「舌の根の乾かぬうち」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「舌の根の乾かぬうち」とは、ある人が言ったことが、まだ記憶にも新しいうち、つまり発言して間もないうちに、それとは反対のことを言ったり、行動に矛盾が出たりする様子を指す言い回しです。まるで口にした言葉がまだ湿っている、すなわち言ったばかりで時間がほとんど経っていない状態で、もう言動が変わってしまっているという皮肉が込められています。日常の中でも、例えば誰かが「もう絶対に甘いものを食べない」と言った直後にケーキを食べている場面などに対して、「舌の根の乾かぬうちに……」と揶揄的に使われることが多いです。
この慣用句に近い英語の表現としては、“No sooner said than done” や “He changed his tune in a heartbeat” または “Before the words were out of his mouth” などが挙げられます。英語圏では、特に「言ったばかりなのにすぐに逆のことをする」というニュアンスを伝えるには、“He went back on his word before the ink was dry” という比喩的な言い回しも使われることがあります。
言葉と行動が一致していない人に対して、驚きや皮肉を込めてこのような表現を使うことが多く、聞き手に強く印象を与える表現として機能します。信頼関係や人間関係においては、「言ったことを守る」ことが大切とされるため、それに反した態度を取る人に対して、批判的な気持ちを込めて使う場面が一般的です。
「舌の根の乾かぬうち」の一般的な使い方と英語で言うと
- 彼は「しばらくは節約する」と言ったのに、舌の根の乾かぬうちに高級レストランで豪勢なランチを楽しんでいた。 He said he would save money for a while, but before the words were out of his mouth, he was enjoying a luxurious lunch at an upscale restaurant.
- 上司は「ミスには寛容に」と言っていたのに、舌の根の乾かぬうちに部下の小さなミスを厳しく叱責していた。 The boss said he would be tolerant of mistakes, but before the ink was dry on his words, he harshly reprimanded a subordinate for a minor error.
- 子どもが「今日はお菓子を食べない」と言ったのに、舌の根の乾かぬうちにポテトチップスの袋を開けていた。 My child said he wouldn’t eat snacks today, but before he even finished saying it, he had already opened a bag of potato chips.
- 政治家は「透明性を重視する」と発言したが、舌の根の乾かぬうちに不透明な契約を結んでいたことが報道された。 The politician claimed he valued transparency, but before the echo of his words faded, it was reported that he had signed an opaque contract.
- 彼女は「二度と彼には会わない」と泣きながら話していたのに、舌の根の乾かぬうちにその彼と仲良く並んで歩いていた。 She tearfully said she would never see him again, but before her tears had dried, she was walking happily next to him.
似ている表現
- 二枚舌を使う
- 言うこととやることが違う
- 前言撤回
- 一貫性がない
- 手のひらを返す
「舌の根の乾かぬうち」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスにおいて「舌の根の乾かぬうち」という表現が使われる場面は、上司や同僚、あるいは取引先などの発言や方針が急に変わった時に生じます。会議での決定事項が直後に覆される場合や、約束された対応が守られなかった時など、信頼性や誠実さが問われる場面で使用されやすいです。
- 部長は「全社的にテレワーク推進」と言っていたが、舌の根の乾かぬうちに全員出社を命じるメールが届いた。 The manager stated, “We will promote telework across the company,” but before the tongue dried, an email ordering everyone back to the office was sent.
- 取引先は「納期は厳守する」と念を押していたのに、舌の根の乾かぬうちに延期の連絡があった。 The client firmly promised to meet the deadline, but almost instantly informed us of a delay.
- 会議で「今後は価格の見直しをしない」と結論が出たが、舌の根の乾かぬうちに別部署から値下げ提案が届いた。 The meeting concluded with no further price adjustments, but a discount proposal arrived from another department almost immediately.
- 上層部が「社員の声を最優先に」と発言したばかりなのに、舌の根の乾かぬうちに現場の意見を無視して改革を進めていた。 Top management just said they’d prioritize employee input, but the reforms proceeded without any consideration for on-site feedback.
- 新たな業務ルールを明文化したばかりだったのに、舌の根の乾かぬうちにそれを無視した運用が始まっていた。 The new operational rules had just been formalized, but they were already being ignored almost immediately.
「舌の根の乾かぬうち」は目上の方にそのまま使ってよい?
