指折り計算とは? 簡単なおさらい
- 指折り計算: 足し算(引き算)を行う際に、1つずつ指を折って数を数える方法。たとえば「3 + 2」をする際、指を3本立てて、その後2本の指を順に折り数えて5に到達するなど。
- 小さな子にとって指は“体から離れない計算用具のようなもので、最も身近な“数える道具といえます。特に算数を始めたばかりの段階では自然であり全く悪いことでもありません
指折り計算のメリット
まずは、そもそも指折り計算が不要”というわけではなく初期段階では子どもに理解しやすいメリットもある点を確認します
体感的に“数”を把握できる
- 指で数えることで、「数とは何か」「1つ増えると指が1本増える」という対応関係を実感しやすい。
- 幼児期から1年生くらいまで、具体物(指や積み木)で数えるのは自然なステップ。
子どもにとって安心・理解しやすい方法
- 小さな子は目の前に何もないと抽象的な数をイメージしにくい。指折りなら、数字を忘れてもまた折って数えられる。
- 最初は「5より大きな数が指で足りるかな?」という課題にも直面しにくい(10本の指があるため、10くらいまでは指折りできる)。
失敗が少なく、正確
- まだ概念的な計算が身についていない段階でも、指を1本ずつ折って数えれば間違いにくい。
- とりあえず答えを当てるには非常に便利で、子どもが「できた!」と喜ぶ機会を作りやすい。
指折り計算が「良くない」と言われる理由・デメリット
一方で、ある程度算数の学習が進むと指折り計算を続けることの弊害や伸び悩みが指摘される場面があります。その理由を多角的にまとめます
計算速度が遅くなる、効率が悪い
指で数えるたびに時間がかかる
- 指を1本ずつ折る動作には時間が必要で、問題数が増えるほど処理が遅くなる。
- 制限時間のあるテストでは致命的となり、答えは合っていても時間オーバーで解ききれないリスクが高い。
桁の大きな数になると対応しきれない
10以内の足し算ならまだしも、2桁以上の計算では指を超える数を扱うのが難しく、誤差や数え忘れが起きやすい。
“数の概念”が育ちにくい場合がある
指を使い続けると、“数をイメージ”する力が育たない
- 本来は少しずつ頭の中で「これは5だから3増やすと8だね」とイメージして計算するようになる。
- ずっと指に頼っていると、暗算や繰り上がり繰り下がりなど、抽象的に数を操作する力が身につかないまま。
ステップアップが難しくなる
- 算数が進むと、2桁以上の筆算や応用問題が登場。指折りで足し算・引き算する子は、繰り上げ/繰り下げ、数の分解・合成に苦労しやすい。
- 早めに“指折り”から“頭で計算(イメージ計算)”へ移行しないと、その後の学習に支障が出る。
クセになり、計算機能の成長が阻害される
習慣化で“いつまでも頼ってしまう”
指折りに慣れてしまうと、小3や小4になっても指を使い続ける子がいる。本人が苦痛を感じないため気づきにくいが、クラスメイトより計算が遅れる可能性大。
自信不足の表れ
指折りでしか計算できない子は、心の中で「自分は計算が苦手だから、指を使わないと不安」と思っている場合も。そうすると暗算や新しい計算方法を覚えるチャンスを逃しやすい。
どう移行すればいい?――指折り計算から次のステップへ
指折り計算自体は学習初期には一定の役割を果たします。しかし、いつまでもそれだけだと学力・スピード面で弊害が大きい。以下では、どう移行するかのポイントを解説します
“数のイメージ”や“数の合成分解”を教える
5や10を基準に数を捉える
例:2 + 3なら「2と3で5だね」。5 + 4なら「5に4を足すと9」という感覚を練習。指じゃなく、イメージでまとめる練習をする
絵カードやブロックなど具体物を使って段階的に頭の中へ移す
はじめは具体物(積み木など)で数の合成を体験。その後はカードや図で表す。最後に頭の中で再現する練習
簡単な暗算・九九(かけ算)などを習得
足し算引き算の基本事例を“覚える”
- 5 + 2 = 7、6 + 3 = 9など、10以内の加減算は暗記を進めると指折りの頻度が減る。
