「取るものも取りあえず」意味は?言い換えは?ビジネスでも使える?失礼ではない使い方例文
「取るものも取りあえず」とは、突然の出来事や緊急の事態に驚いたり慌てたりして、必要な持ち物を持たずにその場を離れる、または即座に行動に移すことを意味する慣用句です。何かを持ち出す余裕もないほど、急いで飛び出す、急いで対応する、というニュアンスがあります。元々は、火事や急病などの際に、財布や靴、帽子などの必需品さえ持たずに、慌てて駆け出す様子を表した言い回しです。驚きや焦りの気持ちが強調され、また無計画に突発的な行動をとってしまう様子も含意されます。
現代においては、日常会話やビジネスの場でも、緊急対応や突然の行動を取ったことをややユーモラスに述べる時に使われます。たとえば、「地震で取るものも取りあえず外に飛び出した」というように使います。こうした用法は、話し手がその時の焦りや混乱の気持ちを伝えるために便利であり、また聞き手に臨場感をもたらします。
英語でこれに近い意味を表す言い回しには、“without thinking”や“in a rush,” “without grabbing anything,” “in a panic,” “hastily” などが使われます。直訳することは難しいため、場面に応じて意訳が必要です。たとえば、“He rushed out in a panic without even grabbing his wallet.” のように言い換えることができます。
「取るものも取りあえず」の一般的な使い方
・火事だという叫び声が聞こえたので、取るものも取りあえず家を飛び出してしまい、靴すら履いていませんでした。
(Heard someone shout about a fire, so I ran out of the house in a panic without grabbing anything, not even wearing shoes.)
・急な地震が来たので、取るものも取りあえず子供の手を引いて外に避難しました。
(When the earthquake hit, I rushed outside with my child without grabbing anything.)
・彼が倒れたと聞いて、取るものも取りあえず救急車を呼びに走りました。
(Hearing he had collapsed, I ran to call an ambulance without taking anything with me.)
・雷の音があまりにも近く感じたので、取るものも取りあえず家の中へ駆け戻りました。
(The thunder sounded so close that I dashed back into the house without even grabbing my umbrella.)
・上司から今すぐ来るように言われたので、取るものも取りあえず会議室に向かいました。
(My boss told me to come immediately, so I headed to the meeting room without even grabbing my notes.)
似ている言い方
・一目散に逃げる
・急きょ
・慌てて駆けつける
・とっさに行動する
・反射的に動く
「取るものも取りあえず」のビジネスで使用する場面の例文と英語
この慣用句は、ビジネスの場では少しカジュアルな印象があるため、使う場面には注意が必要ですが、たとえばトラブル対応や緊急呼び出しなどで、即座に反応したことをやや軽妙に伝えたいときに用いられます。正式な報告書などには不向きですが、口頭や親しい社内メールで用いる程度であれば、理解されやすく自然です。
・トラブル発生の連絡を受けて、取るものも取りあえず現場に急行しました。
(Upon receiving news of the trouble, I rushed to the site without taking anything.)
・重要なクレームと聞き、取るものも取りあえず上司に相談に行きました。
(Hearing it was a serious complaint, I went straight to my supervisor without delay.)
・突然の会議要請に、取るものも取りあえず出席しました。
(With the sudden meeting request, I attended immediately without preparation.)
・取引先でトラブルが発生したため、取るものも取りあえず現地に向かいました。
(A trouble occurred at the client site, so I headed there immediately without even packing.)
・停電の報を受け、取るものも取りあえずサーバールームに向かいました。
(Upon hearing of the power outage, I rushed to the server room without bringing anything.)
「取るものも取りあえず」は目上の方にそのまま使ってよい?