「舌の根の乾かぬうち」という言い回しは、その意味合いに皮肉や非難の感情が含まれているため、目上の方や取引先に対して直接使用するのは非常に慎重であるべきです。特に相手の言動に対して「矛盾している」「言ったことをすぐに変えた」と明言することになるため、相手の信頼性を疑うような印象を与えかねません。そのため、この表現をストレートに使用することで、相手に不快感を与えてしまう可能性が高く、ビジネス上ではトラブルの元となる可能性もあります。上司や顧客に対しては、遠回しで丁寧な言い方や表現に置き換えるのが無難です。
- 丁寧な伝え方を選び、直接的な非難にならないように注意する
- 相手の立場や意図を理解する姿勢を見せながら疑問を呈する
- 一度冷静に状況を整理し、事実確認に重点を置く
「舌の根の乾かぬうち」の失礼がない言い換え
- 先ほどのお話と若干異なる印象を受けましたが、確認させていただけますでしょうか。
- 先ほどのご説明と内容が違っているようにも感じたのですが、私の理解に誤りがあればご教示ください。
- お話の意図を再度整理したく、少々お時間を頂戴してもよろしいでしょうか。
- 先のご発言との整合性について確認させていただけますと幸いです。
- 先ほど伺った内容との違いについて、もう少し詳しくお話を伺ってもよろしいでしょうか。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
- 先日はご多忙の中お時間をいただき誠にありがとうございました。お話しいただいた内容をもとに、社内で再検討させていただきました。
- 昨日のご説明、誠に感謝しております。お話の中で気になる点がありましたので、恐縮ながら再度確認させていただきたくご連絡いたしました。
- 貴重なお時間を頂戴し誠にありがとうございます。本日は先日のお打ち合わせについて確認とお願いがあり、ご連絡差し上げました。
- 先日のお打ち合わせ内容に関しまして、社内で検討を進める中で少し気になる点が出てまいりましたため、ご相談申し上げます。
- 平素より格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます。お話いただいた件について、追加でご質問させていただければと思いご連絡差し上げました。
締めの挨拶
- ご多忙のところ恐れ入りますが、何卒ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
- 取り急ぎご連絡申し上げましたが、ご確認いただきたく存じます。今後とも変わらぬご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
- ご不明点やご懸念がございましたら、どうぞお気軽にお知らせください。今後とも円滑なお取引をお願い申し上げます。
- ご確認の上、何か不都合等ございましたらご指摘賜れますと幸いです。引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
- ご回答を心よりお待ち申し上げております。引き続き変わらぬご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「舌の根の乾かぬうち」は、相手の発言と行動の不一致を鋭く指摘する性質を持っているため、使用する際には極めて注意が必要です。特に相手の意図や背景を無視してこの言い回しを用いると、皮肉や嘲笑と受け取られ、相手を怒らせてしまう恐れがあります。軽く使ったつもりでも、相手にとっては侮辱や非難として感じられる場合もあり、関係がこじれる原因になりかねません。
- 目上の方、取引先、お客様に対しては使わない
- 感情的になっている時は使用を避ける
- 社内でも立場が上の人の発言に対しては慎重になる
- 書き言葉では特に強く受け取られることがあるため控える
- 本人がすでに訂正や謝罪をしている時は使わない
細心の注意払った言い方
- 先ほどご案内いただいた内容についてですが、少し異なるご連絡をいただきましたので、念のため再確認をさせていただけますでしょうか。
- 昨日のご説明と異なる点がございましたため、念のためご意向を改めてお伺いできればと存じます。
- ご指示内容につきまして、先にいただいたご説明と認識にずれがあるように感じましたので、ご確認いただけますと幸いです。
- 一度いただいたご連絡と、現在の状況に少々違いがあるように思われましたので、お手数ですがご確認をお願いいたします。
- ご案内いただいた内容と若干異なる事項がございましたため、念のためのご確認としてご連絡差し上げました。
「舌の根の乾かぬうち」のまとめ・注意点
「舌の根の乾かぬうち」という言い回しは、人の発言と行動に矛盾がある場合に使われる皮肉を含んだ言い方であり、日常生活においても使われることの多い表現です。しかし、その性質上、批判的な意味合いが強く含まれているため、相手との関係や状況をよく見極めた上で使う必要があります。特にビジネスの場では、発言に一貫性を求める場面が多いためこの言い回しが生まれる背景には理解しやすい状況がありますが、その分、使い方には慎重を期さなければなりません。目上の人や取引先に対しては、同様の意味を持つより穏やかな言い回しに言い換えることが望ましく、相手の立場や感情への配慮を忘れてはならないのです。過去の発言を振り返って「矛盾している」と指摘することは、単に事実を伝えるだけでなく、相手の信頼性や誠実さに対して疑念を抱いているように受け取られてしまう可能性があるからです。丁寧で穏やかな確認を通じて、言葉の重みを理解した対応が求められます。

