Off-JTとは?体系的学習でスキルを習得し、専門性を高める集合研修を徹底解説
ビジネスの世界では、常に新しい知識やスキルが求められます。その中で、個人の成長と企業の発展に欠かせないのが「Off-JT(Off-the-Job Training)」です。このOff-JTがどのようなもので、なぜ重要なのか、そしてどのように活用すれば効果的なのかを、分かりやすくご説明いたします。
Off-JT(Off-the-Job Training)とは?
Off-JTとは、普段の仕事場を離れて行われる研修や学習のことを指します。簡単に言えば、仕事中に直接OJT(On-the-Job Training)のように先輩から手取り足取り教えてもらうのではなく、専門の研修施設や外部のセミナー会場などで、特定のテーマについてじっくりと学ぶ機会のことです。
たとえるなら、学校の授業のようなものです。普段の仕事が「部活動」や「クラブ活動」で実践的に動きながら学ぶことだとすると、Off-JTは「教室での座学」に当たります。教室で先生から教科書を使って基礎知識を教えてもらい、問題演習をすることで、より深く体系的に物事を理解できるようになります。仕事も同じで、OJTで実践を積みながら、Off-JTで基礎や応用を学ぶことで、より専門的な知識やスキルを身につけることができるのです。
また、新しいスポーツを始める時に、いきなり試合に出るのではなく、まずはコーチから基本的なルールや動き方を教わったり、フォームの練習をしたりするのと同じです。Off-JTは、まさにその「基礎練習」や「座学」の部分を担います。
Off-JTの目的
Off-JTの主な目的は、参加者が体系的な学習スキルを習得し、専門性を高めることにあります。これは、特定のスキルや知識を、断片的にではなく、一貫性のある形で身につけることを意味します。
例えば、料理のレシピを学ぶ際に、ただ漠然とインターネットで情報を集めるのではなく、料理教室で専門の先生から、食材の選び方、下処理、調理法、盛り付けまでを一連の流れで教えてもらうようなものです。これにより、単なる「作り方」だけでなく、「なぜそうするのか」という理由や、「どうすればもっと美味しくなるのか」という応用的な考え方も学ぶことができます。
分かりやすく例えるなら
Off-JTは、例えるならば、ゲームの攻略本を読むようなものです。
皆さんが新しいゲームを始めたとき、いきなり難しいステージに挑戦して、なかなかクリアできないことがありますよね。そんな時、ゲームの攻略本を読むと、キャラクターの育て方、アイテムの効率的な集め方、ボスの倒し方など、ゲーム全体を理解し、上達するためのヒントがたくさん載っています。攻略本を読むことで、やみくもにプレイするよりも、ずっと効率的にゲームを進められるようになります。
Off-JTもこれと似ています。普段の仕事(ゲームプレイ)だけではなかなか気づけない、仕事の進め方(攻略法)や、より良い方法(裏技)を、専門家(攻略本の著者)から教えてもらう場なのです。
別の例を挙げると、自転車に乗れるようになるための教習所のようなものです。
初めて自転車に乗る時、誰かに教えてもらわずにいきなり公道を走るのは危険ですよね。まずは、広くて安全な場所で、補助輪をつけたり、誰かに支えてもらったりしながら、バランスの取り方、ペダルの漕ぎ方、ブレーキのかけ方などを練習します。この「安全な場所での練習」がOff-JTに当たります。仕事の現場(公道)でいきなり実践するのではなく、事前に知識やスキルを身につけておくことで、よりスムーズに、そして安全に仕事を進めることができるようになるのです。
さらに、料理を学ぶ際の「料理教室」も良い例です。
家で適当に料理をするだけでは、なかなかレパートリーが増えなかったり、味が安定しなかったりします。しかし、料理教室に通えば、プロの先生が基本的な包丁の使い方から、調味料の配合、火加減の調整まで、一から丁寧に教えてくれます。また、色々な国の料理や、特別な日のための料理など、普段自分では作らないようなものにも挑戦できます。これにより、料理のスキルが格段に上がり、自信を持って様々な料理を作れるようになります。Off-JTも、これと同じように、普段の業務ではなかなか学ぶ機会のない専門知識やスキルを習得する場として機能します。
似ている慣用句やことわざはある?
