TeamsとPower Automate連携で契約更新のリマインダーを自動通知にしたい!
「契約更新の時期を見落としてしまいそう」「契約書が多すぎて、どれがいつ更新か分からない」「担当者へのリマインドが漏れると、ビジネスチャンスを逃してしまう」。契約の期日管理は、ビジネスの継続性や法的リスク回避に直結する、非常に重要な業務です。しかし、手動での管理では、見落としや遅延のリスクが常に伴います。
Power AutomateとTeams、そして契約情報を管理するSharePointリストを組み合わせるだけで、契約更新の期日が近づいたことを自動で検知し、担当者へ迅速にTeamsでリマインダー通知を送るシステムが作れます。これで、契約管理がずっとスムーズになり、コンプライアンスも強化されますよ。
なぜ契約更新のリマインダー自動通知が大切なの?
契約の期日を正確に管理し、関係者に通知することは、企業の法的リスクを回避し、収益機会を最大化する上で不可欠です。この自動化には、こんなメリットがあります。
契約更新や解約の機会を見落とさないから
契約には、更新の可否や解約通知の期限が定められていることがほとんどです。これらの期日をうっかり見落としてしまうと、意図しない自動更新で不要な費用が発生したり、逆に更新のチャンスを逃してビジネスチャンスを失ったりする可能性があります。自動リマインダーシステムは、設定したタイミングで担当者へ確実に通知を送るので、重要なビジネス判断の機会を逃しません。
法的リスクを低減し、コンプライアンスを強化できるから
契約に関する期日(例:更新通知期限、契約終了日)は、企業の法的な義務や権利に関わることが多いものです。期日を過ぎてしまったり、必要な手続きを怠ったりすると、契約違反や損害賠償といった法的リスクにつながりかねません。自動リマインダーは、これらのリスクを早期に担当者へ知らせるので、適切な対応を促し、企業のコンプライアンス体制を強化できます。
法務・事業部門の管理業務負担を大幅に軽減できるから
多数の契約書を抱える企業では、手動で契約台帳をチェックし、期日を管理し、個別に担当者へ連絡する作業は、非常に手間がかかります。自動通知システムを導入すれば、これらの定型的な監視・連絡業務から解放され、担当者は契約内容の精査や交渉といった、より価値の高い業務に集中できます。結果として、部門全体の生産性が上がり、ストレスも減るでしょう。
情報の共有がスムーズになり、関係部門との連携が強化されるから
契約書は、締結部門、法務部門、経理部門など、複数の部門が関わる情報です。契約期日のリマインダーが関係部門へ自動で通知されることで、各部門がリアルタイムで状況を把握し、連携して対応できます。これで、無駄な確認作業が減り、部門間の連携が強化されるので、ビジネスプロセス全体がスムーズになるでしょう。
システム構築の準備を始めよう
契約書の期日リマインダー自動化システムを作る前に、いくつか確認し、準備しておくべきことがあります。これらを事前に整理しておくことで、スムーズに自動化を進められます。
契約情報の「置き場所」を決めよう
Power Automateが契約の期日を検知するためには、その情報がどこかに保存されていて、Power Automateからアクセスできる必要があります。ここでは、SharePointリストで管理することをおすすめします。
- SharePointリストの作成:
- 法務部門や事業部門が使うSharePointサイトを選ぶか、新しく作ります。
- リスト名を
契約書管理台帳などと決めて、新しいリストを作成しましょう。 - 必要な列を追加しましょう(例):
- タイトル(既定): 契約書名/件名
- 契約相手: テキスト(1行)
- 契約締結日: 日付と時刻
- 契約終了日: 日付と時刻(契約期間が決まっている場合に必要です)
- 更新通知期限: 日付と時刻(契約更新の通知が必要な期日、必須)
- 契約ステータス: 選択肢(例:
有効、更新検討中、更新済、終了、解約済) - 担当部署: テキスト(1行)または選択肢
- 担当者: ユーザー列(契約書を担当する事業部門のメンバー)
- 担当者メールアドレス: テキスト(1行、通知用)
- 契約書URL: ハイパーリンクまたは画像(契約書ファイルがSharePoint/OneDriveにある場合のリンク)
- リマインダー通知状況: 選択肢(例:
未通知、3ヶ月前通知済、1ヶ月前通知済、期限到来通知済) - 備考: 複数行テキスト
リマインダーを送るTeamsの「場所」を決めよう
期日リマインダーをどこに、誰に対して送りたいのかを決めましょう。
- 担当者への個人チャット(推奨): 契約の担当者個人へ直接Teamsチャットで通知するのが最も確実です。
- 法務部門チャネル: 法務部全体での期日管理状況の共有や、特定の案件への注意喚起用(例:
