親の態度が子どもの不登校に影響する理由
「親の言動」が子どもを不安にさせることがある
幼稚園や小学校に、強くクレームを入れたり、先生や他の保護者のことを陰で悪く言ったりする親。こうした態度をとる大人のそばにいる子どもたちは、日々の生活の中で知らないうちに「心の負担」を背負っています。
親が教師や学校に対して強く不満をぶつけると、子どもはこう思います。
- 「学校ってそんなにひどい場所なんだ」
- 「うちの親は、学校を信用してないんだ」
- 「もし私が学校で何かされたら、親がまた怒鳴り込むかも…」
こうした気持ちは、子どもの心に「学校=安心できない場所」というイメージを植えつけてしまいます。結果、子どもは学校で少しでも嫌なことがあると「無理して行く必要なんてない」と思いやすくなります。
「先生=敵」という思い込みができてしまう
親が先生のことを悪く言っていると、子どももその先生を信じられなくなります。「担任は冷たい」「あの先生は贔屓する」などの陰口を家庭内で聞いて育つと、子どもは先生に素直に話しかけることすら難しくなります。
特に低学年の子どもは、まだ先生のことを信じて甘えたい時期。でも、親が悪く言っている相手には「甘えたらダメなんだ」「きっと裏切られる」と感じてしまい、心を閉ざしてしまいます。
その結果、教室の中で困っても先生に頼れず、自分ひとりで抱え込むようになります。こんな孤独な環境が続けば、学校がどんどん「つらい場所」になってしまうのは当然です。
親の不満が子どもの「逃げ道」になってしまう
「学校に行きたくない」と言えば、親が守ってくれる
親が常に学校の粗探しをしていると、子どもにとっては「親は味方」という感覚が強くなります。もちろん、それ自体は悪いことではありません。でも、「親は学校が嫌いだから、自分も行かなくていいんだ」と思ってしまったら――そこから不登校につながってしまうこともあります。
たとえば、こんなふうに考える子もいます。
- 「行きたくないって言えば、ママが学校に文句を言ってくれる」
- 「あの先生はママも嫌いだから、私が行かないって言えばママも怒らない」
つまり、子どもにとって「不登校=正当な選択」になってしまうんです。
本来なら、子どもが学校で悩んでいるときにこそ、親は冷静にサポートするべき立場。でも、親自身が感情的に学校を嫌ってしまっていると、子どもの逃げ道として「不登校」を後押ししてしまう危険があります。
「話し合いの文化」がない家庭では、学校とも向き合えない
何かトラブルが起きたときに、冷静に相手の話を聞いたり、すこし歩み寄ったりする力はとても大事です。でも、いつも「文句を言えばいい」「相手が悪い」と考えている親のもとで育つと、子どももそのままの価値観を持ちやすくなります。
学校での人間関係でも、
- 「あの子が悪い!」
- 「先生がちゃんと見てくれなかった!」
- 「私は何も悪くない!」
――こういうふうに、自分の中だけで完結してしまい、人と向き合うことを避けてしまうようになります。
この「向き合わない癖」がついてしまうと、たとえ学校で少し頑張れば解決できる悩みも、「無理」「もう行きたくない」となってしまいやすくなります。親の態度が、知らないうちに子どもの「問題と向き合う力」を削いでしまっているのです。
クレーム体質の裏にある「親の不安」と「過干渉」
過保護すぎる親の不安が、クレームという形で表れる
実は、学校にすぐ文句を言う親ほど「心配性」で「不安が強い」傾向があります。自分の子が少しでも傷ついたり、嫌な思いをしたりすることが許せないのです。
その結果、先生に直接聞いたり様子を見守ったりする前に、先に怒ってしまう。「うちの子が泣いた=学校が悪い」と決めつけてしまうんですね。
でも、子どもの世界には、ほんの小さな衝突や失敗もたくさんあります。それを全部排除しようとすると、子どもは「失敗できない」「トラブルは全部他人が悪い」と思うようになってしまいます。
そしてそんな子ほど、壁にぶつかったときに「逃げる」しか選べなくなる。つまり、不登校につながってしまうのです。
「過干渉」な親ほど、子どもの自主性を奪っている
子どもは本来、自分で考えて、自分で選ぶことで成長していきます。でも、学校のことにまで親があれこれ口を出していると、子どもは「自分で考える力」を育てることができません。
- 先生に何を言われたのか
- 自分はどう思ったのか
- 次にどうしたいのか
こうした「心の中の対話」がないまま、「とにかく親が怒るから学校には行かない」という選択をするようになります。自分の意志ではなく、親の感情で動いてしまうんですね。
本当に必要なのは「共感」と「冷静な対話」
子どもの声を聞く。でも、学校の話もちゃんと聞く
子どもが「行きたくない」と言ったとき、それをすぐに学校のせいにしてしまうのではなく、まずは子どもの話をよく聞くこと。そして同時に、先生や周囲の大人の意見も冷静に聞く姿勢が大切です。
たとえ何か問題があったとしても、「じゃあ、どうすればよくなるかな?」と一緒に考える姿勢が、子どもにとって安心であり、支えになります。
子どもは、親が感情的になって先生を責めるより、少し落ち着いて「一緒に考えてくれる」ことを望んでいます。
親の不満が子どもの心に影響する
- 親が学校に強く不満を言うと、子どもは学校を「安心できない場所」と感じやすくなる
- 陰口やクレームは、子どもの「信頼関係」を壊す
- 「逃げ道としての不登校」を選びやすくなる
- 問題に向き合う力が育たず、社会に出ても苦労する可能性がある
「私は悪くない」と思う親が多い時代の現実
どうして「自分は悪くない」と思うのか?
