「わづらふ」とは?意味は?使い方は?大河ドラマや古語・古典を詳しく現代風に解説

「わづらふ」とは?意味は?使い方は?大河ドラマや古語・古典を詳しく現代風に解説

  • つらくて苦しむこと (To suffer painfully)
  • 心や体の具合が悪いこと (To be in poor mental or physical condition)
  • 決断できず迷ってしまうこと (To waver and hesitate)

古典的な意味合い

古典で「わづらふ」は、心や体のつらさ、また物事の進まない苦しみを強く表す語でした。「病みわづらふ」という形で病気に悩む意味が広く使われましたが、同時に恋愛や人間関係の中で心が思うようにならず苦しむ状況でも用いられておりました。成立時期は平安時代以前とされ、『源氏物語』などでも精神的な苦悩を丁寧に描写する語として現れています。語源的には「わづら(患)ふ」から派生し、動詞の終止形をとることで内面の葛藤や身体的な困難の継続を示しました。誤解されやすいのは、現代では単なる「病気」の意味に狭められがちであることです。しかし、当時の文脈ではもっと深く、精神的なつらさや他人との関係の中で感じる苦悩までも含んでいました。

近世以降の口語的な意味合い

江戸時代以降、特に時代劇や芝居などでは「わずらわしい」「やっかい」といった意味合いが広がりました。たとえば「こたびの一件、まことにわずらわしゅうござった」といった言い回しでは、身体的苦痛よりも、面倒や困ったことに巻き込まれて精神的に面倒に感じている状況を表します。また、「わずらうておる」などと使われる場合、病気で伏せている状態や、気分がすぐれず行動ができない場面に用いられました。古典に比べてより生活に密着した意味合いになっていき、日常の雑事への困惑、または気苦労を表す語として一般化されました。

古典における文例については?

古典文学において「わづらふ」は心身の苦しみを語るうえで欠かせない言葉でした。「恋にわづらひけるほどに」や「思ひわづらふ」などのように、感情や葛藤を含んだ形で使われ、単なる病気のことではなく、感情や心の動きに根ざした表現となっていました。

用法の対比表

分類意味用例
古典心や体の苦しみ恋にわづらふ・病にわづらふ
近世以降面倒・気苦労わずらわしゅうてかなわぬ・わずらうて寝込む

似ている言い回しや混同されやすい語

「くるしむ」「なやむ」「やまふ」「たゆたふ」などが類似の語として挙げられますが、「わづらふ」はこれらに比べて継続的で深い苦しみを表すことが多く、軽い意味合いの「めんどう」などとは区別されるべきです。

わづらふの一般的な使い方と英語で言うと

  • 体調が悪くなった父は、ここ数日ずっと寝込んでわづらっており、私たちは交代で看病を続けています。
    (My father has been bedridden for several days due to his poor health, and we’ve been taking turns to care for him.)
  • 大切な会議の前にひどく頭痛にわづらってしまい、集中力を欠いたまま本番に臨むことになりました。
    (I suffered from a severe headache before the important meeting, and had to attend it without full concentration.)
  • 複雑な手続きにわづらっていたお客様に丁寧な説明を差し上げたところ、ようやく安心していただけたようでした。
    (After I carefully explained the complicated procedures to the troubled customer, they finally seemed reassured.)
  • 引っ越し前後の諸手続きにわづらってしまい、予定より一週間遅れて仕事を再開することとなりました。
    (The procedures around moving were so troublesome that I had to delay resuming work by a week.)
  • 部下が対人関係にわづらっていたため、定期的に面談を設けて心の負担を和らげるよう努めました。
    (Since my subordinate was troubled by interpersonal issues, I arranged regular meetings to help ease their mental burden.)

似ている表現と失礼がない言い回し

  • 体調を崩す
  • 精神的に疲れている
  • 煩雑な業務に追われている
  • 課題に直面している
  • 負担を感じている

性格や人格として言われた場合は?

性格的に「わづらう人」と言われる場合、その人が些細なことにも思い悩みやすく、物事に対して必要以上に心を砕く傾向があるという印象を持たれることが多いです。心配性で、決断に時間がかかったり、感情の浮き沈みが激しかったりする様子を含んで使われる場合があります。また、「気に病むことが多い人」や「細かいことを気にしがちな人」という意味合いでも使用され、時にはネガティブな評価として扱われることもあります。

わづらふをビジネスで使用する場面の例文と英語

  • 体調を崩しわづらっていた社員が本日より復帰いたしましたので、ご報告申し上げます。
    (The employee who had been suffering from health issues has returned to work today, so I would like to inform you.)
  • 業務調整にわづらっており、対応が遅れてしまい大変申し訳ございませんでした。
    (I was troubled with schedule adjustments, and I sincerely apologize for the delay in response.)
  • ご相談いただいた件につきまして、手続きの煩雑さにわづらうことなく進められるよう配慮いたしました。
    (Regarding your inquiry, we have arranged the process to proceed smoothly without causing you any trouble.)
  • 一部のお取引先との契約条件の調整にわづらっておりますが、近日中に解決を図る予定でございます。
    (We are currently dealing with adjustments to contract terms with some of our clients, but plan to resolve them soon.)
  • 当社にて対応を進めておりますが、外部業者との連携にわづらいが生じており、進捗が遅れております。
    (We are working on the matter, but complications in coordination with external vendors have caused delays.)