Off-JTの考え方に似た慣用句やことわざはいくつかあります。
- 「急がば回れ」: これは、近道だと思って急ぐよりも、遠回りでも着実な方法を選んだ方が、結果的に早く目的を達成できるという意味です。Off-JTは、すぐに仕事の現場で実践するのではなく、一度立ち止まって学ぶ時間を取ることで、結果的に仕事の質を高め、効率を良くすることにつながります。焦って目の前の業務ばかりに追われるのではなく、将来を見据えて学習する時間を持つことの重要性を示しています。
- 「習うより慣れろ」 とは対照的であると考えることもできますが、Off-JTは「習う」ことの重要性を示しています。確かに「慣れろ」も重要ですが、正しい知識や技術を「習う」ことで、ただ「慣れる」だけでは得られない深い理解や応用力を養うことができます。例えば、間違ったフォームでスポーツを「慣れる」まで練習するよりも、最初に正しいフォームを「習う」方が、上達も早く、怪我のリスクも減らせます。
- 「温故知新(おんこちしん)」: これは、古い事柄や昔の学問を研究し、そこから新しい知識や道理を発見するという意味です。Off-JTでは、過去に蓄積された知識や理論を体系的に学ぶことで、それを現在のビジネス課題に応用し、新しい解決策を生み出すヒントを得ることができます。過去の成功事例や失敗事例から学び、それを今の状況に合わせて活かす力が養われるのです。
- 「石の上にも三年」 とは少し違いますが、Off-JTは「石の上にも三年」で得られるような深い知識やスキルを、より効率的に、そして体系的に得るための手段として捉えることができます。単に時間をかけて経験を積むだけでなく、その経験を意味のあるものにするための土台をOff-JTで築くのです。
ビジネスとしてのOff-JTの捉え方
ビジネスにおいて、Off-JTは単なる福利厚生や個人の自己啓発の場ではありません。企業戦略において、非常に重要な位置を占めるものです。
企業の成長を支える投資
企業にとってのOff-JTは、社員への「投資」です。社員一人ひとりのスキルや知識が向上すれば、それは企業の生産性向上や競争力強化に直結します。
例えるなら、会社が新しい高性能な機械を導入するようなものです。新しい機械を導入すれば、それまで手作業で行っていたことが自動化されたり、より高品質な製品を作れるようになったりして、会社の利益が増えます。Off-JTで社員が新しいスキルを身につけることも、これと同じ効果があります。社員が高度な専門知識を持てば、より複雑な仕事に対応できるようになり、新しい技術を導入する際にもスムーズに対応できるため、会社全体のパフォーマンスが向上するのです。
また、プロスポーツチームが選手を強化するために、専門のコーチを招いたり、最新のトレーニング施設を整えたりするのと同じです。企業も、社員という「人材」を強化するために、Off-JTという「トレーニング」に費用と時間をかけることで、チーム全体のパフォーマンスを向上させ、勝利(=ビジネスでの成功)を目指します。
変化の激しい時代への適応
現代のビジネス環境は、目まぐるしく変化しています。新しい技術が次々と生まれ、市場のニーズも常に移り変わっています。このような時代において、過去の知識やスキルだけでは通用しなくなることも少なくありません。
Off-JTは、このような変化に対応するための重要な手段です。新しいIT技術、マーケティング手法、マネジメントスキルなど、常に最新の情報を学び、自分自身をアップデートしていくことで、企業は時代の変化に取り残されることなく、持続的な成長を続けることができます。
例えば、昔は手紙のやり取りが主流だったビジネスの世界で、今ではメールやチャットツールが当たり前になっています。もし、新しいツールの使い方を学ばなければ、仕事の効率が著しく落ちてしまうでしょう。Off-JTは、このような新しいツールの使い方や、変化に対応するための考え方を学ぶ場として非常に有効です。
うまく使えない場合の改善方法・考え方
せっかくのOff-JTの機会も、使い方を間違えると効果が半減してしまいます。ここでは、Off-JTをうまく活用できないと感じる場合の改善方法や考え方についてご説明します。
目的意識の欠如
Off-JTがうまくいかない最大の原因の一つは、参加者自身の「目的意識の欠如」です。なぜこの研修を受けるのか、何を身につけたいのかが明確でないと、ただ漫然と時間を過ごしてしまうことになりかねません。