この表現は多少くだけた言い方であり、親しい間柄やフランクな社内会話では自然に使えますが、目上の方や取引先に対してそのまま使うのはおすすめできません。「取るものも取りあえず」は焦って冷静さを欠いた印象を与えかねないため、状況によっては軽率だと思われることもあります。特に、礼儀や冷静な判断が求められる相手や場面では、不適切と捉えられるリスクがあります。
また、報告書や正式なメールで使用すると、語感のカジュアルさから軽んじているように見えてしまうこともあり、慎重さが必要です。どうしてもニュアンスを伝えたい場合は、言い換えや丁寧な説明を加えて使用するのが望ましいです。
・取引先との重要な面談の直前に使う
・上司に報告する文書中にそのまま記載する
・謝罪文や再発防止報告での使用
・研修資料や案内文書内での使用
・顧客対応時の説明にそのまま引用する
「取るものも取りあえず」の失礼がない言い換え
・急ぎ足で現場に向かいましたことをご報告いたします。
・緊急対応が求められたため、準備の時間もなく直行いたしました。
・現地状況を優先し、必要最小限の確認のみで行動を開始いたしました。
・事態の早期解決を優先し、迅速に現場へ赴きました。
・必要物品の確認が不十分なまま、即時に行動に移らざるを得ませんでした。
適した書き出しの挨拶と締めの挨拶は?
書き出し
・先ほどの件につきまして、慌ただしく対応を始めたことについてご報告申し上げます。
・緊急を要する事態に直面し、取り急ぎご連絡申し上げる次第です。
・突然の事態により、対応が十分でなかった点を踏まえて、現状をお伝えいたします。
・何よりも現場対応を優先したため、報告が後になりましたことをお詫び申し上げます。
・非常に切迫した状況下での初動であったため、簡潔ながら経緯をご説明いたします。
締めの挨拶
・本件につきましては、今後の対応を継続しつつ、改めて詳細をご報告いたします。
・引き続き、速やかな情報共有と適切な対応に努めてまいります。
・今後は落ち着いた状況判断を心がけ、再発防止にも注力してまいります。
・本件対応に関して至らぬ点も多々あるかと存じますが、何卒ご容赦いただけますようお願い申し上げます。
・ご迷惑をおかけいたしましたことを重ねてお詫び申し上げ、引き続きのご指導を賜りますようお願い申し上げます。
注意する状況・場面は?
「取るものも取りあえず」は便利な言い回しですが、使う際には相手や場の雰囲気に注意しなければなりません。冗談や軽口と受け取られてしまう恐れがあり、誠実さが問われる場面では使わない方が無難です。また、相手に緊急時でも冷静な対応を期待されている立場でこの言い回しを使うと、準備不足や不用意な行動と誤解されることもあります。責任が伴う報告や謝罪の際には特に慎重になるべきです。言葉の響きがやや大げさで、場合によっては真剣さを欠いていると見られる危険もあるため、配慮が必要です。
・上司への正式な報告メールや稟議書
・顧客対応に関するトラブル報告
・公的な文書や記録に残る報告
・社内会議での発言
・他部署との調整や連絡業務中
細心の注意払った言い方
・現場の状況を受け、冷静さを保つことが難しい中ではございましたが、可能な限りの判断で即座に現地に向かいました。
・非常に緊急性の高い状況だったため、準備を最小限にとどめ、即時の対応を優先させていただきました。
・本件につきましては、詳細確認の時間を取る余裕がなく、早急な行動を選択したことをご理解いただければと存じます。
・必要な確認を行うことができないまま、まずは現場に赴くことで初動対応を進めてまいりました。
・状況を鑑みて、可能な限り早く行動に移すことを最優先とし、後ほど改めて詳細をご報告することといたしました。
「取るものも取りあえず」のまとめ・注意点
「取るものも取りあえず」という言い回しは、緊急事態への即時対応や突然の行動を表現する際に非常に便利な言葉です。しかしながら、相手や使う場面を誤ると、軽率な印象を与えてしまう可能性もあります。特にビジネスの場では、言葉の選び方一つで信頼性や誠実さが左右されるため、このような表現を使う際には十分な注意が必要です。親しい間柄で状況を共有するために使う分には問題ありませんが、正式な書面やメールでは、より丁寧な言い回しを用いるのが望ましいでしょう。思いがけない出来事に即座に対応したことを伝えたい場合には、冷静にかつ客観的に状況を説明し、焦りや混乱のニュアンスをやんわりと表す工夫が求められます。語感の面白さや語源の背景を活かしつつも、伝えたい内容が誤解されないよう、常に相手に敬意をもって使うことが肝要です。