- 「7 + 2なら9だね」と直感的に思い浮かぶレベルまで反復すれば速度がアップ。
九九や繰り上がりの計算に慣れてくると指不要
たとえば2桁×1桁や、繰り上がりの足し算は頭の中でさっと計算するよう意識づけすれば指折り依存が減る
“時間を意識した”短い計算練習
タイマーを使ったスピード練習
- 指折りで1問解くのに何秒かかるか体感させ、指を使わずにやるともっと速いよという意識を持たせる。
- はじめはミスがあっても構わないので、とにかく指を離す練習をさせ、慣れてきたら正確性も求める。
暗算ゲームやアプリ
スマホやタブレットの簡単な計算ゲームで指を使っていると間に合わないくらいのスピード問題に挑戦する
遊び感覚で“指を使わない計算”に移行しやすくなる
親のサポート・声かけ
叱らずに“次のステップ”を提示
「指を使うのはダメ」と頭ごなしに否定するのでなく、「もうすぐ計算スピードを上げる段階だね、指を使わずにできるか試してみよう」とポジティブに誘う。
過度なプレッシャーは逆効果
- 子どもがまだ指折りを離れられない時期に「そんなやり方じゃダメ!」と厳しく言うと、勉強自体を嫌がるリスク。
- 徐々に“暗算”や“イメージ計算”の練習を積み、成功体験を増やす方がスムーズに移行できる。
多角的視点:指折り計算に対するさまざまな見方
指折り計算は悪いことじゃない派
幼少期の具体物計算を重視する教育論
- モンテッソーリ教育や各種幼児教育では「指やブロックなど具体物で数を体感するのは必然的なステップ」と強調される。
- 指折りは“身体を使って数を把握”する大事な時期の一方法であり、その後自然に卒業できる、とも言われる。
子どもの安心材料として有用
指折りなら確実に間違えないから自信をもてる」という子もいる。中途半端に暗算でミスばかりよりは、最初は指折りで正確にやったほうが学習への抵抗感を下げる。
やはり指折り計算に固執すると不利派
- 試験や実生活でスピードが求められる
- 学年が上がるほど問題の量も多く、指を1本ずつ折るのでは到底時間が足りない場面が増える。
- 数の概念が“10”以上で苦戦
- 10以上の数になると指折りが一度に対応できなくなり、途中で混乱が生じやすい。
- 結局、指折り→複数回に分けて数える→ミスが増える→時間がかかる という悪循環になりやすい。
まとめ――“指折り計算”への最適なスタンス
指折り計算は算数初心者(幼稚園・低学年)にとって有用な入り口であり、悪い”と一概に否定するものではありません。しかし、ある段階を過ぎても指折りに頼り続けると、次のような弊害が顕著になります
- 計算スピード不足:特に多い問題量をこなす試験やテストでは間に合わない。
- 抽象的な数の把握力・暗算力が育ちにくい:中学年~高学年での高度な計算や概念理解に支障が出る。
親や教師ができること
- 低年齢期はOK:最初は指折り計算で構わないが、小1後半~小2くらいから少しずつ暗算やイメージ計算に移行するよう促す。
- 数の合成・分解や、5や10を単位にした計算法を教え、指を使わなくてもすばやく計算できるトレーニングをする。
- 子どもの発達を見極め、過度な叱責は避ける:「もう指なしでやってみようか?」と前向きに挑戦させる雰囲気を作る。失敗しても根気強くフォローする。
- 時間を意識した演習(タイマーやドリルなど)で「指なしでも十分に解ける・速く解ける」成功体験を積ませる。
- もし小3や小4になっても指折りがやめられない場合は、学習障害や計算力の根本的なつまずきがないか確認する。専門家や学校の先生と連携して対処する。
最終的には指折り計算が完全に“悪”というわけではなく、学習初期の一時的なサポートとして役立つ面はあります。ただし、そのまま継続してしまうと、中学年以降のスピード要求や複雑な計算に対応できなくなるため、ある程度の段階で暗算や筆算等の効率的な計算手段へ移行する必要があります。その“移行タイミング”を親や教師がしっかり見極め、子どもをサポートすることが「時間をかけずに正確に計算できる」スキルを養うカギと言えるでしょう