例えるなら、目的地を決めずに車を運転するようなものです。どこへ向かうのか分からなければ、ただガソリンを消費するだけで、目的地にはたどり着けません。Off-JTも同じで、この研修を通じて何を達成したいのか、どんなスキルを身につけて仕事にどう活かしたいのかを、事前にしっかりと考えることが大切です。
改善方法
- 具体的な目標設定: 研修に参加する前に、「この研修で〇〇の知識を習得し、仕事の〇〇の場面で活用する」といった具体的な目標を設定しましょう。目標が明確であれば、研修中の集中力も高まり、得られるものも多くなります。
- 上司とのすり合わせ: 研修の目的や期待される成果について、事前に上司と話し合いましょう。これにより、自分自身の目標と会社が期待する成果との間にズレがなくなり、より効果的な学習が期待できます。
受け身の姿勢
Off-JTは、講師が一方的に教える場ではありません。参加者自身が積極的に学び、疑問を解消し、意見を交換する場です。受け身の姿勢でいると、せっかくの学びの機会を十分に活かすことができません。
例えるなら、テレビのドキュメンタリー番組をボーっと見ているだけのようなものです。興味のあるテーマだとしても、ただ見ているだけでは、深く記憶に残ったり、何か新しい発見があったりすることは少ないでしょう。しかし、メモを取りながら見たり、気になったことをインターネットで調べたりすることで、より多くの情報を得ることができ、理解も深まります。
改善方法
- 積極的な参加: 研修中は、質問をしたり、意見を述べたり、グループワークに積極的に参加したりしましょう。能動的に関わることで、より深い理解が得られます。
- メモを取る習慣: 重要なポイントや疑問に思ったことは、すぐにメモを取りましょう。後で見返すことで、記憶の定着にもつながります。
学びの継続性の欠如
Off-JTで学んだことを、研修後すぐに実践しなければ、せっかく身につけた知識やスキルは忘れ去られてしまいます。単発の研修で終わらせず、学びを継続していくことが重要です。
例えるなら、一度スポーツジムに行って運動しただけで、すぐに筋肉がつくわけではないのと同じです。継続的にトレーニングを続けることで、少しずつ体が引き締まり、力がついていきます。Off-JTで学んだことも、日々の業務の中で意識的に活用し、継続的に練習することで、真のスキルとして定着するのです。
改善方法:
- 実践の機会を作る: 研修で学んだことを、できるだけ早く実際の業務で試してみましょう。小さなことでも構いません。実践することで、知識が定着し、自分のものになります。
- フィードバックを求める: 学んだことを実践した際には、上司や同僚にフィードバックを求めましょう。自分の課題や改善点が見つかり、さらなる成長につながります。
- 定期的な復習: 研修資料を見返したり、関連書籍を読んだりして、定期的に復習する時間を設けましょう。
分かりやすく一般的な行動から例えるなら
Off-JTを私たちの日常生活の中での行動に置き換えて考えてみましょう。
料理教室に通うこと
先ほども少し触れましたが、料理教室に通うことはOff-JTの非常に良い例です。
- 通常の料理(OJT): 普段家で、自分の知っている範囲で適当に料理を作る。美味しいものも作れるが、レパートリーは限られ、失敗することもある。
- 料理教室(Off-JT): プロの先生から、基礎的な包丁の使い方、食材の選び方、味付けの基本、盛り付けのコツなど、体系的に教えてもらう。普段作らないような本格的な料理にも挑戦し、新しいスキルを身につける。
これにより、普段の料理の腕前が格段に上がり、自信を持って様々な料理を作れるようになります。
自動車教習所に通うこと
自動車教習所に通って運転免許を取ることも、Off-JTの良い例です。
- いきなり運転(OJTに似ているが危険): 免許がない状態で、いきなり公道で車を運転しようとする。危険ですし、事故を起こす可能性が高い。
- 自動車教習所(Off-JT): 決められたカリキュラムに沿って、専門の指導員から、交通ルール、標識の意味、運転操作の基本、危険予測などを座学と実技で学ぶ。安全な環境で繰り返し練習することで、運転の基礎をしっかりと身につける。
教習所で基礎を学ぶことで、実際の道路に出てからも、安全かつスムーズに運転できるようになります。
資格取得のための専門学校や通信講座
特定の資格を取得するために、専門学校に通ったり、通信講座を受講したりすることもOff-JTの一種です。
