リパトリエーションとは?ビジネスでの意味・日本語での言い換え・言い回しての使い方と注意点
リパトリエーションとは、海外で得た利益や資産などを自国に戻すことを指すビジネス用語です。日本語では「資金還流」や「資産の本国送還」とも言われることがあります。特に企業が海外拠点で得た収益を本社がある国へ戻すときに使われることが多く、財務や会計、国際税務の分野で頻繁に登場します。
たとえば、多国籍企業がアメリカ、日本、ヨーロッパなどに拠点を持ち、海外でのビジネス活動を通じて利益を得たとします。その利益は、現地の通貨で保有されていることが多く、現地法人にとっては資金の一部となっています。このとき、親会社がその利益の一部または全部を本国に送る、つまり自国の通貨で受け取る手続きを「リパトリエーション」と呼ぶのです。
リパトリエーションが行われる理由にはさまざまあります。たとえば、本社の資金需要に応じて資金を移動させたり、投資先の再編のために資産を集めたり、為替変動のリスク回避などが挙げられます。また、税制上のメリットがある時期や制度の変更を見据えて、資産の移動を行うケースもあります。
一方で、リパトリエーションにはいくつかのリスクも伴います。ひとつは為替レートの影響で、送金時のレートによっては想定より少ない金額しか本国に届かない場合もあります。また、国によっては送金時に追加の税金が課せられることがあり、財務戦略を立てる際には慎重な検討が必要です。
経済政策の一環として、各国政府がリパトリエーションを促進するための税優遇措置を打ち出すこともあります。たとえば、アメリカでは過去に法人税率の引き下げとあわせて、企業が海外から資金を戻しやすくする政策が実施され、企業活動に大きな影響を与えました。
リパトリエーションは単なる資金移動ではなく、国際的な企業戦略、税制、為替、会計処理など、複数の要素が絡み合う高度なビジネス判断となります。そのため、財務部門や経営陣にとっては重要なテーマの一つです。
まとめ:
- 海外で得た利益や資産を自国に戻すこと
- 多国籍企業の財務活動でよく使われる
- 資金需要・為替リスク回避・税制対応などが理由
- 為替変動や課税などのリスクもある
- 政府が税制優遇で促進する場合もある
リパトリエーションを英語で言うと?
“Repatriation”
言い換え・言い回しは?
- 海外資産の本国送還
- 国外収益の国内移転
- 外貨収益の還流
- 海外収益の国内取り込み
- 海外からの資金回収
リパトリエーションが使われる場面
- 海外拠点での利益を本社に送金する際
- 国際税務上の再編に伴い資産を移す場合
- 海外投資から得た配当を自国内に戻すとき
- 本国で新たな設備投資を行うために資金を集めるとき
- 為替リスクを避けるために資金を国内通貨に切り替えるとき
リパトリエーションを言い換えて失礼がない伝え方・目上・取引先に送る場合
- 海外での利益につきましては、必要に応じて国内への還元を進めております
(We are proceeding with the domestic allocation of overseas profits as needed.) - 外国拠点での収益を本社側で有効活用すべく、資金移動を計画しております
(We are planning to transfer funds to the headquarters to make effective use of earnings from our overseas offices.) - 現地法人での成果を基に、国内側での再投資に向けた準備を進めております
(We are preparing for reinvestment in Japan based on the results of our overseas subsidiaries.) - 各国の法令に基づき、収益の一部を日本側に還元させていただいております
(In accordance with the laws of each country, part of the revenue is being returned to Japan.) - 現地拠点での資金管理状況を踏まえ、段階的に日本への資産回収を実施しております
(Based on the financial status of our local offices, we are gradually repatriating assets to Japan.)
・社内メールで言い換えて使用する例文
- 海外子会社の利益の一部を国内での活用を目的に移動予定です
(A portion of the profits from our overseas subsidiaries is scheduled to be transferred for use in Japan.) - 外貨建て資金を円貨に切り替え、国内拠点へ移動いたします
(Foreign-currency funds will be converted into yen and moved to domestic operations.) - 本社の設備投資計画に合わせて、国外資金を取り込みます
(Overseas funds will be repatriated in line with the headquarters’ capital investment plans.) - 財務部にて現在、資金の流動性確保の観点から移転を検討中です
(The Finance Department is currently considering a transfer to ensure liquidity.) - 外国拠点の資金調整を目的に、一部送金手続きを進めております
(A portion of the transfer process is underway to adjust overseas funding.)
リパトリエーションを使用した本文
海外拠点の利益送金について
現在、当社ではアジア地域の現地法人で得られた利益の一部を日本本社に戻す手続きを進めております
(Currently, we are processing the transfer of a portion of profits from our local corporation in Asia to our headquarters in Japan.)
海外収益の再活用計画
海外で得た収益を活かすため、国内にて再投資の検討を行っております
(We are considering reinvestment in Japan to make the best use of the profits earned overseas.)
財務戦略に基づく資金移動
為替状況と本社の資金需要を踏まえ、海外からの資金移動を計画しています
(Based on currency conditions and capital needs at headquarters, we are planning to move funds from overseas.)
法人税制への対応に伴う動き
一部収益については、税制改正への対応を目的に国内へ戻すことを検討しています
(We are considering returning some of the revenue to Japan in response to tax reforms.)