法務部_契約管理)。 - 事業部門チャネル: 契約を締結した事業部門全体への情報共有用(例:
営業部_契約進捗)。
リマインダーメッセージの内容とタイミングを考えよう
自動で送られる通知メッセージは、簡潔かつ明確で、次の行動に移しやすいように工夫しましょう。
- 通知タイミングの例:
- 契約満了日の3ヶ月前: 契約内容の見直しや更新の検討を促します。
- 契約満了日の1ヶ月前: 最終的な更新/解約の判断と手続きを促します。
- 契約満了日の7日前: 契約終了の確認、後続対応の確認。
- メッセージの例(本人向け):
- 件名:
【重要リマインダー】契約「〇〇」の更新通知期限が迫っています - 本文:
- 「〇〇様、〇月〇日に現在の契約が満了します。契約更新のご意向と手続きについてご確認ください。」
- 「▼詳細はこちら」
- 「[契約情報リストへのリンク]」
- 件名:
Power Automateで自動化を設定しよう(基本編)
ここからはいよいよ、Power Automateを使って契約書の期日リマインダーフローを作成していきます。SharePointリストから期日が近い契約書を検知し、担当者へTeamsでリマインダーを送信する基本的なフローから見ていきましょう。
フローを作成する場所を決めよう
Power Automateのウェブサイトにアクセスし、左側のメニューから「作成」を選びます。今回は、毎日特定の時間にフローを実行し、対象となる契約書を検索して通知するフローなので、「スケジュール済みクラウド フロー」を選択しましょう。
トリガーを設定しよう
フローのトリガーとは、「いつ」このフローを実行するかを決めるものです。ここでは、「毎日特定の時間にフローを実行する」というスケジュールトリガーを設定します。
作成例:契約満了日を検知し、本人・上長・人事へTeamsで自動リマインダー
このフローは、毎日実行され、契約満了日までの残り日数に応じて、従業員本人、直属の上長、および人事担当者へTeamsチャットでリマインダー通知を送信します。
- Power Automateにサインインします。お使いのMicrosoft 365アカウントでPower Automateのウェブサイト(https://make.powerautomate.com/)にアクセスし、サインインします。
- 「作成」から「スケジュール済みクラウド フロー」を選択します。左側のナビゲーションペインにある「作成」をクリックし、表示されるオプションの中から「スケジュール済みクラウド フロー」を選択します。
- フロー名を指定し、トリガーを設定します。フロー名には「契約更新_期日リマインダー」など、分かりやすい名前を付けましょう。
- 繰り返し間隔: 「
1」日、「日」を選びます。 - 開始時刻: 毎日フローを実行したい時刻(例:
09:00)を設定します。 - 「作成」をクリックしましょう。
- 繰り返し間隔: 「
- 新しいステップを追加し、SharePointリストから契約情報を取得します。「+ 新しいステップ」をクリックし、検索ボックスに「SharePoint」と入力し、「アイテムの取得 (SharePoint)」を選択します。
- サイトのアドレス:
契約書管理台帳リストを作成したSharePointサイトのURLを選びます。 - リスト名: 作成したSharePointリスト(例:
契約書管理台帳)を選びます。 - フィルタークエリ: ここで、更新通知期限が近づいている契約書を抽出します。例: 契約ステータス eq ‘有効’ and 契約満了日 ge ‘@{formatDateTime(utcNow(), ‘yyyy-MM-dd’)}’ and 契約満了日 le ‘@{formatDateTime(addMonths(utcNow(), 3), ‘yyyy-MM-dd’)}’
- 補足: これは「契約ステータスが『有効』で、かつ契約満了日が今日から3ヶ月以内」の契約書を抽出する条件です。
- サイトのアドレス:
- 新しいステップを追加し、取得した各契約情報に対して処理を繰り返します。「アプライ トゥー イーチ」コントロールを追加し、「アイテムの取得」アクションの値を選びます。
- 「アプライ トゥー イーチ」の中に、現在から契約満了日までの残り日数を計算する式を設定します。
- 「作成」アクション(残り日数計算):div(sub(ticks(items(‘アプライ_トゥー_イーチ’)?[‘契約満了日’]), ticks(utcNow())), 864000000000)
- 補足: これは「契約満了日」から現在までの日数を計算する式です。
- 「作成」アクション(残り日数計算):div(sub(ticks(items(‘アプライ_トゥー_イーチ’)?[‘契約満了日’]), ticks(utcNow())), 864000000000)
