なぜブロックされるの?URLやファイルがブロックされる主な原因
TeamsやMicrosoft 365環境で特定のURLやファイルがブロックされる原因は多岐にわたりますが、多くの場合、以下のセキュリティ機能や設定が関係しています。これらは、組織のデータとユーザーを保護するために非常に重要な役割を担っています。
Microsoft 365の「安全なリンク」と「安全な添付ファイル」機能
Microsoft 365の高度なセキュリティ機能である「Microsoft Defender for Office 365」(旧:Advanced Threat Protection – ATP)が有効になっている場合、URLやファイルは自動的にスキャンされます。
安全なリンク (Safe Links)
- Teamsチャットやメールなどに含まれるURLがクリックされた際に、リアルタイムでそのURLが安全かどうかをチェックする機能です。
- 不審なサイトや既知のフィッシングサイト、マルウェア配布サイトなどへのリンクは、アクセスがブロックされるか、警告が表示されます。
- ブロックされた場合、通常は「このウェブサイトは組織のポリシーによってブロックされました」といったメッセージが表示されます。
安全な添付ファイル (Safe Attachments)
- ファイル(特に添付ファイル)がダウンロードされる前に、サンドボックス環境で安全性をチェックする機能です。
- 既知のマルウェアだけでなく、未知の脅威(ゼロデイ攻撃)も検出します。
- 悪意のあるファイルや不審な挙動を示すファイルは、ダウンロードがブロックされるか、隔離されます。
組織のセキュリティポリシーやファイアウォール・プロキシ
各企業が独自に設定しているセキュリティポリシーやネットワーク機器が原因となることもあります。
- URLフィルタリング: 企業内で利用されているファイアウォールやプロキシサーバーに、特定のカテゴリ(例:ソーシャルメディア、個人ブログ、特定の業界サイト)や、具体的なURLがアクセス禁止リストとして登録されている場合があります。これにより、Teams経由であってもそのURLへのアクセスがブロックされます。
- ファイルの種類によるブロック: セキュリティポリシーによっては、特定のファイル形式(例:.exe, .zip, .js, .batなど)のダウンロードや共有を全面的に禁止している場合があります。これは、マルウェア感染リスクを低減するためです。
- データ損失防止 (DLP) ポリシー: 機密情報(個人情報、顧客情報、企業秘密など)が外部に共有されることを防ぐためのポリシーです。特定のキーワードやパターンが含まれるファイルが、Teamsでの共有やアップロード時にブロックされることがあります。
SharePoint/OneDriveの外部共有設定とアクセス制限
Teamsで共有されるファイルの多くは、SharePointまたはOneDriveに保存されています。これらの設定が影響することもあります。
- 特定のドメインとの共有制限: SharePointやOneDriveの外部共有設定で、特定のドメイン(例:許可されたパートナー企業のドメインのみ)とのみ共有を許可し、それ以外のドメインとの共有をブロックしている場合があります。
- アクセス権限の不足: 共有されているファイルのアクセス権限が「閲覧のみ」に設定されているのに、ユーザーが編集しようとした場合、ブロックされることがあります。また、そもそも共有リストに特定のユーザーが含まれていない、という単純な原因もあります。
ブラウザやOSのセキュリティ機能
Teamsアプリだけでなく、ウェブブラウザやオペレーティングシステム(OS)のセキュリティ機能が働くこともあります。
- SmartScreenフィルター (Windows/Edge): ダウンロードしようとしているファイルやアクセスしようとしているウェブサイトが不審であると判断した場合、WindowsやEdgeブラウザに搭載されているSmartScreenフィルターが警告を表示したり、ブロックしたりすることがあります。
- セキュリティソフト(アンチウイルスソフト): PCにインストールされているセキュリティソフトが、ダウンロードしようとしているファイルやアクセスしようとしているURLをマルウェアやフィッシングサイトと誤検知(誤検知)し、ブロックする場合があります。
誤検知(False Positive)の可能性
上記のようなセキュリティ機能は非常に高度ですが、完璧ではありません。まれに、正当で安全なURLやファイルが、誤って悪意あるものと判断され、ブロックされてしまうことがあります。これを「誤検知(False Positive)」と呼びます。
