営業が向いてない人・できない人こそ売り上げを上げることが出来る!弱点を強みに変える営業方法

営業が向いてない人・できない人こそ売り上げを上げることが出来る!弱点を強みに変える営業方法

はじめに
このマニュアルを手に取ったあなたは、「営業が苦手」「自分は営業に向いていないのでは」と悩んでいるかもしれません。安心してください。営業が苦手だと感じている人でも、適切な心構えとスキルを身につければ、必ず売上を伸ばすことができます。本書では、営業が向いていない・営業ができないと感じている方に向けて、心構えから具体的な営業手法までを8章にわたって解説します。業界や商品、営業対象(法人・個人)を問わず活用できる汎用的な内容となっており、具体的な会話例や事例も織り交ぜています。

心構え(会社員として社会人として)

営業で成果を出すためには、まず何よりも心構えが大切です。営業が苦手だと感じている人ほど、正しい心構えを持つことで大きく成長できます。本章では、会社員として、そして社会人としての基本的な心構えについて確認しましょう。

営業の目的と社会的意義を理解する

営業職の目的は、自社の商品やサービスを必要としているお客様に、それを提供し課題を解決してもらうことです。その結果、自社の売上に貢献できるのはもちろん、お客様の役に立ち社会に価値を提供することにもなります。「物を売る」のではなく、「お客様の問題を解決する」のが営業の本質なのです。自分の仕事が誰かの助けになっていると思えば、営業への苦手意識も和らぐでしょう。

また、営業は企業の「顔」でもあります。お客様にとっては、電話口で応対したあなたや訪問したあなた自身が会社そのものの印象となります。たとえ素晴らしい商品でも、営業担当者の印象が悪ければ契約には至りません。逆に、あなた自身が感じの良い応対をすれば「あなたから買いたい」とお客様に言っていただけることもあるのです。会社員として自社を代表している自覚を持ち、誠実で明るい対応を心がけましょう。それが社会人としての信用にもつながります。

プロ意識と基本的ビジネスマナー

営業が苦手と感じる方ほど、まずは基本的なプロ意識を再確認しましょう。社会人として当たり前のことを当たり前に行うことが信頼関係の土台となります。例えば、以下のような基本事項です:

  • 時間厳守:訪問や約束の時間は厳守します。遅刻は信頼を損ねる最大の要因です。5分前行動を習慣にしましょう。

  • 身だしなみ:清潔感のある服装・髪型で臨みます。第一印象で「信頼できそうだ」と思ってもらえることが大切です。

  • 挨拶・礼儀:明るい挨拶と丁寧な言葉遣いを心がけます。特に言葉遣いについては敬語を正しく使い、「御社」「弊社」「○○様」といった敬称を間違えないよう注意しましょう。

  • 約束・迅速な対応:お客様との約束事は守り、依頼された資料送付や質問への回答などはできるだけ早く対応します。素早い対応はそれだけで信頼につながります。

  • 誠実さ:わからないことを曖昧にごまかさず、「確認して折り返します」と正直に伝える勇気も必要です。不明瞭な返答をするより、誠実な対応の方がお客様の信頼を得られます。

これらは営業に限らず社会人として基本的なマナーですが、営業職では特に重要です。「会社の代表」としてのプロ意識を持ち、一つひとつ丁寧に対応することで、お客様からの信頼を積み重ねていきましょう。

「苦手意識」を克服するマインドセット

「自分は営業に向いていない」と感じている方の多くは、営業に対する苦手意識やネガティブなイメージを抱えています。しかし、その意識を変えるだけで状況は大きく好転します。

まず、営業に苦手意識を持つ典型的な理由を振り返ってみましょう。当てはまるものがないかチェックしてみてください。

  • ノルマのプレッシャーに押しつぶされそう:毎月の目標数字に追われ、「達成できなければ叱られる」というプレッシャーが辛い。

  • 人と話すのが負担に感じる:初対面の相手と話したり関係構築することにストレスを感じ、営業トークがうまくできない。

  • 断られたり嫌われたりするのが怖い:お客様に断られるたびに自分を否定されたように感じて落ち込んでしまう。

  • 会社や上司の方針に納得できない:強引な売り込みを指示されたり、非効率なやり方を押し付けられてモヤモヤしている。

  • 自社の商品に自信が持てない:自社の商品・サービスに魅力を感じられず、「押し売りをしているのでは…」と葛藤してしまう。

いかがでしょうか。もし一つでも思い当たるなら、その感じ方を少しずつ前向きに変えてみることが大切です。例えばノルマについては、「常に成長を促してくれる目標」と捉え、結果だけでなく行動目標(アポイント○件獲得など)に集中してみましょう。人と話すことが負担なら、「すべての人に好かれる必要はない、まずは目の前の一人との対話を楽しんでみよう」と考えてみます。断られる恐怖については、「断られるのは商品が今は合わなかっただけ、自分自身を否定されたわけではない」と切り替えましょう。実際、どんな優秀な営業でも断られることは日常茶飯事ですし、どんなに営業成績が良い人でも失敗した経験がない人はいません。あなた一人が特別にダメなわけでは決してないのです。

会社の方針に違和感がある場合も、まずは自分なりに工夫できる余地がないか探ってみましょう。お客様目線を大切にしつつも上司の指示を守るバランスを取ったり、提案の仕方を自分流にアレンジすることで、自分も納得できる営業スタイルを模索できます。それでもどうしても合わない場合は、信頼できる先輩や同僚に相談し、状況を改善するヒントをもらうのも有効です。

自社商品に自信が持てないときは、徹底的に商品・サービスを理解する努力をしましょう。製品知識を深め、過去の成功事例やお客様の声を調べてみると、「こんな価値を提供できるんだ」と新たな発見があるかもしれません。自分が良いと思えないものを売るのは辛いですが、良い点に目を向け磨いていけば、自信を持って提案できるようになります。それでもどうしても誇れない商材であれば、上司に率直にフィードバックし改善を促すことも場合によっては必要でしょう。いずれにせよ、まずは「自分の提案が誰かの役に立つ」という前向きな信念を持つことが、苦手意識克服の第一歩です。

失敗を糧に成長する

営業活動では上手くいかないことが必ずあります。大事なのは、失敗を引きずらないことです。一度の失敗で「やっぱり自分はダメだ…」と落ち込んでしまう気持ちはわかりますが、そこで止まってしまっては成長も止まってしまいます。むしろ、失敗は貴重な経験です。トライ&エラーを繰り返しながら成功に近づいていくものだと心得ましょう。

失敗は成功のもと」という言葉があるように、失敗から学べることは多くあります。たとえばお客様から商談で断られたら、「提案のどこが合わなかったのだろう?」「ヒアリングが足りなかったかもしれない」と振り返って次に活かせます。電話をかけても取り次いでもらえなかったなら、「アプローチ先の選定を見直そう」「切り出しのトークを工夫しよう」と改善策が見えてきます。

重要なのは、気持ちの切り替えです。落ち込むことがあっても、翌日は気持ちを新たにまた挑戦しましょう。営業成績の良い人ほど気持ちの切り替えが早く、失敗をいつまでも引きずりません。上手くいかなかった理由を分析したら、次はどうすれば上手くいくかを考えて即行動です。暗い表情で次のお客様に会うと、それだけで相手にも不安を与えてしまいます。深呼吸して姿勢を正し、明るい声で「次行ってみよう!」と自分に言い聞かせてみてください。