- 「アプライ トゥー イーチ」の中に「条件」アクションを追加し、残り日数に基づいてリマインダーを分岐します。
- 3ヶ月前通知の条件:
- 左側の値: 残り日数計算の出力
- 演算子: 「次の値より大きいか、または等しい」
- 右側の値:
61 - 追加条件(AND): 残り日数計算の出力が
90以下であること。 - 追加条件(AND):
リマインダー通知状況が未通知と等しい (二重通知を防ぐため)
- 1ヶ月前通知の条件:
- 左側の値: 残り日数計算の出力
- 演算子: 「次の値より大きいか、または等しい」
- 右側の値:
0 - 追加条件(AND): 残り日数計算の出力が
30以下であること。 - 追加条件(AND):
リマインダー通知状況が未通知または3ヶ月前通知済と等しい (二重通知を防ぐため)
- 3ヶ月前通知の条件:
- 各条件の「はい」のパスに、Teamsへのリマインダー通知とSharePointの「リマインダー通知状況」更新アクションを設定します。
- 例:3ヶ月前通知(1つ目の「条件」の「はい」のパス)
- (本人への通知)「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション:
- 投稿者: Flow bot
- 投稿先: チャット
- 受信者:
アプライ トゥー イーチ内のアイテムから取得した担当者の「メールアドレス」 - メッセージ:
@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['担当者']?['DisplayName']}様 【📢契約期日リマインダー:3ヶ月前】 以下の契約書原本の更新通知期限が3ヶ月以内に迫っています。 契約内容の見直しや更新、解約の要否をご検討ください。 契約書名: @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['Title']} 契約相手: @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['契約相手']} 契約締結日: @{formatDateTime(items('アプライ_トゥー_イーチ')?['契約締結日'], 'yyyy/MM/dd')} **更新通知期限: @{formatDateTime(items('アプライ_トゥー_イーチ')?['更新通知期限'], 'yyyy/MM/dd')}** 電子版契約書はこちら: @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['契約書URL']?['Description']} 詳細確認とステータス更新はこちら: @{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['WebUrl']} - 重要度: 「重要」を選びます。
- (上長への通知)「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション:
- 投稿先: チャット
- 受信者:
アプライ トゥー イーチ内のアイテムから取得した「上長」のメールアドレス。 - メッセージ: 「部下@{items(‘アプライ_トゥー_イーチ’)?[‘Title’]}さんの契約満了日(@{formatDateTime(items(‘アプライ_トゥー_イーチ’)?[‘契約満了日’], ‘yyyy/MM/dd’)})が近づいています。」(上記同様のメッセージを調整)
- (人事への通知)「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション:
- 投稿先: チャネル(例:
人事部_契約管理) - メッセージ: 「@{items(‘アプライ_トゥー_イーチ’)?[‘Title’]}さんの契約更新対応を開始してください。」
- 投稿先: チャネル(例:
- 「項目を更新します (SharePoint)」アクション:
- サイトのアドレス: SharePointサイト
- リスト名:
契約書管理台帳 - ID:
アプライ トゥー イーチ内のアイテムのID - リマインダー通知状況: 「
3ヶ月前通知済」に更新します。
- (本人への通知)「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する (Teams)」アクション:
- 例:1ヶ月前通知(2つ目の「条件」の「はい」のパス)
- 上記と同様に本人・上長・人事への通知を設定し、メッセージ内容と「リマインダー通知状況」を調整します(例: 「1ヶ月前通知済」)。特に未回答者への催促を強調しましょう。
