クリーチャーはなぜ急にハリーに従った?優しくなった?

クリーチャーはなぜ急にハリーに従った?優しくなった?

最初は意地悪だったのに、どうしてあんなに変わったの?

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』で初めて登場した屋敷しもべ妖精クリーチャーは、多くの読者にとって「嫌な奴」という印象だったと思います。口を開けば悪口ばかり。とくにマグル生まれや裏切り者には毒づいてばかりで、見ていて不快になることすらありましたよね。

でもその彼が、物語の後半、特に『死の秘宝』ではまるで別人のように変わっていきます。ハリーに命令されてしっかり任務を果たし、かつて自分が大切にしていたレグルス・ブラックのために涙を流すような一面も見せました。これって一体、どういうことだったのでしょうか。

この変化は、ただの「気まぐれ」や「都合のいい展開」ではありません。むしろJ.K.ローリングが長く丁寧に積み上げてきたテーマのひとつ、「愛と尊重が心を変える」というメッセージが、あの小さな妖精の中で見事に描かれた瞬間だったんです。

クリーチャーがずっと守ってた「レグルス」のこと

まず大前提として、クリーチャーは単なる奴隷ではなく、深くレグルス・ブラックという主人を心から大切に思っていました。レグルスはシリウスの弟であり、元は死喰い人でしたが、ヴォルデモートのやり方に疑問を持ち、密かに反抗を始めた人物でもあります。

クリーチャーは、レグルスが命がけでヴォルデモートの分霊箱を破壊しようとしたことを、ずっと誰にも言わずに守っていました。誰にも理解されなかったけれど、あの子の最後の願いだけは、忠実に胸の奥にしまって生きていたんです。ハリーにその過去を話したとき、彼がどれだけの思いを抱えていたか、ようやく読者にも伝わりました。

そして、ハリーがその話を聞いたとき、驚くほどまっすぐな態度でクリーチャーに向き合いました。「レグルスの願いを自分も継ぐ」とまで言ったんです。これは、クリーチャーにとって何よりの救いだったと思います。

ハリーの接し方が「支配」じゃなくて「敬意」だった

ハリーは最初、クリーチャーの態度にイライラしていました。それも当然ですよね。自分のことを「泥血と同じくらい嫌い」みたいに言ってくるんですから。でも、ドビーの死を経験したことで、ハリーは妖精たちの存在について、もっと深く考えるようになります。

ドビーのように自由を求める妖精と、クリーチャーのように家に縛られている妖精。その違いに気づいたとき、ハリーは「命令」ではなく「お願い」をするようになったんです。

たとえば、『死の秘宝』でハリーがクリーチャーに分霊箱のペンダントを探させる場面では、ちゃんと感謝の言葉を添えていました。そして何より、「レグルスを裏切らないでくれてありがとう」と伝えたんです。このひとことで、クリーチャーの心はほぐれていきました。

自分の大切なものをちゃんと見てくれる人に、クリーチャーは心を開いた。これは人間でも同じですよね。誰かが自分の思いを否定せず、理解してくれたら、たとえどんなに傷ついていても、少しずつ変われるものです。

『呪いの子』でクリーチャーはどうなったの?

『ハリー・ポッターと呪いの子』では、クリーチャーの登場はごくわずかです。でも、そこに出てくるクリーチャーは、昔のような意地悪さは見せません。むしろ、変わった性格を保ったまま、静かに屋敷を守っているような雰囲気が伝わってきます。

これは、ハリーたちが彼にかけた言葉や態度が、ちゃんと彼の中で「大事なもの」として残っている証拠なのかもしれません。クリーチャーは自由にはなっていないけれど、誰かに必要とされ、大切にされることで「居場所」を得たのです。


作者はどうしてクリーチャーを変えたのか?

ローリングが描きたかった「ほんとの忠誠心」ってなんだったの?

J.K.ローリングは、ただ単に「良い奴」と「悪い奴」を分けるような単純な世界を描きたかったわけではありません。むしろその逆で、「人は見た目や第一印象だけで判断しちゃダメだよ」っていうメッセージを、物語のあちこちに散りばめています。

クリーチャーもその一人。見た目もしゃがれていて、話し方も嫌味で、登場したばかりの頃は完全に“嫌われキャラ”でした。でも、時間が経つにつれてわかってくるのは、彼がずっと苦しんでいたということ。ただの「意地悪」じゃなくて、何十年も「放っておかれた」「否定され続けた」その痛みが、言葉の端々に滲んでいたんです。

ローリングは、そういう「誰にも気づかれないまま傷ついている存在」に、ちゃんと光を当てたかったのだと思います。それって、ドビーやウィンキーにも通じる部分がありますよね。屋敷しもべ妖精たちって、魔法界ではずっと下に見られていて、権利も自由もありません。だからこそ、彼らに「感謝」や「尊重」を向けたハリーたちの態度が、どれほど意味のあることだったかが強く伝わるようになっていました。

そしてその象徴こそが、クリーチャーの変化だったんです。

「家族」って、血のつながりだけじゃないってこと

ブラック家の人々は、クリーチャーにとっては「家族」でした。でもその家族は、彼を愛してくれたわけじゃない。冷たくて、差別的で、利用するだけの存在でした。

レグルスだけは違った。彼はクリーチャーを命の危険から救おうとしたし、自分の命を捨ててでも大事なことを成し遂げようとした。その行動が、クリーチャーの忠誠心のすべてだったんです。だから彼はレグルスの死をずっと心に抱え、誰にも話さず、自分を責めながら生きていた。

そんな中、ハリーがクリーチャーを「しもべ」としてではなく「誰かに愛された存在」として見てくれた。これは、血のつながりじゃなくても、家族のように絆を作れるっていう、もう一つの大事なテーマに直結しています。

ハリーにとっても、親を失って、義理の家族に冷たくされてきた日々がありましたよね。でもロンやハーマイオニーや、後にできた仲間たちによって、本当の絆を知ることができた。だからこそ、クリーチャーの「心の鍵」も自然と見つけられたのかもしれません。


クリーチャーの変化は、私たちに何を教えてくれるのか?

敬意があれば、誰でも変われるってこと

クリーチャーの物語を通して、J.K.ローリングは「人は敬意を持って接すれば変わる」と教えてくれています。クリーチャーは決して天使じゃないし、間違ったこともたくさん言ってきたけれど、それでも心の奥には「誰かを守りたい気持ち」や「信じてくれる人への思い」がちゃんとあったんです。

それを無視せずに、ちゃんと認めてあげること。それが、あの変化を生んだ理由だと思います。

この物語は、「優しさは弱さじゃない」「理解することは魔法より強い力になれる」という、ローリングがずっと大切にしているメッセージの一部です。

 

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