どうしてトムリドルはハリーポッターの事を知っていた?

ハリーが生まれる前からトム・リドルが知ってた?なんで?

それ、未来の子どもなのにどうして知ってたの?

ヴォルデモート――本名トム・マールヴォロ・リドルは、ハリー・ポッターが生まれる前からその名を知っていました。普通に考えたらおかしな話です。だって、ハリーが生まれたのは1980年。トムがホグワーツを卒業したのは1945年。なのにどうして、ハリーの存在を知って、命を狙ったのか。そのきっかけは「予言」でした。

ホグワーツの占い学教授であるシビル・トレローニーが、ダンブルドアの面接中に突然語ったあの有名な予言。「7月の終わりに生まれる子どもが、闇の帝王を倒す力を持つ」――この言葉を、スネイプが途中まで聞いてしまったことが始まりです。彼はその内容をヴォルデモートに伝えた。そうして、まだ生まれていなかったハリー・ポッターの命が、あの瞬間から「狙われる者」になったのです。

ここがとても大事。トム・リドルは、ハリーという「名前」ではなく、「予言に出てくる未来の子」として認識していたということです。でも、その子がポッター家に生まれると分かった瞬間に、彼はハリーに固執するようになります。

本当にその子が「敵」なの?なぜネビルじゃなくてハリー?

実はこの予言、ハリーだけじゃなくて、ネビル・ロングボトムにも当てはまっていたんです。ネビルも7月の終わりに生まれていて、両親は魔法省の闘士。なのに、トム・リドルが選んだのはハリー・ポッター。これは、ヴォルデモート自身が「自分に似ている」と感じたからではないかと考えられています。

両親は純血ではない、孤児で育つかもしれない、そして自分が見た夢に現れる場所――ゴドリックの谷。そこに運命を感じてしまったのかもしれません。彼が「ハリーを選んだ」という事実こそが、予言のもう一つのキーポイント。「敵の力を知ったその者が、自ら敵を選ぶ」と予言にはありました。

つまり、予言は「ハリーに殺される運命」を決めていたのではなく、「選んだことで未来が決まってしまった」ということ。ヴォルデモートがハリーを選ばなければ、ネビルが主人公だったかもしれない――というのが、この物語のすごく深いところなんです。

「知っていた」のは、予言とホグワーツでの情報網のせい?

ヴォルデモートはスネイプ以外にも、多くのスパイや死喰い人を通じて、魔法界中の情報を集めていました。魔法界では、赤ちゃんが生まれると「魔法省」がその子を把握するという制度もあり、強い魔力のある子は注目されやすかったのです。

そしてリリー・ポッター(ハリーの母)は、学生時代にスネイプと関係が深く、ヴォルデモートにとっては情報を取りやすい相手だった。ポッター家が何者であるかは、当然知れ渡っていた。だから「予言の子」がポッター家の子であると判断するのに時間はかからなかったのです。

ただ、「知っていた」ことと「理解していた」ことは違います。彼はハリーが自分の魂の一部を持って生き残るとは想像していなかった。これが、のちにハリーがヴォルデモートを倒せた最大の要因です。

作者ローリングの意図――なぜヴォルデモートに「予知」を与えた?

J・K・ローリングは、ヴォルデモートという人物を「未来を恐れ、制御しようとする者」として描いています。予言というのは、確定ではなく「可能性」でしかありません。でも彼は、それを聞いた時点で「自分が殺される」と思い込み、その運命を変えようとして、逆にその運命を確定させてしまった。

この構造は、物語全体に通じています。運命に抗おうとする者が、運命を自分で呼び寄せてしまう。その悲劇こそが、ハリー・ポッターという物語の芯になっています。

だからヴォルデモートがハリーを知っていたのは「偶然」ではなく「選択」でした。そしてその選択が、彼の敗北へとつながる道だった。ローリングはこのテーマを一貫して描き続け、読者に「運命とは何か」「選ぶことの責任とは何か」を問いかけているのです。

トム・リドルってどんな人?ただの悪人じゃないの?

