毒婦ってどんな意味のことば?
人をだましてひどいことする女の人のことです
毒婦という言葉は、昔からあることばで、人をだましたり、だれかを悪い方に引きずりこんだりしてしまう女の人のことをさします。特に、男の人を色気でゆらして、うまくだまして、自分の思うように動かしてしまうような人が言われることが多かったです。
とても悪いことをした女の人、たとえば人をころしてしまったり、大きなうそをついて人をこまらせたり、そういう人が「毒婦」とよばれることがありました。
毒婦ってどうしてそう言うの?
体やことばが毒みたいって思われたから
毒婦という言葉のはじまりは、とても昔の中国のことばにあるとされます。そこから日本に入ってきて、「毒みたいに人をおとし入れる女の人」という意味でつかわれるようになりました。
「毒をもった女の人」というイメージが強くて、見た目はきれいでも心が悪い、近づくとひどい目にあう、とおそれられていたんですね。
昔、毒婦って言われた人がいたの?
ほんとうにいた事件の女の人が言われました
たとえば明治時代に「高橋お伝(おでん)」という女の人がいて、恋人をころしてしまったとして死刑になりました。この人のことを新聞が「毒婦」とよんで、全国の人がその名前を知ることになりました。
また、昭和のはじめごろには「阿部定(あべさだ)」という女の人が、愛人をころして体の一部を持ち歩いたという事件があって、とてもおおきく取り上げられました。この人も「毒婦」とよばれて、人々の中にこわいイメージがのこっています。
映画やドラマでも毒婦って出るの?
色っぽくてあやしい女の人のことです
毒婦はただこわいだけじゃなくて、映画やドラマの中では「男の人をゆらすような色っぽさ」がある女の人として出てくることも多いです。見た目はうつくしくて、声もやさしくて、でも心の中ではなにかたくらんでいるような、そんなキャラです。
「愛の流刑地」や「黒革の手帖」などの作品には、そういう毒婦っぽいキャラが出てきて、男の人をあやつったり、社会の中で力を手に入れたりします。
ネットで毒婦ってどう使われてる?
けっこうバカにする言い方で使われます
ネットでは毒婦って言葉、ちょっとわらいながら人をバカにする感じで使われてることが多いです。「不倫した女優が毒婦だ」とか、「財産目当てで結婚したんじゃない?毒婦かな」なんていう書き方がSNSなどで見られます。
でも中には、自分でわざと「毒婦キャラやってます」っていうふうに、じぶんをそういうふうに見せる人もいます。イラストとかゲームのキャラでも、「毒婦属性」として楽しまれることもあります。
毒婦って今の時代に使っていいの?
ちょっと気をつけた方がいい言葉です
むかしは新聞でもテレビでもよく使われた毒婦という言葉ですが、今はちょっと使い方に気をつけないといけません。なぜかというと、女の人ばかりがこういうふうに悪く言われて、男の人には同じような言葉があまりないからです。
だから、「女だから悪い」って決めつける言い方に聞こえてしまうこともあって、今はまじめな新聞やニュースではあまり使われなくなっています。
毒婦ってどんな言葉とちがうの?
ほかの言葉とくらべてもっと強い言い方です
たとえば「悪女」は、ちょっとわるいことをする女の人全体のことを言う言葉です。でも毒婦は、もっとひどくて、だれかの人生をこわしたり、ころしてしまうようなレベルまでいってしまう人をさす感じがあります。
「魔性の女」は、男の人を夢中にさせてしまう女の人のことです。でもその人が悪いかどうかは、ちょっとちがいますね。毒婦は、心の中に悪意があって、それで人をこわしてしまうような感じが強いんです。
創作やゲームで毒婦キャラってあるの?
わざとこわい女の人を作ることもあります
創作やゲームでは「毒婦っぽいキャラ」っていうのが人気だったりします。たとえばきれいな見た目で男の人をあやつって、最後には裏切ったり、こっそり計画していたことを明かしたり、そういうキャラを楽しむジャンルもあります。
タグで「毒婦ルート」とか「毒婦ヒロイン」なんて書かれることもありますし、ファンがそういうキャラのセリフをまねしたり、イラストを描いたりもしています。
ネットでは毒婦ってどう言われてるの?
