「おくびにも出さない」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「おくびにも出さない」という言い回しは、日常会話の中でしばしば耳にする慣用句のひとつであり、内心で思っていることや感じていることを、表情や言動に一切出さない様子を指します。たとえば、驚いたり怒ったりしていても、それをまったく表に出さない態度を指し、「冷静を装う」や「ポーカーフェイスを保つ」ことにも近いです。この言い回しは、特に感情を表に出さずに自分の本心や本音を隠して行動する際に使われることが多いです。
「おくび」とは、もともと「げっぷ」や「吐息」といった、口から出る微細な動作や音を意味する言葉であり、そこから転じて「おくびにも出さない」は、「ほんの少しも見せない」「気配すら見せない」という意味合いを持つようになりました。
英語に訳す場合、完全に一致する表現はないものの、意味が近い言い回しとしては「not show the slightest sign」「not let it show」「keep a straight face」「give nothing away」などが挙げられます。これらはすべて、感情や思考、意図を相手に悟らせないことを意味しており、日本語の「おくびにも出さない」が持つ含みをある程度再現することができます。場面に応じて使い分けることが重要です。たとえば、ビジネスの場面では「He didn’t let it show at all during the meeting」といった形で使うと、落ち着いた雰囲気やプロ意識が伝わります。
なお、「おくびにも出さない」は、感情をコントロールする冷静さや大人の振る舞いを褒めるときにも使われますが、逆に「本音を語らない」「腹を割らない」という少し批判的なニュアンスを込めて使われることもあります。そのため、使う際はその場の空気や関係性をよく見極める必要があります。
「おくびにも出さない」の一般的な使い方と英語で言うと
・彼は突然の昇進に驚いていたはずだが、その場ではおくびにも出さず、淡々と業務をこなしていた。
(He must have been surprised by the sudden promotion, but he didn’t let it show and continued working calmly.)
・上司から強い叱責を受けたにも関わらず、彼女はおくびにも出さずに冷静な態度を貫いた。
(Despite being harshly scolded by her boss, she showed no sign of emotion and remained composed.)
・彼は家族の不幸についておくびにも出さずに、いつも通りの笑顔で周囲に接していた。
(He never let on about his family troubles and greeted everyone with his usual smile.)
・自分の努力が報われなかったとしても、彼はおくびにも出さずに、仲間を祝福していた。
(Even though his own efforts went unnoticed, he didn’t let it show and congratulated his peers.)
・プレゼン中に重大なトラブルがあったが、彼はおくびにも出さずに最後までやりきった。
(There was a serious issue during the presentation, but he didn’t reveal any sign of it and finished with confidence.)
似ている言い回し
・顔に出さない
・ポーカーフェイスを保つ
・何事もなかったかのように振る舞う
・取り乱さない
・内心を悟らせない
「おくびにも出さない」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスの場面では、「おくびにも出さない」は感情をコントロールし、プロ意識を保ち、冷静に対応する態度として高く評価されます。たとえば、社内で大きなトラブルが発生しても、それを相手に悟らせずに堂々と業務をこなす場合などに使われます。また、交渉や営業、商談などでも、本音や焦りを見せずに対応することが必要な場面で使用されます。
・取引先との契約が白紙になったが、担当者はおくびにも出さずに次の提案へと移行した。
(The client canceled the contract, but the representative didn’t let it show and smoothly moved on to the next proposal.)
・プロジェクトの予算が削減されたことを知らされても、部長はおくびにも出さず冷静に受け止めた。
(Even after being informed of the project’s budget cut, the manager kept his composure and didn’t show any reaction.)
・会議中に上層部から厳しい指摘を受けたが、彼はおくびにも出さずに話を続けた。
(He received harsh criticism from the executives during the meeting, but he didn’t let it affect him and continued the discussion.)
・競合の動向に対して内心焦っていたが、彼はおくびにも出さずに戦略を淡々と説明した。
(Though internally concerned about competitors, he showed no sign of it and explained the strategy calmly.)
・突然のトラブルにも関わらず、彼女はおくびにも出さずに顧客対応を完璧にこなした。
(Despite the unexpected trouble, she didn’t reveal any distress and handled the client perfectly.)
「おくびにも出さない」は目上の方にそのまま使ってよい?
