「狸寝入り」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「狸寝入り」とは、本当は起きているのに、寝ているふりをする行為を意味します。言葉の由来は、野生の狸が身の危険を感じた際に、敵から逃れるために仮死状態のように寝たふりをする様子に由来しています。つまり、「寝たふり」をして、相手の問いかけや気まずい場面を避けようとする、人の心理的な逃避行動を表しています。これは単なる肉体的な休息ではなく、意識的に「反応しない」という選択をしている点に特徴があります。
英語では、「playing possum(ポッサムを演じる)」という言い方が最も近い意味を持ちます。これはオーストラリアやアメリカに生息するポッサムという動物が、天敵に出会ったときに死んだふりをする習性に基づいています。「pretending to be asleep(寝たふりをする)」「feigning sleep(眠っているふりをする)」とも言えますが、「playing possum」が最も比喩的で、感覚としては「狸寝入り」に近いと言えるでしょう。
この慣用句は、日常生活の中でちょっとしたズルさや、面倒ごとを避けようとするしたたかな心理、また時には笑いを交えて皮肉を込めて使われることもあります。例えば、親が子どもに話しかけても返事がないとき、「狸寝入りしてるんじゃないの?」と冗談交じりに言うこともありますし、仕事上で面倒な話題が出た瞬間に黙り込む同僚を指して「あれは狸寝入りしてるな」と言われることもあります。
人の社会的な場面で使われることが多く、「関わりたくない」「無視したい」「逃げたい」などの意志が込められており、その裏には相手との関係やその場の空気を読む力も含まれています。つまり、ただの寝たふりではなく、その背景には複雑な心理があるのが特徴です。
「狸寝入り」の一般的な使い方と英語で言うと
- 夜遅くまでスマホを触っていたのに、母親が部屋に入ってきた瞬間に狸寝入りして、何も見ていないふりをしてごまかした。 (He was on his phone late at night but pretended to be asleep as soon as his mother walked in, playing possum to avoid getting scolded.)
- 会議で難しい質問が出たとき、彼は目を閉じて狸寝入りしているように見えたが、実は聞いていたらしい。 (When a tough question came up during the meeting, he looked like he was pretending to be asleep, but he was actually listening.)
- 宿題をしていないことを指摘された弟は、何も聞こえないふりをしてベッドで狸寝入りを決め込んでいた。 (My younger brother pretended to be asleep in bed when he was scolded for not doing his homework.)
- 彼女は朝起こされるのが嫌で、目を覚ましているのに狸寝入りをして時間稼ぎをしていた。 (She hated waking up early and would pretend to be asleep even though she was awake, buying herself more time.)
- 面倒な頼まれごとを回避するために、彼はあえて狸寝入りして返事をしなかった。 (He deliberately pretended to be asleep to avoid being asked for help with something troublesome.)
似ている表現
- 死んだふり
- 聞こえないふり
- 知らないふり
- 無視を決め込む
- 気づかないふり
「狸寝入り」のビジネスで使用する場面の例文と英語
「狸寝入り」はビジネスの場面でも、冗談や皮肉を込めて使われることがありますが、基本的には軽い会話や仲の良い同僚同士でのやりとりに限られます。上司や取引先相手に使うには配慮が必要です。例えば、無視されたり反応がない相手に対して「あの人は狸寝入りしてるね」と内輪で言う場合に使われることが多いです。
- 部長がその件について話し始めた途端、田中さんは狸寝入りしたように静かになって返答しなかった。 (As soon as the manager started talking about the issue, Mr. Tanaka went quiet, pretending to be asleep.)
- 緊急の連絡を無視している彼は、まるで狸寝入りしているように何の対応もしてこない。 (He’s completely ignoring the urgent message, as if he’s playing possum.)
- 重要な決定が迫っているのに、彼は狸寝入りをして責任を回避しているように見える。 (He seems to be pretending to be asleep to avoid responsibility during this crucial decision-making moment.)
- あの社員はトラブルが起きるといつも狸寝入りして、巻き込まれないようにしている。 (That employee always pretends to be unaware whenever there’s trouble, trying to avoid getting involved.)
- クレーム対応のときに黙り込んだ彼の態度は、まるで狸寝入りのように感じられた。 (His silence during the complaint handling felt like he was pretending to be asleep.)
「狸寝入り」は目上の方にそのまま使ってよい?
