「棚に上げる」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「棚に上げる」という慣用句は、自分にとって不都合なことや都合の悪いこと、あるいは議論の中で触れたくない事柄などを、あえて取り上げず無視したり、後回しにしたりする様子を表す言い回しです。この言葉には、「自分の非や欠点を取り上げずに、人のことばかり批判する」といったニュアンスが含まれている場合が多く、やや皮肉や批判的な意味合いを持つことが多いです。たとえば、自分のミスには目をつむり、他人のミスだけを咎めるような態度を指すときに使われます。日常的な会話から、ビジネスのやり取りに至るまで幅広く使用されるため、注意深く使う必要があります。英語で似た意味を持つ表現としては、「sweep under the rug(問題を見なかったことにする)」「turn a blind eye(見て見ぬふりをする)」「put something on the back burner(一時的に後回しにする)」などが挙げられますが、日本語の「棚に上げる」には特に「自分のことをさておいて他人を責める」といった特徴があるため、「hypocrisy(偽善)」や「double standard(二重基準)」のニュアンスも含む場合があります。
「棚に上げる 慣用句」と検索すると、意味はもちろん、使い方や語源についても詳細に解説されている資料が見つかります。語源としては、仏壇や神棚のような「棚に置く=目の届かない場所に避けておく」というイメージがもとになっているとされます。つまり、見えてはいるけれど触れずにそのまま放置するような感覚です。また、相手に対して不公平な態度をとることがこの表現には込められており、「問題を意図的に避ける」というよりも「自分だけに甘い態度をとる」ことが批判の対象になります。そのため、この言い回しは単に後回しにすることとは異なり、「自己中心的なふるまい」や「不公正な態度」に対して警鐘を鳴らす際に用いられることが多く、特に社会的な立場や責任が問われる場面では非常に敏感な言葉です。こうした背景を踏まえると、「棚に上げる」は軽々しく使ってしまうと誤解や反感を招く可能性があるため、慎重な判断が求められる言い回しだと言えます。
「棚に上げる」の一般的な使い方
・彼はいつも他人のミスには厳しいくせに、自分の失敗は棚に上げて話を進めようとするから信頼できない。
(He is always harsh on others’ mistakes, but he tries to move on while sweeping his own failures under the rug.)
・自分の提出期限を何度も破っているのに、他人の遅れを棚に上げて注意するのはおかしい。
(It’s strange to criticize others for being late while putting aside your own repeated delays.)
・部長は自分が判断を誤った件を棚に上げ、部下の報告の仕方ばかりを責めていた。
(The manager ignored his own poor judgment and instead blamed the way his subordinates reported things.)
・彼女は自分の子どものいたずらを棚に上げて、他人の子どもにだけ注意していたのが印象的だった。
(It was striking that she ignored her own child’s mischief and only scolded others’ children.)
・過去の問題を棚に上げたまま、新しい制度を進めようとしても、現場の不満は解消されないだろう。
(If you push forward with a new system while ignoring past issues, the dissatisfaction on the ground won’t go away.)
似ている表現
・自分のことを棚に上げる
・目をつぶる
・見て見ぬふりをする
・責任転嫁する
・知らぬふりをする
「棚に上げる」のビジネスで使用する場面の例文と英語
ビジネスの現場では、「棚に上げる」は部下や同僚の行動に対する注意喚起や、会議での議論の際に特定の課題を意図的に避ける行動を指して使われます。特に、責任の所在が問われるような場面では注意深く扱われる言い回しです。
・上層部の判断ミスを棚に上げたまま、現場の対応だけを問題視するのはフェアではありません。
(It’s unfair to overlook the leadership’s errors while only criticizing the actions of those on the ground.)
・前回のプロジェクトの失敗を棚に上げて、新しいプロジェクトに移るのはリスクが高いと考えます。
(I believe it’s risky to move on to a new project while ignoring the failure of the previous one.)
・自部署の遅れを棚に上げて他部署を責めるような態度は、組織の連携を損ないます。
(Blaming other departments while disregarding delays in your own is damaging to team cooperation.)
・自己評価のミスを棚に上げて、部下の成績だけを問題にするのは組織として健全ではありません。
(It’s not healthy for the organization to question subordinates’ performance while ignoring self-assessment errors.)
・不明瞭なガイドラインを棚に上げて、運用担当だけを責めるのは納得を得られません。
(You can’t expect consensus when you ignore unclear guidelines and only blame the operators.)
「棚に上げる」は目上の方にそのまま使ってよい?