「おくびにも出さない」という表現は日常的に使える言葉ですが、目上の方や取引先に対してそのまま使うのは少し注意が必要です。というのも、この言い方には若干の俗っぽさや口語的な印象が含まれているため、敬語や丁寧語を重んじるビジネス文脈や正式なやりとりにはあまり適さない場合があります。また、文脈によっては「本音を言わない」「裏がある」と受け取られ、マイナスな意味にも捉えられる可能性があります。
特に目上の方に対しては、「冷静に対応された」「ご動揺を表に出されず」など、より丁寧で遠回しな言い回しを選んだほうが無難です。また、相手の行動を評価する場合にも、「おくびにも出さない」よりは「ご配慮の上で控えめに対応された」などと表現することで、誤解を避けることができます。ビジネスでは、言葉選びのひとつが信頼関係に大きく影響するため、慎重な言葉遣いが求められます。
「おくびにも出さない」の失礼がない言い換え
・お察しさせないようにご対応いただき誠にありがとうございました。
・何事もなかったかのように冷静にご判断いただき、大変感服いたしました。
・ご動揺もなく、常に落ち着いたご対応に敬服しております。
・内心お察しするに余りある中でも、平常心を保たれておられ素晴らしく存じます。
・いかなる状況下でも感情を表に出されず、冷静にご対応くださり感謝申し上げます。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
・先日は思わぬ事態にも関わらず、冷静にご対応くださり感謝の念に堪えません。
・いつもながら、お変わりなく穏やかにお過ごしのことと拝察いたします。
・本日は突然のご連絡にも関わらず、心静かにお話をお聞きくださりありがとうございました。
・日頃よりご多忙にもかかわらず、落ち着いたご対応を賜り心より感謝申し上げます。
・お心の内をお察し申し上げますが、常にご冷静なご判断をいただけることに敬意を表します。
締めの挨拶
・何かと心労も多いことと存じますが、どうぞご無理なさらず、ご自愛くださいませ。
・今後とも変わらぬご厚情を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
・貴重なお時間を頂戴しながらも、終始ご穏やかに接していただき感謝申し上げます。
・いかなる時も落ち着いたご判断を賜れることに、心より敬意を表しつつご挨拶申し上げます。
・お忙しい折りに恐縮ではございますが、何卒お身体にはお気をつけてお過ごしくださいませ。
注意する状況・場面は?
「おくびにも出さない」という言葉を使う際には、その言い回しが持つ含みや印象に注意が必要です。この表現は一見すると冷静で落ち着いている様子を表すように思えますが、言い方や文脈によっては「感情がない」「無関心」「冷淡」と捉えられる危険性もあります。また、相手の感情や内心を推し量って勝手に評価するような文脈で用いると、かえって相手を不快にさせてしまう可能性もあります。
特に注意が必要なのは、次のような状況です。
・相手が感情を抑えていることを褒めるように使うとき(押し付けに聞こえる場合がある)
・誰かの不幸やトラブルに関連してその人の態度を語るとき(無神経に聞こえる場合がある)
・社内での緊迫した場面を評価するとき(冷静を装うことが美徳とは限らない)
・部下や後輩に使うと、プレッシャーや皮肉と受け取られることがある
・感情を抑えることが美徳でない文化背景の方に対して使うと誤解を生むことがある
細心の注意払った言い方
・突然の出来事にも関わらず、終始落ち着いたご対応にただただ頭が下がる思いでございます。
・いかにご心中が穏やかでないかと拝察いたしますが、それでもなお変わらぬお姿に感銘を受けております。
・緊張感が高まる場面にも関わらず、冷静にお話を進めてくださり誠にありがとうございました。
・感情を交えず理性的にご判断くださるご姿勢に、深い敬意と感謝の念を禁じ得ません。
・不測の事態にも動じずに全体をまとめてくださったこと、言葉では言い尽くせぬほど感謝申し上げます。
「おくびにも出さない」のまとめ・注意点
「おくびにも出さない」という言葉は、感情や内面の動きを外に出さずに、冷静沈着に行動する様子を的確に表す日本語独特の言い回しです。多くの場合は、相手の冷静さや自制心を称賛する意図で使われますが、その一方で、本音を隠している・感情が伝わってこないという、冷たい印象を与えてしまう可能性も持ち合わせています。
とりわけビジネスや対人関係においては、言葉の持つ印象が相手との信頼関係や空気感に大きな影響を及ぼします。そのため、「おくびにも出さない」と言いたい時には、相手への敬意や配慮を込めた丁寧な言い回しに置き換える方が安全です。また、特に目上の方や取引先には、その人の心の内を勝手に推し量って語るのは避けたほうがよく、「感情を抑えていた」という評価よりも「理性的な判断をされた」「ご配慮のもと対応された」といった間接的な表現が望ましいでしょう。
感情を出さないという行為は、状況によっては美徳にもなり得ますが、過度にそれを強調すると「無関心」「非協力的」と受け止められることもあります。「おくびにも出さない」は、相手の状況や関係性に応じて、使い方を慎重に見極めることが求められる言葉です。