会話例:新人営業と先輩社員の対話

営業の心構えについて、以下はとある新人営業と先輩社員の会話例です。新人が営業の難しさに悩んでいる場面で、先輩がアドバイスを与えるシーンを見てみましょう。

新人営業:「先輩…私、やっぱり営業に向いてないかもしれません…。お客様に断られるのが怖くて、電話をかける手も震えてしまって…。」
先輩営業:「誰だって最初は怖いものだよ。断られるのは辛いし慣れないよね。」
新人営業:「はい…。断られるたびに、自分を全否定されたような気持ちになってしまって。」
先輩営業:「気持ちはわかるよ。でも、お客様はあなた自身を否定しているわけじゃないんだ。今はその商品が必要ないとか、タイミングが合わなかったってだけの場合も多い。営業はね、お客様の問題を解決するお手伝いをする仕事なんだよ。」
新人営業:「問題を解決するお手伝い…ですか。」
先輩営業:「そう。売り込むのではなく、役に立てるかを考える。君が提案しているサービスは、お客様にとってきっと役立つものだよね?自信を持って大丈夫。もし自信が持てないなら、商品の良さをもう一度確認してみよう。」
新人営業:「…はい。先輩がそこまで言う商品ですから、役に立つはずですよね。」
先輩営業:「もちろんさ。断られることばかり考えずに、『自分は誰かの役に立てる』って考えてみて。そうすれば少し前向きな気持ちで電話もかけられるはずだよ。」
新人営業:「ありがとうございます、なんだか少し気が楽になりました。」
先輩営業:「いいんだよ。僕だって新人の頃は毎日のように断られて落ち込んでた。でも失敗は成功のもとっていうだろ?あれは本当でね、失敗するたびに学べばいいんだ。君も一緒に頑張っていこう!」
新人営業:「はい、私もお客様の役に立てるよう頑張ってみます!」

このように、営業への苦手意識は「お客様の役に立つんだ」という発想の転換で和らげることができます。営業は決して押し売りでも迷惑行為でもありません。あなた自身が社会人として誠実にお客様と向き合い、課題解決のパートナーになることができれば、お客様から感謝され、結果として売上も伸びていくのです。

受け答え・対応の仕方

営業の成果は、日々のコミュニケーションの積み重ねによって生まれます。お客様へのちょっとした受け答え一つで印象が大きく変わることもあります。本章では、営業シーンにおける効果的な受け答えや対応の仕方について解説します。丁寧で的確なコミュニケーションを身につけ、お客様との信頼関係を築きましょう。

相手の話をよく聞く姿勢

営業に限らずコミュニケーションの基本は「相手の話をきちんと聞く」ことです。自分が話すより前に、まずお客様の話に耳を傾けましょう。相手の話を途中で遮ったり、すぐに否定から入ったりするのは厳禁です。また、自分ばかり話しすぎてもいけません。「自分がされたら嫌なことは相手にもしない」という意識を常に持ちましょう。

良い受け答えのためのポイントは次のとおりです。

  • 最後まで傾聴する:お客様の説明や要望を途中で口を挟まず最後まで聞きます。相手が話し終えるまでうなずきながら耳を傾けましょう。

  • 相槌と共感:適度に「あっ、はい」「なるほど」「おっしゃるとおりですね」など相槌を打ち、関心を示します。ただし過剰すぎる相槌や機械的な「はい」は逆効果なので注意が必要です。相手の気持ちに共感できる部分があれば「それはお困りだったですね」などと一言添えると、「この人は分かってくれる」と感じてもらいやすくなります。

  • 要点の確認:相手が伝えたかった要望や懸念が自分の理解と一致しているか確認しましょう。例えば「つまり○○ということでよろしいでしょうか?」と要点を復唱することで、思い違いや聞き漏らしを防げます。

  • 相手を尊重する:仮にお客様の考えが自分の提案と異なる場合でも、いきなり否定せず「おっしゃることはよく分かります」と受け止めてから自分の意見を伝えます。意見の相違があっても相手の立場を尊重した言い回しを心がけましょう。

  • 自分の話もしすぎない:雑談や説明に夢中になるあまり、お客様の反応を置き去りにしないように注意します。双方向のコミュニケーションになるよう、話しすぎたと感じたら一度質問して相手に話してもらうといった調整をしましょう。

分かりやすく答えるスキル

お客様からの質問や依頼に対して、分かりやすく答えることも営業には欠かせません。ポイントは、簡潔かつ的確に伝えることです。だらだらと背景説明ばかり長く話すと、結局何が言いたいのか伝わらず、相手を混乱させてしまいます。

結論から述べる習慣をつけましょう。例えば質問を受けたときは、まず「はい、お引き受け可能です」「いいえ、申し訳ありませんが難しいです」「それは○○ということです」といった結論や要点を端的に答えます。その後に必要な理由や補足説明を加えると、相手は理解しやすくなります。

また、専門用語や社内用語の多用にも注意が必要です。業界に詳しくないお客様には伝わらない可能性があります。できるだけ噛み砕いた表現で説明し、「つまり〇〇というイメージでございます」「言い換えますと、○○です」と補足すると親切です。

声のトーンや話す速度も大切です。早口になりすぎず、はきはきとした口調で話しましょう。緊張すると声が小さく早口になりがちですが、意識して落ち着いたペースで話すことで信頼感が生まれます。笑顔で明るい表情を浮かべながら話すと、電話越しでも声に笑顔の雰囲気が乗り、相手に好印象を与えます。

質問への対応と答えにくい時の対処

営業中にはお客様からさまざまな質問を受けます。全てに即答できるとは限りませんが、誠実な対応をすることが大切です。もし質問の答えが手元の知識では分からない場合、無理にその場で適当な返答をしないようにしましょう。誤った情報を伝えてしまうと信頼を失いかねません。

そのような場合は率直に、「大変恐れ入ります。ただいま手元に正確な情報がございませんので、調査して改めてご連絡してもよろしいでしょうか?」とお願いしましょう。多くのお客様は誠実な対応に理解を示してくださいます。重要なのは、その後必ず早めに回答を用意して連絡することです。約束を守れば信頼につながります。

一方、答えにくい質問や要望を受けることもあります。例えば値引き交渉や無理な納期短縮の依頼など、こちらの条件では難しいケースです。その場合も、頭ごなしに「できません」と突っぱねるのではなく、クッション言葉を使ってやんわりと伝えます。例えば「恐れ入りますが、大幅なお値引きは難しい状況でございます」や「申し訳ございませんが、明日までの納品は難しく存じます」のように前置きするだけで、相手に与える印象は格段に柔らかくなります。

クッション言葉とは、ストレートに言うときつく聞こえてしまう表現の前に添える緩和表現のことです。「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」「お手数ですが」「差し支えなければ」といったフレーズを上手に活用しましょう。たとえば何かをお願いする際には「お手数ですが、資料をご確認いただけますでしょうか?」とするだけで、命令形で伝えるより丁寧になります。相手への配慮として非常に効果的なので、ぜひ日頃から意識してみてください。

クレーム・困ったときの対応

営業をしていると、お客様から苦情やクレームの電話を受けたり、想定外のトラブルに直面したりすることもあります。そんなときこそ冷静で丁寧な対応が求められます。

クレーム対応の基本は、まず相手の話をしっかり聞き、共感と謝罪を伝えることです。お客様が怒っている場合、途中で言い訳をすると火に油を注ぐことになりかねません。相手の怒りや不満を最後まで受け止め、「ご不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございません」と心から謝意を伝えましょう。

その上で、解決策を提示します。ただ謝るだけではお客様の不満は解消されません。「ただいま◯◯いたします」「早急に△△いたします」など、具体的に何をするかを示し、実行に移します。もし自分の権限で解決できない場合は、「上長とも相談し、改めて対応方法をご連絡いたします」と伝え、社内で然るべき対応策を検討しましょう。そして約束した通り迅速に行動し、フォローアップすることが肝心です。

クレームに真摯に向き合い解決できれば、お客様の信頼を取り戻すどころか、以前より関係が良くなることさえあります。困ったときほど基本に立ち返り、誠意ある言葉遣いと迅速な対応で乗り越えましょう。

会話例:価格に関するお客様の懸念への対応

ここでは、お客様から「価格が高い」という懸念が示された際の営業担当者の受け答え例を示します。お客様の不安に共感しつつ、自社製品の価値を伝え、丁寧に対応する様子に注目してください。

顧客:「正直、御社の製品は他社に比べて価格が高いように思うのですが…。」
営業:「貴重なご意見をありがとうございます。確かに当社の製品は、いわゆる最安値というわけではございません。」
顧客:「やはりそうですよね。他にもっと安い選択肢もあると聞いていまして。」
営業:「はい、おっしゃるとおりです。ただ、その分品質アフターサポートに力を入れております。例えば、当社製品は耐久性が高く長期間ご利用いただけますし、万が一不具合が生じた場合も専門のサポートスタッフが迅速に対応いたします。そのため、初期費用は多少高めですが、トータルのコストパフォーマンスではご満足いただけると自負しております。」
顧客:「品質やサポートが充実しているのは魅力ですね。」
営業:「ありがとうございます。ご懸念はもっともですので、実際にお試しいただく期間を設けることも可能です。もし価格面でご不安でしたら、まずは1ヶ月間無料でお使いいただき、効果や使い心地を確かめていただければと思います。」
顧客:「1ヶ月無料で試せるんですか?」
営業:「はい、その期間で製品の良さを実感していただければ幸いです。もちろんその間のサポートも全て無料で対応いたします。」
顧客:「それなら安心して検討できますね。」
営業:「ありがとうございます。ぜひご遠慮なく色々お試しいただき、ご不明点があればいつでもおっしゃってください。○○様にとって最適な選択となるよう、全力でサポートいたします。」