孤独な少年時代がすべての始まりだった

トム・マールヴォロ・リドル。のちのヴォルデモートとして知られるこの人物は、初めから「悪の化身」だったわけではありません。むしろ、彼の人生は「愛されなかった子ども」として始まっています。彼は1930年代、ロンドンの孤児院で生まれ育ちました。魔法使いの母とマグル(普通の人間)の父との間に生まれ、しかも父には捨てられていた。その出生は、本人にとって誇れるどころか、恥であり、怒りの源だったんです。

トムは孤児院で、感情を表に出すことなく、自分の特別さを信じて生きていました。他の子どもに危害を加えることもあったと言われていますが、それは「力を持つ自分」と「無力な世界」との違いを早くから感じていたから。つまり、誰かに理解されることもなく、ただ「自分しか信じられない」という結論に至ってしまったのです。

ホグワーツでは優等生。でも裏では…

11歳でホグワーツ魔法魔術学校に入学したトムは、そこで驚くほど優秀な生徒になります。スリザリン寮に入り、学業も魔法の腕も完璧。先生たちからも信頼され、「未来の魔法界のリーダーになる」と思われていました。でも、それは表の顔。裏では、「ヴォルデモート」という名前をすでに使い始めていたんです。

彼は自分の名前にある「マールヴォロ」(母方の純血の名)を誇りに思い、マグルの血が流れていることを憎んでいました。そして、純血主義という考えにどんどん傾き、マグル生まれの生徒たちを見下すようになっていきます。これは、彼の中にある「自分の出自を否定したい」という強い感情が原因です。

「分霊箱(ホークラックス)」を初めて作った魔法使い

トム・リドルを語るうえで外せないのが、「ホークラックス」。これは、自分の魂を切り離して物に閉じ込めることで、死なない体を手に入れる魔法です。本来、誰もやらない、というより「やってはいけない」禁じられた魔法でした。

でも彼は、「死ぬこと」そのものを何よりも恐れていたんです。なぜなら、死ぬ=無に還ること=誰からも記憶されなくなることだったから。孤児として育った彼にとって、「忘れられること」が何よりの恐怖だった。だからこそ、彼は自分の魂を7つに分けるという前代未聞の選択をします。自分の命を守るために、他人の命を平然と奪っていった。

この狂気の選択は、彼が「自分は特別であるべきだ」「誰よりも強く、美しく、永遠でなければならない」と思い続けた結果でした。

愛を知らなかったから、愛に勝てなかった

トム・リドルの最大の弱点は、「愛を知らないこと」でした。母親は自分を産んですぐ亡くなり、父親には捨てられ、育ての孤児院では冷たく扱われた。誰かを信じたことも、信じられたこともなかった。だから、彼には「誰かを思いやる気持ち」や「犠牲という強さ」を理解できなかったのです。

これが、ハリー・ポッターとの最大の違いです。ハリーは、両親の愛、仲間との絆、先生との信頼を通じて、「自分一人では生きられない」という現実を知ります。そしてそのことが、ハリーを強くしていく。

一方トムは、誰も信じず、誰の助けも借りずに生きることを選びました。それが「孤独な王」の誕生です。強いようで、実はとても脆い。だからこそ、最後にはその孤独の中で崩れ落ちていったのです。

自分を信じすぎて、誰も信じなかった男の結末

ヴォルデモートの敗北は、ただの魔法の力の差ではありませんでした。彼は最後まで、自分の考えが正しいと信じ続けました。予言も、愛も、仲間も、全部「弱さ」だと思っていた。でも、それが間違いだったと知るのは、最後の最後――誰も味方がいなくなり、ハリーに打ち倒されたその瞬間だけだったのです。

悲劇なのは、彼が「間違っていた」と気づいても、もう誰も許してはくれなかったこと。彼は、自分のすべてをかけて築いた世界の中で、一人で終わっていきました。

トム・リドルの描かれ方、映画と原作でちがうの?気づいたら見方が変わるよ

同じ人物なのに、印象が違うって思ったことない?