- 例:3ヶ月前通知(1つ目の「条件」の「はい」のパス)
- フローを保存してテストします。画面右上の「保存」をクリックします。保存後、「テスト」をクリックし、「手動」を選んで「テスト」をクリックしましょう。
SharePointリスト(契約書管理台帳)に、テスト用の契約情報(契約満了日を現在の3ヶ月後、1ヶ月後などに設定し、契約ステータスを「有効」、リマインダー通知状況を「未通知」に設定)を登録します。
Power Automateのフロー実行履歴を確認し、担当者のTeamsに適切なリマインダーが届くことを確認しましょう。
アクションを設定しよう
トリガーが発動したら、次に「何を」するのかを設定します。これがアクションです。
スケジュールアクション
「繰り返し」: 毎日特定の時間にフローを実行するためのトリガーです。
SharePointアクション
- 「アイテムの取得」: 契約管理リストから、期日が近い契約情報を取得します。
- 「項目を更新します」: 契約書の「リマインダー通知状況」や「契約ステータス」を更新し、通知が重複しないように管理します。
データ操作アクション
- 「作成」: 日数計算など、一時的なデータ処理に使うアクションです。
- 「アプライ トゥー イーチ」: 取得した契約情報ごとにループ処理を行います。
Teamsアクション
- 「チャットまたはチャネルにメッセージを投稿する」: 担当者、法務部門、事業部門のチャネルへ、期日が近いことをリマインド通知として送信します。
- 「重要度」の設定: このアクションの設定項目の中に、「重要度」というドロップダウンがあります。緊急性に応じて「重要」を選択することを検討しましょう。
通知メッセージをカスタマイズしよう
メッセージの内容は、動的なコンテンツを利用して、契約書名、契約相手、更新通知期限、契約締結日、電子版へのリンク、SharePointアイテムへのリンクなどを自動的に埋め込むことができます。
- 契約書名:
Title - 契約相手:
契約相手(SharePointリストの列名) - 更新通知期限:
更新通知期限 - 契約締結日:
契約締結日 - 担当者:
担当者/DisplayName - 電子版リンク:
契約書URL(SharePointリストのハイパーリンク列) - SharePointアイテムへのリンク:
WebUrl(SharePointリストアイテムへの直接リンク)
これらの情報をメッセージ本文に適切に配置することで、受け取った担当者が、どの契約書か、いつ対応が必要か、どこに原本(電子版)があるかを、一目で把握できるように工夫しましょう。簡潔で分かりやすいメッセージと、すぐにアクションできるリンクが重要です。
Power Automateで自動化を設定しよう(応用編)
基本編で作成したフローをさらに便利にするための応用テクニックを見ていきましょう。
契約ステータスが更新されたら通知を停止しよう
契約が更新されたり、解約が決定したりして「有効」ステータスではなくなった場合、それ以降のリマインダー通知が停止するように、通知対象の契約書をフィルタリングします。
作成例:契約ステータスが更新されたら通知を停止するPower Automateフロー
これは、基本編の「契約更新_期日リマインダー」フローの「アイテムの取得」アクションのフィルタークエリを修正することで実現できます。
- 基本編のフロー(契約更新_期日リマインダー)を開きます。
- ステップ4の「アイテムの取得」アクションの「フィルタークエリ」を修正します。契約ステータス eq ‘有効’ and 契約満了日 ge ‘@{formatDateTime(utcNow(), ‘yyyy-MM-dd’)}’ and 契約満了日 le ‘@{formatDateTime(addMonths(utcNow(), 3), ‘yyyy-MM-dd’)}’
- 補足:
契約ステータス eq '有効'という条件が、リマインダーを継続して送るための重要なフィルターです。もし契約が「更新済」「解約済」「終了」などに変更されたら、このフィルター条件に合致しなくなるため、自動的にリマインダーは停止します。 - リマインダーを送るタイミングで、
and リマインダー通知状況 ne '期限到来通知済'のような条件も追加し、同じ通知が複数回送られないように制御することも重要です。
- 補足:
- フローを保存してテストします。テスト用の契約書を「有効」から「更新済」や「解約済」にステータスを変更し、その契約書に対してリマインダーが停止することを確認しましょう。
契約終了日や特定期日ベースのリマインダーを追加しよう
更新通知期限だけでなく、契約終了日や、契約に定められたその他の特定の期日(例:報告義務日)が近づいた際にもリマインダーを送信することで、より包括的な管理を実現します。