このように、お客様の不安や疑問に対しては共感しつつ具体的な情報や提案を示すことが重要です。頭ごなしに否定したり強引に説得しようとしたりせず、お客様の立場に立って対話を進めましょう。適切な受け答えを積み重ねることで、「この人になら任せても大丈夫だ」と信頼していただける営業パーソンへと近づけるのです。


電話営業

飛び込み訪問や対面での営業も重要ですが、効率的に新規開拓を行う手段として電話営業(テレアポ)は今も欠かせません。電話一本でアポイントを取れれば、その後の商談につなげることができます。しかし、「電話営業は苦手…」という方も多いでしょう。本章では、電話営業を成功させるためのポイントと心構えを解説します。

電話営業の事前準備

電話営業で成果を出すには、事前準備がカギとなります。やみくもに電話をかけるのではなく、まず以下の準備を整えましょう。

  • ターゲットリストの用意:闇雲に電話帳を上からかけるのでは非効率です。自社の商品・サービスの見込みがありそうなターゲット企業や顧客リストを事前に作成し、優先度の高い順にアプローチしましょう。業種や規模、地域などで絞り込むと効果的です。

  • トークスクリプトの準備:電話口で何を話すか、あらかじめ台本(スクリプト)を用意しておきます。自己紹介、電話した目的や提案の要点、アポイント獲得への誘導など、盛り込む内容を整理しておきましょう。ただし丸読みは禁物です。あくまで流れと要点を押さえるためのメモとし、会話は自然な言葉で行います。

  • 想定問答集の用意:相手から聞かれそうな質問や、想定される断り文句をリストアップし、それぞれに対する返答を考えておきます。例えば「今は間に合ってます」と言われたらどう返すか、「予算がない」と断られたらどう切り返すか等、応酬話法を準備しておけば落ち着いて対応できます。

  • 環境と心構え:電話をかける場所は周囲の雑音が少なく、自分の声がクリアに届く環境を選びます。資料やメモも手元に揃えておきましょう。また、心構えとしては「断られて当たり前」くらいに思っておくことが大切です。電話営業はたくさんかけてナンボの世界。深く気に病まず、数をこなして経験値を積もうくらいの前向きさで臨みましょう。

電話営業成功のポイント

準備ができたら、いよいよ電話をかけていきます。電話営業で意識したいポイントをまとめます。

  • 最初の5秒で勝負:電話口では第一声が肝心です。相手にすぐ切られないよう、明るくハキハキと名乗りましょう。例えば「いつもお世話になっております。○○株式会社の田中と申します。」と会社名・名前を名乗り、「突然のお電話で失礼いたします。実は◯◯のご提案でお電話差し上げました。」と続けます。最初に「○分ほどお時間よろしいでしょうか?」とおおよその所要時間を伝えて了承を得ておくと、相手も安心し話を聞く姿勢になりやすくなります。

  • 基本的なマナーを忘れない:電話でも敬語や礼儀は重要です。相手の名前を伺ったら「○○様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。」など、丁寧な言葉遣いで応対します。忙しい時間帯にかけてしまったら「お忙しいところ恐れ入ります」と一言添えるだけでも印象が違います。ビジネスマナーを守った話し方で、「感じの良い人だ」と思ってもらうことを目指しましょう。

  • 声のトーンとペース:電話では声だけが頼りです。笑顔で話すと声に明るさが反映されますので、ぜひ口角を上げて話してみてください。早口になりすぎず、適度な速さではっきりと話します。緊張すると声が小さくなりがちなので、少し意識していつもより明るく一段大きめの声で話すくらいが丁度良いでしょう。ただし大声すぎると圧迫感になるため、相手の反応を聞きながら調整します。

  • 用件は簡潔に、メリットを強調:忙しい相手に長々と話すと嫌がられます。電話営業では要点を手短に伝えましょう。ただ商品を売り込みたいという視点ではなく、「相手にとってのメリット」を最優先に話します。例えば「御社の○○業務の効率化に役立つサービスのご提案でお電話しました」のように、相手の課題解決につながる話であることを冒頭で示せると効果的です。

  • 一方的に話さず会話にする:こちらばかり喋り続けると相手は聞く気を失ってしまいます。適宜相手にも発言の機会を作りましょう。例えば一通り要点を話したら「現在こういった課題は感じていらっしゃいますか?」などと質問し、相手の状況を引き出します。質問を交えることで単なるセールストークではなく対話の形に持っていくことができます。

  • セールス色を出しすぎない表現:露骨な売り込み口調は敬遠されます。「今だけ買ってください!」のような押し売り的表現は避け、「一度情報提供だけでもと思いお電話しました」「少しでもお力になれればと存じます」等、控えめで誠実なトーンを心がけます。特に初回の電話では、契約を迫るのではなく「まずはお話だけでも」とハードルを下げて提案すると相手も警戒しにくくなります。

  • 適切なタイミングを選ぶ:電話をかける時間帯も工夫しましょう。相手が忙殺されている時間にかけると、どんなに話し方が上手くても聞いてもらえません。業界にもよりますが、一般的に始業直後就業間際お昼休み中は避けた方が無難です。平日なら10時〜11時台、14時〜16時台が比較的落ち着いていることが多いでしょう。ただし相手先の業務状況にもよるため、「お電話大丈夫でしょうか?」と最初に一声かけ、難しそうなら時間を改める気遣いも必要です。

  • 断られても凹まない:電話営業では多くの場合、途中で話を断られたり「結構です」と切られてしまったりします。それが普通だと思いましょう。断られても「次行こう!」とすぐ切り替え、引きずらないことが大切です。一件一件に過度な期待をせず、「10件電話して1件繋がれば御の字」という感覚で数を重ねましょう。その中でトークの言い回しを試行錯誤し、少しずつブラッシュアップしていけば成果は向上していきます。

  • 目標は次のステップを得ること:電話だけで商品を売り切る必要はありません。むしろ電話営業の主目的は、アポイント(次の商談機会)を獲得することです。電話口で無理に契約を取ろうとすると敬遠されてしまいます。「一度直接お話させていただけませんか」「詳しい資料をお持ちしてご説明したいです」など、次のステップにつなげる提案をしましょう。相手が少しでも興味を示したら、すかさず日時の約束を取り付けるのがコツです。

断りへの対処とフォローアップ

こちらのトークに対し、相手から「今は間に合っている」「興味がない」といった反応が返ってくることは日常茶飯事です。大切なのは、ここで簡単に諦めないことです。とはいえ強引に食い下がって相手の気分を害してはいけません。相手の言葉の裏にある事情を推察し、上手に切り返しましょう。

例えば「今ちょっと忙しいので…」と言われたら、「承知いたしました。差し支えなければまた改めてお電話させていただければと存じますが、ご都合の良い日時はございますか?」と次の機会を打診します。「間に合っている」「興味がない」と言われた場合には、「ありがとうございます。他社様で既に導入済みとのこと、素晴らしいですね。ちなみに現在お使いのものに何かお困りの点などはございませんか?」と、一歩踏み込んだ質問でニーズを探ることもできます。相手が本当に必要としていないのか、それとも現状に不満があるのかを見極めるチャンスです。

それでも明確に断られた場合は、それ以上しつこくせず一旦電話を切ります。ただし「また機会がございましたらよろしくお願いいたします」と最後に丁寧に伝えて終わりましょう。笑顔で電話を切ることで、たとえ今断られても印象よく終われます。

電話営業で話せた相手には、通話内容のメモを残し、今後のフォローアップ計画を立てます。アポイント獲得できたなら日程を忘れず確認し、リマインドのご連絡も検討します。断られた場合も、少し時間をおいてから新製品リリースのタイミングで再アプローチするなど、継続的なフォローを心がけましょう。一度断られたからといって永遠にチャンスがないとは限りません。