ブロックされた場合の具体的な改善方法と対処法
URLやファイルがブロックされてしまった場合、まずは冷静に原因を特定し、適切な対処を行うことが重要です。以下の手順で確認・対応を進めてみましょう。
まずは「個人でできる」基本的な確認と対処
ブロックされたと分かった時に、すぐに試せる最も基本的な対処法です。
表示されるエラーメッセージを確認する
最も重要な情報源です。「このウェブサイトは組織のポリシーによってブロックされました」「悪意のあるファイルが検出されました」「アクセスが拒否されました」など、表示されるメッセージを注意深く読みましょう。これにより、何が原因でブロックされているのかの手がかりが得られます。
別のブラウザやデバイスで試す
使用しているブラウザ(Edge、Chrome、Firefoxなど)やPCにインストールされているセキュリティソフトが原因である可能性を排除するため、別のブラウザで試したり、スマートフォンや別のPCでアクセスしてみたりしましょう。Teamsアプリ版でブロックされる場合、Web版Teamsで試すのも有効です。
インターネット接続を確認する
単純なネットワーク接続の問題で、アクセスできないだけかもしれません。インターネット接続が安定しているか、VPNを使用している場合はVPN接続が正常かを確認しましょう。
URLやファイル名に不審な点がないか確認する
見たことのないドメイン名、長い文字列、意味不明な記号などが含まれていないか、あるいはファイル拡張子(.exe, .zip, .jsなど)が本来のファイルと一致しているかなど、基本的な不審点がないか、送信元が信頼できるかを確認しましょう。
「組織のIT管理者」に連絡する(最も確実な解決策)
個人で対処できない、あるいは原因が特定できない場合は、組織のIT管理者や情報システム部門に連絡することが最も確実で推奨される解決策です。
- 情報提供の際に伝えるべきこ
- ブロックされたURLの正確なアドレス、またはファイルの正確な名前と種類。
- いつ、どこで(Teamsのどのチャネル、会議、またはDMなど)ブロックされたか。
- 表示されたエラーメッセージの全文(スクリーンショットがあればベスト)。
- そのURLやファイルが必要な理由や、送信元が信頼できる情報であることの根拠。
- 試したこと(例:ブラウザを変えてみたがダメだった、など)。
IT管理者が確認・対応できること:
- Microsoft 365 Defenderのログ確認: IT管理者は、Defender for Office 365の管理画面で、どのURLやファイルが、なぜブロックされたのかの詳細なログを確認できます。誤検知であれば、例外設定を追加できます。
- 組織のファイアウォール/プロキシのルール確認: ネットワーク機器のアクセスログを確認し、特定のURLやファイルタイプがブロックされていないか確認できます。必要であれば、許可リストに追加するなどの設定変更が可能です。
- SharePoint/OneDriveの共有設定確認: 組織全体の外部共有設定や、特定のサイトの共有設定が厳しすぎる場合に調整できます。
- DLPポリシーの確認: データ損失防止ポリシーが原因であれば、そのポリシーの調整を検討できます。
- セキュリティベンダーへの問い合わせ: 導入しているセキュリティソフトが原因である場合、そのベンダーに問い合わせて誤検知の報告や設定変更の相談ができます。
SharePoint/OneDrive側の設定で「外部共有」を見直す(IT管理者向け)
Teamsのファイルが保存されているSharePoint/OneDriveの外部共有設定は、ゲストユーザーとのファイル共有において非常に重要です。
SharePoint管理センターでの設定確認
- Microsoft 365管理センターからSharePoint管理センターにアクセスします。
- 「ポリシー」→「共有」を選択します。
- 「SharePoint と OneDrive」の共有レベルが、外部ユーザーとの共有を許可するレベル(例:「新規および既存のゲスト」「すべてのユーザー」)に設定されていることを確認します。通常は「最も許容できる共有」または「新しい既存のゲスト」を選択します。
- 「ファイルとフォルダーのリンク」の設定で、匿名アクセス可能なリンク(「組織内のユーザー」ではない「匿名ユーザーがリンクを使用できる」)が許可されているかどうかも確認します。
個別のサイト(Teamsの裏側)の共有設定確認:
- SharePoint管理センターで「アクティブなサイト」に移動します。
- 対象のTeamsチームに紐づくSharePointサイトを選択し、「共有」タブで、そのサイトの共有設定が組織全体のポリシーを超えて厳しくなっていないか確認します。必要であれば、組織レベルの設定を継承するか、個別に許可レベルを上げる調整を行います。