今の世の中には、「私は悪くない」「悪いのは学校・先生・他の親・子ども」と思い込んでしまっている親がたくさんいます。それには、いくつかの理由があります。
まず、現代の子育てはとても孤独です。昔のように近所づきあいが濃かった時代と違って、いまは「母親が一人で育児を抱えている」ケースが本当に多いんです。頼れる人もいない。褒めてくれる人もいない。間違いをそっと指摘してくれる存在もいない。そんな環境の中で、親たちはこう思うようになります。
- 「私はちゃんとやってる」
- 「もし失敗があるとしたら、それは外側のせい」
- 「学校がちゃんと見てくれていたら、こうはならなかった」
本当は、みんなが必死で頑張ってるだけ。でも心が疲れすぎると、「悪いのは自分ではない」と思いたくなってしまうんです。それは、心を守るための“無意識の防御”でもあります。
親たちが「悪くない」と信じたくなる理由
間違いを認めることが「責められること」だと思っている
多くの親が、「自分にも少しは原因があるかも」と思いながらも、それを認めたがらないのはなぜか?それは、「認めたら責められる」と感じているからです。
たとえば子どもが学校でトラブルを起こしたときに、「うちの子にも悪いところがあったと思います」と言えば、「やっぱり親が悪いのね」と見られる気がする。そう思って、必死に自分を守ってしまうんです。
でも、間違いを認めることと、自分を否定することは違います。本当は、「失敗を認める強さ」こそが、子どもにとって一番大切な手本なのに、それが怖くてできない。そんな親がとても多いのが現実です。
「完璧な親」じゃなきゃいけないと思い込んでいる
SNSの影響も大きいです。今の親たちは、毎日スマホの中で「理想の子育て」や「完璧なママ像」を目にしています。
- ご飯は栄養バランスばっちり
- 部屋はいつも片付いている
- 子どもにはいつも笑顔で接している
- 習い事も計画的に
- 先生とも丁寧なやりとり
こんなふうに「正しい親」のイメージが強く植えつけられていくと、少しでもうまくいかないと「私はダメな親かも」と思ってしまう。その不安から逃げるために、「私は悪くない!」と強く思い込むようになってしまうんです。
「悪くない」が子どもに与える影響
子どもが責任を取れない人になる
親が何でも「学校のせい」「先生のせい」「友だちのせい」にしていると、子どももそうなってしまいます。
- 失敗したら他人のせいにする
- 自分の行動を振り返らない
- 注意されるとすぐに怒る
- 相手のせいにして、成長を止めてしまう
子どもは、親の言葉だけでなく、「親の態度」や「考え方」をまねして育っていきます。だからこそ、親が自分の非を一切認めないままだと、子どももまた「謝れない子」になってしまいます。
そしてそういう子ほど、友だちや先生との関係がうまくいかなくなって、孤立していくことが多いです。
なぜ、社会は親を追い詰めるのか
「親だけが責任を持たなきゃいけない」空気がある
現代の育児には、見えないプレッシャーがあります。「子どもの成績が悪いのは親のせい」「生活態度が乱れているのも家庭の責任」。どんなことも、まるで親だけの責任にされてしまう空気があるんです。
そうなると、親は常に「責められないように」先回りして考え続けます。
- 少しでも文句を言われないように
- 失敗を先に誰かのせいにしておく
- 自分が責任を取らないように構えておく
こうして、「私は悪くない」が口ぐせになっていくのです。それは親がズルいからではなく、責任を押しつけられすぎて、苦しくなってしまっているから。
本当に大事なのは「完璧」より「素直さ」
子どもは、親の“正しさ”より“正直さ”を見ている
子どもにとって、親が間違うことは何の問題でもありません。それよりも、「自分の非を認める姿勢」を見せてくれる大人こそが、子どもの心に残ります。
- 「ごめん、ママも言いすぎたね」
- 「ちょっと怒りすぎちゃった。ごめんね」
- 「あなたの話、もう一回ちゃんと聞かせて」
そんな姿を見て育つ子は、「人は間違えてもいいんだ」と学び、「自分も素直でいればいい」と思えるようになります。
逆に、どんなに立派なことを言っていても、親がいつも自分を正当化してばかりいると、子どもは「正直に生きると損をする」と感じてしまうのです。
責めるより、認めることから始めよう
- 「私は悪くない」と思う親の多くは、実はとても疲れている
- 間違いを認めることは、敗北ではなく“信頼の第一歩”
- 子どもは親の“あり方”をまねして育つ
- 社会全体が、親を孤立させすぎている
- 一番大事なのは、完璧であることよりも“正直であること”