将来的な投資資金の確保
今後の大型プロジェクトに備え、海外からの資金回収を進めております
(We are securing funding for future large-scale projects by repatriating capital from overseas.)
リパトリエーションをメールで使用すると不適切な場面は?
リパトリエーションという言葉は、財務や税務の専門知識が必要な用語のため、一般の方や取引先の中でも専門外の方に対して使うと、意味が伝わりにくくなってしまいます。とくに、丁寧な説明なしに一言で「リパトリエーションを実施します」とだけ伝えると、「海外からお金を引き上げる」といった強い印象を与えてしまうこともあります。こうした言い方は、相手に不安を感じさせたり、必要以上の心配をかけてしまう可能性があるため、避けたほうが無難です。
また、海外のパートナー企業がいる場合には「資金を引き上げられるのでは」という誤解も生まれやすく、関係性に悪影響を与える恐れもあります。ですので、必ず背景や目的を丁寧に補足し、やさしくわかりやすい言い換えを心がけることが大切です。
細心の注意を払い誰にでも不快感を与えない伝え方
リパトリエーションという言葉は専門的な内容を含むため、相手の立場や理解度を考えた、わかりやすく穏やかな伝え方が大切です。以下は、相手に誤解や不安を与えず、丁寧に意図を伝えるための言い回しの例です。
- 海外での業績を国内で活かすため、段階的に収益を日本側に移しております
(We are gradually transferring profits to Japan in order to make the best use of our overseas performance.) - 国内での事業強化を目的に、外国拠点での資金の一部を移動する準備を進めております
(We are preparing to transfer a portion of funds from overseas offices to strengthen our domestic operations.) - 海外で蓄積された資金を、今後の国内施策に活用する方向で検討しております
(We are considering utilizing accumulated overseas funds for upcoming domestic initiatives.) - 海外事業の成果を、本社での設備投資に活用する計画を立てております
(We are planning to use the results of our overseas business for capital investment at the headquarters.) - 外貨建て収益を、経営戦略に基づいて日本円に変換し、国内での運用に切り替えております
(We are converting foreign currency revenues into yen and shifting to domestic operations based on our management strategy.)
メール例文集
目上の方・取引先の企業へ言い換え適したメール例文
海外収益の国内投資に関するご案内
いつも大変お世話になっております。弊社では現在、海外拠点にて得られた利益を基に、日本国内での新規事業や設備投資を進める準備を整えております。つきましては、各国での法規制を十分に考慮しながら、段階的に資金の移動を進めております。関係する皆様にはご理解とご協力を賜れますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
経営方針に沿った資金活用のご報告
平素より格別のご高配を賜り誠にありがとうございます。このたび弊社では、海外にて蓄積された利益を、本社拠点での将来施策に活かすため、慎重に国内への移動を検討しております。関係法令を順守し、事業への影響を最小限に抑えながら進めてまいりますので、引き続き変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。
顧客・お客様へ言い換え適したメール例文
海外事業の成果を活かした取り組みについて
日頃より格別のご愛顧を賜り誠にありがとうございます。このたび、当社では海外事業において得られた成果をもとに、日本国内でのサービス向上に向けた取り組みを進めております。その一環として、一定の資金を国内にて再活用する予定でございます。今後もお客様により良いサービスをご提供できるよう、努めてまいります。
新施策に向けた準備とお知らせ
いつも弊社をご利用いただきありがとうございます。弊社は現在、海外拠点での業績を踏まえ、国内での施策強化を進めております。今後の設備導入やサポート体制の拡充に向け、海外で得た収益を有効に活用すべく、資金の見直しを行っております。引き続きのご期待にお応えできるよう努力してまいります。
社内メールで使う際に言い換え適したメール例文
本社施策に伴う海外資金の取り込みについて
お疲れ様です。本社にて進行中の新規施策にあたり、海外子会社で蓄積された利益の一部を、国内での再投資に活用する方針が決定しました。財務部と連携の上、現地通貨からの転換および送金を順次進める予定です。各部署に影響がある場合は事前に共有いたしますので、ご確認をお願いいたします。
海外拠点資金の再配分に関する連絡
各位、お疲れ様です。このたび、経営戦略に基づき、海外拠点での資金を一部国内に移し、今後の施策に充てることとなりました。為替変動や税制上の配慮も含め、段階的に進めてまいります。該当拠点へのサポート体制につきましては、別途案内いたしますので、よろしくお願いいたします。
相手に送る際の注意点・まとめ
リパトリエーションという言葉は、専門性が高く、財務関係者以外にはなじみが薄いため、相手によっては誤解を招きやすい表現です。特に目上の方や取引先、顧客などに使う際には、あえてこの言葉を避けて、内容に即したやさしい言葉に置き換える方が丁寧で配慮のある伝え方となります。
また、資金の「引き上げ」や「撤退」といった印象を与えないように、必ず背景や目的を明示することが大切です。資金の再配分が企業全体の成長やお客様へのサービス向上を目的としたものであることをきちんと説明することで、相手の不安や疑念を避けることができます。
丁寧な伝え方ひとつで、信頼や安心感が大きく変わります。リパトリエーションのような専門用語こそ、相手に合わせた心配りのある言い換えや説明が求められます。誤解を生まず、誠実な姿勢を伝えることを心がけましょう。