会話例:テレアポでアポイントを取るまで

最後に、電話営業(テレアポ)の一連の流れを会話形式で見てみましょう。新規のお客様に電話し、多少の抵抗を示されつつも粘り強くアポイントを獲得する場面を想定しています。

営業(電話):「お忙しいところ恐れ入ります。私、○○株式会社の田中と申します。突然のお電話で失礼いたします。御社の業務効率化の件で、ぜひご提案したいことがありお電話いたしました。3分ほどで結構ですので、お時間いただけますでしょうか?」
顧客:「田中さん…ですか?ちょっと今立て込んでいまして…」
営業:「承知いたしました。では、改めてお電話差し上げてもよろしいでしょうか。もし可能でしたら〇曜日の午前中などいかがでしょう?」
顧客:「いや、あの…正直、間に合っているので必要ないです。」
営業:「そうですか…。失礼ながら、○○様の会社では現在△△のようなお悩みはございませんでしょうか?当社ではその点を解決できるサービスをご提供しておりますので、ぜひ一度詳しくお話させていただきたいのですが。」
顧客:「うーん、確かに△△の効率化は課題ではありますが…でもやっぱり今すぐじゃなくていいかなと。」
営業:「承知しました。それでは、まずはお話だけでも伺っていただけませんでしょうか。御社の現状を踏まえて、きっと有益な情報をご提供できると思っております。しつこく申し訳ありません。ただ、○○様の業務改善にお役立ちできればと存じまして…。」
顧客:「そこまでおっしゃるなら…お話聞くだけならいいですよ。」
営業:「ありがとうございます!ではぜひお時間をいただきたいのですが、来週の○月○日(火)午後2時頃に私どもがお伺いするという予定はいかがでしょうか?」
顧客:「来週火曜の14時ですね…。今のところ大丈夫だと思います。」
営業:「かしこまりました。それでは○月○日14時に御社にお伺いいたします。当日は私、田中が伺いますので、何卒よろしくお願いいたします。」
顧客:「はい、ではその時間で。」
営業:「貴重なお時間をいただきありがとうございます。それでは失礼いたします。」

この例のように、電話営業では粘り強さと礼儀正しさのバランスが重要です。相手が乗り気でなくても、相手の状況を気遣いながらこちらの提案価値を端的に伝え、何とか次のステップに繋げようと努めています。一方で相手が完全に拒絶した場合は無理強いせず、一度引く判断も大切です。電話営業は経験を重ねるほど上達します。恐れずチャレンジし、成功パターンを掴んでいきましょう。


電話対応(取り次ぎ方・営業の仕方)

電話での応対はビジネスパーソンにとって基本中の基本です。オフィスにかかってきた電話への対応ひとつで、会社の印象が決まると言っても過言ではありません。本章では、電話の受け方・取り次ぎ方と、こちらから電話をかける場合の基本マナーについて説明します。丁寧でスムーズな電話対応を身につけ、信頼される営業パーソンを目指しましょう。

電話を受ける基本マナー

社内に電話が鳴ったら、できるだけ3コール以内に出るようにします。長く鳴らし続けると相手を待たせてしまい、印象が悪くなるためです。電話に出たらまず明るい声で名乗りましょう。ビジネス電話では「もしもし」は使いません。代わりに「はい、○○株式会社でございます。」や「お電話ありがとうございます。○○株式会社△△部でございます。」といったフレーズで応答します。自分の名前を名乗るかは社内のルールによりますが、基本的に会社名(+部署名)をはっきり伝えることが大切です。

電話に出る際は、メモと筆記用具を手元に用意しておくことも重要です。相手の名前や要件、連絡先をすぐ書き留められるようにしましょう。また、会社の電話機の「保留」や「転送」などの操作方法も事前に確認しておき、焦らず対応できるよう準備しておきます。

相手が名乗ったら、聞き取れた会社名・氏名を復唱して確認します(例:「△△株式会社の山本様でいらっしゃいますね」)。そして「いつもお世話になっております」や「お電話ありがとうございます」といった感謝の言葉を添えると丁寧です。相手の名前が聞き取れなかった場合は、「恐れ入ります、お電話が少々遠いようで…もう一度お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」と丁寧に確認しましょう。いい加減に聞き流さず、確実に名前を把握することが大切です。

電話の取り次ぎ方と不在時の対応

相手が自分宛ではなく社内の別の人宛てだった場合、電話を取り次ぐ手順に移ります。まず「○○ですね。かしこまりました、少々お待ちくださいませ。」と言って保留にし、その担当者につなぎます。

取り次ぎ相手(担当者)が電話に出られる場合は、保留解除後に「お待たせいたしました。ただ今○○におつなぎいたします。」と告げてから転送します。担当者が直接電話口に出る場合でも、「○○に代わります」と一言添えてから受話器を渡すと良いでしょう。

もし担当者が不在の場合は、相手にその旨を伝え、次の対応を伺います。例えば「申し訳ございません。営業部の佐藤はただ今席を外しております。」とお詫びし、以下のような選択肢を提案します。

  • 折り返しの提案:「戻りましたら、こちらから折り返しお電話させましょうか?」

  • 伝言の承り:「私でよろしければ、ご伝言を承りましょうか?」

  • 再度連絡いただく:(相手が望む場合)「それではお手数ですが、改めてお電話いただくことでもよろしいでしょうか」

相手の希望に応じて柔軟に対応します。例えば「では折り返しお願いします」と言われたら、相手の名前・会社名・連絡先と可能であれば要件の概要をお聞きし、メモを取ります。聞いた内容は復唱して確認しましょう(例:「お電話番号は090-○○○○-○○○○でいらっしゃいますね。承りました。」)。そして「佐藤が戻り次第、折り返しご連絡するよう申し伝えます。本日はお電話ありがとうございました。」と丁寧に締めくくります。

伝言を預かったら、速やかに担当者に共有します。口頭で伝えるだけでなく、念のためメールやメモを残し、確実に伝達しましょう。万一、折り返しの約束を失念すると信用を損ないますので注意が必要です。

また、電話を保留にしている間は、保留音お待たせメッセージが流れるとはいえ、長時間待たせないようにします。30秒以上待たせる場合は一度保留を解除し、「お待たせしております、もう少々お時間いただけますでしょうか」と声をかけると親切です。どうしても長引く場合は折り返し提案に切り替える配慮も求められます。

電話対応では、最後に電話を切るタイミングも気を配りましょう。基本的には、電話をかけてきた相手が切ったのを確認してから静かに受話器を置きます。自分から先にガチャリと切ってしまうと印象が悪いため注意してください。

こちらから電話をかける場合のマナー

営業活動では、こちらからお客様に電話をかける場面も多々あります(第3章では新規開拓のテレアポについて詳しく触れました)。ここではそれ以外の一般的なビジネス電話をかける際のマナーを整理します。

  • 事前準備と時間配慮:電話をかける前に要件を整理し、伝えるべきポイントをメモしておきます。だらだらと考えながら話すのは避けましょう。また、相手先の都合を考え、電話する時間帯にも配慮します。相手の勤務時間や忙しい時間帯を外し、「この時間なら落ち着いて話せるかな」というタイミングを選ぶのが理想です。

  • 名乗りと挨拶:電話をかけたらまず自分から名乗ります。「いつもお世話になっております。○○株式会社の田中と申します。」のように、会社名と氏名をはっきり伝えましょう。取引先など関係性がある相手なら「いつもお世話になっております」を添えると良いです。その後、「○○部の佐藤様はいらっしゃいますでしょうか?」と相手を呼び出します。

  • いきなり本題に入らない:相手が電話口に出たら、すぐに要件をまくしたてず、まずは「○○様、こんにちは。お忙しいところ恐れ入ります。」などと軽い前置きをします。そして「ただいまお時間よろしいでしょうか?」と相手の都合を確認しましょう。相手が忙しそうであれば、「では改めます」と引くことも大切です。相手の状況を気遣う一言があるだけで、相手の受ける印象は大きく変わります。