- 独学で試行錯誤(OJTに似ている): 資格の勉強を始めるが、どの教材が良いのか、どのように勉強すれば効率的か分からず、試行錯誤を繰り返す。
- 専門学校や通信講座(Off-JT): 資格取得に必要な知識やスキルが体系的にまとめられたカリキュラムに沿って、専門の講師から指導を受ける。効率的な学習方法や試験対策のノウハウも学ぶことができる。
これにより、独学よりも効率的に、そして確実に資格取得を目指すことができます。
効果的な使い方
Off-JTを最大限に活用し、ビジネスマンとしての成長を加速させるための効果的な使い方をご紹介します。
目標を明確にする
研修に参加する前に、「なぜこの研修を受けるのか」「何を学びたいのか」「学んだことをどのように仕事に活かすのか」という目標を具体的に設定することが最も重要です。目標が明確であればあるほど、研修中の集中力が高まり、得られる成果も大きくなります。
例えば、「プレゼンテーションスキル向上研修」に参加するのであれば、「顧客への提案時の説得力を高めるために、聞き手を惹きつける話し方と、分かりやすい資料作成のスキルを習得する。そして、来月の新商品プレゼンで実践する」といった具体的な目標を設定します。
事前準備を怠らない
研修内容に関連する基本的な知識を事前に学習したり、研修で解決したい課題を整理したりするなど、事前準備をしっかり行うことで、研修の効果は何倍にも高まります。
例えるなら、海外旅行に行く前に、訪れる国の文化や言語、歴史について少しでも調べておくようなものです。事前に調べておくことで、現地での体験がより深く、豊かなものになります。研修も同じで、事前に準備しておくことで、研修中の理解度が深まり、より多くのことを吸収できるようになります。
積極的に参加する
研修中は、受け身ではなく、能動的な姿勢で臨むことが大切です。質問をしたり、自分の意見を述べたり、グループワークに積極的に参加したりすることで、学びが深まります。
例えば、新しい営業手法についての研修であれば、「自社の製品にこの手法を応用するならどうすべきか」といった具体的なケースを想定して質問を投げかけたり、グループディスカッションで自分の意見を積極的に発信したりすることで、より実践的な学びを得られます。
学んだことをアウトプットする
研修で得た知識やスキルは、アウトプットすることで定着します。学んだことを同僚に説明したり、実際に業務で試してみたり、レポートにまとめたりするなど、何らかの形でアウトプットする機会を作りましょう。
例えるなら、新しいレシピを習った後、実際にその料理を作ってみて、家族や友人に振る舞うようなものです。実際に作ってみることで、レシピの理解が深まり、自分のものとして定着します。
フィードバックを求める
学んだことを実践した後には、周囲からのフィードバックを求めることも重要です。上司や同僚からの客観的な意見は、自分の成長にとって非常に貴重なものです。
例えば、プレゼンテーションを行った後、上司や同僚に「話し方はどうだったか」「資料は分かりやすかったか」「改善点はあるか」といった具体的なフィードバックを求めることで、次回のプレゼンテーションに活かすことができます。
継続的な学習を意識する
Off-JTは、一度受けたら終わりではありません。学びは継続することが大切です。研修で得た学びを土台として、関連書籍を読んだり、オンライン学習コンテンツを活用したりするなど、自ら継続的に学習する姿勢を持ちましょう。
例えるなら、一度スポーツのトレーニングを教えてもらったら、それ以降は自分で継続的に練習を続けるようなものです。継続することで、体力やスキルが向上し、維持されます。
仕事で起こりうるケース・場面から考えると
Off-JTが実際の仕事の場面でどのように役立つのか、具体的なケースを挙げて考えてみましょう。
新しいプロジェクトのリーダーに任命された場合
あなたは、これまで経験のない新しい分野のプロジェクトリーダーに任命されました。これまでの経験だけでは対応が難しいと感じています。
- Off-JTの活用: プロジェクトマネジメントに関する研修や、新しい分野の専門知識を学ぶセミナーに参加します。例えば、アジャイル開発手法の研修を受けたり、特定業界の市場動向に関する講座を受講したりします。
- 効果: 研修で体系的なプロジェクト管理の手法や、新しい分野の基礎知識を学ぶことで、自信を持ってプロジェクトを推進できるようになります。チームメンバーへの指示も的確になり、予期せぬトラブルにも冷静に対応できる可能性が高まります。