作成例:契約終了日や特定期日ベースのリマインダーを追加するPower Automateフロー
基本編のフローをコピーして新しいフローを作成し、トリガーのフィルタークエリと通知メッセージを調整します。
- 基本編のフロー(契約更新_期日リマインダー)をコピーして、新しいフローを作成します。
- フロー名:「契約終了日_リマインダー」
- 新しいフローの「アイテムの取得」アクションの「フィルタークエリ」を修正します。例: 契約ステータス eq ‘有効’ and 契約終了日 ge ‘@{formatDateTime(utcNow(), ‘yyyy-MM-dd’)}’ and 契約終了日 le ‘@{formatDateTime(addDays(utcNow(), 30), ‘yyyy-MM-dd’)}’
- 補足: これは「契約ステータスが『有効』で、かつ契約終了日が今日から30日以内」の契約書を抽出します。
- 新しいフローのTeams通知アクションのメッセージ内容を修正します。
- メッセージ: 「【📢契約終了日リマインダー】以下の契約書が30日以内に終了します。」といった内容に調整しましょう。
- リマインダー通知状況: 新しい列(例:
終了日通知状況)を追加し、30日前通知済などに更新するようにします。
- フローを保存してテストします。テスト用の契約書(契約終了日が数日後、数週間後など)を登録し、通知が届くことを確認しましょう。
契約の更新/解約プロセスへの誘導を促そう(アダプティブカード利用:高度)
リマインダー通知メッセージに、Teamsのアダプティブカードを使って「契約更新を検討する」「解約を申請する」といったボタンを埋め込み、担当者がワンクリックで次のプロセスに移行できるようにします。
作成例:契約の更新/解約プロセスへの誘導を促すPower Automateフロー(高度)
この機能は、アダプティブカードのJSON構築と、Teamsの「応答を待機する」アクションの利用が必要です。
- 基本編のフロー(契約更新_期日リマインダー)を開きます。
- Teamsへのメッセージ投稿アクションを「チャットまたはチャネルにアダプティブ カードを投稿して応答を待機する (Teams)」に変更します。
- 投稿先/受信者: 基本編と同じ設定(担当者個人チャット)。
- メッセージ: アダプティブカードのJSONをここに貼り付けます。
- アダプティブカードのJSON例(3ヶ月前リマインダーの場合):
JSON
{ "type": "AdaptiveCard", "body": [ { "type": "TextBlock", "text": "📢 契約期日リマインダー:3ヶ月前", "wrap": true, "size": "Medium", "weight": "Bolder" }, { "type": "TextBlock", "text": "以下の契約書原本の更新通知期限が3ヶ月以内に迫っています。契約内容の見直しや更新、解約の要否をご検討ください。", "wrap": true }, { "type": "FactSet", "facts": [ { "title": "契約書名:", "value": "@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['Title']}" }, { "title": "更新通知期限:", "value": "@{formatDateTime(items('アプライ_トゥー_イーチ')?['更新通知期限'], 'yyyy/MM/dd')}" }, { "title": "詳細:", "value": "[契約書詳細]@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['WebUrl']}" } ] } ], "actions": [ { "type": "Action.Submit", "title": "契約更新を検討する", "data": { "action": "update_contract", "contractId": "@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['ID']}", "contractName": "@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['Title']}" } }, { "type": "Action.Submit", "title": "契約を解約する", "data": { "action": "terminate_contract", "contractId": "@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['ID']}", "contractName": "@{items('アプライ_トゥー_イーチ')?['Title']}" } }, { "type": "Action.OpenUrl", "title": "法務部門に相談", "url": "mailto:legal@yourcompany.com" } ], "$schema": "http://adaptivecards.io/schemas/adaptive-card.json", "version": "1.4" } - 補足: アダプティブカードのデザインは