  • 用件を明確に伝える:相手が時間を取ってくれるようであれば、用件を端的に伝えます。「本日は△△の件でお電話いたしました。」「先日ご依頼いただいた資料の件ですが…」など、結論や要点から話すことを心がけましょう。長々と背景から説明するのではなく、「〜について、◯◯のご提案をしたくお電話差し上げました」のように要旨を先に伝えることで、相手も話を理解しやすくなります。

  • 通話の終了:用件が済んだら、最後に「ありがとうございました。それでは失礼いたします。」とお礼を述べて電話を切ります。相手がこちらに何か依頼や質問をする可能性がないか確認し、会話をきちんと締めくくることが大切です。通話終了後には、必要に応じて通話内容をメモしておき、次回の連絡や社内共有に役立てましょう。

会話例:電話の取り次ぎ(担当者不在時)

最後に、社内にかかってきた電話を取り次ぐ際の会話例をご紹介します。担当者が不在の場合に、どのように相手に対応するかを具体的に示します。

(電話が鳴る…)
社員(受電):「はい、○○株式会社でございます。」
顧客(発信):「もしもし、△△株式会社の山本と申しますが、営業部の佐藤様いらっしゃいますでしょうか?」
社員:「△△株式会社の山本様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。営業部の佐藤ですね。少々お待ちくださいませ。」 (保留ボタンを押し、社内アナウンスまたは内線で佐藤を呼ぶ)

(佐藤が不在であることを確認し、保留を解除して応対に戻る)

社員:「お待たせいたしました。申し訳ございません、佐藤はただ今席を外しておりまして。」
顧客:「そうですか…。では、また改めます。」
社員:「恐れ入ります。宜しければ、佐藤が戻りましたら折り返しお電話させましょうか?」
顧客:「あ、それではお願いします。折り返しは私、山本の携帯までいただければ。」
社員:「承知いたしました。念のためお電話番号を頂戴できますでしょうか。」
顧客:「090-1234-5678です。」
社員:「ありがとうございます。090-1234-5678、山本様でいらっしゃいますね。では佐藤が戻り次第、山本様にお電話させていただきます。本日はお忙しい中お電話ありがとうございました。」
顧客:「よろしくお願いします。では失礼します。」
社員:「失礼いたします。」 (相手が切ったのを確認して受話器を置く)

この会話例では、担当者が不在の場合の対応として、相手に折り返し連絡の提案をしています。相手の名前や連絡先を伺い、復唱して確認することで聞き間違いを防いでいます。また、終始丁寧な言葉遣いと態度で応対し、最後も相手が電話を切ったのを確認してから静かに受話器を置いています。電話対応は細かな気配りの積み重ねです。適切な取り次ぎと心地よい応対で、電話越しにもプロフェッショナルな印象を与えられるように心がけましょう。


飛び込み・訪問営業

事前アポイントなしでお客様先を直接訪問する「飛び込み営業」は、営業スタイルの中でもハードルが高いものの一つです。しかし、直接顔を合わせて話せる分、うまくいけば信頼関係を一気に築くチャンスでもあります。本章では、飛び込み・訪問営業を成功させるためのポイントや心構えを解説します。

 飛び込み営業の基本と心構え

飛び込み営業では、とにかく数多く当たることが重要です。断られることの方が圧倒的に多いですが、「断られて当たり前」というマインドでいれば必要以上に落ち込まずに済みます。行動量を確保し、数を撃つことで、その中から興味を示してくれるお客様に出会える確率が高まります。

また、飛び込み時には事前準備も欠かせません。闇雲に歩き回るのではなく、訪問先のエリアや業種をある程度絞り込み、効率よく回れるルートを計画しましょう。例えば同じオフィスビル内で複数の会社に訪問する、工業団地の企業をまとめて回る、といった工夫です。訪問先企業について事前に基本情報を調べておけば、会話の糸口もつかみやすくなります。

身だしなみにも一層気を配りましょう。第一印象がすべてと言っても過言ではありません。スーツは清潔に保ち、靴も磨いておきます。夏場でも汗で見苦しくならないようハンカチでこまめに拭く、玄関先ではコートを脱ぐなどのマナーも大切です。訪問前には身だしなみチェックと深呼吸をして、笑顔で名刺を差し出せる状態を整えます。

訪問時のトークと態度

突然訪問するわけですから、最初のひと言が肝心です。玄関先や受付で担当者に取り次いでもらえるかどうかは、ここでの印象にかかっています。明るく爽やかな笑顔で挨拶し、「突然のご訪問で失礼いたします。私、○○株式会社の田中と申します。」と名乗りましょう。そのうえで「本日は御社の○○の件で、お役に立てるご提案がありお伺いいたしました。少しだけお時間をいただけないでしょうか」と続けます。

ポイントは、相手にとってのメリットをすぐ伝えることです。ただ「話を聞いてください」では門前払いされてしまいます。「○○のコスト削減につながるご提案です」「御社の△△業務の効率化に貢献できるサービスです」など、相手の関心事に触れそうなキーワードを盛り込みましょう。

受付スタッフや門番の方に止められる場合も多いでしょう。その際も決してぞんざいに扱わず、丁寧にお願いしてみます。「突然で申し訳ありませんが、○○のご担当の方に資料だけでもお渡しできればと思います」といった具合に、資料受け取りだけでも取り次いでもらえないか頼むのも一つの手です。もちろん、「約束もなく困るよ」と叱責されることもありますが、その場合も「失礼いたしました。改めてアポイントを取らせていただきます。ありがとうございました」と頭を下げ、潔く引き下がりましょう。決して食い下がって相手を怒らせてはいけません。

信頼関係の構築を優先する

飛び込み営業では、その場で契約を取ろうと焦らないことが大切です。大事なのは、まず相手に顔と名前を覚えてもらい、「感じの良い人だ」と思ってもらうことです。一度目の訪問で成果が出なくても、二度三度と訪ねるうちに「また来たの?熱心だね」と興味を持ってもらえるケースもあります。特にルート営業(定期訪問)の要素がある場合、継続的な関係づくりが鍵となります。

会話では、商品の売り込みばかりせず相手の話にも耳を傾けるようにしましょう。「実は今こういう課題があってね…」と相手が話し出したらチャンスです。相槌を打ちながらよく聴き、こちらの提案と結びつけられるポイントを探ります。仮にすぐ提案できなくても、「貴重なお話ありがとうございます。一度持ち帰って、何かお力になれる方法を考えてみます」と言えば、次回につなげる布石になります。

また、礼儀と礼節はどんな場面でも基本です。たとえ門前払いに遭っても、深々と頭を下げ「お忙しい中ありがとうございました」と伝えて去ります。後日電話で再チャレンジするときに、「先日は突然伺い失礼いたしました。その際に受付でお世話になった田中と申しますが…」と切り出せば、以前の礼儀正しい態度を覚えていて取り次いでくれるかもしれません。印象は積み重ねです。一回きりで終わらず、中長期的な視点で関係構築を考えましょう。

最後に安全面・法令面にも触れておきます。個人宅への訪問販売の場合、訪問時間帯や勧誘方法に関する法律(特定商取引法等)の規制があります。ルールを順守し、トラブルにならないよう十分注意してください。会社訪問であっても、社屋内に勝手に入り込んだり強引な行為をしたりすれば問題になります。あくまで誠実で良識ある営業活動を心がけましょう。

会話例:飛び込み訪問でのやり取り

以下は、ある中小企業に飛び込み訪問した際の会話例です。営業担当が受付を通して担当者と少し話すことができたケースを想定しています。

営業(訪問):「こんにちは。本日は突然のご訪問で失礼いたします。私、○○株式会社の田中と申します。」 (名刺を差し出す) 「御社の業務効率化に関するご提案があり、本日は資料をお持ちいたしました。ご担当の方と少しお話しできればと存じますが、いかがでしょうか。」
受付:「あいにくですが、本日担当者とのお約束は…いただいておりますでしょうか?」
営業:「本日はお約束なく参りました。大変恐縮ではありますが、御社の△△の業務でお役に立てる内容かと思いまして…こちらに資料だけでも置かせていただけないでしょうか。」
受付:「わかりました。では資料をお預かりしておきます。」
営業:「ありがとうございます。可能でしたらご担当の方に直接ポイントだけでもご説明したいのですが、難しければ資料だけでも結構です。」
受付:「少々お待ちください。担当の者に確認してまいります。」 (受付の方が社内に取り次ぎに行く)