「原作を読んだときは、なんだかもっと怖かった気がする」「映画ではちょっとスマートでミステリアスな感じだった」――そんな風に思った人、実はけっこう多いんです。トム・リドル、のちのヴォルデモートは、原作と映画で“人物の見え方”がかなり変わっています

小説では、彼の内面や過去、そして行動の理由まで、かなり深く掘り下げられています。でも、映画では時間の都合もあって、そういった描写が短縮されがち。だから、「なんであんなに悪くなっちゃったのか」が分かりづらくなってる場面もあります。

この違いに気づくと、物語の見え方がガラッと変わるんです。では、どこがどう違うのか、一つずつ丁寧に見ていきましょう。


原作のトム・リドル:恐ろしいほどに冷静で、目的のために全てを使う天才

小説の中でのトム・リドルは、感情をあまり表に出さない子どもとして描かれています。自分の考えを隠すのがうまくて、頭がよくて、でもものすごく冷たい。たとえばホグワーツ時代、スリザリンの継承者として「秘密の部屋」を開き、マグル生まれの生徒を襲わせるように仕向けます。でも、それを証明されないように完全に隠し通してしまう。

とても頭が良くて、誰よりも自信があるけれど、その裏には「誰にも信じてもらえなかった過去」がある。だからこそ、自分しか信じない。その心理描写がとても細かくて、読むたびに「うわ、怖い」と思うような人物なんです。

しかも、ダンブルドアとの会話の中では、彼が人間でありながら人間を超えようとしている様子がよく描かれています。たとえば、「死を超えたい」「記憶の中に生き続けたい」という執着。それが、のちに「分霊箱」を作る理由にもなっていきます。


映画のトム・リドル:美しくて謎めいた、でも少しだけ感情的

映画では、トム・リドルを演じる俳優がとても整った顔立ちの青年に描かれていて、どこか魅力的で、ミステリアスな印象があります。表情も落ち着いていて、言葉遣いも礼儀正しい。たとえば『謎のプリンス』での若きトム・リドルは、スラグホーンに優しく話しかけながら、巧みに情報を引き出していきます。

でも映画では、彼の内面にある「孤独」や「捨てられた痛み」までは、あまり掘り下げられていません。原作では、「マグルの父親に捨てられた」「孤児院での冷たい暮らし」が、彼の性格形成に大きな影響を与えたと描かれているのに、それが少し薄くなっているんです。

そのせいか、映画の中のトムは「完全な悪役」に近い存在になっていて、“恐ろしい魔法使い”という印象が先に来る。でも実は、原作ではもっと複雑で、悲しい背景がある人物なんですよね。


決定的な違い:日記の中の16歳のトム

映画『秘密の部屋』では、日記の中から現れた16歳のトム・リドルが、ハリーに向かって「自分がヴォルデモートだ」と明かすシーンがあります。でも、原作のその場面は、もっと不気味で、恐怖がじわじわと伝わってくるんです。

原作では、トムは冷たく、無感情で、計算高く、ハリーの心をじわじわ追い詰めます。「リドル」という少年が、いかに危険な人物かが、行間からにじみ出てきます。一方で映画では、演出上の制限もあって、その怖さがややスピード感に飲まれてしまう印象がありました。


原作を読むと、ヴォルデモートが「元は人間だった」と気づく

映画だけを観ていると、ヴォルデモートはまるで怪物のように見えるかもしれません。確かに、見た目も声も異様ですし、人間味がほとんどありません。でも、原作を読むと、「彼はただの怪物ではない」と気づきます。彼は誰よりも人間で、誰よりも愛を欲しがっていた人なんです。

そのことがしっかり描かれているのが、『謎のプリンス』と『死の秘宝』。彼の過去、彼が殺した人々、自分の魂を切り裂いてまで「死を逃れたかった理由」が丁寧に描かれています。これを読むと、ただ怖い存在だったはずのヴォルデモートが、少しだけ「かわいそう」と思える瞬間があるかもしれません。


映画は「恐怖」を、原作は「理由」を描いていた

つまり、映画はヴォルデモート=トム・リドルの「外側」を強調し、魔法界に現れた恐るべき存在として描きました。でも、原作はその「内側」――なぜそんな人物になってしまったのかを、じっくり描いています。

この違いは、どちらが正しいという話ではありません。どちらも物語を支える大切な視点です。でも、「原作を読むともっと深く理解できる」のは間違いありません。そしてその違いを知ることで、物語の重みや登場人物の背景が、もっと心に響くようになります。

トム・リドルとヴォルデモートって別人?それとも同じ人?