Microsoft 365 Defender for Office 365での「例外設定」(IT管理者向け)
特定のURLやファイルが誤ってブロックされていると判断した場合、セキュリティ管理者は以下の手順で例外設定を行うことができます。
URLを「許可リスト」に追加する
- Microsoft 365 Defender ポータル (https://www.google.com/search?q=security.microsoft.com) にアクセスします。
- 「ポリシーとルール」→「脅威ポリシー」→「安全なリンク」を選択します。
- 特定のURLを安全なものとして許可する「カスタムURL」設定または「許可リスト」に追加します。
- 組織によっては「許可エントリ」という機能で、特定のURLやドメインを安全なものとして登録できます。
ファイルを「安全な添付ファイル」の対象から除外する、または「許可リスト」に追加する:
- Microsoft 365 Defender ポータルで「ポリシーとルール」→「脅威ポリシー」→「安全な添付ファイル」を選択します。
- 特定のファイルやファイルハッシュ値を安全なものとして除外設定を行うか、許可リストに追加します。
- 誤検知が頻繁に発生する特定のアプリケーションから生成されるファイルなどに対して、ポリシーを調整することも可能です。
ファイアウォール/プロキシ設定の調整(IT管理者向け)
社内のネットワーク機器によるブロックが疑われる場合、ネットワーク管理者が対応します。
- URLフィルタリングの除外設定: 目的のURLが、社内ファイアウォールやプロキシサーバーのURLフィルタリング機能によってブロックされていないか確認します。必要であれば、そのURLをホワイトリスト(許可リスト)に追加します。
- 特定のファイルタイプの許可: 会社のセキュリティポリシーでダウンロードが禁止されているファイルタイプである場合、一時的に許可するか、別の安全な共有方法を検討します。
ブラウザやセキュリティソフトの設定確認(IT管理者/ユーザー向け)
- SmartScreenフィルターの一時的な無効化(非推奨): WindowsやEdgeブラウザのSmartScreenフィルターが過剰に反応している可能性がある場合、一時的に無効化して試すことができます。ただし、これはセキュリティリスクを伴うため、問題解決後はすぐに元に戻すか、IT管理者の指示に従ってください。
- セキュリティソフトのホワイトリスト追加: 個人のPCにインストールされているセキュリティソフトが原因でブロックされている場合、そのソフトの設定から、特定のURLやファイルを例外としてホワイトリストに追加します。これも自己判断ではなく、IT管理者の指示を仰ぐのが賢明です。
注意点とベストプラクティス
セキュリティは非常にデリケートな問題です。安易な設定変更は、組織全体のセキュリティリスクを高める可能性があります。
- 安易な無効化は避ける: セキュリティ機能を安易に無効化したり、過剰に許可リストを追加したりすることは、組織のセキュリティリスクを著しく高めます。必ずIT管理者の指示に従い、必要な場合のみ、最小限の範囲で設定変更を行いましょう。
- 送信元とコンテンツの信頼性を確認する: ブロックされたURLやファイルが本当に安全なものなのか、送信元は信頼できるのかを必ず確認してください。不審なコンテンツは絶対に開かない、ダウンロードしない、という基本を徹底しましょう。
- セキュリティと利便性のバランス: 組織のセキュリティポリシーは、利便性とのバランスを考慮して設定されています。ブロックされることが多いと感じる場合は、IT管理者と協力して、セキュリティレベルを維持しつつ、業務効率を損なわない最適な設定を模索することが重要です。
- 定期的なセキュリティ教育: ユーザーがフィッシング詐欺やマルウェアの脅威を理解し、不審なリンクやファイルをクリックしないようにするための定期的なセキュリティ教育も非常に重要です。
Teamsで特定のURLやファイルがブロックされる問題は、多岐にわたるセキュリティ機能が複雑に絡み合っているため、一見すると分かりにくいかもしれません。しかし、その根底には「組織を悪意ある攻撃から守る」という明確な目的があります。
今回解説した原因と改善方法を参考に、まずはご自身でできる範囲の確認を行い、それでも解決しない場合は、必要な情報(エラーメッセージ、URL、ファイル名など)を正確にIT管理者に伝え、連携して問題を解決してください。適切な設定と運用により、Teamsは安全かつ円滑な情報共有のための強力なツールとなるでしょう。