(営業担当はロビーで待つ…)

担当者:「お待たせしました。営業部の鈴木です。ご提案内容を伺えるとのことですがお時間あまり取れなくて…5分ほどでお願いできますか。」
営業:「鈴木様、お忙しい中ありがとうございます!では早速ですが…こちらが資料でございます。御社の△△のプロセスで現在お困りの点はございませんでしょうか?」
担当者:「そうですね、たしかに手作業が多くて非効率だとは感じています。」
営業:「弊社のこのサービスをご活用いただきますと、その部分を自動化できまして、約30%の時間削減につながった事例もございます。【ポイントを資料で示しながら】例えば…」
担当者:「なるほど、興味深いですね。」
営業:「ありがとうございます。詳しいお話はぜひ改めてお時間を頂戴してご説明したいのですが、いかがでしょうか。来週○曜日にお伺いしてもよろしいでしょうか?」
担当者:「うーん…じゃあ話だけなら、来週火曜の15時に少し時間取りましょう。」
営業:「ありがとうございます!では〇月〇日(火)15時にお伺いいたします。当日は何卒よろしくお願いいたします。」
担当者:「わかりました。それでは。」
営業:「本日はお忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。」 (深くお辞儀をして退出)

このように、飛び込み訪問では最初のハードルを超えるまでが勝負です。受付で断られることも多いですが、丁寧にお願いすれば担当者が出てきてくれる場合もあります。限られた時間でもポイントを絞って提案し、次の正式なアポイントにつなげることができれば成功です。また、一連の対応を通じて「礼儀正しく熱意のある営業だ」という印象を残せれば、たとえその場で契約に至らなくても大きな前進と言えます。


 相談で来店してくれた場合の対応

お客様の側から店舗や営業所に来店いただき、相談を受けるケースも多くあります。例えば不動産の購入相談や保険の見直し相談、車のディーラーへの来店など、業界を問わず「お客様が訪ねてくる」シーンでの対応力も営業には求められます。本章では、お客様が来店された場合の接客・相談対応のポイントを解説します。

心地よいお迎えとヒアリング

来店されたお客様には、まず心からの歓迎の気持ちで接しましょう。店頭にいらしたらすぐに笑顔で挨拶し、「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」と声をかけます。予約がある場合は「お待ちしておりました○○様」と名前を確認すると丁寧です。

席にご案内したら、コートラックや荷物置き場などを案内し、飲み物の提供も可能であれば行います(「よろしければ温かいお茶をご用意しましょうか」等)。お客様がリラックスできる雰囲気を作ることが大切です。

本題に入る前に、「本日はお問い合わせいただきありがとうございます。さっそくですが、ご要望を詳しくお聞かせいただけますでしょうか」と切り出し、ニーズのヒアリングに移ります。ここでは第2章で触れた受け答えの姿勢が極めて重要です。お客様の話を遮らず最後まで聴き、要望や悩みをしっかり把握しましょう。例えば住宅購入の相談であれば、「ご希望のエリアや間取り、予算感を教えていただけますか?」などオープンな質問を投げかけ、お客様が話しやすいよう促します。話の最中もうなずきや共感のリアクションを示し、「はい」「ええ」「なるほど」「それは大切ですよね」といった相槌を入れつつメモを取ります。

先入観で決めつけないこともポイントです。お客様自身は「予算はこのくらいで3LDK希望」と言っていても、詳しく話を伺うと「実は子供の学区を優先したい」など真のニーズが見えてくることがあります。ヒアリングでは、「〜ということでお間違いないでしょうか?」と適宜確認し、表面的な要望の裏にある本質的なニーズを引き出すよう心がけましょう。

最適な提案とわかりやすい説明

十分にお客様の状況・希望を伺ったら、こちらから提案を行います。提案内容は、お客様のニーズにマッチしたものでなくてはなりません。たとえ売りたい商品や在庫があっても、ニーズに合わないものを無理に勧めると信頼を失います。お客様の話を踏まえ、「お話を伺った限りでは、このようなプランはいかがでしょうか」「いくつか候補がございますので、ご紹介させてください」と、選択肢を提示しましょう。

提案時の説明はわかりやすく丁寧に行います。専門用語ばかり並べたり、一方的に早口でまくしたてたりしないよう注意します。資料やカタログ、実物サンプルなどがあれば活用し、視覚的にも理解を助けます。例えば不動産であれば間取り図や現地写真を見せながら、「こちらは駅から徒歩10分で、南向きの日当たりが良い物件です。ご希望の学区内で、予算も範囲内ですね」とポイントを説明します。自動車であればカタログや実車を示し、「このお車は安全性能が高く、今おっしゃっていたお子様連れでのドライブにも安心です」と、お客様の関心事に紐付けて伝えます。

質問を歓迎する姿勢も大切です。お客様が疑問や不安を口にしやすい雰囲気を作り、「他に気になる点はございませんか?」と適宜問いかけます。質問を受けたら、第2章で触れたように結論から明確に回答しましょう。答えに迷うことがあれば「ただいま確認いたしますので少々お待ちください」と断ったうえで調べ、後ほど回答しても構いません。曖昧な返答や知ったかぶりは禁物です。

クロージングとフォロー

提案内容にお客様が納得されたら、次のステップに進みます。商品やサービスをその場で契約できる場合は、契約手続きに移行します。高額商品や慎重な検討が必要な場合は、「では○○の現地を一度ご覧になってみませんか?」(不動産なら現地見学、車なら試乗など)や、「お見積書を作成しますのでお持ち帰りいただきご検討ください」といった形でクロージングへ向かいます。

クロージングでは押し売りにならないよう注意しつつも、積極的な後押しは必要です。例えば、「この物件は他にも問い合わせが入っていますので、もしお気に召しましたら早めにご決断いただく方がよろしいかと思います。」など、メリットだけでなくタイミングについてのアドバイスも行います。ただし、決断を急かしすぎると不信感を与えますので、お客様の表情や反応を見ながら言葉を選びましょう。

最後に、お見送りやフォローの対応も忘れずに行います。お帰りの際には笑顔で「本日はお越しいただきありがとうございました」とお礼を伝えます。もしその場で契約に至らなかった場合でも、「ご不明点が出てきましたらいつでもご連絡ください」「資料はご自宅でぜひごゆっくりご検討ください」などと付け加え、プレッシャーを与えずに次につなげる配慮をします。

お客様が帰られた後は、いただいた情報や会話内容を社内共有したり、自分用のメモにまとめておきましょう。次回対応時に「あのとき話されていた○○の件ですが…」と切り出せれば、お客様は「自分のことを覚えていてくれた」と感じ安心します。来店対応も一度きりではなく、その後の関係構築が大切です。

会話例:来店したお客様との相談対応

ここでは、住宅購入の相談で不動産営業店にご来店されたお客様と営業担当者の会話例を示します。お客様の要望をヒアリングし、いくつか物件を提案する流れを見てみましょう。