顧客との交渉で成果が出ない場合
顧客との交渉が苦手で、なかなか契約に結びつかないと感じています。
- Off-JTの活用: 交渉術やコミュニケーションスキルに関する研修、あるいは営業戦略に関するセミナーに参加します。顧客の心理を理解する方法や、効果的な質問の仕方、相手のニーズを引き出すテクニックなどを学びます。
- 効果: 研修で学んだ交渉術を実践することで、顧客との信頼関係を築きやすくなり、より建設的な話し合いができるようになります。結果として、成約率の向上や、より良い条件での契約締結につながる可能性があります。
部下を育成する立場になったが、指導に悩む場合
新しく部下を持つことになり、どのように指導すれば良いか悩んでいます。
- Off-JTの活用: コーチングやメンタリングに関する研修、あるいはリーダーシップ開発プログラムに参加します。部下の能力を引き出すコミュニケーション方法、目標設定の支援、モチベーション管理のコツなどを学びます。
- 効果: 研修で学んだコーチングスキルを活用することで、部下の自律的な成長を促し、チーム全体のパフォーマンスを向上させることができます。部下との信頼関係も深まり、働きやすい職場環境の構築にも貢献します。
情報セキュリティに関する知識が必要になった場合
最近、社内で情報セキュリティに対する意識を高める必要があり、自分も基本的な知識を身につけたいと考えています。
- Off-JTの活用: 情報セキュリティに関する基礎研修や、個人情報保護法に関するセミナーに参加します。サイバー攻撃の種類や対策、個人情報の適切な取り扱い方、社内でのセキュリティポリシーの遵守方法などを学びます。
- 効果: 研修を通じて情報セキュリティに関する正しい知識を身につけることで、日々の業務におけるリスクを軽減できます。また、周囲の同僚にも正しい情報を伝え、社内全体のセキュリティ意識向上に貢献できます。
説明するための注意点
Off-JTについて他者に説明する際には、いくつか注意すべき点があります。
専門用語を避け、平易な言葉で説明する
相手がOff-JTに詳しくない場合、専門用語を多用すると理解を妨げてしまいます。「体系的学習」「専門性」「集合研修」といった言葉も、必要であれば分かりやすい言葉に置き換えたり、具体例を交えたりして説明しましょう。
例:「体系的学習」は「バラバラではなく、一つながりの知識として学ぶこと」。「専門性」は「ある分野について、人よりも深く詳しい知識や技術」といった具合です。
具体的なメリットを伝える
Off-JTがなぜ重要なのか、受けることでどのような良いことがあるのかを具体的に伝えることが大切です。ただ「スキルアップのため」と漠然と伝えるのではなく、「○○の業務で困っていることを解決できるようになる」「新しい○○の知識を身につけることで、将来のキャリアの選択肢が広がる」など、相手にとってのメリットを明確に伝えましょう。
相手の疑問を想定して説明を補足する
「 Off-JTを受ける時間がない」「受けても意味がないのでは」といった、相手が抱きそうな疑問や懸念を先回りして説明に盛り込むことで、より納得感のある説明ができます。例えば、「確かに業務が忙しい中で時間を取るのは大変ですが、Off-JTで効率的な仕事の進め方を学ぶことで、結果的に時間の余裕が生まれる可能性があります」といった形で補足すると良いでしょう。
成功事例や具体的な例を挙げる
抽象的な説明だけでは伝わりにくいこともあります。実際にOff-JTを受けて成果を出した人の話や、具体的な仕事の場面に当てはめた例を挙げることで、相手はよりイメージしやすくなります。
強制的な印象を与えない
Off-JTは、個人の成長を支援するものです。強制的な印象を与えてしまうと、相手は反発を感じるかもしれません。「ぜひ一緒に学んでいきましょう」「あなたの成長を応援したい」といった前向きな姿勢で接し、自主的な参加を促しましょう。
悪い使い方・注意点
Off-JTは非常に有効な学習手段ですが、使い方を誤ると期待する効果が得られなかったり、かえってマイナスになったりすることもあります。ここでは、Off-JTの悪い使い方や注意すべき点についてご説明します。
目的が不明確なまま参加する
「とりあえず受けておけばいいだろう」「会社から勧められたから」といった理由で、何の目的意識もなく参加することは、Off-JTの最も悪い使い方の一つです。時間とコストが無駄になるだけでなく、参加者自身もモチベーションが上がらず、何も得られないまま終わってしまう可能性があります。