https://adaptivecards.io/designer/で作成・テストできます。
- 新しいステップを追加し、アダプティブカードからの応答を処理します。
- 「アダプティブ カードへの応答の待機」アクションが自動で追加されます。
- 「条件」アクション: 担当者が「契約更新を検討する」を選んだかどうかをチェックします(
triggerBody()['data']['action']がupdate_contractと等しいか)。
- 「はい」のパス(「契約更新を検討する」を選んだ場合)に、自動アクションを追加します。
- 「項目を更新します (SharePoint)」アクション: 該当の契約書の「契約ステータス」を「
更新検討中」に更新します。 - Teamsにメッセージを投稿する: 法務部門チャネルに「契約更新検討が開始されました」と通知します。
- 「項目を更新します (SharePoint)」アクション: 該当の契約書の「契約ステータス」を「
- 「いいえ」のパス(「契約を解約する」を選んだ場合など)に、他の自動アクションを追加します。
- 「項目を更新します (SharePoint)」アクション: 「契約ステータス」を「
解約検討中」に更新します。 - Teamsにメッセージを投稿する: 法務部門チャネルに「契約解約検討が開始されました」と通知します。
- 「項目を更新します (SharePoint)」アクション: 「契約ステータス」を「
- フローを保存してテストします。契約書の期日リマインダーがTeamsに届き、アダプティブカードのボタンを押すことで、SharePointリストのステータスが更新されることを確認しましょう。
エラー対策とトラブルシューティングを確認しよう
Power Automateフローは、確実に動作することが求められます。特に契約書の期日管理は、その信頼性が非常に重要ですし、誤作動は避けたいものです。よくあるエラーとその対策、そしてトラブルシューティングのポイントをご紹介します。
権限不足のエラーが出た場合
「アクセスが拒否されました」といったエラーメッセージが表示される場合、Power AutomateがSharePointのリストを操作したり、Teamsにメッセージを送信したりするための権限が不足している可能性があります。
- 対策: フローを実行するアカウントが、対象のSharePointリストに対して「編集」権限(作成・更新のため)と、Teamsチャネルへのメッセージ投稿権限、個人チャットへのメッセージ送信権限を持っているか確認しましょう。法務部門やシステム管理の担当者がフローを作成・管理するのが望ましいでしょう。
SharePointリストのデータ型不一致の場合
契約情報をSharePointリストに登録・更新する際、列のデータ型とフローから送られるデータの型が一致しない場合にエラーが発生することがあります。特に日付形式やユーザー列へのマッピングに注意が必要です。
- SharePointリストの列のデータ型と、Power Automateで処理する際のデータ型が一致しているか確認しましょう。
formatDateTime()を使って、日付や時刻の形式を変換・整形するようにしましょう。- ユーザー列には、メールアドレス形式の値を渡す必要があります。
通知がTeamsに届かない場合(フローは成功しているのに)
Power Automateの実行履歴ではフローが「成功」しているのに、Teamsに通知が届かない場合があります。
- Teamsの通知設定: 受信者(担当者など)のTeamsアプリの通知設定で、Flow botからの通知がブロックされていないか、ミュートされていないかなどを確認しましょう。
- 受信者のメールアドレス: Teamsのチャット通知の場合、受信者のメールアドレスが正確であるかを確認しましょう。SharePointリストのメールアドレスが最新であるかを定期的に確認する運用も重要です。
- 接続の正常性: Power Automateの「データ」→「接続」で、Teamsへの接続が正常に確立されているかを確認しましょう。