事件の女の人をすぐに毒婦って言っちゃう人が多いです
ネットの中では、ある事件で女の人が関わっていたら、まだくわしいことがわからないうちから「この人は毒婦だ」って決めつけるような書きこみがされることがあります。
たとえば、有名な男の人と付き合っていたり、お金にまつわるトラブルがあると、「これは金目当ての毒婦かも」みたいに言われたりします。でも、それがほんとうかどうかはまだわかっていないことも多いです。
そういう早とちりが、よけいに人をきずつけたり、まちがったイメージを広げてしまうことにもつながるので、気をつけて見たほうがいい場面もあります。
毒婦ってSNSでネタにもされてるの?
おもしろがって毒婦ぶってる人もいます
ネットでは、あえて「わたし毒婦キャラでいくわ」っていうふうに、自分から毒婦っぽくふるまう人もいます。
たとえば、イラストで美人だけど冷たそうな表情のキャラに「毒婦参上」って書いたり、ポエムっぽい言葉で「男は使い捨て」なんてつぶやいたり。これって本気で人をだましたいとかじゃなくて、「そういうキャラをやって楽しんでる」っていう感じなんです。
タグで「毒婦になりたい」とか「毒婦気取り」なんて使われることもあり、ネタや創作としてわざとやってる、というノリが多い印象です。
創作の中では毒婦はどう使われてるの?
物語の中でしか出せない役どころになってます
最近のゲームやアニメ、マンガでは、毒婦っぽいキャラが「わざと悪役として登場する」ことがよくあります。とくに恋愛ものやミステリーで、「うわ、この人が黒幕だったのか」っていう展開で出てくることが多いです。
たとえば、表向きはやさしいけど裏で全部操ってた女の人とか、男の人を自分のためだけに動かして、いらなくなったら切りすてるキャラ。そういうのが好きな人にとっては、「毒婦キャラ」がいないと物語がしまらない、って思うくらい大事なポジションでもあります。
毒婦って言葉にイヤな気持ちになる人もいます
女性だけが悪いように言われるって声もあります
毒婦っていう言葉、今の時代ではちょっと問題があるって言われることもあります。というのも、同じような悪いことをしても、男の人には「毒夫」みたいな言葉はあまり使われないのに、女の人だけが「毒婦」って言われて悪く言われるからです。
「男をだました女」っていう形でだけ取り上げられると、本当の理由や事情が見えなくなってしまって、世の中の見方がかたよってしまうおそれもあります。
だから最近では、ちゃんとした新聞やニュースでは「毒婦」という言い方をさけて、事実にそった言葉を使うようにすることがふえてきています。
ことばとしての毒婦はどう扱えばいいの?
ちょっと遊びたいときだけにした方がいいかもしれません
毒婦ということばは、昔からある表現だけど、今はちょっと古い感じもしますし、言われた人がイヤな気持ちになることもあります。
もし、ネタとして楽しむなら、じぶんの創作キャラの中だけにしたり、「あくまでフィクションです」ってわかるようにしておくのが安心です。リアルな人に対してつかうと、トラブルになるかもしれません。
ただ、「色っぽくてこわい女の人」っていうキャラや物語は今でも人気があるので、じょうずに楽しめば、毒婦の持つ世界観はこれからもつづいていくのかもしれません。
昔の話や本に出てくる毒婦ってどんな人?
男の人をだましてこわいことをする女の人として描かれてます
昔の文学や物語の中での毒婦は、ただの悪人ではなく、どこかに「うつくしさ」や「ふかいわけ」があることも多かったです。表だけ見るとこわい人でも、その人なりの考えや苦しみがあって、そうなってしまった…というように描かれることがよくあります。
たとえば、日本の江戸時代の読本や講談では、「女ながらに男に負けない知恵と力をもって悪をはたらく」といった毒婦が人気の登場人物でした。その悪が「かっこよさ」や「哀しさ」をともなっていることで、読者はひきこまれていったのです。
映画やドラマに出てくる毒婦キャラっているの?