「棚に上げる」という言い方は、相手の態度や姿勢を批判的に捉える意味があるため、目上の方や取引先に直接使うのは非常に注意が必要です。特に、相手の行動や判断に対して「自分のことをさておき他人を批判する」というニュアンスを持って指摘することになりかねないため、印象を悪くするリスクがあります。相手の立場や感情を尊重するビジネスマナーの観点からも、この表現をストレートに使うのは避けたほうがよいでしょう。たとえ事実として相手がそうであっても、婉曲的かつ丁寧な言い回しで伝える方が、信頼関係を損ねずに指摘することができます。誤って使うことで「非難されている」と受け取られる可能性があり、その後の関係に悪影響を及ぼす可能性もあるためです。
・相手に対する直接的な批判と受け取られる危険がある
・敬意を欠いているように感じさせる場合がある
・感情的に反発を招く恐れがある
・やり取りの流れを停滞させてしまう可能性がある
・社内外の信頼構築を妨げることになりうる
「棚に上げる」の失礼がない言い換え
・ご自身のご事情については、いったん置かれているように感じておりますが、いかがでしょうか。
・過去の経緯についても併せてご確認いただければと思っております。
・先にご説明いただいた内容を踏まえて再度整理できればと存じます。
・一部のご判断について、別の視点から再検討する余地があるかと考えております。
・ご対応状況についても含めて、改めて全体を見直すことをご検討いただけますと幸いです。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
・お忙しいところ恐れ入りますが、先日のご対応に関連して気になった点がございましたので、僭越ながらご連絡申し上げます。
・突然のご連絡となり恐縮ではございますが、進捗に関して一部ご確認いただきたいことがございます。
・いつも大変お世話になっております。本日は一部の手続きについて再確認のお願いがあり、ご連絡させていただきました。
・先般の件につきまして、追加でご相談させていただきたい事項がございましたため、ご一報させていただきました。
・恐縮ですが、進行中の件についてご意見を賜りたく、少々お時間を頂戴いたします。
締めの挨拶
・ご多忙のところ誠に恐れ入りますが、ご確認のほど何卒よろしくお願い申し上げます。引き続きご指導いただけますと幸いです。
・ご不明な点などございましたら、いつでもご連絡くださいませ。引き続き円滑な進行のため尽力してまいります。
・上記の件につき、ご確認とご助言を頂けますようお願い申し上げます。今後とも変わらぬご厚情を賜れますようお願い申し上げます。
・本件につきましては、ご判断にお任せいたしますが、何卒ご一考いただければと存じます。引き続きよろしくお願いいたします。
・お手数をおかけいたしますが、ご確認の上ご対応いただければ幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「棚に上げる」は、相手の態度や行動に対して批判的な目線を含んでいるため、使い方を誤ると非常に失礼に聞こえることがあります。特に相手が目上の方、上司、取引先の場合には、慎重な対応が必要です。例えば、相手の判断ミスや誤りを指摘する場合に「棚に上げる」という言葉を使うと、直接的すぎて非難のように受け取られてしまう可能性があり、対人関係に悪影響を及ぼしかねません。また、会議や報告書の中でこの言葉を使うことで、聞き手に強い印象を与え、誤解を生むこともあります。自分の立場や関係性をきちんと見極めてから使用することが求められます。
・上司のミスを指摘する場面
・取引先との打ち合わせ中の発言
・報告書やプレゼン資料での記述
・他部署との協力を要する案件でのやり取り
・社外とのトラブル対応時の説明内容
細心の注意払った言い方
・ご説明いただいた内容を前提としつつ、過去の経緯にも少し触れていただけると更に理解が深まるかと存じます。
・全体の流れを拝見し、過去の施策も一度併せて再確認いただけるとありがたく存じます。
・以前のご判断についても再度振り返りながら、今後の進め方についてご相談できればと思っております。
・進行状況につきまして、改めて整理し直す機会を設けることで、より精度の高い対応につながるかと存じます。
・本件については、これまでの対応状況も鑑みた上で、再考いただけるようお願い申し上げます。
「棚に上げる」のまとめ・注意点
「棚に上げる」という言い方は、自分の過失や不都合なことを一時的に無視してしまったり、他人のことばかりを批判するような態度を指す言葉です。特に相手に対して不公平な姿勢や、自己中心的な態度を表すときに用いられるため、相手に対する非難の要素が含まれています。よって使用場面には細心の注意が必要です。英語では「sweep under the rug」や「hypocrisy」などが対応し得る表現ですが、ニュアンスが完全に一致するわけではないため、状況に応じて使い分けることが重要です。ビジネスの場では、相手の立場を配慮し、間接的かつ丁寧に言い換える工夫が求められます。特に目上の方に使う際には直接的な表現を避け、問題提起をする形での婉曲的な伝え方を心がけることで、信頼関係を損なわずに意見を述べることが可能となります。使いどころを誤れば、相手に不快感を与える恐れがあるため、「棚に上げる」は便利ながらも扱いに注意が必要な言い回しだと理解しておくべきです。