わづらふは目上の方にそのまま使ってよい?

「わづらふ」という語は古めかしい響きを持ち、現代において目上の方や取引先に対して直接使用すると、かえって違和感や不適切な印象を与えるおそれがあります。特に現代のビジネス文脈では、曖昧な表現や感情的な言い回しが避けられる傾向にあるため、「わづらっております」などの表現は用い方に慎重になる必要があります。現代的かつ丁寧な言い回しに置き換えることが求められます。

  • 体調を崩しております
  • 対応が遅れており申し訳ございません
  • 現在調整中でございます
  • お手数をおかけして申し訳ございません
  • 問題が発生しておりますが、早急に対応いたします

わづらふの失礼がない言い換え

  • 体調不良により欠勤しておりますので、復帰の際には改めてご報告いたします。
    (Due to poor health, the employee is on leave and we will inform you upon their return.)
  • ただいま業務調整中につき、少々お時間を頂戴しておりますことご理解いただけますと幸いです。
    (We are currently adjusting internal tasks, and would appreciate your understanding regarding the delay.)
  • 一部作業に支障が出ており、至急対応を進めておりますので、今しばらくお待ちください。
    (There are some obstacles in progress, and we are working on them urgently. Please wait a moment.)
  • ご不便をおかけしておりますが、誠心誠意対応いたしておりますので、何卒ご容赦くださいませ。
    (We apologize for the inconvenience and are sincerely addressing the matter. Thank you for your patience.)
  • 業務の進行に一部遅れが生じておりますが、速やかに通常対応へ復帰すべく努めております。
    (There has been a slight delay in progress, but we are working hard to return to regular operations soon.)

わづらふで注意すべき場面は?

「わづらふ」は、古語や時代がかった言い回しであるため、現代の会話やビジネス文書において使用すると、聞き手によっては理解されにくいか、あるいは堅苦しく響いてしまう可能性があります。また、病気や悩みといったセンシティブな話題を含むため、相手の状況や関係性を十分に配慮せずに用いると、無遠慮な印象を与えてしまう恐れもあります。特に、目上の人に対して「わづらっております」と述べるのは稀であり、現代では別の丁寧な表現に置き換えるべきです。

  • 体調不良を軽く扱う言い方にならないよう注意が必要
  • 時代劇風の言い回しは現代ビジネスでは避けるべき
  • 悩んでいる相手に対して不用意に用いると失礼になる
  • 病名など具体性がないまま使用すると曖昧に伝わる
  • 日常会話では堅苦しく、違和感を持たれやすい

「わづらふ」のまとめ・注意点

「わづらふ」はもともと、心や体に生じた苦しみや葛藤を表す深い意味をもった古語であり、平安時代から人々の感情や病苦を語るうえで多用されてきました。近世以降の言葉としては、やっかいや面倒な事柄、心労や精神的な負担を表す口語として浸透してきたため、意味や使い方が時代によって変化してきた点に十分な注意が必要です。現代で使用する際には、相手の理解や受け取り方を意識し、特にビジネスや目上の方との会話では、より適切でわかりやすい表現に置き換える配慮が求められます。「わづらふ」という語には古典文学の美しい語感や人間の感情の深みが込められていますが、それをそのまま現代の会話に持ち込むことには注意が必要です。言葉の背景を理解した上で、適切な場面と表現を選ぶことが大切です。

古語とは何か

古語とは、昔の時代に使われていた言葉のことで、現代ではほとんど使われなくなった語句を指します。たとえば『いとをかし』『あはれなり』『あいなし』などのように、今の会話では聞かれない表現がそれにあたります。これらは平安時代や鎌倉時代の文章、特に『源氏物語』や『徒然草』といった古典文学の中で使われており、その時代の人々の感情や考え方を知る手がかりとなるものです。現代でも古典の授業や伝統文化を学ぶ際に使われますが、日常生活ではほとんど用いられません。

古語の特徴

古語には、今とはまったく違う語順や助動詞の使い方があることが特徴です。また、一つの言葉に複数の意味があることも多く、文脈によって意味が変わることもあります。たとえば『あはれ』は、感動・悲しみ・愛しさなど、いくつもの感情を含んだ言葉であり、現代語にそのまま訳すことが難しいものです。そのため、古語を学ぶ際には、単に意味を覚えるのではなく、その背景にある文化や当時の生活まで理解することが求められます。

古語の他の言い方

古語にはいくつかの別の言い方があり、場面によって使い分けることができます。たとえば『旧語』という表現は、古語と同じように過去に使われていた言葉を意味しますが、より学術的・記録的な印象を与えます。また『古典語』という言い方もあり、これは特に古典文学の中で使われる言葉に限定して用いられることが多いです。さらに『昔言葉』という呼び方はややくだけた言い回しで、会話の中で親しみをこめて使われることがあります。いずれも内容としては似ていますが、使う相手や文脈によって選び分けることが大切です。

現代での使われ方

古語は学校の授業や古典文学の研究だけでなく、舞台演劇や時代劇の脚本、伝統芸能のせりふ、あるいは文学作品の中でも使われることがあります。特に歌舞伎や能などの世界では、今でも古語がそのまま使われており、当時の雰囲気や世界観を再現するための大切な要素となっています。一般の人にとっては難しく感じるかもしれませんが、意味を知れば知るほど、昔の人の感じ方や考え方に触れることができるため、学ぶ価値の高い分野と言えます。