例えるなら、流行りのダイエット法を、自分の体質や目標も考えずに、ただ真似して試すようなものです。自分に合わない方法では効果が出ないだけでなく、体調を崩す原因になることもあります。
注意点: 研修に参加する前に、必ず「この研修で何を学びたいのか」「学んだことをどう活かしたいのか」を自分自身で問い直し、目標を明確にしましょう。
受け身の姿勢で参加し、思考を停止する
研修中にただ座って講師の話を聞いているだけで、質問もせず、議論にも参加しないなど、受け身の姿勢でいることも悪い使い方です。これでは、情報をインプットするだけで終わってしまい、深く理解したり、自分のものとして定着させたりすることができません。
例えるなら、テレビのニュース番組をBGMのように流しているだけで、内容を全く理解しようとしないようなものです。せっかくの情報も、耳から入ってそのまま通り過ぎていくだけになってしまいます。
注意点: 積極的に質問をしたり、意見を述べたり、グループワークに参加したりするなど、能動的に学びに関わりましょう。
学んだことを実践しない・活かさない
研修でどんなに素晴らしい知識やスキルを学んでも、それを実際の業務で実践したり、活かしたりしなければ、何の価値も生まれません。学んだことを机上の空論で終わらせてしまうのは、非常に勿体ないことです。
例えるなら、新しい料理のレシピ本を買ったのに、一度もそのレシピで料理を作らないようなものです。本を読んだだけで料理が上手になることはありません。実際に作ってみて初めて、そのレシピの良さを理解し、自分のものにすることができます。
注意点: 研修後すぐに、学んだことを業務に適用できる機会を探し、積極的に実践しましょう。小さなことでも構いませんので、まずは試してみることが大切です。
研修疲れや過度な負担になる
Off-JTは、通常の業務と並行して行われることが多いため、参加者に過度な負担をかけてしまうことがあります。研修が連続したり、内容が難解すぎたりすると、かえってストレスになり、モチベーションを低下させてしまう可能性もあります。
例えるなら、運動を始めたばかりの人が、いきなり毎日ハードなトレーニングを課せられるようなものです。無理な負荷は体を壊す原因になります。
注意点: 企業側は、社員の業務負担も考慮しながら、無理のない研修計画を立てることが重要です。参加者側も、もし負担が大きいと感じたら、率直に上司に相談しましょう。
研修自体が目的となってしまう
Off-JTは、あくまで個人の成長や企業の目標達成のための「手段」です。研修を受けること自体が目的となってしまい、その先の成果や活用を意識しないケースも悪い使い方です。
例えるなら、英語の資格を取ること自体が目的になってしまい、実際に英語を使ってコミュニケーションを取ることや、仕事に活かすことを考えないようなものです。資格はあくまでツールであり、それをどう使うかが重要です。
注意点: 研修の目的を常に意識し、学んだことをいかに仕事に活かし、成果に結びつけるかを考えながら参加しましょう。
Off-JTで自身の専門性を高め、キャリアを切り拓く
Off-JTは、単なる研修ではなく、ビジネスパーソンが自身の体系的な学習スキルを習得し、専門性を高めるための強力なツールです。まるでゲームの攻略本を読み込むように、料理教室でプロから学ぶように、あるいは自動車教習所で安全運転の基礎を習得するように、普段の業務では得られない深い知識やスキルを効率的に学ぶことができます。
企業にとっては、社員への未来への投資であり、変化の激しい時代を生き抜くための重要な戦略です。そして、私たちビジネスパーソンにとっては、自身の市場価値を高め、キャリアを切り拓くための自己啓発の機会でもあります。
Off-JTを効果的に活用するためには、明確な目標設定、積極的な参加姿勢、そして学んだことの実践と継続が不可欠です。受け身にならず、研修で得た知識やスキルを実生活や仕事にどう活かすかを常に考え、試行錯誤を繰り返すことで、その真価を発揮するでしょう。
目の前の業務に追われるだけでなく、一歩立ち止まって自身の成長に投資する時間を持つことは、長期的な視点で見れば、必ず大きなリターンとなって返ってきます。Off-JTを通じて、ぜひご自身の可能性を広げ、ビジネスパーソンとしての更なる高みを目指してください。

