確に「就職活動をした描写」はありません。でも、彼はちゃんと「魔法界での職業」に就いているんです。

じゃあ、どうやって?コネ?実力?推薦?それとも、ハリーだから?

ここが実はとても面白い部分なんです。

小説で描かれなかった「その後」

『死の秘宝』のラストシーン、つまり19年後のエピローグで、ハリーはキングズ・クロス駅で子どもたちを見送っています。あのシーンの彼は、落ち着いた表情で、家族との時間を大切にしている“普通の父親”に見えました。でも、その背景には、「魔法界の治安を守るために働き続けてきた日々」があるんです。

作者J.K.ローリングは、インタビューなどで明かしています。ハリーは戦いのあと、魔法省の「闇祓い(あuror)」として働く道を選んだと。闇祓いっていうのは、魔法界の警察みたいな存在で、ダーク・マジックを取り締まる専門職。まさに“闇と戦う仕事”を、また自分から選んだわけです。彼の人生、ほんとに休まる暇がない…。

でもここで大事なのは、ハリーが「就職試験を受けて合格した」わけではない、という点なんです。

試験なしで就職できた理由

普通、闇祓いになりたいなら、厳しい筆記試験や面接、さらに魔法省が指定するN.E.W.T.(いわゆる高校卒業試験みたいなもの)で高得点をとらないといけないはずなんです。しかも、かなりの訓練も必要。だけど、ハリーはホグワーツ最終学年の途中で学校を抜けて、試験も受けてない。じゃあ、なんでそんなハードル高い職業にすんなり就けたのか。

それは、戦争での「実績」があまりにも特別だったからです。

ハリーは、実際にヴォルデモートを倒した“選ばれし子”であり、その過程で魔法界最大の脅威と戦い、命を何度もかけた存在。その働きが、魔法省にとっては“試験より上”の証明だったわけです。彼のような人間なら、実地で通用するどころか、教本に載るレベル。だから、例外的に「特別枠」で迎え入れられたんですね。

そしてこの特例処置は、ロンにも適用されています。ハリーとロンは、戦後すぐにキングズリー・シャックルボルト新大臣のもとで、魔法省の闇祓い部に加わったのです。言ってみれば、「実戦経験を買われてのスカウト」みたいな形。

「呪いの子」で描かれたハリーの今

舞台劇『ハリー・ポッターと呪いの子』では、ハリーのその後の職業がはっきりと描かれています。彼は「魔法法執行部部長(Head of Magical Law Enforcement)」という、かなり高いポジションに就いています。つまり、闇祓いとして働き続けただけでなく、最終的にはその部署のトップになったということ。もう現場で戦うというよりは、組織をまとめる立場。

それでも、彼が単なる役人になったわけではなく、心の中ではいつまでも「みんなを守りたい」っていう気持ちを持ち続けていたのが伝わってくるんです。作中でも、自分の過去のトラウマと向き合いながら、息子アルバスとどう向き合えばいいか悩んでいました。権力者じゃなくて、傷ついた一人の父親としての姿がそこにはあったんです。

そして、このキャリアの道も、すべては「戦いの中で培った信頼」と「自分の意志」で切り拓いたものでした。


ハリーの仕事って、幸せだったの?つらかったの?

闇祓いになったハリーの“その後の人生”

戦いのあと、ハリーは闇祓いになりました。ダーク・マジックを使う魔法使いを取り締まる仕事で、命の危険もあるけれど、「誰かを守れる」という意味では、彼にとって一番“しっくりくる道”だったと思います。でも、それが“幸せな選択”だったかどうかは、ちょっと複雑なんです。

『呪いの子』を読んでいると、ハリーは大人になってからもずっと「過去」に苦しんでいます。ヴォルデモートとの戦いの記憶。失った人たち。選ばれてしまったことの重さ。そういう心の傷は、闇祓いの仕事で少しは癒えるどころか、むしろ繰り返し「思い出す」ことになってしまったようにも見えました。

仕事を通して、彼はまた別の“戦場”に立ち続けることになった。戦いの相手が変わっただけで、彼自身はずっと「誰かの盾」になっていた。ハリーって、結局、心から休んだ時間があまりなかった人なんだと思います。

家族とのバランスがうまくいかなかった理由

『呪いの子』では、ハリーは「子育て」でつまずきます。とくに、次男アルバスとの関係はうまくいっていませんでした。アルバスは父のような“英雄”にはなれない自分に苦しんでいて、ハリーはそれにどう接すればいいのか分からない。すれ違いがどんどん大きくなっていきます。

そして、ハリーは仕事の中でも「父親」としての自分を見失ってしまうんです。家族よりも仕事が優先になってしまったことも、アルバスとの関係を悪化させた一因でした。「誰かを守ること」は、家族の安心や温かさと、必ずしも両立しない。ハリーは、大人になってからその矛盾に気づくことになります。

「正しさ」を貫くことが、必ずしも「家族にとっての幸せ」にはつながらない。これは彼にとって、とても苦しい真実だったと思います。

ハリーが得たもの、それでも守りたかったもの

それでもハリーは、「家族を守りたい」という気持ちを捨てませんでした。自分が持てなかった家庭、自分が知らなかった父のぬくもり。それを自分の子どもたちには味わってほしかった。だからこそ、何度失敗しても、彼は向き合おうとし続けたんです。

仕事を通して、彼は「責任」と「犠牲」の意味を学びました。若いころの彼は、ただ勇気をもって前に進んでいただけ。でも大人になってからは、その一歩が「誰かを傷つけること」もあるということを知ってしまった。

でもそれでも、自分の選んだ道を後悔しない。それがハリーの一番の強さでした。

闇祓いという仕事を通して、彼は“強い人”ではなく“優しい人”になっていったのかもしれません。人を裁く立場にありながら、できる限り“理解しよう”と努力していた。『呪いの子』の中で、敵に対しても冷たく切り捨てるようなことはしないんです。

作者が伝えたかったことって?

J.K.ローリングがこのキャリアを描いたのは、たぶん「戦いのあとの人生も、生きていかなきゃいけないんだよ」ということを伝えたかったからだと思います。戦争に勝ったからって、それで幸せになれるわけじゃない。むしろそのあとに、本当の意味での「生きる力」が必要になる。

“ハリー・ポッター”という名前は、大人になってからも魔法界にとっては特別でした。だからこそ、その名前に見合う生き方をし続けなきゃいけないというプレッシャーも、ずっと彼を苦しめたと思います。でも、彼は逃げなかったし、誰のせいにもせずに、自分の人生として受け止めていた。

その姿は、「どんなに苦しくても、自分で選んだ道を歩むことの尊さ」を、私たちに静かに教えてくれている気がします。