おだやかそうに見えて、じつはすごくこわい女の人がよく出てきます
映画やテレビの中で、毒婦とよばれるような女性が出てくることはとても多いです。わかりやすい悪役ではなくて、「さいしょはいい人に見えるけど、さいごにはぜんぶ裏であやつってた」といったタイプの人がよく描かれます。
たとえば:
- 日本映画では、「黒革の手帖」のように、借金をかかえて働く中で男の人をうまく使い、自分の力でのし上がっていく女性。
- 洋画では、「ゴーン・ガール」のように、失踪した妻が実は夫をおとし入れる計画をたてていたという話。このキャラはとくに「現代の毒婦」として強い印象をあたえました。
こうしたキャラは、ただわるいというより、「なぜそうなったか」もていねいに描かれることが多く、見ている人にいろんな考えをうながします。
ゲームやマンガにいる毒婦ってどんな感じ?
きれいであたまがよくて、でもちょっとあぶないキャラが多いです
ゲームやマンガにも、毒婦っぽいキャラがたくさん出てきます。たいていは、話のなかで男の人やまわりの人をまどわせて、自分の思うように動かそうとします。でも、その人なりの過去やトラウマがあることも多くて、「ただの悪者」では終わりません。
たとえば:
- 「ファイアーエムブレム」シリーズのなかに出てくる、にこやかに話しながら裏では冷たく計算している女性キャラ。
- 「ジョジョの奇妙な冒険」に出てくる女のスタンド使いの中にも、そうした毒婦的なふんいきをもった人物がいます。
- オリジナル創作では、赤いくちびると黒いドレスがトレードマーク、というような「見た目からして毒婦」をあえて描く人も増えています。
海外の話に出てくる毒婦って?
男をまどわす女性は昔からお話にたくさんいます
外国のお話や文学にも、毒婦とよばれるような女性キャラはたくさん出てきます。
たとえば:
- ギリシャ神話の「メーデイア(メディア)」:恋人のために兄をころしたり、うらぎられたあとに子どもまで手にかける。昔からある毒婦のイメージにぴったりです。
- オペラ「カルメン」:自由でつよく生きる女の人が、男の人の気もちを大きくゆらしていく。さいごにはこわい結末になりますが、その生き方がかがやいて見える人も多いです。
- 映画「ベーシック・インスティンクト」:きれいで知的な作家が男の刑事をまどわせ、事件をうごかしていく話。このキャラも、まさに「現代的な毒婦」です。
どうして毒婦キャラは人気があるの?
自分ではできないことをしてくれるからかもしれません
毒婦キャラは、見た目がきれいで話し方もやさしいけれど、心の中ではとてもつよい意志を持っていて、まわりを動かします。そんな人を見て「こわいな」と思いながらも、「あんなふうに強く生きてみたい」と感じる人もいます。
自分では人をだましたり、おおごとをたくらんだりはできないけど、物語の中でそういうことをするキャラを見ることで、少しスッとするような気持ちになることがあるのかもしれません。
だから、いつの時代でも「毒婦っぽいキャラ」は、人をひきつける存在として描かれてきたのではないかと思います。
毒婦って今もふつうに使っていいの?
人をさげすむ意味があるから、あつかいに注意がいります
毒婦という言葉は、見た目だけじゃなく「人の心をあやつる」「相手の人生をこわす」といった、とてもつよい悪い意味がふくまれています。そのため、じっさいの人に対してこの言葉を使うと、ひどく相手をおとしめたり、社会的なダメージを与えることにつながることがあります。
たとえば、事件で話題になった女性に対して「また毒婦か」などと書きこむと、まだくわしいことが分かっていない段階でも、その人を悪と決めつける印象をあたえてしまうんです。
今は、性別を理由にわるく言うことばに対して、とても目がむけられる時代なので、「女だから毒婦」といった決めつけに近い言い方は、トラブルや批判のもとにもなりやすいです。
どんなふるまいが毒婦っぽいって思われるの?
きれいだけど心がよめない人、強くて思いどおりに動く人が言われやすいです
実際に「この人毒婦っぽい」と言われてしまいやすいのは、つぎのようなタイプの人が多いです。
- ことばづかいがとてもていねいで、にこにこしてるけど、何を考えてるかよくわからない人
- 男の人との関係で、じぶんがいつも上に立っているように見える人
- 見た目がきれいで、いろんな人から好かれるのに、それをじょうずに使っていると思われてしまう人
- 恋人を次々に変えたり、お金を動かすような話題が多かったりする人
こうした行動があっても、それだけでほんとうに悪い人というわけではありません。でも「こわい」「計算高そう」といった印象をもたれてしまうと、そこに「毒婦」というラベルがはられやすくなってしまうんです。
ネタで毒婦をやるのも気をつけた方がいいの?