営業:「いらっしゃいませ。本日はご来店いただきありがとうございます。○○不動産の田中と申します。」
お客様:「予約していた山田です。本日はよろしくお願いします。」
営業:「山田様、お待ちしておりました。こちらこそよろしくお願いいたします。どうぞお掛けください。お飲み物はコーヒーと紅茶がございますが、いかがいたしましょうか?」
お客様:「では、コーヒーをお願いします。」
営業:「かしこまりました。(*お茶出しをしつつ*)それでは早速ですが、本日はマイホームのご相談ということで、まずご希望の条件をお聞かせいただけますでしょうか。」
お客様:「はい。勤務地が〇〇駅なので、その沿線で駅から徒歩15分以内、3LDKくらいのマンションを探しています。予算はだいたい〇〇万円くらいまでで…。」
営業:「ありがとうございます。〇〇駅沿線、徒歩15分以内、3LDK、予算〇〇万円前後ですね。その他に何かこだわりや気になる点はございますか?例えば学区や周辺環境など。」
お客様:「子どもが来年小学校に上がるので、学区は気にしたいです。できれば評判の良い△△小学校のエリアが理想ですが…。」
営業:「なるほど、△△小学校区をご希望ですね。それでは、その条件に合いそうな物件をいくつかご紹介いたします。こちらをご覧ください。」 (タブレットで物件情報を見せる) 「まず1件目ですが、〇〇駅から徒歩10分、△△小学校区内のマンションです。3LDKで、価格は〇〇万円。築は5年と比較的新しく、設備も充実しています。」
お客様:「駅近でいいですね。写真も綺麗ですし。」
営業:「はい、とても人気の物件です。二件目はこちら。駅から徒歩14分ですが、その分少し広めで4LDKになります。価格は先ほどより少し上がって〇〇万円ですが、お部屋数に余裕があります。」
お客様:「4LDKですか。それも魅力的ですね…。予算オーバーかもですが検討の価値はありそう。」
営業:「ありがとうございます。三件目は駅徒歩12分、予算的にも〇〇万円でご希望範囲内、築15年ですがリフォーム済み物件です。内装が非常に綺麗でして…。」
お客様:「色々あるんですね。実際に見てみないと決められないですね。」
営業:「おっしゃるとおりです。百聞は一見に如かずですので、ぜひ現地をご覧いただくことをお勧めします。気になる物件がございましたら、現地見学の段取りをいたしますが、いかがでしょうか?」
お客様:「そうですね、1件目と2件目は実際に見てみたいです。」
営業:「承知いたしました!では今週末の土日でご都合が良い時間帯はございますか?山田様のスケジュールに合わせて調整いたします。」
お客様:「日曜の午前なら都合がつきます。」
営業:「かしこまりました。それでは日曜日の午前10時に1件目のマンション前でお待ち合わせし、その後2件目も続けてご案内いたしましょう。詳細は後ほどメールでも送らせていただきます。」
お客様:「お願いします。」
営業:「本日は貴重なお話を色々とありがとうございました。ご要望を踏まえ、良いご提案ができるよう努めますので、引き続きよろしくお願いいたします。」
お客様:「こちらこそ、ありがとうございました。当日もよろしくお願いします。」
営業:「はい、こちらこそよろしくお願いいたします。お気をつけてお帰りくださいませ。また何かございましたらいつでもご連絡ください。」

この例では、お客様の希望条件を詳しくヒアリングし、それに見合った選択肢をいくつか提示しています。お客様が迷われている様子であれば、実物を見る機会を提案し、次のアクション(現地見学)につなげています。来店されたお客様には、丁寧な接客と有益な情報提供によって「この担当者に任せれば安心だ」と感じてもらうことが大切です。その信頼が契約への大きな一歩となります。


契約が取れる会社と取れない会社の違い

ここまで個人の営業スキルや対応方法について述べてきましたが、営業の成果は個人の力量だけでなく会社全体の体制や文化にも大きく左右されます。最後に一歩引いた視点から、「契約が取れる会社」と「契約がなかなか取れない会社」にはどのような違いがあるのかを考えてみましょう。自分自身の働く環境を客観視し、改善点を見出すヒントにもなります。

顧客志向の徹底

契約が取れる会社は例外なく顧客志向が徹底しています。営業方針や商品開発において常に「お客様の課題解決」を第一に考え、お客様に本当に役立つ提案を追求します。営業担当も数字だけでなく顧客満足度を重視し、「お客様から信頼されること」が結果的に契約につながると理解しています。一方、契約が取れない会社では自社都合の売り込みが優先されがちです。「今月のノルマ達成のためにこの商品を売れ」といった具合に、顧客の真のニーズより社内事情が優先される傾向があります。その差はお客様にも敏感に伝わり、顧客志向の会社には契約が集まり、自社本位の会社からはお客様が離れていくのです。

商品・サービスの競争力

会社として扱う商品・サービスそのものの魅力も極めて重要です。契約が取れる会社は、市場で競争力のある商品や差別化されたサービスを提供しています。品質が高い、価格設定が適切、他社にないユニークな強みがある、といった要素があるため、営業担当も自信を持って提案できます。さらに、お客様からのフィードバックを製品改良に活かし、常に提供価値を高める努力をしています。

一方、契約が取れない会社では、残念ながら商品・サービス自体に弱点がある場合があります。競合他社と比べて見劣りしたり、市場ニーズとズレがあったりするため、どんなに営業が頑張っても興味を持ってもらえません。また、お客様の声が十分に商品改善に反映されず、課題を抱えたまま放置されるケースもあります。営業担当にとって、心から「これはおすすめです!」と言えない商材を扱うのは大きなハンデとなります。

営業プロセスとマーケティング支援

契約が取れる会社は、営業プロセスが体系化され効率的です。見込み客のリスト管理や顧客データベース(CRM)の活用、マーケティング部門からのリード提供など、営業活動を後押しする仕組みが整っています。例えば、反響(問い合わせ)を迅速に営業へ引き継いだり、定期的なキャンペーンで見込み客を温めたりと、組織的に契約獲得を支援します。営業担当同士の情報共有も活発で、「成功したトークスクリプト」や「競合に勝った事例」などがチームで共有され、皆のレベルアップにつながっています。

反対に契約が取れない会社では、営業活動が個人任せで場当たり的になりがちです。顧客リストは各営業がバラバラに管理し、属人的で引き継ぎもスムーズにいきません。マーケティングとの連携も弱く、営業が常に飛び込みや電話でゼロから客を探さねばならない状況だったりします。また、成功事例の共有や営業ノウハウの蓄積がなく、優秀な人のやり方が他の営業に伝わらないため組織全体の底上げが図れません。その結果、一部のカリスマ営業に頼る体制となり、平均的な営業力が伸び悩んでしまいます。

教育と人材育成

契約が取れる会社は営業人材の育成にも力を入れています。新人研修や定期的な勉強会、ロールプレイング研修などを通じて、営業スキルを磨く場を提供します。先輩社員がメンターとなってOJTで指導したり、外部研修に参加させたりする会社もあります。常に最新の営業手法や商品知識を学べるため、営業担当は自信を持って現場に臨めます。また、心理的安全性の高い環境で、上司に悩みを相談しやすく、失敗も次の糧として前向きに捉える文化が育っています。

一方、契約が取れない会社では営業教育が軽視され、「営業は実践あるのみ」「自分でコツを掴め」と放任されることが少なくありません。新人は右も左もわからないまま現場に放り出され、成功体験より先に連敗続きで心が折れてしまうこともあります。フォローアップ研修もなく、個人の試行錯誤に委ねられるため、伸び悩む社員が多数発生します。結果として離職率が高くなり、人が定着しない悪循環に陥ることもあります。

社内連携とチームワーク

契約が取れる会社は組織として契約を取りに行く体制が整っています。営業部門だけでなく、技術部門やカスタマーサポート、製品企画部門など関連部署との連携がスムーズで、チーム一丸となって顧客対応します。例えば見積もりやカスタマイズの相談があれば技術者がすぐサポートし、契約後のアフターフォローもカスタマーサクセス部門が手厚く実施する、といった具合です。社内の誰もが「自分たちの商品を採用してもらいたい」という共通の目標意識を持ち、営業をバックアップします。

契約が取れない会社では往々にして部署間の縦割り意識が強く、営業が孤軍奮闘する状況が見られます。営業が社内でサポートを仰いでも「それは営業の仕事でしょ」と冷淡に扱われたり、問い合わせ対応に時間がかかって商機を逃したりします。また、社内調整に手間取って契約がスムーズに進まないと、お客様からの信頼も失いかねません。一枚岩で動けない組織は、敏捷性や柔軟性が欠け、結果として営業機会を逃すことになります。

モチベーションと企業文化

最後に企業文化の違いも大きな要素です。契約が取れる会社は、営業社員のモチベーションを高める仕組みや文化があります。例えば、成果に対する正当な評価と報酬、表彰制度があり、頑張った人が報われる風土です。また、失敗しても個人攻撃せずチームでフォローし合う温かさ、上司が部下をコーチングして成長させる風土もあります。営業活動を前向きに捉え、皆で成功を喜び合える社風は、結果として更なる契約獲得を呼び込みます。

一方、契約が取れない会社では、営業現場が萎縮してしまう文化が見受けられます。数字だけを厳しく追及し、達成できなければ罵声が飛ぶ、というようなプレッシャー型の管理では、短期的に成果が上がっても長続きしません。営業スタッフが恐怖心から失敗を隠したり、無理な契約を取って後でトラブルになるケースも起こりがちです。また、成功しても正当に評価されなければ人は育たず、モチベーションも上がりません。健全な企業文化の差は、長期的な営業力の差となって表れるでしょう。