トム・リドルは本名。ヴォルデモートは「なりたい自分」

まず、はっきりさせておきたいのは、トム・リドルとヴォルデモートは同一人物です。でも、ただ名前が変わっただけじゃありません。そこには、深い葛藤と強い願望が込められているんです。

トム・マールヴォロ・リドルは、ロンドンの孤児院で生まれ育ちました。自分の父親が「マグル」で、自分を捨てたと知ったとき、彼は「人間であること」「マグルの血が自分に流れていること」に強い嫌悪を持つようになります。そして、自分の母親が純血の魔女であることを知ると、「自分は魔法界の正当な血を継いでいる」と思い込むようになる。

そこから、「トム・リドル」という“捨てられた子”の名前を捨て、「ヴォルデモート」という名前を自分で作ったんです。しかもこの名前、英語では「Flight from Death(死からの逃亡)」に近い響きを持つフランス語風の造語。つまり彼は、**「死を恐れない存在」「死を超越する存在」**になろうとした。その意志が、「ヴォルデモート」という名に込められているんです。

名前を変えたのは、過去を全部否定したかったから

トムが「ヴォルデモート」になったのは、自分の過去を否定し、忘れたかったからです。愛されなかった、捨てられた、弱かった、という自分の人生をなかったことにしたかった。だから名前だけでなく、外見も変えていったんです。

小説でも映画でも、初期のトム・リドルは美しくて整った顔立ちの少年として描かれます。でも、魂を分ける「分霊箱(ホークラックス)」を作るたびに、彼の外見はどんどん人間離れしていきます。鼻が失われ、目が赤く、肌は青白く冷たい――それはまさに、「人間をやめた姿」でした。

これはただの外見の変化じゃなくて、「心の変化」が身体に現れたもの。もう自分を「トム」と呼ぶ人を許さず、「ヴォルデモート卿」と呼ばせることで、昔の自分を消し去ろうとした。でも、それって逆に、自分の過去に縛られていた証でもあるんです。

でも、最後までトム・リドルだった

いくら「ヴォルデモート」という名前を名乗っても、彼の魂の奥にはずっと「トム・リドル」がいました。ハリー・ポッターはそのことを、何度も見抜いています。特に『秘密の部屋』では、日記に封じられた16歳のトムと対面する場面があります。そこで彼は、「トム・リドルこそがヴォルデモートだ」と名乗ります。

ここがポイント。「トム・リドルを否定して、ヴォルデモートになった」のではなく、「トム・リドルがヴォルデモートになった」んです。つまり、彼の本質はずっと変わっていなかった。どれだけ恐ろしい魔法を使っても、どれだけ名前を変えても、「愛されなかった少年トム・リドル」のままだった。

『死の秘宝』の終盤、キングズ・クロスの駅に現れる「醜くて血まみれの赤ん坊のような存在」は、まさにその象徴です。それは、「完全に変わりきれなかった彼の魂」。誰にも愛されなかった、誰にも救ってもらえなかった彼自身の姿です。

じゃあ、ヴォルデモートって本当に強かったの?

強さで言えば、ヴォルデモートは間違いなく「最強クラス」でした。恐怖によって魔法界を支配し、多くの死喰い人を従え、魔法省さえ乗っ取った。でも、彼の強さには決定的な弱点があったんです。それが「愛を知らないこと」「誰も信じないこと」。

だからこそ、彼の魔法はどこか不完全で、強いけれど冷たい。人を操ることはできても、人の心をつかむことはできなかった。誰からも心の底から敬愛されなかったヴォルデモートは、結局「一人きり」で戦うことになったんです。

一方で、ハリーは友情、信頼、絆を力に変えた。これが二人の最大の違いであり、「トム・リドル」から「ヴォルデモート」へ変わった彼の限界でもありました。