たのしむのは自由だけど、まわりへの配慮もたいせつです
SNSなどで「毒婦キャラやってます」「毒婦っぽいコーデしてみた」など、あそびとして使う場面は今もあります。それ自体は悪いことではありませんし、表現として自由な部分です。
ただし、その発信がだれかを思い出させるような内容だったり、ほんとうにあった事件と結びつきそうなときは、見る人によっては「からかっている」「じぶんのことと思ってつらい」と感じることもあります。
じぶんがたのしむぶんにはいいけれど、「どこまでがネタで、どこからが本気に見えるか」は見る人によってちがう、ということはちょっとだけ意識しておくと安心です。
毒婦って言い方をどう使ったらいいの?
フィクションの中でだけにしておくのが安全です
毒婦という言葉は、物語や創作の中ではいまでもとてもつよい魅力があります。ですが、ほんとうの人にたいしてつかうのは、誤解やいらぬトラブルのもとになりがちです。
なので、もし使うとしたら:
- 自分でつくったキャラや話の中にだけ使う
- ゲームやマンガのキャラを語るときに使う
- あくまでフィクションです、という前置きがある場所で使う
というように、現実とは切りはなした使い方をするのが、いちばん安心で、楽しくつかえる方法かと思います。
悪女と毒婦って何がちがうの?
どちらも「わるい女の人」だけど、深さやこわさの感じがちがいます
悪女という言葉は、とても広く使われていて、「ちょっと悪いことをする女の人」や「男の人の気持ちをもてあそぶような女性」など、少し軽めの意味でもつかわれることがあります。
一方、毒婦はもっと強くておもたい意味があります。ただ悪いだけじゃなくて、「人の人生をくずす」「こわす」「だまし切る」といった、命や心に大きなダメージをあたえるようなこわさがふくまれます。
わかりやすくくらべてみると…
| 言葉 | よくある使い方の場面 | ふんいき |
|---|---|---|
| 悪女 | ドラマの恋愛トラブル、浮気、二股など | ずるい、自由すぎる、魅力的 |
| 毒婦 | 殺人事件、詐欺、世間をにぎわす大事件など | こわい、悪意がある、破滅を呼ぶ |
たとえば、男の人をもてあそんでフラフラさせるような女性は「悪女」と呼ばれることがあります。でも、その男の人をだましてお金をとったり、ひどい目にあわせたりしたときは「毒婦」とまで言われることがあります。
毒婦はなぜ特別にこわがられるの?
ただの恋やうそじゃなくて、破滅を生むからです
毒婦という言葉が使われるのは、たいてい「事件」や「悲劇」が関わっています。たとえば、
- 恋人をころした女の人
- お金のために結婚して相手を死においやった人
- 社会的な立場のある男性をうまくだまして、すべてをうばった女性
などです。
こうした人たちは、見た目がうつくしかったり、やさしそうに見えることもあって、よけいに「見た目と中身のギャップ」にこわさを感じさせるのです。それが「悪女」とのちがいです。
じゃあ、悪女は軽いの?
そう見えることもあるけど、つよさやしたたかさをもつ存在です
悪女という言葉は、昔から文学やドラマでもよく使われていて、ときには「つよく生きる女の人」「自分で人生をえらんで進む人」という、ちょっとあこがれのような気持ちをこめて使われることもあります。
たとえば:
- 自分の思いをとおすために、あえてわがままに見られることをおそれない女性
- 男の人に合わせず、自分の人生をえらびとっていく女性
- 社会のルールにとらわれない、自由な恋愛を生きる女性
こういう人たちに、「悪女だけどかっこいいね」と言うような表現もふえています。
毒婦と悪女、どっちも魅力がある?
見る人によっては、こわさもかっこよさも感じることがあります
毒婦はこわい存在として描かれることが多いですが、その中にある「覚悟」「したたかさ」「頭のよさ」に心をひかれる人もいます。
悪女も、「男をだます女」とだけ見るのではなく、「自分を大切にして自由に生きる女性」として共感されることがあります。
つまり、どちらの言葉にも「ただ悪い」というより、その奥にある「人間らしさ」や「強さ」がふくまれているのだと思います。