会話例:営業会社AとBの違い

最後に、架空の営業会社A社(契約が取れる会社)とB社(契約が取れない会社)の営業社員同士の会話例を見てみます。両社の環境の違いが、営業の働きやすさや成果にどう影響するかを感じ取ってみてください。

営業A社(契約が好調):「久しぶり!最近うちの会社、新人がどんどん契約取ってて勢いあるんだよね。」
営業B社(契約苦戦):「そうなの?すごいね。新人さんでも成果出せるなんて、何か秘訣があるの?」
営業A社:「研修も充実してるし、先輩がマンツーマンでロープレとかして育成してるよ。営業どうしの情報共有も盛んで、成功事例はすぐ全員に展開されるんだ。マーケティングから優良リストも提供されるし、提案資料なんかも標準化されてて使いやすいんだよ。」
営業B社:「羨ましいなあ…。うちは新人はとりあえず飛び込みやれって感じで放り出されるし、リストも自分で探すしかなくてさ。上司に相談しても『気合が足りない』とか怒られるだけだから、みんな萎縮しちゃって…。」
営業A社:「そうか…。会社によって全然違うんだね。うちは上司も『困ったことはすぐ言え』ってスタンスだし、お客さんから要望があれば開発とかサポートも総出で動いてくれるから提案しやすいよ。商品自体も強いから自信持って勧められるし。」
営業B社:「いいなあ…。うちは商品トラブルが起きても現場任せで、クレーム対応に追われて新規どころじゃないよ。正直、もっとお客様に向き合える環境でやりたいって思うこともある。」
営業A社:「大変なんだな…。営業って個人の頑張りも大事だけど、会社のサポートがあるかで全然違うよね。B社も環境が改善されるといいね。」
営業B社:「本当だよ…。まずは社内にも提案してみるかな、A社を見習って。」
営業A社:「うん、お互い頑張ろう!」

この会話例からも分かるように、営業パーソンが最大限の力を発揮できるかどうかは会社の仕組みや文化に大きく依存します。自分の努力だけではどうにもならない障壁がある場合、上司や経営陣に改善を働きかけることも必要でしょう。また、転職を検討する際には、その会社が営業にとって働きやすい環境かを見極めることも重要です。


必要なスキル

最後に、営業職で成果を上げるために必要とされるスキルを整理しておきましょう。本書の各章でも触れてきた要素を総まとめする形になりますが、これらのスキルは一朝一夕には身につきません。日々意識して磨いていくことで、確実にあなたの武器となっていくはずです。

  • コミュニケーション能力:分かりやすく伝える話し方、適切な敬語やビジネスマナー、時には雑談で場を和ませる力も含めて、対人コミュニケーション全般のスキルです。営業は人と人との仕事ですから、良好なコミュニケーションなしに信頼関係は築けません。伝えるべきことを的確に、感じよく伝える力を磨きましょう。

  • 傾聴力(ヒアリング力):相手の話を丁寧に聴き取り、要望や悩みを引き出す力です。ただ聞くだけでなく、相槌や質問を交えながら能動的に聴く姿勢が重要です。お客様の真のニーズを把握するためには不可欠なスキルであり、「話し上手」以上に「聞き上手」な営業が成果を上げることは第2章でも述べた通りです。

  • 共感力・人間関係構築力:お客様の立場や感情に寄り添い、心を通わせる力です。お客様から「この人になら任せてもいい」と思ってもらうには、単に商品知識を披露するだけでなく、「この人は自分のことを分かってくれる」と感じてもらうことが大切です。共感力の高い営業は信頼を得やすく、リピーターや紹介も生みやすくなります。

  • 課題発見力・問題解決力:お客様の状況を分析し、潜在的な課題を見つけ出す力、そしてそれを解決する提案を組み立てる力です。ヒアリングした情報をもとに「本当の課題は何か?」「自社の商品・サービスでどのように解決できるか?」を論理的に考えるロジカルシンキングが求められます。見当違いな提案をしないためにも、市場や業界の知識も駆使して、最適解を導き出しましょう。

  • 商品知識・専門知識:自社の商品・サービスに関する深い知識はもちろん、業界動向や競合他社の情報、関連する専門知識など、営業には幅広い知識が必要です。知識が不足していると説得力を欠きますし、お客様の質問に答えられず信頼を損ねてしまいます。日頃から勉強を怠らず、知識のアップデートを続けましょう。ただし専門用語をそのまま使うのではなく、かみ砕いて説明する力も合わせて重要です。

  • 提案力・プレゼンテーションスキル:お客様の課題解決策を分かりやすく提案する力です。資料作成のセンスやプレゼンテーションの話法も含まれます。提案力の高い営業は、限られた時間で要点を伝え、商品の価値を効果的に訴求できます。第6章の来店相談のように対面でプレゼンする場合もあれば、オンラインや書面で提案をまとめる場面もあります。いずれにせよ、「伝える力」と「見せる工夫(資料・デモなど)」を磨き、お客様に「なるほど、それなら欲しい」と思わせる提案を心がけましょう。

  • 交渉力・クロージング力:商談を前に進め、最終的に契約という合意に導く力です。価格や条件の交渉では、双方にメリットのある落とし所を探りつつ、自社に有利な条件でまとめる巧みさが求められます。また、クロージングではお客様の背中を押す決断力も必要です。第6章でも触れたように、「契約しますか?」とただ迫るのではなく、お客様自身が納得して決められるよう誘導する話術やタイミングの見極めが重要になります。

  • タイムマネジメント・段取り力:営業はやるべきことが多岐にわたります。新規開拓、既存フォロー、見積作成や移動時間など、時間の使い方が成果を大きく左右します。計画性を持ってスケジュールを組み、優先順位を判断しながら動く段取り力が不可欠です。1日の行動計画だけでなく、「次回フォローはいつするか」「契約更新時期に合わせて事前提案を準備する」など、中長期の視点でもタイミングを管理しましょう。時間管理が上手な営業ほど、多くのチャンスを逃さず掴むことができます。

  • ITリテラシー・情報活用力:現代の営業はデジタルツールの活用も求められます。顧客管理システム(CRM)への入力・分析、オンライン会議ツールでの商談、メールやチャットでの迅速な連絡など、ITスキルは営業効率を高める武器になります。また、インターネットやSNSから有用な情報を収集したり、社内データを分析して営業戦略に反映したりする情報活用力も重要です。データに基づいて行動を改善できる営業は、勘と経験だけに頼る営業より着実に成果を上げていきます。

  • 自己管理能力・メンタルタフネス:営業は成功と失敗の波がある仕事です。そんな中で安定したパフォーマンスを維持するためには、心身のセルフマネジメントと強いメンタルが必要です。体調管理(十分な睡眠・健康維持)はもちろん、モチベーションが下がったときの立て直し方、自分なりのストレス解消法を持っておくことも大切です。また、「失敗から学んで次に活かす」「断られても気にしすぎない」といった前向きな心構えを習慣化しましょう。第1章で述べたように、気持ちの切り替えが早い人ほど営業に向いています。メンタルの強さは訓練で鍛えられる部分も大きいので、普段からポジティブ思考を意識して自分を鼓舞していきましょう。

以上、代表的なスキルを挙げましたが、これらは相互に関連し合っています。たとえば「傾聴力」が高ければ相手の本音を引き出せるので「課題発見力」につながりますし、「自己管理」ができていれば時間を有効活用して提案準備を念入りに行え、その結果「プレゼンテーション力」が発揮できます。営業に必要なスキルとは、突き詰めれば「相手を思いやる力」と「自分を律する力」と言えるかもしれません。

最後になりますが、営業は決して特別な才能がないと務まらない仕事ではありません。本書のテーマでもある「営業が向いていない人」でも、ここまで述べてきたような心構えやスキルを一つひとつ身につけていけば、必ず成長し成果を出すことができます。実際に、かつては営業に苦手意識を持っていた人が努力を重ね、大活躍している例は数え切れません。

大切なのは継続的に学び、チャレンジし続ける姿勢です。本書で得た知識やヒントも、ぜひ現場で実践して試行錯誤してみてください。うまくいかないことがあっても、そこから学んで改善を積み重ねれば、それがあなたの営業スタイルを磨く糧となります。