「狸寝入り」という言葉は、基本的にくだけた言い回しであり、目上の方や取引先のような丁寧な関係性の相手に対して直接使用するのは避けるべきです。この言葉には「ズルさ」や「無反応」「逃避」の意味が含まれており、相手の行動を批判的にとらえてしまうことにつながる恐れがあります。冗談としても受け取られない場合もあり、無礼や不快感を与えるリスクが高いため、慎重な配慮が求められます。
職場内での会話であれば、相手との信頼関係がある場合に限って、やや軽口のように使うこともありますが、特に目上の方には遠回しで穏やかな表現に言い換える必要があります。
- 避けたほうがよい理由:
- 相手の行動を揶揄しているように聞こえる
- 場を和ませるつもりが逆効果になる可能性がある
- 礼儀や配慮に欠けると判断されやすい
- 意図せずトラブルを招くことがある
- 冗談でも受け入れられない文化的感覚がある
「狸寝入り」の失礼がない言い換え
- ご多忙の中、お疲れのように見受けられましたが、もしお手すきでしたらご確認いただけますと幸いです。
- お話の途中で恐縮ですが、少しご体調が優れないように感じられたため、ご無理なさらないでくださいませ。
- 本日はお疲れの様子でしたので、改めてご確認の機会を設けさせていただければと思います。
- 先ほどのお時間、少々ご静養されていたように見受けられましたので、再度お声がけさせていただきました。
- ご体調やご都合に差し支えなければ、後ほどご確認いただけると幸いです。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
- いつも大変お世話になっております。先日の件につきまして、再確認のお願いを申し上げたくご連絡差し上げました。
- 平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。本日は少々ご確認いただきたい事項があり、ご連絡いたしました。
- ご多忙のところ恐れ入りますが、先日お話しさせていただいた件について、念のため補足をさせていただきます。
- 連日のお取り組みに心より感謝申し上げます。本日は確認事項の再共有をさせていただければと存じます。
- 常日頃より格別のご尽力を賜りまして、誠にありがとうございます。早速ではございますが、本件につきご相談がございます。
締めの挨拶
- お忙しい中恐縮ではございますが、何卒よろしくお願い申し上げます。引き続きご指導賜りますようお願い申し上げます。
- ご多忙の折、お手数をおかけしますが、どうぞご確認いただけますと幸いでございます。
- 本件につきまして、何卒ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。引き続きよろしくお願いいたします。
- ご負担をおかけして恐縮ではございますが、どうぞご理解賜りますようお願い申し上げます。
- 今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「狸寝入り」という言い回しは、気軽に使えるようでいて、非常に繊細な場面では誤解を生みやすい表現です。相手の態度を揶揄するニュアンスを持つため、状況によっては失礼や非礼と受け取られる可能性があります。特に職場やビジネスのやり取りにおいて、誰かが反応をしない、あるいは黙っている状況を揶揄する目的で使うと、相手の人格や姿勢を批判しているように捉えられてしまいます。また、プライベートでも、家族や友人との関係が良好でない場合に使うと、距離感が広がることもあるため、注意が必要です。
- 上司や取引先に向かって使用する
- 面識が浅い相手に対して使う
- 相手が沈黙している時に皮肉を込めて言う
- 感情的な対立が起きている場面で使用する
- 会話の流れを遮って揶揄するように使う
細心の注意払った言い方
- ご多忙のためご対応が難しい状況かと存じますが、お時間の許す際にご確認いただければと存じます。
- 先ほどはご対応が難しいご様子と拝察いたしましたので、後ほど改めてご相談させていただきたく存じます。
- ご返信が難しいご事情があったかと推察いたしております。恐れ入りますが、別途ご確認の機会をいただけますと幸いです。
- 一時的にご対応が難しいご状況かと存じ、お手すきの際にご確認いただけますようお願い申し上げます。
- お体やご都合にご無理がないことを優先いただきながら、お時間を頂戴できますと幸いに存じます。
「狸寝入り」のまとめ・注意点
「狸寝入り」は一見ユーモラスで軽妙な言い回しに感じられるかもしれませんが、その背景には相手を無視している、もしくは意図的に話を避けているという、ややネガティブな意味合いがあります。そのため、使い方を誤ると、相手に不快感を与えたり、無神経な人だと誤解される恐れがあります。特に目上の方や取引先などとの正式なやり取りの中では、不用意にこの言葉を使わないようにし、より丁寧で柔らかい言い回しに置き換える配慮が求められます。
また、「狸寝入り」は日常会話の中で使われることが多いため、家族や友人など、相手との関係性が近い場合に限って、軽い冗談として用いると良いでしょう。ビジネスやメールで使う際には、言葉を選び、状況を的確に見極めてから使用することが大切です。何よりも、相手を思いやる気持ちと、言葉の選び方に注意を払うことが、人間関係を良好に保つうえで重要な鍵となります。