フローの履歴を確認しよう
エラーが発生した場合や、フローが意図通りに動作しない場合は、Power Automateのフロー実行履歴を確認することが最も重要ですされます。
- Power Automateの「マイ フロー」から、該当のフローを選択します。
- 「実行履歴」タブをクリックします。
- 失敗した実行、または成功したものの動作が怪しい実行を選択すると、フローの各ステップがどのように処理され、どこでエラーが発生したか、そして入力/出力データやエラーメッセージの詳細を確認できます。
各アクションの「入力」と「出力」を確認することで、どのデータがどのように処理され、どこで問題が発生したのかを詳細に把握できます。特にSharePointリストからの「アイテムの取得」アクションで、期待通りの契約書が抽出されているか、フィルタークエリが正しく機能しているかを確認しましょう。
セキュリティとアクセス管理を確認しよう
契約書情報は、企業の機密情報であり、法的義務や個人情報を含む可能性があります。自動化システムを構築する際は、セキュリティとアクセス管理に細心の注意が必要です。
SharePointリストの権限設定を適切にしよう
契約書管理台帳リストに保存されたデータは、誰が閲覧・編集できるべきかを厳密に管理する必要があります。
- 編集権限: 法務部門や事業部門の担当者など、契約書情報を更新する権限を持つ限られたメンバーにのみ「編集」権限を付与しましょう。
- 閲覧権限: 必要な部署(例:担当部署、経理部門)にのみ「読み取り」権限を付与しましょう。
- 最小限の原則: 必要な人にのみ最小限の権限を与えましょう。
- グループの活用: 個々のユーザーに権限を付与するのではなく、Active DirectoryグループやMicrosoft 365グループを利用して権限を管理することで、運用が容易になります。
Teamsチャネル/チャットの権限設定を適切にしよう
契約期日リマインダーが送信されるTeamsチャネルやチャットのメンバーシップも適切に管理しましょう。
- 個人チャットの利用: 担当者へのリマインダーは、個人チャットが最も安全で適切です。
- プライベートチャネルの利用: 契約書情報のような機密性の高い情報が流れるチャネルは、必ず「プライベート」チャネルとし、必要なメンバーのみを招待しましょう。
- 一般チャネルへの通知の制限: 全員がアクセスできる「一般」チャネルには、機密性の低い、概要のみの情報に留めるか、通知自体を行わないようにしましょう。
フローの作成と実行権限を管理しよう
この自動化フローは、会社の重要な機密情報を扱うため、不用意に作成・変更・実行できないように、適切な権限管理が必要です。
- フロー作成者の制限: 重要なフローの作成権限は、法務部門の担当者や特定のシステム管理者にのみ付与することを検討しましょう。
- 共有の最小化: フローを他のユーザーと共有する際は、実行のみの権限に限定し、共同所有者としての共有は慎重に検討しましょう。共同所有者はフローを編集できるため、意図しない変更のリスクがあります。
- サービスアカウントの利用: フローの実行アカウントが個人アカウントではなく、専用のサービスアカウントであれば、個人の人事異動や退職の影響を受けにくく、権限管理も一元化しやすいでしょう。
個人情報保護への配慮を忘れずに
契約書には、取引先の情報や、契約担当者の氏名といった個人情報が含まれる可能性があります。これらの情報の取り扱いには、個人情報保護法などの関連法令や社内規定を遵守するよう細心の注意を払いましょう。
- 利用目的の明確化: 契約書の利用目的を明確にし、適切に管理しましょう。
- 安全な保管: 不必要なアクセスを制限し、データの安全な保管に努めましょう。
- 保持期間の検討: 契約情報の保持期間を定め、期間経過後は適切に廃棄する運用を検討しましょう。
まとめ
ここまで、Power AutomateとTeams、SharePointリストを組み合わせることで、契約更新のリマインダーを自動化する方法について、基本的な設定から応用、エラー対策、そしてセキュリティとアクセス管理まで、詳しく解説してきました。
この自動化されたシステムは、契約更新や解約の機会を見落とすことなく、法的リスクを低減し、法務・事業部門の管理業務負担を軽減するための強力なツールとなるでしょう。結果として、企業のコンプライアンス強化と、ビジネスチャンスの最大化に大きく貢献できます。
まずは、この記事で紹介した基本的なフローを実際に作成し、ご自身の環境で試してみてください。そして、貴社の契約管理プロセスや情報共有のニーズに合わせて、応用編で紹介した機能を追加したり、さらに独自のカスタマイズを加えたりすることで、より洗練された契約書管理システムを実現できるはずです。

